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更新日:2003年9月26日

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第276回兵庫県県議会 知事提案説明(平成15年9月26日)

本日、第276回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に感謝します。
提出議案の説明に先立ち、若干のご報告をします。


プロ野球・阪神タイガースの今年の快進撃が、18年ぶりのリーグ優勝として実を結んだことは、関西にとっても、地元兵庫にとっても大変喜ばしいことです。
今回の優勝は、阪神・淡路大震災からの創造的復興が進む被災地に大きな希望と勇気を与え、まもなく震災から10年を迎える復興にも大いにはずみがつくものと考えます。すでに各地域では、商店街等を中心に様々な祝勝イベントが行われていますが、関係者と協力して優勝パレード等記念イベントを実施し、地域を元気づけ、被災地の復興を全国に発信したいと考えています。

次に、震災復興の推進です

阪神・淡路大震災のような大規模災害からの復旧・復興においては、被災者の生活再建支援とあわせ、生活の基盤である住まいの確保が不可欠です。このため、本県では、住宅所有者間の相互扶助による支援と公費による支援を組み合わせた住宅再建支援制度の創設に取り組んできました。
こうしたなか、被災者生活再建支援法施行5年目の見直しに合わせ、公的制度の創設に向けた機運が高まっています。この7月の全国知事会議で、住宅再建支援制度の創設について緊急決議が行われました。また、内閣府の来年度の概算要求に同制度の創設が盛り込まれるなど、具体的な動きが本格化してきました。
東海、東南海、南海地震の発生も危惧されるなか、大震災を経験した本県として、まず、公費による住宅再建支援制度が国民の十分な理解を得て創設されることを強く期待します。
一方、住宅再建には多額の費用を要することから、公助としての住宅再建支援制度と共助としての住宅再建共済制度、地震保険等による自助の三者が適切に組み合わされることが重要です。このため、住宅再建共済制度に関する仕組みについても、引き続き、本県として創設に向けた検討を進めます。
震災から10周年にあたる平成17年1月を中心に復興10年事業に取り組むため、8月末、学識者、被災住民、各種団体等で構成する「復興10年委員会」を設置しました。復興の取り組みを総括的に検証し、その結果や教訓を次世代への提言として広く国内外に発信する「復興10年総括検証・提言事業」と国内外からの温かい支援に感謝し、被災地の復興の姿をアピールする「震災10周年記念事業」を推進します。
また、震災10周年に向け、本県での開催をめざしてきた「国連防災世界会議」について、国においても正式に誘致が進められることになりました。地元としても、国連総会での会議開催に関する審議が始まる10月にあわせて、推進協力委員会を設置し、本格的な準備活動を展開していきます。
この8月初めには、神戸東部新都心に兵庫県災害医療センターがオープンしました。
震災の経験と教訓を踏まえ、大規模災害時等における医療救護の拠点をめざし、後方支援病院としての神戸赤十字病院と一体的に整備を進めてきました。
平時には救命救急医療の提供をはじめ、救急医療情報の収集・提供や医薬品等の備蓄、災害医療に関する研修等を実施する一方、災害時には、災害医療の司令塔としての機能を発揮するとともに、病床数を30床から100床に増床して、被災地からの重症患者等の受け入れや救護班の派遣なども行います。そして、移転新築した兵庫県赤十字血液センターとともに、一元的な災害支援機能の発揮を期します。
なお、7月末に発生した宮城県北部を震源とする地震被災地への支援として、人と防災未来センター専任研究員や建築、教育関係職員を派遣するとともに、宮城県に対して見舞金を贈呈しました。
その三は、「のじぎく兵庫国体」と「全国障害者スポーツ大会」です。
この7月に、平成18年の第61回国民体育大会の本県開催が正式決定されました。
簡素な中にも質の高い国体として、夏季・秋季大会を一本化するなど、震災復興10年を経た最初の年の開催にふさわしいものとなるよう、「“ありがとう”心から・ひょうごから」のスローガンのもと、震災復興への感謝を表す国体、県民総参加の国体、新しい国体をめざして準備を進めていきます。
また、第6回全国障害者スポーツ大会は、のじぎく兵庫国体に続き、10月中旬の3日間開催されます。全国的な障害者スポーツの祭典として、共に生きる社会を実感できる心のこもった温かな大会となるよう、国体とともに開催準備を進めます。
その四は、住民基本台帳ネットワークシステムと市町合併です。
