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更新日:2010年2月17日

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第304回兵庫県議会 知事提案説明(平成22年2月17日)

第304回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝をお喜びし、日頃のご精励に敬意を表します。
(震災15年)
阪神・淡路大震災から15年が経過し、この1月17日は、皇太子同妃両殿下のご臨席のもと、ご遺族や新成人代表をはじめ各界からご出席いただき、追悼式典を行いました。皇太子殿下からは、心を一つにした復興への懸命の努力に深い感銘を覚えるとのお言葉をいただきました。昨年11月、天皇陛下御在位20年に際し陛下からいただいた労いのお言葉とともに、これまでの歩みを想い、感慨を新たにしました。
しかし、震災を直接経験していない住民も増えています。また、15年という時間は記憶や体験を風化させます。ハイチ地震など国内外で自然災害も多発しています。ひょうご安全の日にともに誓った、「もっと伝えよう」「もっと備えよう」の決意のもと、私たちの経験と教訓を世代、地域を越えて伝えていかなければなりません。
高齢者の見守り、まちのにぎわいづくりなど残された課題もあります。引き続き、創造的復興を成し遂げてきた兵庫の力を礎に、成熟社会を先導する地域づくりを進めていかなければならない、改めて決意しました。

変化の兆し

今、変化の時代と言われています。変化の兆しをしっかりと捉え、進むべき社会の道筋を見定めていかなければなりません。変化の兆しは明確になりつつあります。それだけに、この変化への適応力が問われているのではないでしょうか。
一つは、地球規模の構造変化です。
冷戦後の米国を中心とする一極集中構造が、新しいテロとの戦いや、人、モノ、情報の地球化に伴い、多元多様化しつつあります。そして、ようやく危機を脱しつつある世界経済を牽引しているのは、中国やインドをはじめとする新興国の目覚ましい成長であり、アジアの影響力が増大しています。
世界との交流により発展してきた兵庫は、経済や環境、防災などさまざまな分野でアジア各地との関係をさらに深め、その活力と強力な繋がりをつくらなければなりません。
二つは、環境の変化です。
地球の気候変動が、自然災害の甚大化をもたらし、農作物や伝染病にも影響を及ぼすなど、人々の生活に大きな脅威となることが懸念されます。また、人の営みによる身近な自然の減少が、地域の生態系を乱し、生物多様性を脅かそうとしています。
地球温暖化に対しては、世界の国や地域が互いに協力して取り組むと同時に、一人ひとりが自然との関わりを見直し、環境優先の考え方を日頃の生活に取り入れていくことが不可欠です。人も地球市民の一人なのです。
三つは、社会の変化です。
少子化と高齢化が進むなか、本県の人口は近いうちに減少局面に転じます。人口減少社会をただ憂えるのではなく、総人口が減少しても、一人ひとりが活気に満ちた、元気で豊かな社会をつくる必要があります。少子高齢化対策はもとより、地域や社会のあり方が見直されるなかで、交流の拡大、女性や高齢者の活躍が期待されます。
四つは、地域の変化です。
少子高齢化と相まって人口の偏在が進行し、地域活力に格差が生じています。都市と農村の格差だけでなく、都市の中、農山漁村の中でも、地域の元気に違いが見られます。それぞれの実情に応じた格差対策が必要です。
また、東京一極集中の脆弱性が明らかになってきました。危機管理の徹底にあわせ、地域活力の増進のためにも、多極分散型の社会構造に転換していく必要があります。
五つは、生活の変化です。
価値観が多様化し、生活にゆとりをもたらす新しい働き方への志向が高まっています。また、食や農に親しむ暮らし方が広がりを見せ、二地域居住が進むなかで、第一次産業に新しい期待が寄せられています。
仕事と生活の両立や、地域資源、地域活力の再生がますます注目されるものとなるでしょう。

新時代に向けて

こうした変化は、これからの私たちの生活に大きな影響を及ぼします。時代は今、まさしく大転換期にあると言えるでしょう。
新しい時代の入り口に立つ今こそ、新しい社会の枠組みを構築し、変化を乗り越えて力強く前進するための布石としなければなりません。
その一は、危機管理を徹底し、安全安心の基盤を整えることです。
まず、災害に対する危機管理の徹底です。昨年の台風第9号では、県の西北部を中心に大きな被害が発生しました。改めて、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りします。この教訓を踏まえ、社会資本整備の重点を防災対策に置いて、局地豪雨への対策を強化するとともに、来るべき東南海・南海地震への備えに万全を期します。
また、誰もが健康でいきいきと生活できるよう、健康、医療、福祉など社会のセーフティネットの整備や、消費生活の安心を支えるしくみづくりを進めます。
その二は、人口減少社会の元気の源を育てることです。
まず、安心して子どもを産み育てることができる社会をつくります。そして、子どもから若者、高齢者まで、誰もが生きがいのある、質の高い生活ができるユニバーサル社会をめざします。
同時に、豊かな自然環境を守り育て、二酸化炭素の削減や資源循環に向けた地域からの取組を進めるとともに、生物の多様性に配慮します。
経済と雇用、生活を支える産業がたくましく成長することが必要です。景気の早期回復と雇用安定を図ることはもとより、技術力を誇るものづくり産業の集積のうえに、環境やエネルギー、健康、医療などの先端技術産業が育ち、農林水産業や福祉などの分野にしごとが広がる新しい産業構造への転換を図ります。
その三は、地域が、地域らしい活力を発揮できる社会をつくることです。
過疎化が進む小規模集落や市町合併により活力を失った旧町中心部、シャッターが閉ざされ人通りも疎らな商店街など、人々は、ふるさとの将来を心配しています。
このため、人と人、地域と地域が交流を深めるなかで、地域の人々が工夫して取り組む活動を応援し、地域活力の再生と増進をめざします。
その四は、兵庫が自立し、新時代を先導する枠組みを築くことです。
地域で育ち、働き、暮らす私たち自身が、自ら考えて行動し、新しい社会へと進んでいくためには、地域のことは地域で決定し実行できる自立型の行政システムが不可欠です。政府が地域主権を第一に掲げるこの機を逃さず、分権改革を加速させていきます。
また、兵庫県が信頼される地方政府として十分な力を発揮できるよう、新行革プランの確実な実行とフォローアップを行い、持続可能な行財政構造の確立をめざします。
そして、新たな時代の潮流から見えてきた課題を踏まえ、兵庫の長期ビジョンを見直し、県民の皆様とともに新たな兵庫像を描きながら、その実現に取り組みます。
以上の基本的考えのもと、平成22年度は、
危機管理を徹底し、セーフティネットで支える 安全安心
誰もが個性を発揮し、質の高い生活ができる 生活先進
人と自然が共生し、地域から地球を守る 環境優先
ものづくり力の集積を生かし、強い農を育てる 産業立県
多彩な資源を生かし、地域と地域をつなぐ 交流促進
地域が活力を発揮し、分権時代を先取りする 自立共生
の6つを柱に、新兵庫の再生に向けて諸施策を展開します。
変化の激しい時代だからこそ、これからも県民の皆様との参画と協働、共生と連帯を基本に、県民本位、生活重視、現場主義の県政を進めます。
これより、新年度の重点施策について説明します。

