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更新日:2023年1月19日

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知事記者会見(2023年1月19日(木曜日))

 【発表項目】

1 新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等(PDF:221KB)

2 災害援護資金貸付金の債権放棄に係る県の財政支援(PDF:209KB)

3 西オーストラリア州首相の来県(PDF:387KB)

4 技術系職種採用試験の通年実施(PDF:248KB)

5 「MY HYOGO MOVIE 2022」審査結果発表(PDF:534KB)

6 男性の家事・育児を促進

 家事をみんなでシェアする「とも家事」を始めませんか?(PDF:2,473KB)

動画

 知事会見を動画で見る(外部サイトへリンク)

知事記者会見内容

知事:

 1番目は「新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等」です。

 本日の新規感染者数は4745人です。対前週比で5481人の減少です。

 1週間平均では5250人あまり(5252.4人)で、対前週比0.61(倍)、先週の増加傾向から一転して減少傾向という状況です。

 これは、兵庫県のみならず全国的にも同様の減少傾向が続いています。ただ、ピークアウトしたかどうかについては、もう少し様子を見ていく必要があると考えています。

 新型コロナウイルスは全国で初めて感染が確認されたのが2020年1月15日で、3年が経過しました。第8波まで現在きていますが、引き続き感染対策と社会経済活動の両立を図るという、ウィズコロナ型の状況を、県民の皆さんとともに歩んでいくことが大事だと思っています。

 コロナについては少し減少傾向にありますが、一方で、季節性のインフルエンザは、先日の会見では定点観測で、定点あたりの人数が、速報値(報告数)で1.27を超えていました。これは、1を超えると流行入りとなりますが、現在は8.21で、10を超えるとインフルエンザの注意報になりますので、インフルエンザの流行にも注意が必要だと考えています。

 今、発熱外来にそのインフルエンザの患者が増えており、逼迫状況になりつつあるところです。現在、医師会と連携しながら、同時流行に備えた診療体制はすでに拡充をしていますので、何とかこの状況を乗り越えていくことができるように、我々もしっかりとやってきたところです。

 県民の皆さんにおかれては、高齢者など重症化リスクのある人は受診してもらい、軽症で、年齢の若い人含めたリスクの低い人は、抗原検査キットで自主検査をし、そして、自宅で療養することに協力を是非ともお願いしたいと思っています。

 引き続き、感染対策の基本的なところと、ワクチンの接種にも協力をお願いします。

 

 2番目は「災害援護資金貸付金の債権放棄に係る県の財政支援」です。

 災害援護資金は、阪神・淡路大震災で、国が3分の2の貸付、県が3分の1を負担するというスキームで、市町が、災害により被災した人に資金の支援をしてきました。

 原資については、今年度末が、市から県への償還の期限です。最終的な結論をそれぞれに出していくことが必要になってきます。

 資料のスキームを見てもらうと、国から3分の2の原資が、県を通じて市に貸し付けされたという形です。県が、残りの3分の1分を被災市に渡し(貸し付け)ました。そこから(市町は)10分の10で、借受人に資金を貸し付けました。

 この国の3分の2の原資の県への返済が、今年度末に迫っていますので、被災市、県も含めて、今回、災害援護資金の債権をどうするのか、判断を迫られる時期となっています。

 先日、1月17日に震災から28年を迎え、いまだ償還していない人がいますが、多くの人が高齢化していたり、年金生活を含めて経済的にもなかなか苦しかったり、所在不明の人もおり、この期限内に全額の償還を事実上してもらうことは難しい状況になっています。

 昨年12月に県の3分の1相当分については、議会とも相談しながら、債権放棄することを表明し、次の2月議会で債権放棄の議案を上程します。

 一方で、国が残りの3分の2の原資を負担しており、それは、県を経由し市町に行っているのですが、その3分の2相当分についても、先日、西宮市の石井市長を中心に(関係市長が)国へ要望に行き、その前には、4市長が県に来て面談を行いました。直接的な国からの支援は難しい状況だと聞いています。

 この貸付金については、高齢化が進んでいることなども踏まえると、最終的な解決が必要で、現在、それぞれの市では、借受人、市議会などとの調整を行っているところです。基本的には県同様に、債権放棄をする方向で概ね検討していると聞いています。

 このような中で、各市の財政負担を軽減して、それぞれの市が、各借受人との債権放棄を少しでもしやすくする環境整備のために、今回、県において、3分の2相当分について、無利子の貸付制度を設けたいと考えています。

