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更新日:2020年4月24日

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第348回(臨時)兵庫県議会 知事提案説明(令和2年4月24日)

本日、第348回兵庫県議会を開会いただきました。

このたび国で決定された緊急経済対策を踏まえ、本県として新型コロナウイルス感染症から県民の命と生活を守る対策に緊急に対応するため、令和2年度補正予算及び関連条例等についてご審議いただくものです。

どうぞよろしくお願いします。

 

世界中が未曾有の危機にさらされています。新型コロナウイルス感染症は今もって収束の兆しが見えません。強力な感染力を持つうえに、有効な治療法は確立しておらず、最近では特に欧米での被害拡大が深刻です。

 

我が国でも、東京や大阪をはじめとする都市部での急速な感染拡大を受けて、4月7日には本県を含む7都府県を対象地域とした緊急事態宣言が発せられました。その後、4月16日には宣言の対象地域が全国に拡大されました。

本県としては、緊急事態宣言を受け、「新型コロナウイルス感染症に係る兵庫県対処方針」を直ちに策定しました。国や市町、医療関係者と連携・協力しながら、県民の安全を最優先に、入院・外来医療体制の強化、医療用資機材の確保、県民相談窓口の充実などに全力で取り組んでいます。しかし、20代から50代の活動が活発な世代を中心に感染経路が不明な症例が増えている今、急激な感染拡大を防げるかどうか、まさに瀬戸際を迎えています。病床の逼迫も強く懸念されており、感染拡大の防止と医療提供体制の強化に向けた対応を急がねばなりません。
そのためにも、県民の皆様には、生活の維持に必要な場合を除いて外出しないこと、帰省や旅行、会合をしないことをお願いしています。
事業者の皆様には、生活維持に必要な医療、生活必需物資の販売、食事提供施設などを除き、遊興施設、運動施設、遊戯施設、集会・展示施設などの休業を4月15日からお願いしています。あわせて、「出勤者の最低7割減」を目標とするよう要請し、県自らも率先して取組を進めています。
国内外の経済にも甚大な影響を及ぼしています。世界の各都市では、感染症の封じ込めのため大規模な外出制限が行われ、サプライチェーンが途絶し、企業活動が著しく停滞しています。
我が国でも、国内の消費・生産活動は急速かつ大幅に減退しており、地域経済への影響は大きなものがあり、雇用環境の悪化も懸念されます。新型コロナウイルス感染症を一日も早く収束させ、地域経済を回復させねばなりません。

このため、国の緊急経済対策を踏まえ、本県として、1感染拡大防止対策の強化と医療・検査体制の充実、2地域産業・県民生活への支援、3収束後における地域の元気づくり、を基本方針とする緊急対策補正予算案を編成しました。その規模は3,916億円となり、阪神・淡路大震災直後、骨格予算として編成した当初予算に追加補正を行った平成7年度第1号補正予算4,234億円に次ぐ規模となっています。

その1は、感染拡大防止の強化と医療・検査体制の充実です。

マスク等衛生資材の確保、感染拡大防止対策の強化

人と人との接触を80%抑制することを目標に、感染拡大防止の取組をさらに強化して推進します。福祉施設での集団感染を防止するため、マスクや消毒液などの衛生資材を確保し、感染の疑いのある者に対応する個室化改修や簡易陰圧装置などの整備を進めます。通所サービス事業所が新たに居宅訪問サービスを提供するための経費を支援します。感染症の事態でも介護体制を維持するため、応援職員の派遣調整や介護ロボットの導入を支援します。
外出自粛に伴い、日中、在宅で過ごす障害者が増えていることから、安否確認の実施や地域活動支援センターなどの体制強化を支援します。障害者相談研修の小規模・分散開催を促します。障害者施設へのICT機器やロボットの導入を支援し、職員の負担軽減を図ります。テレワークの導入を促進し、障害者の在宅就労を推進します。就労系障害福祉サービス事業所における品質向上や販路開拓の取組、「+NUKUMORI」の配送料無料化を支援します。タブレット等を活用した遠隔手話サービスの提供体制も整備します。