新年度の重点施策

安全安心の兵庫

重点施策の第一は、安全安心の兵庫です。
その一は、自然災害への備えです。

総合的な治水・治山対策

台風第9号は、尊い命を奪い、各地に傷跡を残しました。被害の状況から、山から流された流木や土砂が被害を大きくしたと考えられます。このため、全県域を対象とした緊急5カ年計画に基づき、山の管理の徹底、谷筋の治山砂防施設の整備、あわせて、中上流の河川改修等を行います。
山の管理を徹底するため、災害に強い森づくりを拡充し、緊急防災林の整備や針葉樹林と広葉樹林の混交林化などを進めます。谷筋ごとに、治山、砂防施設を計画的に整備し、流木や土砂から人家や福祉施設等を守ります。
被害の大きかった千種川水系をはじめ、下流部とバランスを取った中上流河川改修等に踏み切り、河床掘削などの河道対策や堤防補強等を行います。
また、ゲリラ豪雨だっただけに状況把握や避難のあり方が問われました。監視体制の強化や緊急対策の見直しなど検証委員会の意見を踏まえて実施します。

東南海・南海地震対策

東南海・南海地震への備えを急がなければなりません。27年度の耐震化率97%をめざし民間住宅の改修を支援します。あわせ、救助活動や避難の拠点となる県有施設、学校、病院の耐震化を急ぎます。また、水門の遠隔操作や情報提供等の機能を備える津波防災ステーションを南あわじ市に開設するなど、津波対策を強化します。
実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)の研究成果を生かし、家具の固定などの室内対策の普及啓発に努めます。

伝える、備える

震災や風水害の教訓を生かす「伝える」「備える」取組が必要です。地域の防災力を高める防災訓練を支援するとともに、災害発生時に先遣隊や専門家が被災市町に駆けつけ、初動体制の立ち上げから継続して支援する「ひょうご災害緊急支援隊」を創設します。
台風第9号災害では、住宅だけでなく、浸水により家財にも大きな被害が生じました。早期に日常生活に戻れるよう、住宅再建共済制度に、新たに家財を対象に最大50万円を給付する制度を加えます。
その二は、緊急経済雇用対策です。
本県の経済雇用情勢は、鉱工業生産指数で見ると、昨年2月を底に持ち直しの動きが広がっているものの、有効求人倍率は依然低い水準で推移するなど厳しい環境が続いています。また、引き続き消費者物価も下落するなど、緩やかなデフレ状況となっています。この状況から早期に脱却するため、新年度もできる限りの対策を行い、経済の安定と雇用確保に全力を尽くします。

中小企業の経営円滑化

中小企業の経営安定化と投資促進を図るため、中小企業融資制度の融資目標額を今年度同様、過去最大の5,000億円確保して、積極的な支援を行います。
まず、資金繰り支援として、既に実施している経営円滑化貸付や借換貸付、長期資金の拡充措置を継続するほか、企業再生貸付の限度額を2億円に倍増します。
厳しいときこそ、次の一手が必要です。設備投資促進貸付や新技術・新事業創造貸付の創設、日本政策金融公庫を利用する場合の新規開業貸付の要件緩和などにより、意欲ある事業展開を応援します。
また、建設業者の農業、介護、福祉、環境への新たな事業展開を支援します。

有効需要の創出

デフレギャップの解消なくして本格的な景気回復は望めません。このため、公共事業は、今年度の2月補正予算と合わせた14カ月予算で21年度当初並を確保するとともに、前倒し発注により年度始めの工事の空白期間を解消し、需要創出を図ります。
中小企業への発注や小規模林道、耐震補強の促進などきめ細かな地域対策も進めます。

仕事と生活の回復

緊急的な雇用就業機会の創出については、引き続き新年度は、介護、農林水産、環境・エネルギーなどの分野に重点を置いて、新たに213事業、3,891人分の雇用を創出します。
また、離職者の再就職に向けた総合就職相談の実施、介護、福祉、IT分野等での職業訓練と住宅困窮者への家賃補助の拡充など、仕事と生活の回復を総合的に支援します。
その三は、医療体制の確保です。

医療人材の確保

産科、小児科など特定の診療科や、へき地等での医師不足が深刻です。このため、地域医療に志を持つ医学生への修学資金貸与制度の拡充や県採用医師の公立医療機関等への派遣、医師会と連携したドクターバンクの実施、小児救急医療の研修、離職した女性医師の復帰促進などにより、医師の確保と偏在是正を図ります。
看護職員について、研修の充実等により離職防止や医療の高度化への対応を図り、その活躍を促進します。

