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更新日:2024年2月7日

委員長報告

 ただいま議題となりました議案のうち、第1号議案ないし第22号議案、第43号議案につきまして、予算特別委員会における審査の経過並びに結果をご報告申し上げます。

 当委員会は、去る2月24日に設置され、一般会計、特別会計及び公営企業会計の総額が前年度を約300億円上回る4兆2,782億円の「令和5年度当初予算案」並びに「兵庫県県政改革方針の変更案」について、鋭意審査を行ってまいりました。

 令和5年度は、新型コロナの影響で縮小していたグローバルな経済活動が戻り、インバウンド需要も回復していくことが予想されます。また、感染症法上の位置付けについても、2類相当から5類に緩和する方向が示されています。いよいよ真の意味でウィズコロナ時代にふさわしい県民が夢や希望を持ち続けられる社会を構築して行かなければなりません。

 こうした変化の大きな時代において、齋藤知事が推し進める「躍動する兵庫」の実現に向けて、新時代の県政を展開するためには、複雑化する経済の動向等を十分に見極め、「兵庫県県政改革方針」のもと、イノベーション型の行財政運営を目指した新たな改革に挑戦していくことが求められています。

 このことから、審査においては、令和5年度の県政の重点施策の5つの柱「持続的に発展する兵庫経済の構築」、「魅力あふれる地域・交流圏の形成」、「希望と温かさに満ちた社会づくり」、「安全安心基盤の強化」、「県政の推進基盤の構築」のもと、どのような施策を展開していくのか、5類への移行を見据えた新型コロナ対策の着実な実施と併せて、厳しい財政状況を踏まえつつ、いかに適切に県政改革を進めるべきか、終始熱心な議論が展開されました。

 審査に際して委員各位から述べられた意見等を、まず、「令和5年度の県政の重点施策及び新型コロナウイルス感染症への対応」について、次に「財政運営」、最後に「県政改革方針の推進」の3つの区分でご報告申し上げます。

 第一の「令和5年度の県政の重点施策」についてであります。

 一つ目の柱「持続的に発展する兵庫経済の構築」については、地域経済の活性化と雇用機会を創出する産業立地の促進に向けた取組の強化、空飛ぶクルマの社会実装に向けた取組、航空機等の次世代成長産業の育成・強化を図る取組、販路拡大や海外展開等の中小企業への支援力の強化、中小企業の人材確保対策としての兵庫型奨学金支援制度の更なる拡充、地域に適した有機農業等の全県的な展開、学校給食における県産食材の利用拡大、カーボンフットプリント普及に向けた取組の促進、瀬戸内海再生に向けた取組の推進、海洋プラスチックゴミ対策の推進、次世代自動車の普及・水素ステーションの整備などが求められました。

 二つ目の柱「魅力あふれる地域・交流圏の形成」については、大阪・関西万博に向けた取組、ひょうごフィールドパビリオンを通じた兵庫が有する多彩な魅力の発信、万博後にも地域の活性化に力を発揮する広域的な海上交通等の整備、国際化する神戸空港の活性化につなぐ支援、淡路夢舞台における集客力の強化、JRローカル線維持・利用促進に向けた取組、大規模災害時や働き方改革を踏まえた県庁舎の在り方・安全対策の検討などが求められました。

 三つ目の柱「希望と温かさに満ちた社会づくり」については、里親・特別養子縁組強化の推進、不妊症に関するデジタル広報等による普及・啓発の促進、新システムを活用した新たなひょうご出会い支援事業の展開、県と市町が一体となった子ども・子育て環境の充実に向けた取組、親なきあとを見据えた在宅障害者等への支援をつなぐ取組、農福連携の理解促進に向けた取組、医療的ケア児への支援の充実、先駆的な取組であるユニバーサルツーリズムの更なる発展、県立都市公園の活性化に向けた在り方の検討、鉄道駅舎のバリアフリー化への支援、老朽化が進行している県立学校施設の環境改善、スクールサポートスタッフ配置の拡充、不登校対策の推進などが求められました。

 四つ目の柱「安全安心基盤の強化」については、患者のニーズに応える在宅医療体制の充実、産科をはじめとした医師・看護師確保対策、ペットと暮らす高齢者へのサポート体制の構築、防災意識の向上と地域の活性化を図る防災ツーリズムの推進、南海トラフ巨大地震に備えた減災対策の推進、AI技術を活用したサイバーパトロールの体制強化、信号灯器のLED化の推進、ストーカー・DV被害者等の安全確保対策の実施、社会基盤整備等の災害に強い県土づくりの促進、公共土木施設の適正な管理水準を維持する取組、県立病院における無料Wi-Fiの整備、AYA世代のがん患者への陽子線治療支援への取組などが求められました。

