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更新日:2021年10月22日

委員長報告

  ただいま議題となりました議案、認第1号ないし認第23号、すなわち令和2年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の決算認定の件につきまして、決算特別委員会における審査の経過及び結果をご報告申し上げます。
 当委員会は、去る9月30日に設置されて以来、11回にわたり、鋭意審査を行ってまいりました。
 審査におきましては、議会が果たすべき監視・評価機能の重要性を十分に踏まえつつ、令和2年度予算が、議決の趣旨・目的に沿って適正かつ効率的に執行されたのか熱心な議論が展開されました。
 特に令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響等により数次にわたる補正予算が編成される異例の一年となり、国補正予算を活用した新型コロナウイルス感染症に対する医療・検査体制の充実などの経費増等により、決算規模は、歳入歳出とも過去最大規模のものとなりました。このような中、新型コロナウイルス感染症対策への評価だけではなく、コロナからの創造的復興を目指し、今後どのように取り組んでいくのかについて議論がなされました。
 審査に際して、委員各位から述べられた意見について、「財政状況」と令和2年度当初予算の基本方針である「すこやか兵庫の実現」に向けた県政推進の観点から、ご報告申し上げます。

   第1は、財政状況についてであります。
 まず、令和2年度決算の概要において、一般会計については、実質収支、実質単年度収支は黒字を確保し、収支均衡は保持されました。
 公営企業会計については、病院事業において、新型コロナウイルス感染症の影響による大幅な減収に対し、診療報酬の増額や空床補償等により減収分は概ね補填されたものの、旧柏原病院建物撤去費用や退職給付引当金の過年度修正等を特別損失として計上したことにより、純損益は約55億円の赤字となっております。
 企業庁の所管事業会計については、新型コロナウイルス感染症の影響により、水道用水供給事業では、給水料金の減免を行ったことから、また、地域整備事業では、賃料の繰り延べに伴い、それぞれ赤字となりましたが、その他の収益的収支を有する工業用水道事業会計等3会計を含め全体で約15億円の黒字を確保しております。
 また、流域下水道事業会計については、企業会計を適用した平成30年度以降、黒字を確保しております。

 令和2年度の決算においては、収支均衡や県債依存度など6つのフロー指標とも目標を達成し、ストック指標も含めて概ね財政フレームの枠内を維持しております。
 しかし、震災関連県債残高が約2,853億円、行革期間中に発行した財源対策として活用した退職手当債や行革推進債の残高が約2,322億円と依然として高い水準にあり、その償還が本県の財政を圧迫する要因となっております。
 特に、将来負担比率は337.3%と全都道府県中ワースト、実質公債費比率は14.7%とワースト4位となっていることから、危機感を持って、より堅実な財政運営に努めることが求められました。
 あわせて、令和4年から9年度までの総額約330億円の要調整額や1,380億円にのぼる県債管理基金の積立不足額の解消、さらに、時代の変化等に応じた事業見直しや事務的経費の節減、スクラップ・アンド・ビルドの徹底、デジタル技術を活用した行政経費の削減、大型プロジェクト等の再検討など、聖域を設けずに行財政改革に取り組み、より強固な財政基盤を確立することにより、財政基金を積み増すことが求められました。
 さらに、財政フレーム及び財政運営目標に企業庁、公社からの貸付金や預託金の解消が反映されていないことや、企業庁の未成土地の評価方法について意見が述べられたところであります。
 一方、このような厳しい財政状況下においても、種々の新型コロナウイルス感染症対策はもとより、未来への投資をしっかりと行うことが重要であり、特に、投資的経費については、防災・減災対策、暮らしの利便性や地域の活力を高める社会基盤を整備することなどが求められました。

  自主財源の確保については、新型コロナウイルス感染症の影響など今後も景気の動向等を慎重に見極めながら、税収確保に努めることが求められました。

  このほか、基金等の適切かつ有利な運用、効果的な債権管理による収入未済額の縮減、県債引受基盤の強化、ふるさとひょうご寄附金のPR、未利用地の活用と処分、不正軽油対策などによる収入確保対策、法人関係税の応能負担の国への要望のほか、コロナ禍により納税が困難な方への配慮などについて多岐にわたる意見が述べられたところであります。

 次に、事務の執行に当たっては、内部管理制度の適正な運用や、会計指導・相談体制の強化、会計年度任用職員制度の適正な運用が求められました。
 さらには、財務諸表、固定資産台帳を活用した公共施設等の適正な管理のほか、指定管理者制度については、新規事業者が参入しやすい環境の整備が求められました。              