医療体制の充実

阪神南圏域と北播磨圏域において、地域医療再生計画に基づき、小児、周産期を含めた救急機能の強化や医療従事者の育成などを図るとともに、県立尼崎病院と塚口病院の統合再編を進めます。
県立淡路病院の移転整備や、光風病院の児童思春期病棟の整備を進めるほか、昨年オープンした加古川医療センターでは、緩和ケアを本格実施するなど機能向上を図ります。
4月には、公立豊岡病院を拠点に、京都府、鳥取県との共同運航によるドクターヘリを導入し、県北部の救急医療体制を充実します。
その四は、健康ひょうごの推進です。

健康ひょうごの推進

県民の健康増進に向け、一人ひとりの健康状態に合った「健康マイプラン200万人運動」や、ごはん、大豆、減塩に焦点を当てた「ひょうご食の健康運動」を推進します。また、受動喫煙の防止に取り組みます。
がん検診の普及をめざし、市町による特定健康診査との同時実施や夜間休日実施、事業所への働きかけなどを行うとともに、拠点病院を核としたがん診療のネットワークを広げます。
新型インフルエンザの専用病床の確保や抗ウイルス薬の備蓄などを進めるとともに、インターフェロン等による肝炎治療や難病特定疾患治療への助成を行います。
その五は、ユニバーサル社会づくりです。

ユニバーサル社会づくり

年齢、性別、障害、文化など違いに関わりなく、誰もが安心して暮らし、元気に活動できる社会をめざし、みんなの声かけ運動等を実践します。「ユニバーサル社会づくり推進地区」を指定し、民間施設における多機能トイレの設置など大規模なバリアフリー化改修や、ノンステップバスの導入、鉄道駅舎の改修等を促進するなど、ソフト、ハード両面からの取組を進めます。

長寿社会の基盤づくり

要介護高齢者の増加に対応して、介護保険施設の整備を進めます。認知症対策として、相談、初期対応等を行う認知症疾患医療センターを8カ所に拡大し、市町の地域包括支援センターやかかりつけ医との連携、支援人材の育成などにより、地域のサポート体制を強化します。
高齢化が進む集合住宅に介護サービス事業所を誘致し、活動リーダーの育成などを通じて住民との協働による支援体制をつくります。災害復興公営住宅等に運動指導や健康相談を行う「まちの保健室」を開設するなど、高齢者の見守り体制を強化します。

障害のある人の自立支援

障害のある人の自立を支援するため、今年度改定する「ひょうご障害者福祉プラン」に基づき事業者の運営の支援や、困難事例を抱える市町に助言する生活支援ワーカーを全圏域へ配置します。保護者が病気などで付き添えない場合のガイドヘルパーの派遣などに取り組みます。
重症心身障害児等の生活支援では、介護老人保健施設を活用したモデル的な短期入所事業の実施や訪問看護の活用を行います。発達障害者支援センターについては、阪神北圏域に新たにブランチを設置し、5カ所に拡大します。
障害者のしごと確保対策では、しごと開拓推進員や障害者の職場定着を支える支援員の設置、障害者就業・生活支援センターの拡充や県本庁舎、空き店舗を活用した授産製品の販売支援等に取り組みます。
また、6月には、8回目となる「希望の船」を運航し、心身障害者等の社会参加を応援します。

福祉基盤の充実

福祉基盤の充実に向け、施設職員の処遇改善や合同就職説明会の開催などにより福祉人材を確保します。11月にオープン予定の兵庫県福祉センターを拠点にさまざまな福祉活動を支援します。
老朽化した清水が丘学園は、心理的ケアが必要な児童への支援や外来相談の全県拠点としての改築整備を進め、機能を充実します。
国民年金を受けられない外国籍の高齢者や障害者への福祉給付金を拡充します。
その六は、くらしの安全対策です。

消費者行政の推進

消費生活の安全安心を確保するため、今年度設置した消費者行政推進本部のもとで総合的な対策を推進します。
まず、全市町で消費生活センターを設置できるよう相談員を養成するほか、消費者問題に取り組むグループ等のネットワークづくりや、次世代の消費者リーダーの養成に取り組みます。
食品のトレーサビリティシステムや県版HACCP認定制度についての理解を広め、食品表示への監視体制を強化します。また、消費者、事業者、行政の三者会議を創設し、情報の共有、事業者自主行動基準の導入促進等を図ります。
安全で安心な畜産物の供給を図るため、老朽化した姫路家畜保健衛生所の移転整備を進めます。

虐待、家庭内暴力対策

三田市で、こども家庭センターが一時保護した後、在宅で見守りを続けていた児童が昨年11月に亡くなり、母親が傷害容疑で逮捕される深刻な児童虐待事案が発生しました。
こども家庭センターに、家庭復帰等評価委員会を設置するなど、体制を強化してきましたが、新年度から虐待リスクなどへのきめ細かな対応を行う専門職員の配置などの職員体制の強化とともに、地域において、退所後の児童委員による確実な見守り体制の強化など、防止対策を推進します。
家庭内暴力にも、NPO等と協働したDV防止講座などを行います。

自殺防止対策

自殺防止対策では、電話相談の夜間休日対応や、いのちの電話の24時間相談を行います。うつ病等により休職等に至った方の円滑な職場復帰を支援するため、精神科医等による復帰訓練を実施するなど、総合的な対策を進めます。

地域安全まちづくり

路上など身近な場所で、事件や事故が多発しています。地域安全まちづくり推進員を増員し、地域の自主的な取組を広げます。また、市町や地域団体などによる防犯カメラの設置を支援します。
庁舎の耐震化が必要な神戸水上警察署については、デザイン都市・神戸構想にあわせて、移転整備に着手します。