 五つ目の柱「県政の推進基盤の構築」については、テレワークの活用など新しい働き方の推進、躍動する兵庫を実現できる職員の育成、より効果的なワーケーション知事室の展開、県庁内デジタル化の更なる促進などが求められました。

 また、「新型コロナウイルス感染症への対応」については、5類への切り替えに向けて医療現場が混乱なく適正な医療を提供できる体制の整備、感染症の後遺症に対応できる医療機関の確保、高齢者施設の感染予防とクラスター対策の更なる強化、接種率の低い3回目以降のワクチン接種の推進などが求められました。

 第二は、「令和5年度の財政運営」についてであります。

 本県の財政状況をとりまく環境は、ウクライナ情勢を背景とした物価高騰の影響や世界的な金融引締め等による海外景気の下振れ、円安の進行の影響により不透明になっているものの、選択と集中を基本に、施策のスクラップ・アンド・ビルドの徹底、ひょうご事業改善レビューの結果を踏まえた事業改善等により、令和5年度当初予算の収支均衡は確保されました。

 引き続き、持続可能な行財政基盤とのバランスを図りつつ、新時代の兵庫の原動力を育む、新たな取組を積極的に展開することが求められました。

 特に、自主財源の根幹をなす県税収入については、令和5年度予算では、堅調な企業業績に伴う法人関係税・特別法人事業譲与税の増や輸入額の増加に伴う地方消費税の増により、過去最高となる9,037億円となりましたが、その確保は極めて重要な課題であります。

 このため、収入未済額の縮減に向けた取組として、県と市町が連携した個人県民税の徴収体制強化による市町の徴収能力向上を図るとともに、預金オンライン化サービス等を活用した効果的な滞納処分の執行に努めるなど、徴収歩合の更なる向上が求められました。

 さらには、ふるさとひょうご寄付金や企業版ふるさと納税の活用を進めるため、多様化する地域課題を的確に捉えた事業の充実を図るとともに、これらの事業と寄付者の思いを結びつけるファンドレイジングに積極的に取り組むことやグリーンボンドの発行などが求められました。

 第三は、「県政改革方針の推進」についてであります。

 内閣府が1月に公表した「中長期の経済財政に関する試算」を元に財政フレームを見直した結果、経済成長率の低下や金利の上昇等による影響により、令和10年度までの収支不足額は前年度から115億円の増加で、255億円まで悪化し、実質公債費比率は、令和7年度には14年ぶりに県債発行に国の許可が必要な許可団体に転落する見込みであり、極めて厳しい財政見通しとなりました。

 この厳しい局面を乗り切るためには、次世代成長産業の創出、スタートアップ支援の強化、兵庫で働く人材の確保・育成、脱炭素化の推進、大阪・関西万博等の動きを兵庫の原動力とした賑わいの創出など、地域経済の活性化を図ることで、税収の最大限の確保、財政の好循環を生み出すことなど、県政改革方針に基づく財政運営・行政運営の双方の取組を徹底し、持続可能な行財政基盤の確立に向け、歳入歳出両面の改善に引き続き取り組むことが求められました。

 加えて、この金利の上昇局面をチャンスと捉えて、資金運用に積極的に打って出ることが必要ではないかとの意見が述べられました。

 このほか、ICTを活用した行政サービス向上や働き方改革の推進、税収確保のための法定外税導入の検討、更なる部局マネジメントの強化、県民局・県民センターの存在意義を高めるための取組、クラウドファンディング型ふるさと納税の活用、再生エネルギーの促進に重点を置いた取組、県債管理基金復元への継続した取組、海外事務所の活動実績を踏まえた廃止の検討などについて、意見、要望が述べられました。

 以上、冒頭申し上げた三つの観点から特に議論が集中した事項についてご報告申し上げました。県民の皆様のご協力のもと、兵庫が一丸となって、新しい時代の新しい課題に対して、県民の声をしっかりと聴き、兵庫が持つ多様性を生かしつつ、「躍動する兵庫」の実現に向け、議会の意見を十分に尊重され、県民ニーズに的確に対応した実効ある施策が展開されることを望むものであります。

 次に、表決の結果について申し上げます。

 第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第7号議案、第10号議案、第14号議案ないし第17号議案、第19号議案、第21号議案、第22号議案、第43号議案、以上14件につきましては、賛成多数をもって、

 また、第3号議案、第6号議案、第8号議案、第9号議案、第11号議案ないし第13号議案、第18号議案、第20号議案、以上9件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 また、3月13日に提出のあった「令和5年度予算案の編成替えを求める動議」については、賛成少数で否決された次第であります。

議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、予算特別委員会の審査報告を終わります。

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 議事課

電話:078-362-9403

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaigijika@pref.hyogo.lg.jp