 市には、市町財政等調整基金が残高50億円ほどあり、例えば、災害などによってハード整備をしなければならなかったり、財政需要が生じる場合に、この市町振興課が持っている基金から市や町に貸付をして、20年償還で無利子という方法で、一定の貸付をする事業があります。

 今回、検討し、災害援護資金の貸付金についても市町ごとに被災した状況などを踏まえ、特別な財政需要があると判断し、新たに貸付の枠組みを創設し、市町財政等調整基金から被災市に、この国分の3分の2相当の貸付を無利子で行う。それを使って、一旦県を経由で国に返還をし、県のこの基金と市との間では、最長で20年に分割して償還をしてもらうことになります。

 市によっては億単位、それから、数千万単位の一般財源の負担が今年度末に生じますので、財政状況に応じて、市や町によっては負担が大きいところもありますから、それを一旦県が貸付をすることで、20年の分割で返還する形であれば、市や町の財政負担も一定軽減されるのではないか、ということで、この措置を行います。

 最終的には、この制度を利用するかどうかは、各市の判断ですが、おそらく一定の市に置いて、使うという判断をするところもあると思います。県としては、一定の制度を創設することで、円滑な債権放棄に向けた環境を整備していきます。

 

 3番目は「西オーストラリア州首相の来県」です。

 海外対応ですが、西オーストラリア州首相が来週、来県しますので、その報告です。

 兵庫県と西オーストラリア州は長年、友好提携関係を築いています。2021年に友好提携の締結から40年という節目を迎えており、実は昨年、首相が来県予定でしたが、あいにくコロナによって実現することができませんでした。

 今回、海外との往来も、かなり水際も緩和されたことを踏まえ、来週1月27日にマガウワン首相が兵庫県を訪れる予定です。マガウワン首相のみならず、(ピルバラ港湾局の)局長を含めて訪問団が来県します。

 友好提携をしていましたが、今回の来県のポイントは、そこを改めて深めることも大事ですし、一方で、これからの水素社会で、兵庫県の中でしっかりと拠点性を高めていくことが大事です。その時に一番重要な海外のパートナーになるのは、おそらくオーストラリアだと考えています。

 オーストラリアは西部・東部とともに、太陽光発電や、様々な褐炭を使った方法など、いろいろな形で、水素を大量に生産して輸出するという国家戦略を描いています。

 兵庫県は西オーストラリア州とLNGの供給を通じて、特に姫路が大きな輸入をしてきましたが、その枠組みをさらに発展させていくということで、西オーストラリアからの水素、特にグリーン水素の、再生可能エネルギーを使った水素の供給を受けやすい環境を作っていくということです。

 これは西オーストラリアにとっても、兵庫県にとっても、お互いにWin-Winな関係ですので、カーボンニュートラルに向けた取組を、この州と県が連携していくことの覚書を締結します。

 共同声明と覚書の締結について、姫路港と西オーストラリアのピルバラ港がLNGを含めて深い関係がありますが、ここが港湾連携協定を締結します。姫路港は県が管理しており、こういった県の管理港湾で海外の港との連携協定をすることは、県としては初めてです。ピルバラ港湾局としても初めてだそうで、お互い、それほど水素社会に向けたサプライチェーンの繋がりを作っていくことが大事だと感じていることの表れだと考えています。

 それ以外にも、首相に対する表彰状の授与(兵庫県功労者表彰)も行います。

 また、来年度には、西オーストラリア州を私が訪問することが、おそらく実現するのでは、と考えています。

 

 4番目は「技術系職種採用試験の通年実施」です。

 人材確保については、行政のみならず民間の企業でも今、課題になっているところです。特に技術系の職員は、民間の企業との競争が激化しており、人材、受験者数をどのように確保していくかが大きな課題です。

 令和4年度に、合格発表を早期に行う特別枠の採用試験を実施しましたが、受験者数や競争倍率が、通常の試験を上回る結果となり、かつ、受験者からも、早い段階での試験実施を望む声が多かったことから、技術系職員のさらなる積極的な採用に向けて、試験の早期実施を技術系全職種に拡大します。

 これまで別々の日程で実施していた特別枠・大卒枠・経験者枠の日程を統一することで、「技術系職種採用試験」として通年実施(春・秋の年2回)をします。

 また、民間を志望する人や社会人が受験することもこれから増えてきます。私も公務員試験を受けましたが、統一的な公務員試験ではなく、より民間志望者、社会人も受けやすいような、実践的な専門知識を問う独自の筆記試験に見直します。

 試験日程についても、全体的に前倒ししていくこと、それから、例年秋に実施していた経験者の採用試験のうち技術系職種については春にも行うということで、1年に2回実施していきたいと考えています。