生活先進の兵庫

重点施策の第二は、生活先進の兵庫です。

その一は、少子対策の推進です。
子どもたちの元気が、明日の兵庫の活力になります。21年の県内出生数は48,430人となりました。20歳代、30歳代の女性人口が減少するなか、さらに対策を強化しなければなりません。少子対策では、経済的負担への対策も含めた子育て環境整備など総合対策が求められます。このため、新たな「ひょうご子ども未来プラン」のもとで積極的な取組を進めます。

こどもを産み育てやすい環境の整備

待機児童対策と多様な保育ニーズへの対応を図るため、安心こども基金や法人県民税の超過課税を活用しながら、幼保一元化をめざす認定こども園や保育所の整備を促進するとともに、駅前での賃貸等による分園保育所や、駅周辺で子どもを預かり本園まで送迎する駅前ステーション、事業所内保育施設の整備等を支援します。また、病児・病後児に対し看護師が保育所内で看護を行うモデル事業の実施や、延長保育の促進など保育サービスを充実します。
親子体験講座や子どもの預かり等により育児不安の解消を図る乳幼児子育て応援事業を、対象を拡大して実施します。
乳幼児等医療費助成に加えて、小学4年生から中学3年生までを対象に、入院医療費の自己負担を軽減する「こども医療費助成制度」を開始します。0歳、1歳児の小児細菌性髄膜炎の予防のため、市町が行うワクチン接種を支援します。

地域ぐるみの子育て環境づくり

「子どもの冒険ひろば」と「若者ゆうゆう広場」については、活動支援員を設置し、ボランティア人材の確保や地域での事例発表会の開催などにより運営支援を行います。読み聞かせの実施などにより「まちの子育てひろば」の活動を充実します。
地域で子育てに取り組むNPOの立ち上げの支援、地域グループによる子育て応援ネットや児童委員による巡回相談活動の強化など、見守り体制を充実し、地域ぐるみの子育て環境を整えます。
その二は、教育の推進です。

学力向上対策の充実等

小中学校の児童生徒の学力向上をめざし、学校ごとに目標を定めて実施する「学びの充実促進事業」を始めます。国語力向上のための実践研究校の指定、理科の観察や実験を支援する理科推進員の配置、教員OBや科学の達人などを派遣する教員の指導力向上など、積極的に推進します。
小学4年生までの35人学級を活用するとともに、小学5、6年生の教科担任制と少人数学習を組み合わせた「兵庫型教科担任制」は、実施校を242校に拡大し、24年度の全校実施をめざします。
道徳教育では、兵庫の先人の多様な生き方などに触れる副読本を作成し、配布します。

魅力ある学校づくり

県立高校の魅力を高め、生徒のやる気を引き出します。地域の中学校と連携した学習活動を展開する中高一貫教育、美術や体育、工業など専門学科でのスペシャリスト育成、理数教育、国際教育等による学力向上など、学校ごとテーマに沿った特色をつくります。科学的で論理的な説明力を競う「数学・理科甲子園」や専門分野の達人による講演会を実施するなどさらに魅力ある学校づくりを進めます。

体験教育の充実等

児童生徒の発達段階に応じた体験教育の積み重ねが、子どもたちの生きる力を高めます。このため、引き続き小学3年生の環境体験事業、5年生の自然学校、中学1年生のわくわくオーケストラ教室、2年生のトライやる・ウィーク、高校1年生の地域貢献活動や2年生の就業体験事業を実施します。
また、共同生活の体験を通して、生き方や進路に悩む若者の自立を助ける県立神出学園と県立山の学校の活動を推進します。

特別支援教育の充実

特別支援教育については、障害の重度化、重複化等に対応するため、阪神地域での高等特別支援学校の新設など学校の再編整備を進めるとともに、新たに高校への分教室の設置に向けた調査研究を実施します。

学校・家庭・地域の連携

住民参加による学校づくりをめざし、地域住民による学校支援活動を促進するほか、学校、家庭、地域が協働して学校運営や教育向上に取り組む兵庫型のしくみづくりを研究します。

高校の実質無償化等

国による高校無償化の取組に加え、専修学校等を含む私立高校について、低所得世帯等への授業料軽減などを行います。

県立大学の充実

県立大学については、経営専門職大学院を開設するほか、経済経営研究所を政策科学研究所に改組し、研究や政策提言機能を充実します。
また、コウノトリの郷公園ジオ環境研究部の新設にあわせて自然・環境科学研究所の教員体制を充実し、山陰海岸ジオパークの推進にも取り組みます。
次世代スーパーコンピュータの供用開始に向け、「高度計算科学研究支援センター」(仮称)と一体整備し、「先端計算科学研究科」(仮称)の23年4月開設をめざします。応用情報科学研究科を再編し、カーネギーメロン大学との連携により両大学の学位取得が可能なプログラムの23年度実施に向けて準備を進めます。
その三は、スポーツ、芸術文化の振興です。

スポーツの振興

バンクーバー冬季五輪が始まり、スポーツへの関心が高まっています。児童生徒の運動プログラムの普及や年齢に関わらず誰もが参加できるスポーツ大会の開催等、学校や地域で、県民がスポーツに参加できる環境をつくります。
競技スポーツについては、のじぎく兵庫国体で高められた競技力の維持と発展をめざし、ジュニア選手の発掘と育成、若手指導者の資質向上を図ります。また、神戸全日本女子ハーフマラソンを開催するほか、神戸の市街地を走るフルマラソンの開催準備を進めます。

