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世界最高性能の大型放射光施設「SPring-8」が立地する兵庫県では、産業界によるSPring-8の利活用を積極的に推進しています。
社会に対して広くSPring-8の認識と知名度を高めるため、SPring-8における様々な成果の中から、社会経済全般の発展に寄与することが期待される研究成果等を表彰する「ひょうごSPring-8賞」を平成15年度から設けています。
9月1日木曜日に神戸国際会議場にて、「第20回ひょうごSPring-8賞」表彰式を行い、あわせて受賞者の加藤氏と小西氏による記念講演を開催しました。
日時 令和4年9月1日木曜日 14時30分~16時00分
場所 神戸国際会議場(神戸市中央区港島中町6₋9₋1)
参加者 214名
受賞者(加藤様、小西様)と実行委員会委員等で記念撮影。左から雨宮様 平尾様 宮口次長 加藤様 小西様 太田様 牧村様 |
宮口次長から表彰状と目録を贈呈
受賞者(加藤様、小西様)による受賞記念講演
株式会社豊田中央研究所 加藤 悟 氏
近年の環境保護意識の高まりを受け、より効率的な自動車排ガス浄化用触媒の開発が求められている。排ガス中の有害物質は触媒内部の非常に微細な(ミクロ)細孔内を拡散しながら浄化される。
本研究では、触媒層のX線CT像を撮影・評価し、排ガス透過係数を予測するモデルを構築した。このモデルを用いた解析により、細孔(空隙)同士がつながった連通孔の数を増加させて有効空隙率を高めることで、より効率的に有害物質の浄化が可能になることを示し、従来品の約2倍の有効空隙率を達成する技術の実現につなげた。本技術により開発した新型触媒はトヨタ自動車(株)で実用化されグローバルに搭載が進んだほか、解析技術は燃料電池自動車MIRAIの開発にも活用されている。
株式会社日立製作所 小西 くみこ 氏
カーボンニュートラルの実現には、SiC(炭化ケイ素)を使ったパワー半導体デバイスの実用化・普及が重要となる。しかし、デバイスの動作中にSiC内に面状の積層欠陥が拡張することで起こる電気的特性の劣化が課題となっている。
本研究では、世界で初めて動作中(電流が流れる状態の)デバイスにおける積層欠陥の拡張を観察(可視化)することに成功した。さらに、電流の大きさなど、様々な条件で実験を重ね、動作条件に応じた信頼性モデルを構築し、劣化を抑制した高品質なSiCパワー半導体デバイスの実現に貢献した。これにより、鉄道・電気自動車等の産業で大きな省エネルギー効果と、カーボンニュートラル実現に向けたCO2削減目標達成への貢献が期待される。
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