 それから、春日程の早期の受付開始や合格発表を行うことによって、人材を確保しやすくします。

 詳細については、人事課や人事委員会などに確認をお願いします。

 

 5番目は「『MY HYOGO MOVIE 2022』審査結果発表」です。

 兵庫の魅力発信に繋がる動画の募集を、今年度初めて実施しました。

 県内外から160の応募があり、兵庫の魅力を、それぞれの立場、視点で、クリエイトしてもらいました。

 今回の事業を通じて、県内外の多くのクリエイターと接点を持つことができましたし、皆さんの斬新な発想で兵庫の魅力発信に繋ぐことができたことに、改めて感謝を申し上げます。また、TikTok Japanをはじめ、多くの関係者の協力に、改めてお礼を申し上げます。

 今回、審査員として、石井岳龍さん、映像クリエイターの前園耕平さんに、グランプリ、特別賞をそれぞれ選んでもらいました。また、11月15日から1カ月間で一般投票を実施し、オーディエンス賞も決定しましたので、発表します。

 グランプリは「ありのまま、あわじしま。」という作品で、「SilverNextLens」さんという、南あわじ市で映像制作の事業を行っている会社のクリエイターの方々です。ネットやSNSであまり取り上げられない淡路島の魅力を、ドローンなどを活用しながら動画にしてもらいました。石井監督のコメントにもありますが、淡路島が持つ土地の独特な空気と、感触、そして、人々が暮らす息づかいがしっかりと伝わってくる映像でした。改めてグランプリ受賞おめでとうございます。賞金20万円と県政に関する動画の制作受注権が副賞となります。

 県政に関する動画の制作権ということで、例えば、万博のフィールドパビリオンに関する動画を作成してもらうなど、そういったことを一緒にやっていきたいと思っています。

 それから、特別賞・前園さんの「ぞのさんっ賞」は、「秋の神戸夜さんぽ」という作品で、「耳で聞く美術館」さんの受賞が決定しました。人気のない神戸の夜を、33秒の短い映像で表現してもらいました。神戸に住んでいる人であれば、見たことがある場所を、ゆっくりとしたテンポや、テロップを使って非常にインパクトのある映像となっています。おめでとうございます。

 そして、一般からの投票によるオーディエンス賞ですが、「兵庫県の良いとこ巡り」というタイトルで、個人で活動している人ですが、「部下を痩せさせたい。」さんです。これは1万件を超える投票の中で、4000以上の「いいね」を獲得しました。見てもらえると分かるかと思いますが、キャラクターの際立った人が、阪神間を中心に、兵庫を紹介しています。本当におもしろい動画でした。改めて、おめでとうございます。

 それ以外にもすてきな作品が多かったので、知事賞も贈ります。私が選んだのは、「Beautiful HYOGO」という、「TKGとシェアハウスの365日」さんの作品です。これは広い兵庫県の魅力を四季折々に紹介している作品です。本当にわくわくする映像だったので、どの地域も私も訪れてみたいと感じました。兵庫県の特産品を副賞として贈ります。

 受賞作品をさらに多くの人に見てもらうことが大事で、それが、兵庫県の魅力発信にも繋がっていくと考えています。これから三宮センター街の大型スクリーンでの放映や、淡路の観光協会とも連携しながら、首都圏のアンテナショップ、海外の観光キャンペーンでも使用するなど、活用を進めていきたいと思っています。

 さきほど少し触れましたが、「SilverNextLens」さんには県政に関する動画の作成をお願いしたいと思っています。

 やはり映像の持つ力というのは非常に大きいので、今回のような形で、個人、法人を含めた兵庫のクリエイターが、兵庫県と繋がることにより、兵庫県の魅力を国内外に発信していく取組をさらに広げていきたいと思っています。

 いずれにしても、協力いただいた関係者の皆さんに、改めてお礼を申し上げます。

 

 6番目は「男性の家事・育児を促進 家事をみんなでシェアする『とも家事』を始めませんか?」です。

 男性の家事・育児促進のための「家事シェアシート」を作成しました。私もそうですが、子供が小さい家庭における夫の家事・育児の時間は、まだまだ多くないところです。

 1日当たりの夫の家事・育児の時間を120分にするという目標を県が定めていますが、今年度から夫婦で家事についてともに考えるという「とも家事」を兵庫県では提唱しています。

 その際に参考になる素材として、1点目が「1分でできる家事タイプ診断」で、8項目に「YES」「NO」で答えてもらうことで、その人がどのような家事のタイプか、誰かの指示に従ってやるタイプなのか、自分で仕切るタイプなのか、など、いろいろなタイプが分かるものです。

