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更新日:2024年3月19日
ただいま議題となりました議案のうち、令和5年度関係第157号議案ないし第159議案、令和6年度関係第1号議案ないし第22号議案、第49号議案につきまして、予算特別委員会における審査の経過並びに結果をご報告申し上げます。
当委員会は、去る2月28日に設置され、一般会計、特別会計及び公営企業会計の総額が前年度を約236億円上回る4兆3,018億円の「令和6年度当初予算案」、「兵庫県県政改革方針の変更案」並びに「分収造林事業及び地域整備事業に関する基金運用の是正に伴う補正予算案」について、鋭意審査を行ってまいりました。
令和6年度の本県経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、デフレから脱却して、新たなステージに移行する千載一遇のチャンスを迎えているとされています。その一方で、賃金上昇が物価上昇に追い付いておらず、個人消費や設備投資は依然として力強さを欠いている状況にあります。
本年2月15日に県政改革審議会から提出された兵庫県県政改革方針の変更案等の意見書によると、本県は多額の震災関連県債残高を抱えていることに加え、分収造林事業における債務超過の可能性や地域整備事業会計による将来の資金不足の恐れが明らかになるなど、引き続き、極めて厳しい財政状況にあります。
こうした中で、任期3年目となる齋藤県政の令和6年度当初予算案では、少子化・人口減少対策としての若者・Z世代応援パッケージや特殊詐欺被害対策などの高齢者支援、犯罪被害者支援などが打ち出されました。これらの取組をもとに、誰も取り残すことなく、あらゆる世代が活躍する社会の実現を目指すには、時代の変化に的確に対応し、持続可能な行財政基盤を確立しつつも、一つひとつの課題に向き合いながら、兵庫の新たなステージに向けた施策を積極的に展開していくことが求められます。
このことから、審査においては、令和6年度の県政の重点施策の4つの柱、「若者・Z世代が輝く兵庫」、「活躍の場が広がる兵庫」、「安全安心に包まれる兵庫」、「県政改革の推進」のもと、どのように施策を展開していくのか、厳しい財政状況を踏まえつつ、いかに適切に県政改革を進めるべきか、終始熱心な議論が展開されました。
審査に際して委員各位から述べられた意見等を、まず、「令和6年度の県政の重点施策」について、次に「財政運営」、最後に「県政改革方針」の3つの区分でご報告申し上げます。
第一の「令和6年度の県政の重点施策」についてであります。
一つ目の柱「若者・Z世代が輝く兵庫」において、まず、特に議論の焦点になりました県立大学の授業料等無償化については、先駆的な取組として推進していくべきとの意見や、事業効果や公平性の確保、財源、卒業生の県内企業への就職率等の観点から、財源確保のための基金創設、無償化よりも幅広い学生への支援等を優先すべきとの意見、さらには、財政状況など先行きが未だに不明な中での投資には不安があるなど、様々な意見が数多く述べられたところです。
他の施策については、奨学金返済支援制度の拡充、県立学校の環境整備の促進、地域移行に向けた中学校部活動改革の推進、教員の働き方改革の推進、安心して不妊治療が受けられる体制の整備、ケアリーバー支援の充実、ヤングケアラーの支援体制の拡充、不登校・引きこもり対策の強化、安心して子育てができる住環境に向けた支援、困難な問題を抱える女性への支援、特定技能外国人等の確保対策の推進などが求められました。
二つ目の柱「活躍の場が広がる兵庫」については、集客確保のためのひょうごフィールドパビリオンのプロモーションの展開、兵庫テロワール旅を深化させたアニメツーリズムの推進、ひょうごプレミアム芸術デーをはじめとする芸術文化施策の更なる充実、企業の技術を活用したひょうごTECHイノベーションプロジェクトの更なる強化、国・市町等と連携した戦略的な産業立地の促進、神戸牛・但馬牛等のブランドを生かした取組の推進、学校給食への県産有機農作物導入への支援、CSA手法の定着と拡大に向けた取組、脱炭素型ライフスタイルへの転換を促す取組、ナガエツルノゲイトウの抜本的防除対策の推進、太陽光発電施設等の設置の適正化に向けた取組、鉄道駅のバリアフリー化の推進などが求められました。
三つ目の柱「安全安心に包まれる兵庫」については、特殊詐欺防止対策の促進、帯状疱疹ワクチンの円滑な供給体制整備と補助事業の市町との連携促進、医師の時間外労働の縮減に向けた取組、農業参入する障害福祉事業所に対する支援、交番・駐在所の機能強化、パートナーシップ制度の理解増進に向けた取組、ミモザ企業認証制度の認知度を高める取組、SNSによる誹謗中傷・性被害等の防止に向けた取組、横断歩行者の安全確保対策の推進、病院DXの戦略的な展開、震災30年に向けた県民の防災意識を高める取組、能登半島地震被害者への支援、県土の強靭化に向けた事前防災対策の着実な推進、建設・土木工事の担い手の確保に向けた取組、交通渋滞対策の推進などが求められました。
四つ目の柱「県政改革の推進」については、4割出勤の取組等の課題を踏まえた県庁舎の在り方、サテライトオフィスやコワーキングスペースを含めたサードプレイスの積極的な活用、定年引上げを踏まえた組織活力向上への取組、新しい働き方の実現を踏まえた県民局・県民センターの在り方に対して、職員の意見を尊重した内容の検討などが求められました。
第二は、「財政運営」についてであります。
