サイト内検索
兵庫県議会トップページ > 委員会・その他の会議 > 特別委員会 > 予算特別委員会 > 令和3年度予算特別委員会 > 委員長報告
ここから本文です。
更新日:2021年3月22日
ただいま議題となりました議案のうち、第1号議案ないし第23号議案、第44号議案につきまして、予算特別委員会における審査の経過並びに結果をご報告申し上げます。
当委員会は、去る3月2日に設置され、一般会計、特別会計及び公営企業会計の総額が過去最大となる4兆6,000億円余の「令和3年度当初予算案」並びに「兵庫県行財政運営方針の変更案」について、鋭意審査を行ってまいりました。
令和3年度は、新型コロナウイルス対策の徹底により、感染拡大防止と社会活動の両立という困難な課題を克服し、収束に向けて全力で取り組む必要があります。その上で、ポストコロナ時代にふさわしい県民が将来への夢や希望を持ち続けられる社会を構築していかなければなりません。
この新しい兵庫づくりのためには、これを支える行財政基盤の確立が不可欠であり、新型コロナの感染状況や経済動向などを十分見極め、持続可能な行財政運営を推進することが求められます。
このことから、審査においては、ポストコロナ時代にふさわしい「すこやか兵庫」の実現に向けて、「安全安心な兵庫づくり」、「交流の新展開」、「兵庫の強みを活かした産業の育成」、「多様な兵庫人材の活躍」、「新たな兵庫への道筋」の5つの柱のもと、どのような施策を展開していくのか、あわせて新型コロナウイルス感染症の影響による財政環境の悪化を踏まえ、いかに適切な行財政運営を進めるべきか、終始熱心な議論が展開されました。
審査に際して委員各位から述べられた意見等を、まず、「すこやか兵庫の実現に向けた県政の重点施策」、次に「財政運営」、最後に「行財政運営方針」について、ご報告申し上げます。
第一は、「すこやか兵庫の実現に向けた県政の重点施策」についてであります。
「安全安心な兵庫づくり」については、新型コロナウイルス対策として、県民の生命と健康を守る医療提供体制の充実強化、全県における円滑なワクチン接種に向けた体制の構築、医療・介護従事者へのPCR検査の拡充、県立病院の持続可能な経営と職員の負担軽減、コロナ禍を考慮した避難行動や避難所の運営、コロナ禍における自殺予防対策や子どもの心のケア、くらしの安心確保のための緊急雇用対策や技能習得訓練などが求められました。
また、土砂災害対策や津波対策など県土の強靱化の取組、消防団員の確保による防災力の強化、薬物やギャンブル等の依存症対策、がん患者のアピアランスサポート事業の推進、DVや児童虐待への適切な対応、国際人権法や国連人権理事会の活動の周知など人権啓発の推進、安全安心につながる警察組織の再編などが求められました。
「交流の新展開」については、ニューツーリズムの創出など観光関連施策の推進、コロナ禍における芸術文化活動への支援、ワールドマスターズゲームズ2021関西の機運醸成、県土の均衡ある発展に導く基幹道路ネットワークの整備、地域公共交通計画の策定による地域住民の利便性向上などが求められました。
「兵庫の強みを活かした産業の育成」については、地方創生に資する地域経済対策、中小企業を支える金融支援、スマート化・グリーン化による農林水産業の成長産業化、農業人材の確保や農福連携の推進、県産木材の利用促進、鳥獣被害対策の強化、水素エネルギーの活用など脱炭素社会の実現に向けた取組などが求められました。
「多様な兵庫人材の活躍」については、学校教育におけるICT活用の推進、生きる力を育む体験教育の充実、県立高校における学力向上や魅力づくり、障害のある児童生徒への合理的配慮による特別支援学校の整備・充実、公立夜間中学の一層の拡充、障害者の適性に応じた就労支援、更生保護におけるきめ細やかな就労支援などが求められました。
「新たな兵庫への道筋」については、サプライチェーンの国内回帰や地方移転を捉えた企業立地の促進、播磨科学公園都市における次世代型近未来都市に向けた取組、中小企業におけるテレワークの普及や行政手続のオンライン化などデジタル化の推進、戦略的な広報の展開、地域創生戦略の実現に向けた地域プロジェクト・モデルの着実な展開、実現可能性を踏まえた新たな将来ビジョンの策定などが求められました。
第二は、令和3年度の財政運営についてであります。
令和3年度の当初予算は、シーリングの強化や新規事業枠の削減など徹底した施策の選択と集中に取り組むとともに、税収減に対し新たに制度化された特別減収対策債を活用するなど、緊急、臨時的な対策を歳入歳出の両面で行うことにより、行財政運営方針の目標である収支均衡が確保されました。しかしながら、非常に厳しい経済・雇用情勢の影響により、県税収入が前年度比で900億円以上の減少が見込まれる一方、社会保障関係費の増加や公債費が前年度比で117億円上回るなど、引き続き厳しい財政状況にあります。