 その上で「家事シェアシート」を夫婦で、自分だけでもいいのですが、どんな家事を手伝っていますか、手伝っていませんか、少し手伝っています、という「○」「×」「△」を付けていくシートを今回、作りましたので、こういったものを活用しながら、夫婦で家事シェアを、家事の分担について話し合う機会を作っていくことが大事だと思っています。

 県のホームページから素材はダウンロードできますので、ぜひそういった形で家事育児への参加について、だんだんと男性もやっていくことが大事だと思っています。

 ちなみに私も「1分診断」をしてみましたが、「仕切った方がすっきり」という診断も出ましたし、「家事シェアシート」も自分でやってみましたが、結構「×」が多くて、まだまだ努力が足りないということもありました。

 料理などはたまにする、食器を洗うなどはたまにするのですが、洗濯などそのあたりはなかなかできていないことがよく分かりましたし、意外に電球を入れ替えたり、そういうことはしていなくて、任せきりだということがよく分かりました。

 こういった、「×」になっているところを、できるだけこれから(「○」を)増やしていくことが、私自身も大事だと思っています。こうして見える化することが非常に大事です。記者の皆さんも、もしよければ、チェックしながら考えてみてもらえればと思っています。

 意外と、やってみれば、皆さんも、意外と自分がやっていない、ということにはっと気づくかと思いますので、よろしくお願いします。

 

 私からは以上です。

 

 

質疑応答

記者:

 災害援護資金貸付金の債権放棄にかかる県の財政支援について。国への返還分の3分の2というのは、先日は、県が立て替えて国に返すやり方は、制度的に難しいという話もあったようですが。

 それが難しいので、今回はその代わりとなる基金から貸し付けることによって、市町の財政負担を減らす工夫をした、という考え方でしょうか。

 

知事:

 (国が原資負担を行った)3分の2を県がすべて負担することについて。今回、県が放棄するのが2億円強、それから市町が4億2000万円ほどで、全体の6億4000万円弱が放棄の見込額です。県がこの6億円すべてを負担し、国に返して市町から返還を求めないやり方も一つあるかとは思うのですが、制度上と言いますか、財政上、4億円を県が負担することはなかなか難しいですし。

 あとは制度の趣旨からすると、市町が債権者との関係を解消することが筋ですので、そういったことを考えると、こういった市町財政等調整基金を使って、一定の資金繰りの支援をすることが一つの方法ではないかと考えています。

 12月22日の市からの要望の中にも、何らかの形の財政支援をして欲しいという要望がありましたので、こういった形で工夫をして、少しでも負担軽減をしたいと考えています。

 

記者:

 今回のこのスキームに関して、市町財政等調整基金は新たに設立したもの、この制度のために作った基金でしょうか。

 

知事:

 これは、元々あるものです。例えば、市町が何かものを作る際や、公共事業でハードを作る際に、なかなか普通の地方債では充たらないものについて、重要なものや特別なものの場合に、県が貸付をする制度が昔からあり、それを少し応用したということです。

 

記者:

 既存の基金を活用して、ということですか。

 

知事:

 そうです。そこに新たなメニューを作ったということです。

 

記者:

 災害援護資金について、債権放棄に係る県の財政支援とありますが、今、まだ未返済分が残っている市については、すべて債権放棄する方向で固まっている、と考えてよいのでしょうか。

 

知事:

 そうです。大きな方向性として、市と借受人の関係では債権放棄をする方向で、最終的に調整していると聞いています。

 ただ、個別の借受人との関係で、もう少し頑張って返したいという思いの人がいる等、いろいろ個別のケースはあるかと思いますが。

 大きな方向性としては、県・市ともに、債権放棄をする方向で、最終的に進んでいく形になると考えています。

 

記者:

 県としても、高齢の被災者にこれ以上負担をかけないという思いも、貸付制度創設の趣旨にあるのですか。

 

知事:

 そうです。借りた人は、当時、様々な事情があって借りたと思います。本来は返済をしてもらうことが前提なのですが、経済的状況等の様々な事情でなかなか返すことができない人もいます。そういった人が高齢化する中で、28年が経ち、一定の債権を放棄する形で、その人たちの精神的・経済的な負担も、このタイミングで区切りをつけたいと考えています。

 それと、行方不明、所在不明になっている人もおり、その人たちの所在を引き続き市が探したり、債権回収の対応をすることも負担が大きくなっています。そういったことも踏まえて、このタイミングで債権放棄をすることを県と市で協調してやっていきたい、と考えました。

 

記者:

 市の回収コストが実際の回収額を上回っているという話もありましたが、それも今回の判断材料の一つになったのですか。

 

知事:

 そうです。回収するためには、所在地に行ったり、所在が不明の場合はいろいろな形で探すこともあります。また、債権管理にも、一定の行政コストがかかりますので、このタイミングで回収の見込みが事実上ないものに対して、(回収を)続けることが、なかなか難しいと思っています。

 

記者:

 災害援護資金の関係で。取材をしたところ、今、未返済になっている9市のうち、西宮市等の5市は、既に県に返済するための金額を当初予算等で計上している自治体もあります。ですから、まだ予算計上していない自治体は4市です。

 今回、財政支援の基金をこのような形で出すことは、感覚としては、すでに予算計上している5市にとっては、それを利用する意味があまりないのではないか、と思います。

 そのあたりの意図と、実際にこの9市のうちどれくらいの市が、この支援を受けるとリアクションしているのか、伺います。

 

知事:

 この9市のうちいくつかの市は、ご指摘のとおり、既に令和4年度の当初予算の段階で、一定額を計上しており、予算化しているところもあります。ポイントは、そういったところも、我々の貸付スキームを活用することはできるということです。

 例えば、西宮市が1億5000万円の返済には、基本的に一般財源を使って返済となりますが、もしその返済を我々の作るスキームを活用する場合には、借入金といいますか、長期貸付金を原資にすることになりますので、おそらく予算を補正するという対応がそれぞれの議会でも出てくると思います。そうすれば、活用してもらえると考えていますので、当初の段階から計上していても、していなくても、活用することは可能です。

 我々は制度創設をしますので、各市に活用するかどうかの意向を確認しながら進めているところです。それぞれの市も様々な内部調整を要するので、個別の自治体名には言及できませんが、いくつかの市は使うと表明していると聞いています。もちろん、判断で使わないケースもありますが、使うところも出てくると思います。

 

記者:

 実際にこの制度を使う自治体もあれば、使わない自治体もあり、そのあたりは各市の判断になるということですか。

 

知事:

 使う自治体は、数千万円の負担が、自治体の財政状況等によっては大きいので、それを、令和4年度の単年度で負担するよりも、一旦借入をして20年で分割して対応していく方が財政的な負担が軽減され、その分、別の事業ができることになります。そういった意味でも借入をしたいという自治体もある、と聞いています。

 

記者:

 新型コロナの関係で、報道で岸田首相が厚生労働大臣と会合し、いわゆる5類への引き下げの検討に入っており、20日にも関係閣僚との協議をして、その5類移行の方針を発表する見込みです。

 従前から知事は5類への移行を言葉にしてきましたが、改めて5類への移行が本格的に加速している中で、知事がどのように受け止めているのか、伺います。

 

知事:

 これから5類への見直しに向けて、特に次の春に向けての見直しがこれから加速していくと報道等でも承知しています。これは、私もそうですが、全国知事会でも2類相当から5類への見直しは、かねてより要望してきたところで、感染防止対策と社会経済活動の両立を実現するためには、コロナ対応を一般の医療の中でしっかりと受け止めることが大事だと思っています。

 今は飲み薬も含め、いろいろなものができており、コロナというものも感染力は高いのですが、弱毒化が進んでいる中で、一定のそういった判断をする時期に来たのではないか、と思っています。

 そういった意味で、国にもこれからしっかりと議論を進めてもらい、是非、国民の皆さん、県民の皆さんに丁寧な議論をオープンに、開示しながら、説明をしてもらい、制度の移行を進めていくことが大事ではないか、と思っています。

 一方で、医療費とワクチンの負担の問題では、高齢者等、負担がなかなか難しく、かつ、リスクの高い人もいます。コロナ医療については、まだまだ先進医療ですので、医療費が極めて高くなるリスクがあり、そういった医療費の負担の問題については、一定の配慮が必要ではないか、と考えています。

 ワクチンについても、基本的にはインフルエンザワクチンと同じように、自費負担が原則になりますが、特に高齢者やリスクの高い人への公費負担をどのようにするのかについて、丁寧に議論してもらいたい、と思います。

 全体的な方向としては、5類に移行する方向はあるべき方向性だ、と思っています。

 

記者:

 今後、医療費の負担について、政府には、負担をいかに軽減していくかを促していきたい、ということですか。

 

知事:

 そうです。特に高齢者や基礎疾患のある人を含めリスクの高い人は、コロナでも重症化であったり、死亡するリスクが比較的あります。そういった人が外来に行き、薬を投与されたり、場合によっては入院をすることが大事ですので、それが高額な負担があることによって躊躇することがないようにしていくことが大事だと思っています。