8月から、住民基本台帳ネットワークシステムの第二次サービスがスタートしました。このシステムは、社会の情報化が急速に進展するなか、これに備え、あらかじめ情報の利用に関する基本的な枠組みを構築し、一定のルールのもとで活用していくための基盤となる情報インフラです。今回のサービス拡大により、住民基本台帳カードの交付、住民票の写しの広域交付、転入転出手続きの簡素化等が可能となって、電子自治体の本格稼働のベースが整いました。すでに十全の個人情報保護対策を行っており、外部ネットワークからの不正侵入や情報の漏洩等を防止していますが、今後とも適切に管理しながら利活用を進めます。
市町合併については、現在、県内12地域で法定合併協議会が設置され、新市町の建設計画の策定や各種事務事業の調整等に関する協議が進められています。県としては、こうした計画づくりへの助言をはじめ、合併推進債を活用した県単独の道路整備や自治振興助成事業による合併準備への支援などを通じ、地域の自主的な取り組みを引き続き積極的に支援していきます。
その五は、国際交流です。
さる7月末から8月上旬にかけて、米国ワシントン州との姉妹提携40周年を記念し、友好訪問団とともに同州を訪れ、ロック知事との間で両県州の交流のさらなる充実に向けた共同声明に調印しました。また、両県州民の交流会やピッコロ劇団シアトル公演等の記念事業を実施し、県民交流団をはじめとする人と人との友情の強さを確認しました。今後とも経済、文化、観光、教育など同州との各種の交流活動を推進します。
さらに、訪問期間中には、シンシナティ、ボルチモア、シアトルの三カ所で経済セミナー等を開催し、本県の投資環境をPRしました。
また、カーネギーメロン大学と、情報セキュリティ高等教育機関の整備構想推進に関する覚書を締結し、カーネギーメロン日本兵庫校の開設をめざすことを確認するなど、大変意義深い訪問となりました。
一方、この7月末には、ブラジルへの戦後移住再開50周年を記念し、サンパウロ州で式典等が行われました。あわせて、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの各県人会等との交流会を開催し、高齢者表彰やひょうご友好親善大使の任命を行っています。
なお、8月7日には、日中国交正常化をはじめ、兵庫県と広東省の友好提携等に多大な貢献をされた黄世明・中日友好協会副会長がご逝去されました。謹んでご冥福をお祈りします。
次に、当面する行政課題への対応です。
当面する行政課題に機動的・弾力的に対応するため、予備費も活用しながら、既定予算のなかで緊急的な対策を講じることとしました。
はじめに、緊急経済・雇用対策です。
本県経済は、輸出の好調や設備投資の持ち直しなど、このところ上向きの兆しが見られますが、個人消費が相変わらず弱めであるほか、中小企業等の業況判断は依然として厳しく、若年層を中心とした厳しい雇用情勢等ともあいまって、なお予断を許さない状況にあります。
「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」の具体化と拡充を図りながら、経済・雇用の安定と発展に向けた取り組みを進めてきましたが、現下の課題に切れ目なく迅速に対応し、経済回復の自律的な動きをより確実なものとするため、緊急対策を実施することとしました。
まず、冷夏や消費低迷により特に観光客が減少している但馬・淡路地域を中心に、ひょうごツーリズムバスや走る県民教室の実施台数を追加するとともに、観光関連団体や商工団体等が実施する集客事業への支援を拡充します。また、宿泊施設等のバリアフリー化や外国語案内等の国際化を支援する貸付制度を創設します。
一方、商店街・小売市場の活性化対策として、昨年度実施した実態調査結果を踏まえ、新たに共同店舗化への支援や先進的商業者の派遣事業を実施するとともに、商店街が地域と一体となって取り組む集客イベントへの支援や大型空き店舗への出店支援を拡充します。また、取引先の倒産や冷夏等の影響により厳しい状況にある地場産業の販路開拓を支援するほか、兵庫県版COEプログラムの研究助成を拡充します。
さらに、現在、中小企業支援ネットひょうごが成長の期待される中小企業を支援し、兵庫県中小企業再生支援協議会が経営再建等に取り組む中小企業を支援していますが、その取り組みには金融支援が不可欠ですので、これらに対する貸付制度を創設します。
雇用対策では、若年者の就職難、不安定な就労の増大等に対処するため、キャリアマネージャーが個人の適性に応じた職業選択への支援等を行う「若者しごと倶楽部」を開設します。また、厳しさを増す高校生の就職環境を踏まえ、緊急の個別カウンセリングや就職面接相談会を追加実施するほか、個別企業に対する高卒者の求人枠の拡大を要請していきます。
さらに、中高年層の自立就業を支援するため、離職者起業支援資金や被災地事業再開・新規開業貸付、独立開業貸付の要件緩和を行うこととしました。
また、雇用環境の悪化が懸念される障害者の円滑な就職を促進するため、緊急就職面接会や個別相談会を開催するほか、緊急雇用創出事業を追加実施し、セーフティネットの充実を図ります。