本県の財政状況を取り巻く環境は、海外景気の下振れリスクや物価動向に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響等もあり、県内の企業の倒産件数は増加傾向にあります。
また、地方創生臨時交付金をはじめとする国の財政措置が減少することを踏まえると、本県の財政環境の先行きは、ますます不透明な状況です。
このような中、人口減少、多発する災害・地球温暖化、経済構造の変容等の挑戦すべき課題に立ち向かうためには、引き続き、選択と集中を基本に、限られた財源で最大の効果を得られるよう、施策のスクラップ・アンド・ビルドの徹底、透明性向上のための外部評価の積極的活用によりPDCAサイクルを実現するとともに、地方財政制度を活用しつつ、効果的・効率的な予算執行に努め、毎年度の収支均衡を目指し、財政指標の改善に取り組む必要があります。
持続可能な行財政基盤とのバランスを図りつつも、一つひとつの課題に立ち向かいながら、新たな取組を展開することが求められました。
特に、収入の基盤となる県税収入については、堅調な企業業績を踏まえ、県税と特別法人事業譲与税の合計は当初予算としては過去最高となる9,163億円と見込んでおり、その確保は極めて重要な課題であります。
このため、収入未済額の縮減に向けた取組として、職員の能力向上等に取り組むとともに、市町と県税事務所の連携により個人県民税の徴収能力向上を図り、効果的な滞納処分の執行に努めるなど、徴収歩合の更なる向上が求められました。
また、法人県民税の超過課税の延長が予定されていますが、その趣旨や必要性について法人・関係団体から十分な理解を得られるよう、丁寧な説明を行うことが求められました。
さらに、自主財源の確保を図る施策として、ふるさとひょうご寄付金・企業版ふるさと納税・広告料収入の確保に向けた積極的な取組、グリーンボンド債の発行、活用が見込めない県有財産の売却処分、宝くじの販売促進などが求められました。
第三は、県政改革方針についてであります。
令和6年度当初予算に基づき計算された財政収支の見通しでは、令和10年度までで総額215億円の収支不足が生じる見込みであり、税収の増加や経済成長率の上昇等により昨年度算定時より40億円改善したものの、財政運営指標は全国的に下位に位置し、令和7年度には実質公債費比率の3ヵ年平均が18パーセント以上となる見込みであり、起債許可団体への移行が目の前に迫る、依然として厳しい財政状況が続く見通しとなっています。
また、分収造林事業や地域整備事業会計の多額の債務処理など、財政運営上の大きな課題が残っています。不適切な基金の運用については、当補正予算において、県債管理基金の実態の残高に是正することとなりましたが、問題が明るみになるまで議会に説明がなく、将来の見通しも甘かったなど、厳しい意見が述べられました。
今後の事業の在り方等については、後日、設置が予定されています県政改革調査特別委員会(仮称)に引き継がれ、当委員会での議論・意見を踏まえた審査が行われることになります。
今後、県の方向性などに大きな影響を与える施策の実施にあたっては、その背景や事業効果を県民等へ丁寧に説明するなど、意思決定過程についても、オープンにすることを努めるとともに、この厳しい局面を乗り切るために、様々な課題への対応を着実に進め、若者支援や次世代の産業の創出により、兵庫の経済の生産性を高め、地域経済の活性化につながる人やモノを兵庫に呼び込むなど、引き続き、持続可能な兵庫づくりに向けた取組を実践することが求められました。
このほか、将来の災害対応の備えとして適切な財政調整基金の残高確保、指定管理施設の公募化に向けた積極的な取組、病院事業の収支改善に向けた取組、経営継続が困難な中小事業者への直接支援、県立大学に4年制口腔保健学科の設置、但馬空港の利活用の検討などについて、意見、要望が述べられました。
以上、冒頭申し上げた三つの観点から特に議論が集中した事項についてご報告申し上げました。県民の皆様のご協力のもと、兵庫が一丸となって、新たな取組に積極的に挑戦し、兵庫が持つ多様性を生かしつつ、「躍動する兵庫」の実現に向け、議会の意見を十分に尊重され、県民ニーズに的確に対応した実効ある施策が展開されることを望むものであります。
次に、表決の結果について申し上げます。
令和5年度関係 第157号議案、第159号議案、
令和6年度関係 第1号議案、第4号議案、第5号議案、第7号議案、第10号議案、第14号議案ないし第17号議案、第19号議案、第21号議案、第22号議案、第49号議案、以上15件につきましては、賛成多数をもって、
また、令和5年度関係 第158号議案
令和6年度関係 第2号議案、第3号議案、第6号議案、第8号議案、
第9号議案、第11号議案ないし第13号議案、第18号議案、第20号議案、以上11件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
また、3月14日に提出のあった「第1号議案 令和6年度兵庫県一般会計予算の編成替えを求める動議」、「令和6年度予算案の編成替えを求める動議」、「第49号議案 兵庫県県政改革方針の変更の修正動議」及び「令和6年度関係第1号議案(令和6年度兵庫県一般会計予算)に対する附帯決議案」については、賛成少数で否決された次第であります。
議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、予算特別委員会の審査報告を終わります。
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