 

記者:

 災害援護資金について。今回の関係する9市ですが、県の把握では、9市いずれも債権放棄をする方向で最終調整している、ということですか。

 

知事:

 現在、各市が借受人や議会との調整を進めながら、基本的には、債権放棄の方向で検討、最終調整していると聞いています。

 

記者:

 インフルエンザですが、先ほどの知事の説明のように、(速報値(報告数)が)前週が8人でその前週が4人でしたので、非常に感染が広がっているところで、来週にも10人を超える可能性がありますが、注意報が発令される見込み等、どのような考えですか。

 

知事:

 コロナについては、少し減少傾向になってきています。これも引き続き注視をしなければならない、と思っています。

 一方で、季節性インフルエンザは、例年1月が流行期になります。ご指摘のとおり、最新の定点観測で8.21人ということで、少し前(2週前)が1人を少し超えたところから急激に1人が8人になっていますので、流行が拡大しつつあると思います。

 これが10人を超えると注意報レベル、それから30人を超えると、警報レベルになるのですが、恐らく、この8人が10人を間もなく超えると思いますので、そうなると注意報レベルになりますので、インフルエンザ流行の拡大が続いていることになります。

 引き続き、特に高齢者を含めたインフルエンザによる重症化リスクの高い人は、より注意することが大事ですし、未接種の人はワクチン接種も早めに検討してもらうことが大事だ、と思っています。

 

記者:

 インフルエンザの感染拡大の要因はどこにあると考えていますか。例えば、学校で新学期が再開したり、注意すべきところがあるかと思うのですが、そのあたりを知事はどのように考えていますか。

 

知事:

 特に空気が乾燥している時期、それから寒さが強い時期はインフルエンザが流行しやすいのです。ここ数日はとても寒さが強くなりましたので、それも原因の一つではないかと思っています。

 小学校等で学級閉鎖がとても出てきていますので、学校現場での感染も広がっているところです。そうすると子どもから、両親など保護者にも感染することが続いており、感染が少し広がってきているのではないかと思っています。

 我々の職場レベルでは、まだインフルエンザになった人は、私の思う限り、周りにはそんなに見受けられない状況ですので、社会人の間では、まだそこまでは広がっていないのかも知れないのですが、おそらく学校現場等の感染が広がりやすい環境では、広がってきているのではないか、と思っています。

 

記者:

 コロナに関しては、やや減少が見られますが、直前まで死亡者が非常に多かったかと思います。その点について、知事はどのような受け止めですか。

 

知事:

 亡くなる人がいるのは大変残念な状況だと思います。全体の死亡率については、デルタ株よりもオミクロン株は低い状況ですが、感染力が強いので、感染者数が多くなると、亡くなる人も増えてきます。大半が60才以上で、特に90歳台の超高齢者が亡くなるケースが多いようです。

 体力を消耗していたり、持病があることが高齢者は多いので、容態が急変し、高齢者施設等で亡くなる人が出ていると思います。ここの対応としては、引き続き、介護施設などのスタッフの検査を増やしていくことで、これは既にやっていますが、外から持ち込ませないことと。介護施設と医療機関の連携をより密に、しっかりとすることで、できるだけ亡くなる人のケースを減らしていきたい、と考えています。

 

記者:

 災害援護資金の貸付金の免除のあり方について。東日本大震災の被災地では据え置き期間が13年ですので、来年から償還期限が始まります。

 阪神・淡路大震災の被災地では、足かけ5回延長されており、政府の返還期間が10年ですから解決までそのあと18年間かかった、かつ、ここ数年間は免除のあり方について地元の自治体と国との間で、何度もやりとりをしながら、その免除の枠組み・基準を決めてきたという経緯があります。

 東日本大震災の被災地ついては、大半が阪神・淡路大震災が特例ということになっていますので、これから免除の枠組みを考えていかなければなりません。

 この制度について、被災者支援側からすると生活再建にとてもためになる制度だという意見もありますが、最後に自治体の負担になるということも含めて、免除のあり方などについては、阪神・淡路大震災の被災地の知事として、どのように考えますか。

 

知事:

 阪神・淡路大震災の当時は被災者に対する生活再建の支援制度がありませんでした。今は最大300万円の支援制度がありますが、当時はなかったので、この災害援護資金を世帯当たり最大350万円を貸付することで、当座の生活再建の家財道具や、家を借りたりなどに充てました。

 これは一定のスキームの中で、制度としては債権・債務という形態ですので、基本的には借りた場合には返してもらうと。それが原則10年だったのですが、延長してきたという形になっています。ベースはそういった貸付・借入制度ですから、本来であれば返してもらうことが原則だ、と思います。

