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更新日:2020年3月4日
令和2年3月2日配付
農政環境常任委員会付託
(自家増殖を原則禁止とする)種苗法改定の取り下げを求める意見書提出の件
1 受理番号 第14号
2 受理年月日 令和2年2月21日
3 紹介議員 きだ結 丸尾牧
4 請願の要旨
農林水産省は「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」で、種苗法の現行制度の見直しを検討、2019年11月15日、新品種保護に関する対策を取りまとめ、これをもとに2020年1月20日に召集された第201回国会に種苗法改正案が上程される予定である。
現行法で原則として農家に認められてきた登録品種の自家増殖を「許諾制」という形で事実上一律禁止する改正案により、これまで認められてきた農家のタネ取り(自家増殖)の権利が著しく制限されると同時に、許諾手続き・費用、もしくは種子を毎年購入しなければならないなど、(日本の農業を支える圧倒的多数の小規模)農家にとっては新たに大きな負担が発生することとなる。これは農家の経営を圧迫し、ひいては地域の農業の衰退を招きかねず、「国連家族農業の10年」や「小農の権利宣言」の精神とも相反するものである。
また、農林水産省は、今回の改正が「日本国内で開発された品種の海外流出防止のため」であることを強調しているが、シャインマスカットやいちごのような海外への登録品種の持ち出しや、海外での無断増殖を全て防ぐことは物理的に困難であり、有効な対策は海外での品種登録を行うことが唯一の方法である、と農林水産省自身もかつて認めており(2017年11月付食料産業局知的財産課)、海外での育成者権の保護強化のために日本国内の農家の自家増殖を禁ずる必要性はない。
在来種(一般品種)は育成者権の対象外としているが、一般品種が登録される可能性も否定できない。今回の法案では裁判の際には特性表に基づいてのみ判断するとされるため、育成者権者にとっては大変有利である一方、(小規模)農家を委縮させ、在来種の栽培やタネ取りを断念させる可能性もある。その結果、地域で種子を守ってきたタネ取り農家とともに多様な種子が失われ、消費者の選ぶ権利を奪うことにもなりかねない。
また、地域の中小の種苗会社が資金的に品種登録をする余裕がない場合、高額な登録料を支払うことのできる特定の民間企業による種子の独占や市場の寡占化が進み、農家や消費者の選択肢をより一層制限することになる。
自家増殖禁止は育成者権を守るためのグローバルスタンダードであるとされているが、自家増殖禁止は種子の多様性や地域に適した作物栽培を妨げかねず、地球規模での気候変動による食料不足が心配される中、食料自給率の低い日本においては食料安全保障の観点にも逆行している。
ついては、下記事項を内容とする意見書を国に提出するよう要望する。
記
1 地域農業や農家、消費者の権利を守り、安定した農作物・食料を確保する観点から、農家の権利を制限する「種苗法」改正を取りやめること。
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