更新日:2024年5月7日

ここから本文です。

令和6年5月阪神南県民センター長メッセージ

白砂青松の地、尼崎・・と聞くと驚く人も多いと思います。阪神工業地帯の中核として日本の高度成長をけん引してきた尼崎は、かつて、摂津の松島と詠われ、美しい海岸線が広がる景勝地でした。

明治後期以降の工場立地、大正期以降の重工業化、昭和の高度成長を経て、100年かけて自然が失われた尼崎臨海部。今、ここで、100年かけて森をつくるプロジェクトが進んでいます。「尼崎21世紀の森構想」です。

構想ができたのが平成14年(2002)。前期50年でほぼ完成に近づけ、後期50年で持続的に発展させながら成熟させるという、気が遠くなるような計画です。真面目に足し算すると『森開き』は令和84年(2102)。私も多分生きていません。思わずサグラダファミリアを想起します。

冗談はさておき、「長期スケジュール」のポイントは完成が見通せないということではなく、未来に渡って森づくりを継続していくという意思表示なのだと思います。行政だけではなく、あらゆる関係者が、主体的に「環境改善」と「都市再生」に参画するためのプロジェクトなのです。

対象エリアは国道43号線以南1,000ヘクタールの臨海部と広大。森構想の策定以来22年、拠点地区である尼崎の森中央緑地では、森づくり(育苗・植樹等)やイベント開催が活発に行われ、隣接地では、尼崎運河周辺の水質浄化活動、エリア内企業での隙間緑化やハチミツづくり(尼みつ)など、地元の産学官はもちろん、市民やNPO、環境団体など様々な個人・法人が多彩な活動に息長く取り組んでいます。

拠点地区「尼崎の森中央緑地」の今

先日、森構想のご本尊とも言える「尼崎の森中央緑地」を見学しましたので、その際の情景や感動の一端をお伝えしたいと思います。

緑地内の最北部には、国際公認の50mプール(冬季はアイススケートリンクで、坂本花織さんや三原舞依さんの練習拠点の一つ)やウォーターパーク、フットサルコートを有する「尼崎スポーツの森」があります。

その南側に隣接するのが、平成18年(2006)に初めて植樹が行われた「はじまりの森」。育苗・植樹したコナラ、アベマキなどが成長しています。植樹後大きく育った樹木の一部をあえて皆伐し更なる再生を促すといった取組が進んでいました。

本来、里山はこのようにして持続的に活用されていたので、リアルな里山再現への挑戦であり実験であるとのこと。「せっかく大きく育ったのに伐ってしまうの?」と少しもったいない気もしましたが、なるほど里山とはそういうものだったのかと勉強になり納得感もありました。かやぶき民家

南側に歩みを進めると、大芝生広場に隣接して、森づくり活動エリアが広がります。多くの企業・団体の皆さんが育苗・植樹に取り組んでいます。県指定文化財の茅葺き民家(芦屋市三条町の旧小阪家住宅を移築復原)もあり、今後、クヌギの薪炭林を整備して、茅葺き民家を使った里山体験や昔遊びの他、薪炭の活用なども検討していく予定です。

その南東エリアでは、高木に育ちつつあるエノキ林やコナラ林の中で森林浴が楽しめます。木々が遮光しヒンヤリとした空気が心地良い森の中には、ビオトープもあり、野鳥やカエルなどの両生類、様々な昆虫が目と耳を楽しませてくれます。尼崎の臨海部でこうした経験ができるのは本当に驚きです。キツネの目撃情報もあるそうですが、一体どこから入ってきたのでしょう(笑)

最南端の10.2ヘクタールは残念ながら立入禁止。これから何十年とかけて整備していくエリアですが、実はこのエリアこそ森構想の肝と言えるかもしれません。

現在活用している北側は、環境学習や里山活動などで人が交わる森。これから整備着手する南側は、かつての自然生態系の再現。「太古の森」をはじめ、小動物、野鳥、昆虫等のサンクチュアリーを目指しています。

完成すれば尼崎市南部で最高峰となる標高13メートルの丘もでき、大阪湾が一望できるそうです。何とか長生きして見届けたいものです。それにしても、標高13メートルで市南部最高峰というのはさすが海抜ゼロメートル地帯が三分の一を占める尼崎だという別の感慨も浮かびました。

尼崎21世紀の森は皆で作り育てる森です。誰でも参加できます。様々なかかわり方があり、イベント・行事への参加、育樹・植樹活動、環境学習などなど。以下に参考情報を列挙しますので、22世紀に向けて、今世紀、尼崎臨海部の森づくりに参加してみませんか?

[はじまりの森]

はじまりの森(植栽前)(植栽前) はじまりの森(現状)(現状)

尼森をもっと知ろう

尼崎21世紀の森構想エリアでは、小学生をはじめ市民団体や企業など、多くの方々が苗木の育苗や植栽に参画され、10万本以上の新たな木々が育っています。また、本エリアにおいて、環境学習や森に親しむ様々なイベントが開催され、数多くの方々が参加されています。

その中でも、特に尼崎の森中央緑地においては、昨年度だけでも183回ものイベントがおこなわれ、約4万人の方々が参加されています。

この中央緑地は、昨年10月、環境省から「自然共生サイト」に認定されるなど、対外的な知名度・評価も高まっています。

ここまでの成功の要因の一つに、100年かけて喪失した自然を100年かけて再生するという基本コンセプトの訴求力が高かったことが考えられます。森構想そのものや拠点地区について知れば知るほど、尼森への関心が高まると思います。イベント参加も是非ご検討ください。

尼崎21世紀の森づくり行動計画(兵庫県HP)(PDF:4,405KB)

※園内マップやイベント情報も満載

尼森に参画しよう

尼崎21世紀の森づくりは、様々な企業・事業者が主体的な活動を展開しているのが特徴の一つです。これまでの企業による特徴的な取組事例や参画方法、問い合わせ先などを詳細に紹介するガイドブックがありますので、是非ご覧ください。

尼崎21世紀の森づくりSDGs推進ガイドブック(尼崎21世紀の森づくり協議会HP)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/hsk07/21mori/documents/sdgsguidbook20240312.pdf

 

過去のセンター長メッセージ

お問い合わせ

部署名:阪神南県民センター 県民躍動室

電話:06-6481-7641

FAX:06-6481-8148

Eメール:hanshinm_kem@pref.hyogo.lg.jp