 しかし、先ほど別の質問にも答えましたが、28年と長期化していく中で、高齢化しているケース、それから、自治体にとってもコストをかけても回収の見込みがないケースが続いていますから、今の段階では一定の債権放棄をすると判断しました。

 スキーム上は、県が3分の1、そして国が3分の2という配分で、その国の分について市町の負担、自治体の負担になりますが、これについても国の方も神戸市の場合も含めて、免除のスキームや、法改正も含めて、これは今の防災担当大臣の谷大臣が議員の立場からかなり尽力されたということがあります。かなり国もいろいろな形で特例を認めていますので、そこについては、感謝したいと思っています。

 その上でも今、残りの部分についての6億3700万円は、このタイミングで一定の債権放棄をして、区切りとすることが被災自治体として対応すべきことだ、と考えています。ここの負担は一定やむを得ないということと、県民の皆さんにも理解をしてもらうことが大事だ、と思います。

 

記者:

 率直に、据え置き期間が終わってからの18年間は、免除に至るまでの期間として長かったと感じますか。それとも、これぐらいが妥当だと考えますか。

 

知事:

 借りた人の中にも、今回もそうですが、少しずつでも返したいという思いを持っている人もいます。そういった意味では、10年を過ぎたあとの特例期間でも、少しずつ返済をしている人もいますから、少しずつ期間を延長する中で、借りたものを返すという思いを持っている人の意を汲むことができたと思っています。

 ただ、この28年というタイミングで、先ほど述べた理由で、そろそろ区切りをつけるべきだ、と考えています。

 

記者:

 本日午前の、ウクライナ支援の意見交換で。後日、検討会を立ち上げて具体的な支援を挙げていくことになるかと思いますが、知事は今の段階で、具体的にどのような支援をしていくのか、考えを伺います。

 

知事:

 午前中に神戸学院大学の岡部先生、ウクライナからの避難者でもあるナディヤ客員教授と意見交換をしました。阪神・淡路大震災から28年、先日、「1.17のつどい」がありましたが、阪神・淡路大震災の経験と教訓、それから創造的復興で、よりよい社会を作っていくこの兵庫発の考え方、理念を是非、災害対応だけではなく、ウクライナの戦災からの復興にも伝えたい、というのが私のかねてからの思いです。

 阪神・淡路大震災の経験と教訓を繋いで、活かしていくことにも繋がると考えています。それをウクライナに伝えていくことをしたいのですが、今日の面談でもいろいろな議論が出ました。

 例えば、こころのケア。これは戦災が収まった地域であっても、一時、戦火が激しかったし、今でも空襲のリスクがあることで、子どもたちを含めて、メンタルのトラウマがあるケース。

 それから、戦地に行って帰ってきた帰還兵も、そういったこころのケアをしなければならないケースもありますので、これは災害時のこころのケアと同じようなケースもあると思います。

 兵庫県には、こころのケアセンターという拠点もありますので、そこでメンタルケアをするノウハウを、災害時の対応を踏まえて伝えていくこともしたい、と思っています。

 あとは、戦火で街並みが壊れてしまった場合に、まずは、仮設の暮らしをどうしよう。それから、まちづくりをどうしよう。その際の合意形成をどのようにするのか。その先の、よりよい社会を作っていく、まちづくりをするには、コミュニティをどのように再生していくのかは、やはり大きな面的な被害を受けた、災害、震災と同じケースです。これは阪神・淡路大震災であれば、長田地域等、いろいろな地域で同じような経験をしていますので、そこの経験を伝えていくことが大事です。

 それから、岡部先生からも話がありましたが、うまくいったケースだけではなく、うまくいかなかった、これが課題だというケースもあります。長田地域では、復興のハード整備が大き過ぎて、その後の個々の事業者の負担にすごく繋がった等、いろいろな指摘もこの間、私も(視察に)行って言われました。

 そういった教訓とすべき点も是非伝えるべきだというのが、今日の岡部先生からのサジェスチョンでもありましたので、そのあたりをしっかりと整理したいと思います。

 そして、フェニックス計画という計画が阪神・淡路大震災の際に作られていますが、それはプロセスと段階に応じた復興の形を体系的にまとめていますので、そういったものを例えば、ウクライナ語に翻訳して、分かりやすく伝えていくことも含めて、やりたいと思っています。

 それをどのようなプロセスでやっていくのか、ウクライナのどの地域か。自治体間交流がよいという話も出ましたので、ウクライナのどの地域に兵庫県が、そういったことを伝えていくのかを含めて、検討会に岡部さんにも入ってもらい、議論をしていきたいと思っています。