芸術文化の振興

5周年を迎える芸術文化センターでは、佐渡裕芸術監督プロデュースのコミック・オペレッタ「キャンディード」や小澤征爾指揮によるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の公演など、質の高い公演を提供します。また、ピッコロシアターでは、出前ステージに加え、阪神地域の中学生を対象に「ピッコロわくわくステージ」を実施します。
県立美術館では、ゴッホ、ピカソらの日本初公開の作品展などを開催します。原田の森ギャラリーは、本県の作家の作品展示の場を整備します。
また、兵庫陶芸美術館の「北大路魯山人展」、歴史博物館の「姫路今むかし展」、考古博物館の「但馬の王墓展」など特色ある事業を展開します。
その四は、家庭と地域の再構築です。

家庭と地域の再構築

家族や家庭の大切さを考え、地域で家庭を支える取組を進めるため、「家族の日」の普及など「ひょうご家庭応援県民運動」と、わが子だけでなく地域の子育てに関わる父親を支援する「おやじ元気プロジェクト」を推進します。
男女共同参画社会の実現に向け、女性の継続就業や再就職のためのセミナーや出前相談を実施するなど、女性の活躍を応援します。

青少年の健全育成

青少年の健全育成をめざし、ひきこもりなどの問題に応える相談窓口を開設するなど、保健、医療、教育等の関係機関の連携による支援を充実します。
また、子どもの育成等の社会貢献活動に参加した青年が、そのキャリアを就職に生かせる認定システムを進めます。青少年愛護条例の改正を踏まえ、インターネットや携帯電話の安全な利用等について指導、啓発を図ります。

環境優先の兵庫

重点施策の第三は、環境優先の兵庫です。

その一は、地球環境問題への対応です。

地球温暖化対策

わが国は「2020年までに1990年比で温室効果ガスを25%削減する」との目標を掲げました。地域からの着実な行動として、本県でも新たな地球温暖化防止推進計画を策定します。
CO2排出量の見える化により家庭での実践を促す「うちエコ診断」の普及に努めるとともに、大規模事業者と中小事業者との連携による「CO2削減協力事業」、削減しきれない排出量を森林保全等への協力で埋め合わせる「CO2排出量相殺(カーボン・オフセット)制度」、太陽光発電相談指導センターにおける相談指導や小規模事業者の太陽光発電施設の導入等への県独自の支援、淡路市と共同したメガワット級ソーラー発電施設の設置などにより、CO2排出量削減に向けた県民や企業等の実践活動を促進します。
県自身も事業者として、次期環境率先行動計画を策定し、環境負荷の低減に努めます。

循環型社会の構築

循環型社会の構築をめざし、廃食用油のバイオディーゼル燃料化の普及を進め、バイオマスの利活用のための新たな計画を策定します。次期分別収集促進計画を策定するとともに、使用済み携帯電話の回収を促進し、レアメタルの有効利用を図ります。
その二は、生物多様性の保全です。

生物多様性ひょうご戦略の推進

兵庫の豊かな自然に守られた生物多様性を未来に遺すことは、私たちの責務です。貴重種のほか地域の特色ある生物や生態系を含む新たなレッドデータブックや公共事業等の際に配慮すべき指針の作成を進めます。
国連生物多様性年である今年10月に、名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されます。コウノトリの野生復帰など本県の先導的な取組を紹介し、世界に発信します。人と自然の博物館もブース出展して生物多様性に富んだ県土を紹介するなど、「ひとはく生物多様性大作戦!」の事業を展開します。

野生動物被害対策

野生シカによる農林業被害が拡大傾向にあることから、年間捕獲目標を2万頭から3万頭に増やし、ハンターへの報奨金の支給や大量捕獲用わなの緊急整備などの対策を行います。あわせて、加工研修やPRを通じてシカ肉の有効活用に努めます。
アライグマ、ヌートリアなどの特定外来生物対策にも取り組みます。

産業立県の兵庫

重点施策の第四は、産業立県の兵庫です。

その一は、兵庫の成長戦略です。

次期経済・雇用プログラムの策定

持続的な経済成長を実現するためには、百年の計に立った投資を怠ってはなりません。このため、新年度も、積極的な経済雇用戦略を展開しつつ、23年度からの次期経済・雇用プログラムの策定に着手します。ものづくり産業の集積を生かした既存産業の活力再生と、ナノ、情報通信・エレクトロニクス、健康・医療、環境・エネルギー、ロボット・人工知能など次世代産業の育成を戦略的に進めます。
その二は、次世代産業、科学技術の振興です。

未来をリードする次世代産業づくり

世界最高水準の次世代スーパーコンピュータの整備を見据え、産業利用を促進するため、「高度計算科学研究支援センター」(仮称)の23年4月の供用開始をめざします。
また、大型放射光施設(SPring-8)の県有ビームラインを活用し、中堅、中小企業の研究を支援することにより優れた研究の芽を発掘するとともに、兵庫県COEプログラムにより産学官の共同研究を支援するなど未来をリードする次世代産業づくりを進めます。

企業、研究所誘致の推進

企業や研究所の立地を促進するため、産業集積条例に基づく優遇措置を活用し、地域特性を踏まえた誘致戦略を展開します。特に、但馬、丹波、淡路地域では、設備投資補助の最低投資額を1億円に引き下げるとともに、10億円以下については補助率を3%から5%に引き上げます。企業庁が分譲する淡路・津名地区においては、環境貢献型企業等に対する最大50%の分譲価格割引制度を創設します。
その三は、中小企業、地場産業の活性化です。

ものづくり産業の力の向上

ものづくり産業の高度化に向け、24年の供用開始をめざして県立工業技術センター新研究棟を整備し、新製品開発の企画段階から販路拡大段階まで一貫して支援する体制を構築します。
また、地場産業のブランド力強化をめざし、産地間の技術連携や、都市部、海外での販路開拓を応援します。
その四は、商店街の活性化です。