第二は、環境対策です

この8月、「自動車NOx・PM法」に基づき、自動車NOx・PM総量削減計画を策定し、自動車から排出される窒素酸化物や粒子状物質による大気の汚染が著しい阪神・播磨の11市2町において、平成22年度における大気環境基準の達成を目指すことになりました。これらの地域では、法に基づき、排出基準に適合しない車の使用規制が行われますが、環境基準の達成をより確かなものとする必要があります。
このため、県環境審議会において、排出基準に適合しない車の運行自体の規制について多面的なご審議をいただきました。
法による対策地域のうち、特に環境基準の達成が困難であると懸念される尼崎市から神戸市東部までの阪神東南部の地域を対象として、環境への負荷が大きい総重量8トン以上の車、定員30人以上のバスについて運行規制を行うこととします。
対策の実施にあたっては、規制開始の時期を条例制定の1年後とするとともに、現在使用中の車への規制適用について、車種及び初年度登録日ごとに猶予期間を定め、規制内容の十分な周知と円滑な推進を図ります。
また、規制の効果を検証し、平成20年度を目途として、規制対象地域及び車種等を必要に応じて見直すこととします。
あわせて、運行規制対象車種の早期代替を促進するため、中小企業金融公庫等の融資への利子補給制度の創設や自動車取得税の軽減措置の拡充、最新規制適合車等への代替を促進する融資と利子補給制度の創設、担保提供能力等の乏しい中小企業者等を対象とする割賦による設備貸与制度を設けます。
さらに、使用期限から2年以上の早期代替を促進する助成制度を創設するほか、ディーゼル微粒子除去装置の装着補助について県単独での助成を実施します。
阪神高速道路5号湾岸線においては、さらに実効性のある環境ロードプライシングの実施に向けた社会実験を本年度に実施するため、国、公団等関係機関と協議を進めるなど、環境基準の早期達成に向けた総合的な取り組みを進めます。
このほか、屋上緑化促進補助の要件を緩和して、民間施設における取り組みを促進することとしました。

第三は、SARSに関する医療体制の充実・強化です

新型肺炎、SARSについては、本年4月以来、対応マニュアルの作成や外来医療機関の確保等の体制整備に取り組んできましたが、この冬の再流行を予測する専門家の意見もあることから、県民の安全と安心の確保を図るため、院内感染防止対策等を充実・強化することとしました。
外来診療医療機関における院内感染防止用装備や車椅子型アイソレーター整備等への助成を行います。また、第二種感染症指定医療機関における入院用簡易陰圧テントの整備を進めるとともに、患者移送用アイソレーターを追加配備し、県内の患者移送体制を強化するほか、県立健康環境科学研究センターにおける検査体制を強化します。

最後に、県財政の運営、行財政構造改革と地方分権の推進です

平成14年度の一般会計決算額は、実質収支で10億円余の黒字を確保しましたが、実質単年度収支は昨年度に続き赤字となりました。また、今年度に入り、普通交付税は当初見込みを上回る額を確保したものの、県税の7月末調定額は前年同期比で97.7%に止まっており、年間の県税収入額について、当初予算額を確保することは厳しい状況にあると見込まれます。このため、今後とも、最大限の税収確保を図るとともに、事務経費の節約強化等に取り組むなかで、健全財政の確保を基本に、適切かつ弾力的な財政運営を行います。
総点検を進めている行財政構造改革については、県議会に設置された「行財政構造改革調査特別委員会」におけるご意見やパブリックコメント結果を踏まえ、推進方策の進捗状況と今後の課題、さらなる改革の視点について取りまとめました。県議会のご意見も伺いながら、今回の点検により抽出された諸課題に対応するための具体的な取り組みについて検討を進めます。
三位一体改革については、すでに、4兆円規模の具体的な数値目標を掲げた国庫補助負担金の廃止・縮減とこれに伴う基幹税の税源移譲の実施、地方交付税の見直しという基本的枠組みが示されていますが、その具体化は、国の平成16年度予算編成に委ねられています。
地方税財源の充実強化に向け、なお一層積極的に働きかけていく必要があります。
このため、7月の全国知事会議において、「地方税財政基盤の確立に関する緊急決議」を行い、現在、今後廃止すべき国庫補助負担金を具体的に政府等に提案できるよう取りまとめを進めています。
本県独自の検討においても、9割以上の国庫補助負担金は廃止し、それに見合う税源移譲を行うことが適当であると考えており、国の予算編成等における三位一体改革の具体化を進めるため、全国知事会等と連携しながら、引き続き国に対して積極的に働きかけます。
なお、職員の給与改定については、人事委員会からの報告及び勧告を受け、その趣旨を尊重することを基本とし、厳しい社会経済情勢と財政状況等を勘案しつつ、十分に検討し適切に対処していきたいと考えます。
また、退職手当について、国家公務員の退職手当の5.5%の引き下げ措置が講じられたこと等を考慮して、まず、特別職について当面10%引き下げることとしました。一般職については、引き続き協議のうえ対処していきますので、よろしくご理解ください。

これより、提出議案の概要についてご説明します

決算案件は、平成14年度の公営企業会計決算について、地方公営企業法の定めるところにより認定を求めるものです。
条例案件は、先に説明しましたディーゼル自動車等の運行規制に伴う環境の保全と創造に関する条例の一部改正等7件です。
事件決議案件は、県立陶芸館(仮称)建築工事請負契約の締結等83件です。
専決処分承認案件は、アイガー号重油流出事故に係る訴えの提起内容を変更したことについて承認を求めるものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

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