 

記者:

 (昨日、知事は)不妊治療の外来を視察し、一部報道で、不妊治療に対する新しい県制度の所得制限を撤廃する方針を示しましたが、このあたりを詳しく聞かせてください。

 

知事:

 不妊治療については、私も当事者として、しました。特に新潟県の佐渡にいた際に、結婚した後、子どもがなかなかできなかったので、不妊治療のクリニックに行きました。

 その際に私自身が、いわゆる精液検査をして、運動率と量が平均よりも少なかったので、そこから亜鉛を飲むなどいろいろな取組をしました。要するに、男性が不妊の要因になることも改めて、実体験とし知りました。

 早い段階から女性だけではなく、男性もいろいろな検査を受けることが、妊娠、出産を望む世帯にとっても大事なことを実体験として感じました。

 不妊治療のペア検査の助成事業は県が令和3年度からしていますが、実績がすごく低いのです。500万円ほどの予算に対して30万円ぐらいしか執行していないので、これはなぜなのか、紐解いていくと、やはり400万円の所得制限があることによって、昨日も意見交換で医師から言われましたが、なかなかそういった制度があることを伝えられない、とのことでした。

 より幅広い人にこのペア検査、特に男性不妊、男性の精液検査も受けてもらうことが大事だと思います。そのきっかけづくりとしても、今回、所得制限を撤廃して、より多くの人がペアで不妊の検査を受けやすい環境づくりをしていくことが大切です。

 女性の場合も、AMH、卵子の状況を把握する検査は35歳で状況が変わってきます。早い段階から検査を受けることが大事です。そこは実は自費診療になっています。男性の精液検査は保険適用がありますが、一方で併せてすべき感染症の梅毒、そういった検査については自費になっています。

 子どもをつくりたいという思いを持っている家庭にとっては、早めの検査をすることが大事です。令和5年度の予算から制度を変えていきます。

 

記者:

 今までその経費(予算)としては、500万円程度ということですが、どれぐらいの予算で考えていますか。

 

知事:

 予算の額は、今までどおりの額を据え置きたいと思っています。

 ただ、所得制限を緩和することと、1カ月の夫婦間の受診期間を、仕事をしているケースもあるので、3カ月に延ばすことを併せて、より予算を活用していく状況にしていきます。

 ペア検査を受ける人が増えて、予算がもっと必要になるのであれば、そこはしっかりと増やします。そういった形で進めていきます。

 

記者:

 所得制限撤廃を受けて、補助を受けられる形になるものは、事実婚でも可能ですか。

 

知事:

 また確認して回答します。

 (注:会見後に、事実婚も対象となることを回答しました。)

 

記者:

 災害援護資金について。今の制度と違って、当時は、災害援護資金の保証人も必須でした。東日本大震災では、年1.5%の利率でした。年3%と、もともと所得の低い世帯の生活再建のための制度と考えると、やはり今の仕組みとは違い、非常に厳しかったかと思います。

 そのあたり、被災自治体の知事として、何か思うところはありますか。

 

知事:

 阪神・淡路大震災が起こった当時は、自助にすごく重きを置いていました。それが政府の方針でした。「後藤田ドクトリン」という言葉もあったとおり、まずは、自分の力でしっかりとしなさい。だから、県などの自治体も、基本的には借金をして、それで自分で復旧や復興をしていくことがベースでした。

 それ以外にも、やはり地場産業を含めた事業者もいろいろな借入を自分でして、設備投資をやり直さなければならない。その方向で、それと同じような形で、個人についても借入を自分でして、自分で生活再建をして、返済していく流れの自助がベースとなっていた、政策方針だったと思います。当時は国民的にも納得する話になっていたので、一定の理解はあったと思います。

 東日本大震災からかなり変わり、公助がすごく広がって、自治体の復旧・復興に関する財政負担も事実上ゼロです。産業の復興も、個別の事業者や、生活再建にも公費を投入して、事業所や家の再建、個人の生活再建をしていくことが主流になってきました。

 当時と今の状況を比べて、阪神・淡路大震災の当時の制度は厳しかった、と思います。それが我々、兵庫県もいまだに2000億円を超える借金もあるところです。その差にはいろいろな指摘や意見があることだと思います。

 一方で、それは制度として、当時の社会の合意形成の中でしたものですので、一定のやむを得ない面もあったのかと思っています。いずれにしても、自己借入で、すべて再建をしていく制度が当時、主だったので、そこは、今から考えると、すごく厳しい制度ではあったと思います。

 

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