商店街の活性化とまちの再生

商店街が直面するそれぞれの課題に応じた多様な活性対策を講じます。
にぎわいの回復や商業集積の再生をめざす商店街については、専門家を派遣して、新たな展開に向けた事業計画の策定から、事業実施までをきめ細かく支援し、シースルーシャッターの設置など商店街のイメージ向上対策やコミュニティ機能を強化します。また、空き店舗への新規出店などを進め、商店街と個店の魅力アップを図ります。
衰退や空洞化の兆しが見える商店街については、まちづくりの観点から、空き店舗や空き地を活用した商業施設の整備や、老朽アーケードの撤去等を支援し、まちの再生を行います。
こうした取組を金融面でも支えるため、新たに商店街振興組合等が行うカラー舗装や施設整備等を対象とする限度額3億円の「商店街活性化貸付」と、企業や個人事業者の起業や新規投資のための限度額7,000万円の「商店活性化貸付」を創設します。
その五は、産業を支える人づくりです。

産業を支える人づくり

ものづくり人材の育成と青少年等へのものづくり体験の場となる「ものづくり大学校」(仮称)について、教育研修施設の23年4月開校に向け、整備を進めます。
また、大工、建築、機械加工などの高度技能者の養成、小中学生のものづくり体験実習や親子を対象とした技能体験イベントの開催など、ものづくり大学校先行事業を実施します。
その六は、仕事と生活のバランスです。

仕事と生活のバランス

勤労者の仕事と生活のあり方が問われています。このため、昨年6月に開設した「ひょうご仕事と生活センター」において、仕事と生活の両立をめざし、情報発信や相談、実践への支援、企業顕彰等を行い、働き方の見直しなどに取り組む企業を支援します。また、常時雇用者300人以下の事業主を対象に、育児・介護等による離職者の再雇用を支援します。これらの事業主の常時雇用20人以下の事業所が、育児、介護休業取得者の代替要員を確保する場合には、その賃金の一部を助成します。
その七は、農林水産業の振興です。
担い手の高齢化と後継者不足、海外産品との競争など農林水産業を取り巻く環境が厳しさを増すなか、変化に適切に対応できる強い「農」を確立していかなければなりません。

食料供給力の向上と担い手育成

兵庫の農地を生かし食料供給力を高めるため、国の戸別所得補償モデル対策の積極的な活用や、多毛作、稲作農家と畜産農家の連携等を進める「ひょうご食料供給基地強化プロジェクト」の推進により、農業経営の安定化と地域農業の基盤を整えます。中山間地域等については、直接支払交付金を活用して条件不利地域の農業生産基盤の維持に努めます。
担い手の育成対策では、集落営農育成員等の設置により組織化や分散農地の集約を行うとともに、認定農業者が実践的で高度な経営管理を学ぶ養成塾を開設します。また、「ひょうご就農支援センター」での就農相談の充実や離農者からの円滑な経営継承への支援、企業の農業参入の促進などにより、新たな担い手を育てます。

ブランド戦略の推進

売れる産品づくりを進めるため、神戸ビーフや丹波黒など既存のブランド産品に加え、北播磨のいちじく、淡路のトマトなど新たなブランドを育成し、輸出促進にも取り組みます。また、但馬牛の増頭対策を進めます。農林水産業者と中小企業者が連携して行う新商品、新生産システムの開発や販路開拓を支援します。
ひょうご認証食品制度などを通じてひょうご安心ブランドの流通、販売を拡大します。県産米粉などの地産食材の学校給食での利用を促進します。

都市農業と楽農生活の推進

都市農業については、JA、市、県が協力し、技術指導や担い手の育成、周辺住民の理解促進などを進めます。
楽農生活の実践に向け、NPO法人や集落営農組織など多様な主体による市民農園の開設を支援します。楽農学校では、利用者の志向に応じた農業研修を行います。

林業の振興

林業、木材産業の活性化と風水害に備えた山の管理の徹底を図るため、「ひょうご林内路網1,000km整備プラン」に基づき、林道、作業道の整備を計画的に進め、12月に稼働予定の県産木材供給センターなど各地の製材工場への安定的な原木供給体制を確立し、県産木材の利用促進に取り組みます。

水産業の振興

水産業については、第2の鹿ノ瀬構想など漁場整備、天然アユの増加策やノリの色落ち対策を行います。出前料理講習会の開催など、さかなの消費拡大にも努めます。

交流促進の兵庫

重点施策の第五は、交流促進の兵庫です。

その一は、ツーリズムの振興です。

観光ツーリズムの振興

兵庫の魅力を発信し、観光客を招くため、4月から9月にかけて大手旅行社との共同により情報サイトの構築、旅行情報誌での特集など「日本の旬・関西キャンペーン」を実施し、続く10月から12月にかけて、キャラバン隊の派遣など「あいたい兵庫キャンペーン」を展開します。
中国、韓国も視野に入れ、映画、テレビのロケ誘致に努めます。観光地の新たな魅力づくりや隠れた地域資源の発掘など、新しいツーリズムづくりに取り組みます。
その二は、国際交流と多文化共生の推進です。

アジアをはじめとする経済・観光交流の展開

成長著しいインドとの交流促進のため訪問団を派遣します。関西の府県市と共同した上海万博への出展、訪日教育旅行の誘致、広東省との友好関係を生かした戦略的、重点的な観光プロモーションを実施するなど、今や世界経済の牽引力となったアジアをターゲットに、経済、観光交流を展開します。
今年は、ブラジル・パラナ州との友好提携40周年、中国・海南省とは20周年を迎えることから、友好訪問団の派遣など記念行事を実施し、多彩な分野における交流を拡大します。

多文化共生社会の実現

多文化共生社会の実現をめざし、外国語による相談、生活情報の提供を行うほか、母語教育への支援やサポーターの派遣による学校での日本語指導などに取り組みます。
その三は、個性を生かした地域づくりです。