検査・医療体制の強化

医療崩壊はなんとしても防がなければなりません。そのために検査・医療体制をさらに充実します。健康科学研究所や民間医療機関の検査機器の追加整備に加え、検査費用の自己負担分に対して支援します。
500床の入院病床確保に向け、円滑な入院・搬送調整、人工呼吸器の整備、専門アドバイザーの派遣、入院医療機関の運営費などを支援します。新たな入院病床の確保のため、国の空床補償単価に上乗せして支援します。
重症患者に必要な医療提供が行えるよう、無症状者や軽症患者が療養するための宿泊施設を700室、できる限り早期に確保し、入退所・搬送・健康管理の体制を構築します。また、外来患者の増加を踏まえ、帰国者接触者外来の追加整備や臨時外来の設置に必要な備品整備を進めます。社会福祉施設等でのクラスター発生に備え、未感染者の一時的な受け皿整備も進めます。

情報発信や相談体制の充実

記者会見での手話通訳者の配置や県民だよりひょうごの臨時発行等を行い、県民によりわかりやすく情報発信します。相談が相次いでいる新型コロナウイルス感染症コールセンターと緊急事態コールセンターの体制を強化します。心のケアや自殺リスクを抱える方への支援体制の充実も併せ、県民の不安払拭を図ります。

学校の臨時休業等のための環境整備

小中学校の臨時休業に伴う児童生徒向けSNS相談の受付時間の拡充に加え、学校再開後に円滑な学習支援を実施できるよう、市町立学校への学習指導員の配置を支援します。特別支援学校の休校に伴い、放課後デイサービス利用者の負担増を軽減します。県立の芸術・文化施設では各施設のPR動画や無料のオンライン講座の配信を始めます。

遠隔教育、テレワーク等の推進

学校のICT環境整備を加速します。県立学校や県立大学に在宅で双方向の遠隔授業が実施できる環境を整えます。県立学校にICT技術者を配置し、授業動画の配信等を行うための学習アプリを導入するほか、自宅にインターネット環境がない児童生徒にはタブレット端末の貸与を行います。障害のある児童生徒に対応する入出力支援装置を導入します。
学校の再開に向けて、県立学校や外国人学校にマスクや消毒液など衛生資材を整備します。特別支援学校のトイレ改修を前倒しし、学習環境の向上を加速します。
多くの県民が利用する県立施設には、再開後における感染拡大防止のためにサーモグラフィーを整備します。
また、県庁職員の在宅勤務を拡充し業務継続性を高めるため、システムの増強を進めます。

その2は、地域産業・県民生活への支援です

企業の事業継続と雇用の維持

中小企業者の事業継続と雇用の維持を支えなければなりません。とりわけ、休業要請に応じていただいている事業者には大きな影響が生じているため、国の持続化給付金に加え、県と市町が協調して経営継続支援金を支給し、事業の継続を支えます。飲食店によるテイクアウトやデリバリーへの新規参入、タクシー事業者によるマルチキャッシュレス決済機器の導入など、売上減少が著しい事業者の多様な取組を支援します。
急激な売上減少により、中小企業者の資金繰りが悪化しています。2月以降順次創設した4つの支援資金の承諾実績は、4月22日時点ですでに752億円を超えました。今回新たに、国の制度創設に連動して、3千万円を限度に当初3年間を無利子・無保証とする「新型コロナウイルス感染症対応無利子資金」を設けます。同時に、融資枠の総額については、運用中の4つの支援資金も合わせて、当初の3,600億円からリーマンショック時の約2倍となる過去最大の1兆円に引き上げます。手続きの迅速化に努め事業者の資金需要に柔軟に応えていきます。
雇用情勢の悪化を踏まえ、内定を取り消された学卒者や離職を余儀なくされた者に対し、県の会計年度任用職員として100名を採用します。あわせて、各種資格の取得につながる職業訓練を拡充します。中小企業勤務者の小口融資である離職者生活安定資金に、保証料なしの緊急特別資金を設けます。休業手当への助成率が最大9/10まで上乗せされる雇用調整助成金の特例措置など、国の対策の活用も促します。