 第2は、「すこやか兵庫の実現」に係る県政重点施策についてであります。
 令和2年度予算は「すこやか兵庫の実現」を目指す以下に述べる6つの柱で施策が推進されましたが、齋藤知事の今後の施策展開にあっても「参画と協働」の県政理念を継承した「県民ボトムアップ型」県政、加えて多様な県土の特性を踏まえた、誰にもあたたかい「誰も取り残さない」県政、近隣府県や民間とも連携した「開放性を高めた」県政を積極的に推進する方向に賛同する意見が述べられたところであります。

 まず、「安全な基盤の確立」については、自然災害に備える社会基盤の整備、ひょうご防災ネットの機能改善による情報伝達力の強化、水素社会の実現に向けた情報発信や県地球温暖化対策推進計画の見直しなど温暖化対策の一層の推進、鳥獣被害防止対策に取り組む市町・集落への支援、安全な海洋レジャー環境の整備、警察署等再編後の現場執行力の向上、ポストコロナ社会を見据えた県市協調による効果的な施策展開などが求められました。

 次に、「安心な暮らしの実現」については、ひょうご子ども・子育て未来プランの推進、DV防止に係る民間シェルターとの連携、新型コロナウイルス感染症患者への医療提供体制の整備、保健所の体制強化と市町との連携強化、へき地勤務医師の安定的確保、自殺防止対策や薬物依存症対策の強化、県立病院における持続的な経営基盤の確立などが求められました。

 次に、「地域の元気づくり」については、積極的な企業誘致活動の展開、地場産業の振興、新規創業者スタートアップの支援、中小企業への資金繰り支援、緊急雇用・就労支援など、ポストコロナに向けた産業活性化の取組や、播磨科学公園都市・淡路夢舞台施設の有効活用などが求められました。また、新規就農者の育成と定着支援、農福連携の着実な推進や環境創造型農業の更なる取組、オールドニュータウンの再生、コロナ禍での芸術文化・スポーツの振興などが求められました。

 次に、「全員活躍社会の構築」については、次世代の兵庫を担う若者の県内就職の促進、高齢者や引きこもり者などへの就労支援、DX人材の育成、官民連携による効果的な職業訓練の推進、オンラインを活用した遠隔授業の推進、家庭と連携した道徳教育の一層の充実、特別支援学校の整備促進、市町の実情等を踏まえた高校教育改革第三次計画の検討、教職員の確保と業務改善、幼児教育の無償化などが求められました。

 次に、「交流・環流の促進」については、万博を見据えたひょうごツーリズム戦略の推進、コロナ禍における観光業の本格回復に向けた取組、地域資源を活かした交流や移住者等の外部人材の確保、地域創生に資する基幹道路・生活道路の整備、地域公共交通を担う事業者への支援、交通渋滞の解消対策などが求められました。

 次に、「新たな兵庫の展開」については、兵庫の目指す姿を県民と共有する新長期ビジョンの策定に向けた検討、兵庫2030年の展望におけるリーディングプロジェクトの方向性の整理、戦略的な広報の推進などが求められました。

 このほか、青少年のネット依存対策、兵庫津ミュージアムと学校などとの連携、県としてのパートナーシップ宣誓制度等の検討、水道施設老朽化対策、関西広域連合における更なる連携強化について意見が述べられたところであります。

 以上、冒頭申し上げた二つの観点「財政状況」と「すこやか兵庫の実現」から、特に議論があった事項について ご報告を申し上げました。
 県当局におかれましては、議会の意見を十分尊重され、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた適切な行財政運営のもと、新しい発想や手法で必要な対策を検討し、新型コロナウイルス感染症の大きな苦難を乗り越え、県民とともに新たな兵庫県政を創りあげる取組が進められるよう強く望むものであります。

 最後に、表決の結果について申し上げます。

 認第1号、認第2号、認第4号ないし認第7号、認第10号、認第11号、認第15号ないし認第18号、認第20号ないし認第23号、以上16件につきましては、賛成多数をもって、また、認第3号、認第8号、認第9号、認第12号ないし認第14号、認第19号、以上7件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。

 議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、決算特別委員会の審査報告を終わります。

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 議事課

電話:078-362-9403

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaigijika@pref.hyogo.lg.jp