このような状況下において、行財政運営方針に基づく適切な行財政運営を図りつつ、ポストコロナ社会を見据え、兵庫2030年の展望の具体化に向けたリーディングプロジェクトや兵庫県地域創生戦略の地域プロジェクトなど、すこやか兵庫の実現に向けた新たな取組を積極的に展開することが求められました。
また、自主財源の根幹をなす県税収入の確保対策として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止や納税者の利便性向上につながるキャッシュレスによる納税方法の更なる拡大や徴収手続きのデジタル化のほか、マイナンバーの活用による効率的な徴収の検討などが求められました。
さらには、県税収入の約3割を占める個人県民税については、市町の徴収能力向上を図るため、県と市町がより一層連携して徴収を行うとともに、特別徴収の実施率の向上に努めることが求められました。
また、法人県民税及び法人事業税の超過課税における充当事業の検証や県民緑税の必要性や効果を県民・事業者へ十分に説明を行うことが求められました。
このほか、収入の確保に向けた取組として、中小企業高度化資金の債権回収の強化、県営住宅や港湾施設の使用料の収納率向上のほか、県有施設のネーミングライツの対象施設周辺の企業等への積極的な働きかけ、県営住宅空き住戸のグループホームとしての活用、ひょうご体験型ツアーなど本県独自の返礼品の検討によるふるさとひょうご寄附金の拡充、地方消費税の減収に対する減収補填債対象税目の拡充要望などが求められました。
第三は、行財政運営方針の推進についてであります。
新型コロナの影響による県税収入の減等により、財政フレームを見直した結果、令和4年度から令和9年度にかけて、総額330億円の要調整額が生じ、また、ストック指標においても県債残高比率や将来負担比率が財政運営目標を上回ることが見込まれています。
このような中、県債については、令和2年度末の震災関連県債残高が約2,900億円、退職手当債と行革推進債の残高が約2,300億円と依然高い水準にあることから、着実に縮減を進めること、また、低金利下での30年債など超長期債の発行を積極的に行うことが求められました。
また、令和3年度の行財政運営方針の3か年目の見直しにおいては、事業のスクラップ・アンド・ビルドはもとより、県庁舎等再整備事業など大型プロジェクトが財政フレームに与える影響を考慮し、慎重な検討を行うとともに、安全安心な県民生活の質の維持・向上に欠かせない適正な投資水準などを十分に検証し、早期の収支均衡の達成やストック指標の改善に向けた有効な対策を行うことにより、持続可能な行財政構造を保持し、適切な行財政運営を推進することが求められました。
このほか、長期保有土地の積極的な利活用の促進、県財政に対する県民の理解を深める取組と予算編成過程の透明化、危機に備えた体制整備や職員の配置、職員の給与抑制措置の見直しやワーク・ライフ・バランスの推進、株式会社夢舞台の収益改善などについて、意見、要望が述べられた次第であります。
以上、冒頭申し上げた三つの観点から特に議論が集中した事項についてご報告申し上げました。県民の皆様のご協力のもと、兵庫が一丸となって新型コロナ対策に徹底して取り組むとともに、ポストコロナ時代にふさわしい「すこやか兵庫」の実現に向け、議会の意見を十分に尊重され、県民ニーズに的確に対応した実効ある施策が展開されることを望むものであります。
次に、表決の結果について申し上げます。
第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第7号議案、第10号議案、第15号議案ないし第18号議案、第20号議案ないし第23号議案、第44号議案、以上15件につきましては、賛成多数をもって、また、第3号議案、第6号議案、第8号議案、第9号議案、第11号議案ないし第14号議案、第19号議案、以上9件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
また、3月17日に提出のあった「令和3年度予算案の編成替えを求める動議」については、賛成少数で否決された次第であります。
議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、予算特別委員会の審査報告を終わります。
お問い合わせ