農林水産物の需要喚起・事業継続支援

外食機会の縮小など需要の減退と価格低迷が、農家の経営を圧迫しています。
肥育牛の価格差補填制度に、無利子貸付による積立を行い、肥育農家の経営安定化を図ります。野菜の価格差補填制度にも将来的な資金不足に備え、追加造成を行います。兵庫県認証食品のエレクトロニック・コマース(EC)サイトへの出店支援やPRキャンペーンを実施します。美しい村づくり資金と豊かな海づくり資金について、貸付期間の延長、融資限度額の引き上げ、貸付利率の無利子化を行い、資金繰りを支援します。

生活困窮世帯・個人への支援

収入の減少などにより生活に困っている者への支援を強化します。一時的に資金が必要となる者に対し、生活福祉資金の貸付額や償還期限を延長し、貸付に必要となる原資を追加で助成します。市町と連携して国民健康保険料の減免や傷病手当金の支給を行います。住居を失うおそれがある者には住居確保給付金を支給します。家計急変世帯の高校生には奨学給付金の拡充や授業料の軽減により、就学の機会を保障します。

税制措置等による支援

事業者の資金繰りを支援するため、税制上の特例措置を設けます。一定の期間に収入が急減している納税者について、証紙徴収を除くすべての税目で、無担保かつ延滞金なしで1年間徴収猶予できる特例を設けます。自家用車を取得した場合に、環境性能割の税率1%分を軽減する特例措置の適用期限を6ヶ月延長します。住宅建設の遅延に配慮し、所得税において住宅ローン控除の入居時期に関する適用要件が弾力化されることを受け、個人県民税でも同様に対応します。耐震基準を満たさない住宅を改修した場合の不動産取得税の特例措置についても、入居時期の要件を弾力化します。
また、休館した県立施設内のレストラン事業者などの使用料を減免します。

その3は、収束後における地域の元気づくりです

地域経済の活性化

感染収束後は、甚大な打撃を受けている地域経済をすみやかに立て直すことが必要です。本県への人とモノの流れを確実に取り戻すため、「Welcome to Hyogo キャンペーン」として、本県独自のサービスを一体的に展開します。特設サイトを開設し、安全性のPRに加え、特産品購入や県内宿泊に伴うおみやげ購入券の発行、ツーリズムバスの拡大、新たな旅行商品の造成促進など、実需喚起対策に取り組みます。
地域の商店街の元気を回復するため、期間限定のプレミアム付き商品券の発行やポイントシール事業を支援します。また、神戸ビーフや但馬牛をはじめとする9つの県産ブランド牛肉の消費拡大キャンペーンを展開します。

芸術文化活動の活性化

芸術文化活動も停滞しています。県立施設などを活用した無料コンサートの実施や県民芸術劇場の拡充を通じて、芸術家の活動発表と県民が芸術に触れる機会を提供します。県域文化団体が市町ホールで実施する各種公演にも支援します。芸術、歴史、自然科学への興味・関心を高めるため、県立美術館や各種博物館が連携してスタンプラリーを実施します。

農林水産業の競争力強化

県産農産物の消費が低迷しています。グルメフェアや料理教室、日本酒の試飲イベントなど、多彩な販売促進プロモーションを展開します。学校給食で県産牛肉を提供し、需要を喚起します。農業大学校にICT対応の農業設備や農機具を整備し、技能向上を図ります。

 

以上、歳出予算についてご説明しましたが、その予算規模は、

一般会計で3,905億2,200万円余の増額
特別会計で11億1,100万円余の増額です。

 

これらの財源のうち国庫支出金は、事業に伴う補助金に加え、感染症拡大防止、地域経済や住民生活の支援などに柔軟に活用できる「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」や、緊急に必要な医療提供体制の整備などに活用できる「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」です。特定財源は、新たな無利子資金創設に伴う制度融資の預託償還金など、地方負担額は、交付税措置の有利な補正予算債や特別交付税で対応します。
補正予算の執行にあたっては、事業効果を早期に発現させるため、適切な執行に努めます。

人と人との接触80%抑制をめざし、改めて、県民の皆様には生活維持以外の外出自粛を、事業者の皆様には、一部事業施設の休業と生活に欠かせない事業施設の開業を要請します。70%の通勤削減の一層の推進をお願いします。県民の生命を守るための新型コロナウイルス感染症対策です。阪神・淡路大震災を乗り越えてきた本県だからこそ、県民一体となって立ち向かってまいりましょう。

 

議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

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部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

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