個性を生かした地域づくり

兵庫の持つ多彩な文化や歴史、自然を生かし、地域の魅力づくりを進めます。
日本でのジャズ発祥の地「KOBE」を生かした取組、環境共生型のまちづくりをめざす「尼崎21世紀の森」づくり、「いなみ野ため池ミュージアム」を核とした地域づくり、自然、歴史、特産物等の魅力を発信する「ハートにぐっと北播磨」の展開、「山陰海岸ジオパーク」でつなぐ丹後、但馬、因幡の広域振興、「たんば恐竜と哺乳類の化石を活用したまちづくり」など、地域主体の元気なプロジェクトを推進します。
また、黒川、一庫など都心に近い北摂の里山風景、映画「ノルウェイの森」のロケ地となった砥峰、峰山高原、佐用町平福の歴史的景観や宍粟の岩塊流、弥生時代の大規模鉄器生産集落「淡路の垣内遺跡」など、自然や歴史を生かした地域づくりに取り組みます。
その四は、交流の基盤づくりです。

既存ストックの有効活用

社会基盤整備にあたっては、台風第9号災害の教訓等を踏まえ、「つくる」から、県民の安全安心、「まもる」に、事業費で30%から31%へ、「つかう」34%から36%へウエイトを移します。ストックの有効活用のため、渋滞交差点の解消や歩道の段差解消などに取り組みます。老朽化が進む社会基盤施設の効率的な維持更新を行うため、長寿命化計画の策定を進めます。

道路網の着実な整備

関西都市圏の高速道路網のミッシングリンク解消に向け、新名神高速道路の整備促進や、名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海地域道路の早期事業化に取り組みます。
また、環日本海地域のネットワーク形成に向け、3月には中国横断自動車道姫路鳥取線の佐用美作間を供用開始します。12月には鳥取豊岡宮津自動車道余部道路を供用開始し、また、北近畿豊岡自動車道の事業促進に努めます。
10月に全線開通をめざす山手幹線など、都市交通の円滑化のための基盤を整えます。

公共交通の利便性向上

鉄道については、3月のJR姫新線の高速運転開始にあわせ、試験的に増便します。新しい余部橋梁を9月には供用開始し、JR山陰本線と播但線の地上設備の改良も進めます。
路線バスやコミュニティバスの運営を支援し、地域住民の移動手段を確保します。

関西3空港の利活用促進

大阪、神戸、関西の各空港の機能を最大限に発揮できるよう、神戸空港、関西国際空港の利用促進や大阪国際空港へのアクセス強化を図るとともに、関西3空港懇談会で合意された一元管理の実現をめざします。
但馬空港については、羽田空港の発着枠拡大の機会を捉え、直行便の就航実現に努めます。

港湾機能の強化

港湾については、スーパー中枢港湾阪神港の国際コンテナ戦略港湾への選定をめざします。姫路港のターミナルや尼崎西宮芦屋港のフェニックス事業用地の整備、高砂西港の再整備を推進します。
その五は、美しい県土づくりです。

美しい県土づくり

住生活を向上し、環境に優しい長期優良住宅の普及を図ります。高齢化が進む明舞団地において、住民自身による再生のしくみづくりを促進します。
旧木下家住宅に続いて、旧武藤山治邸を公開する舞子公園や、尼崎の森中央緑地など都市公園の魅力アップを図り、5月に全園開園する三木総合防災公園では、全国「みどりの愛護」のつどいを開催します。
今年は、大鳴門橋開通から25年、淡路花博から10年を迎えます。3月から淡路島を舞台に開催する「淡路花博2010花みどりフェア」に、多くの方が来場されることを期待します。

自立共生の兵庫

重点施策の第六は、自立共生の兵庫です。

その一は、地域再生大作戦の展開です。

地域再生大作戦の展開

昨年、県内をくまなくまわり、全土で道路や施設などの社会基盤が厚みを増していることを実感しました。一方で、過疎化、高齢化等の進展により多自然居住地域を中心に地域の活力が低下し、格差が進んでいることに衝撃を覚えました。これらの地域の活力を増進する対策が必要です。
このため、地域での主体的な取組を総合的に支援する「地域再生大作戦」を展開し、地域の活性化、ふるさとのにぎわいづくりを推進します。
まず、市町合併等により活力が低下している旧町中心部では、「まちなか振興モデル事業」により、購買施設や金融機関など生活利便施設の立地を促進し、既存施設の有効活用も進めながら、にぎわいの回復を図ります。
人口減少と高齢化が進む小規模集落では、都市のパートナーとの交流を核に活性化をめざす「小規模集落元気作戦」を展開し、交流拠点施設の整備や特産品の開発、販売等を支援します。また、中山間地域の「農の再生」推進事業により、企業による農山村支援や複数農家による生産販売施設の導入への支援など、農業の観点から施策を推進します。
多自然居住地域では、「ふるさと自立計画推進モデル事業」を推進し、地域資源を生かした交流などの主体的な実践活動や、古民家再生など交流施設の整備等を通じて、都市住民の定住促進や交流の活性化を図ります。
こうした地域主体の取組を地域外からもサポートする「地域再生応援事業」を実施し、大学生やNPO等と地域の人たちが協働して取り組む先導的な実践活動を応援します。
また、地域貢献活動に参画して獲得するポイントを地域再生への応援等に還元できる「ひょうごポイント制度」を創設します。
その二は、全県・地域ビジョンの推進です。

21世紀兵庫長期ビジョンの見直し

平成27年頃を想定年次とする21世紀兵庫長期ビジョンが中間年を過ぎました。人口減少、少子高齢化をはじめとする時代潮流を見据え、地域夢会議などを通じた県民の参画と協働のもと、現行ビジョンの見直しを進め、地域の強みやよさを生かした新たな地域ビジョンを描くとともに、全県ビジョンを見直します。
その三は、参画と協働の推進です。

