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労働委員会創設70年に当たって
兵庫県労働委員会会長
兵庫県労働委員会がこのたび発足70年の節目を迎えます。我が国の戦後の経済発展を支えた労使関係の安定に携ってきた労働委員会の会長として、身の引き締まる思いです。今日の礎を築かれた先輩委員並びに関係各位の御苦労と御功績に対し、あらためて深甚の敬意と感謝の意を表します。
本県労働委員会はこの70年間に様々な労使紛争を取り扱ってきましたが、その中には、事案が複雑で解決に困難を極めたものも数多くありました。しかし、公・労・使各側の委員と事務局の努力・協力により、いずれも制度の趣旨に沿った望ましい対応ができたものと自負しております。
さて、戦後70年を経て、労使関係を取り巻く環境は大きく変化しました。労働争議は、昭和40年代後半のピーク時に比べて数的には減少しているものの、終身雇用を基本とする雇用制度の見直しが進み、派遣労働の範囲が拡大するなど、雇用形態が多様化したことによって、「使用者性」や「労働者性」が争点になる事案が増加し、質的には複雑化・困難化が進展しているという状況にあります。さらには、近年では、個人単位でも加入できる地域の合同労組の申立てにかかる事案が多数を占めるようになったことも大きな変化といえるでしょう。
法制面においても、平成20年に労働契約法が施行され、その後有期労働契約の新しいルールを定めた改正がなされたほか、平成27年には改正労働者派遣法やいわゆる同一労働同一賃金推進法が成立しました。一方、裁判所にあっても、労使関係についての重要な判例が次々と出されています。
私ども、労働委員会としても、このような労働情勢の変化を見極め、労使紛争解決の公正中立な専門機関として、労働者、使用者双方からの信頼と期待に応えられるよう、今後とも真摯な努力を重ねてまいりたいと考えております。
この「Web70年誌」が、今日の、そして将来の労働問題の解決の一助となれば幸いです。
平成28年3月
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