多様な地域活動の支援

参画と協働による地域づくりを進めるため、県民一人ひとりが身近な地域を舞台に、多彩な分野で活動に取り組む県民交流広場事業を推進します。ひょうごボランタリー基金を活用して県民やNPO等のさまざまな活動を応援します。
また、団塊世代等の地域参加を促進し、各県民局における地域のニーズに沿った県民主体の地域づくり活動を支援します。

広報・広聴の推進

560万の声を県政に生かすため、広報紙やテレビ、ラジオ、ホームページなど媒体ごとの特性に応じた効果的な情報発信をします。県民相談体制を強化し、県政に対する意見や相談に迅速に対応します。
その四は、地方分権の推進です。

地方分権の推進

政府は、今年を地域主権革命元年とすべく、義務付け・枠付けの廃止、国と地方の協議の場の設置などの法制化を実現するとともに、ひも付き補助金の一括交付金化や国出先機関改革に向けた地域主権戦略大綱を夏頃に策定するとしています。長く続いてきた中央集権的な枠組みに変化が期待できます。このような時こそ、分権に対する地域の強い意思を制度改革に反映しなければなりません。
このため、全国知事会等とも連携して提言活動を行うとともに、地域からの具体的な行動として、国からの権限移譲の受け皿となり、関西の広域行政主体となる「関西広域連合」(仮称)の設立をめざします。関係府県が足並みを揃えて、今年中の適切な時期に規約案を議会に提出できるよう進めていきます。
また、地方税財源について、地方交付税の充実強化はもとより、地方消費税の拡充をはじめ、国、地方を通ずる税体系の本格的な見直しなど、積極的に提言します。
その五は、行財政構造改革の推進です。

定員、給与、組織等

定員については、一般職について、30年度までに概ね3割の定員削減を行うこととし、22年度までの3カ年でその半数となる概ね1.5割の削減に取り組んできました。
給与については、厳しい状況のもと職員の協力を得て、人事委員会勧告に基づく給与の引下げに加え、新行革プランに基づく抑制措置を継続します。
組織については、政策課題に総合的、機動的に対応する政策調整機能の強化等を行います。また、ひょうご環境創造協会と兵庫県環境クリエイトセンターの統合など、関係団体の見直しを進めます。

財政状況と財源対策

厳しい経済雇用情勢を反映し、22年度の県税収入は、今年度当初に比べ、約520億円の減収となり、地方法人特別譲与税を含めても、約320億円の減収と見込まれます。
地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は、県税の減収や増嵩する社会福祉関係経費等への対応に加え、新たに地域の実情に配慮した雇用対策・地域資源活用臨時特例費が創設されたことから、約670億円増を計上しました。
歳出においては、新行革プランに基づき、人件費については、給与改定及び定員の見直しを行うとともに、行政経費については、福祉関係経費が増加したものの、その他の事務事業についてゼロベースから見直しました。また、投資的経費について、投資水準の見直しを行う一方で、台風第9号災害の復旧復興対策や耐震補強の前倒しなど積み上げを行いました。
このような取り組みにより、歳入歳出の収支不足額は、今年度当初予算に比べ、286億円改善し884億円となりました。
この収支不足額に対しては、現行財政フレームの枠組みの範囲内で、退職手当債や行政改革推進債の発行、県債管理基金の取崩で対応しました。

財政フレーム

財政フレームについては、試算の前提条件である経済成長率を、23年度の0.9%に修正、24年度以降は現行フレームどおりとしています。
歳入については、22年度の大幅に減収する県税収入と、この減収の補てん等を反映させ、雇用対策・地域資源活用臨時特例費を除いた地方交付税等を基礎に試算しています。歳出については、人件費は21年度人事委員会勧告を反映し、現行の定員削減を見込むとともに、行政経費は、一般行政経費で新行革プランにおける毎年度3%削減を1年前倒して6%削減とした効果等を踏まえて試算しました。また投資的経費は、通常事業について、国庫補助事業は22年度の国配分見込みと同額、県単独事業は全国平均水準との乖離を是正するため、25年度までの間、段階的に780億円まで削減することを基本に、これに台風第9号災害等関連事業を加算して見込みました。
この結果、23年度から30年度までの要調整額は315億円になりました。この要調整額については、引き続き歳入歳出改革に努めつつ、地方財政対策の充実について国に働きかけることにより解消を図ります。
今回試算した財政フレームにあわせて私立高等学校生徒授業料軽減補助の見直しや投資事業の見直し等、新行革プランを変更します。

新行革プランの総点検

新年度は、新行革プランの策定から3年目にあたることから、経済雇用情勢や国の政策動向、分権改革の進展、さらには今年の前半に国が策定する中期財政フレームなど、プラン策定後の行財政環境の変化等を踏まえ、県議会や有識者会議での意見もいただきながら総点検を行います。
以上の方針のもとに編成した新年度の歳入歳出予算は、
一般会計 2兆2,045億1,000万円
特別会計 9,718億3,800万円余
公営企業会計歳入 1,437億2,400万円余
同 歳出 1,667億4,800万円余 です。
税収動向が厳しいなか、緊急経済雇用対策をはじめ喫緊の課題に対応して、一般会計は対前年度比4.1%増としました。

条例・事件決議

条例・事件決議

次に、条例については、兵庫県住宅再建共済制度条例の一部改正など21件です。
事件決議等については、行財政構造改革推進方策の変更、公の施設の指定管理者の指定など13件です。

以上で平成22年度の主な県政施策と諸事業の説明を終わります。

今から100年前、一人の青年が神戸で救貧活動に身を投じました。消費組合運動の推進など多くの業績を残した賀川豊彦氏の助け合いの心、共助の精神は、今でも脈々とこの地に流れています。
変化の時代だからこそ、改めてその精神に学び、共に生きる社会を築いていかなければなりません。新兵庫の再生をめざし、誠心誠意取り組んでいく決意です。

議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

電話:078-362-3016

FAX:078-362-3903

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