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更新日:2025年12月19日

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令和7年12月県民局長メッセージ(淡路県民局 川井史彦)

突然ですが、皆さんは「かいぼり(掻い掘り)」という言葉をご存じでしょうか?
淡路島にお住まいの方はピンとくると思いますが、今回は、淡路県民局で実施した「農地還元型かいぼり」の取り組みを紹介したいと思います。

淡路島のため池の状況

兵庫県には、全国1位となる約2万箇所(21,369箇所)のため池があり、その約半分(9,358箇所)が淡路島にあります。
ため池は、農業が盛んな一方で、年間降水量が少なく、大きな河川がない淡路島において、欠かすことが出来ない取水源です。
淡路島では、ため池を利用する農家の方が集まり「田主(たず)」と呼ばれる管理組織をつくっています。「田主」では、農地への送水のほか、草刈や点検、補修といった維持管理作業、台風など大雨の前には水を抜いておくなど、ため池を適正な状態に保つ作業を担っています。

かいぼりとは?

かいぼり(掻い掘り)とは、ため池の水を抜き、底に溜まった土砂などを取り除いて天日に干すという、伝統的な管理方法です。換え掘り(かえぼり)、換え乾し(かえぼし)、池干しなどとも呼ばれます。 
主な目的は、ため池の機能維持と環境改善です。
1. 水を抜くことによる普段水に隠れた池の中の点検
2. 溜まった土砂などを取り除くことによる貯水能力や放流能力の確保
3.底の土壌を天日に干すことで、微生物による有機物分解が促進され水質浄化に効果
さらに、栄養分を含んだ土砂が、コメ作りで水を使わなくなる秋から冬に川を通じて海に流れることによって、海に栄養を供給する「豊かな海づくり」にもつながっています。

新たな農地還元型「かいぼり」を実施

従来のかいぼりは、ため池に堆積した土砂を水路や河川を通じて海に流す方法でしたが、今回実施した「農地還元型かいぼり」では、土砂を高圧吸引車(バキュームカー)で吸い取り、栄養豊富なため池土砂の有機肥料としての活用や農地の土壌改良、表土の補充にもつなげることを目指しています。
これにより、従来の手法では難しかった、「下流の水路が小さく川に流れる前に土砂が詰まってしまう」、「ため池の下流にため池があって土砂を流せない」などの課題にも対応できます。

【従来型かいぼりと農地還元型かいぼりの違い】
従来型かいぼりと農地還元型かいぼりの違い

淡路市馬渕池での農地還元型かいぼり

12月12日、淡路市馬渕池のかいぼりを、管理されている二ノ井手田主と、今回、土砂を藍畑に活用いただく「おのころ藍」の皆さんの協力のもと実施しました。
馬渕池では、水抜き用の「樋(ひ)」の周りに80cm以上の泥状の土砂が溜まっていたため、土砂を水でほぐし、高圧吸引車で吸引。その後、藍畑に3台分の土砂を運び、土のうで囲ったスペースに投入しました。
ここで乾燥させた土砂を肥料として活用することで、持続可能な農業と付加価値の高い製品づくりを両立させる取組みです。乾燥させた土砂は、後日、「おのころ藍」が藍染体験に来られる方などとともに、藍畑に散布する予定です。

馬渕池における「農地還元型かいぼり」の作業イメージ

馬渕池における「農地還元型かいぼり」の作業イメージ

 

池の水で泥をほぐしています

池の水で泥をほぐしています

 

吸い取った泥を乾燥場に投入します

吸い取った泥を乾燥場に投入します

 

泥を乾燥させ、来年3月に藍畑にまきます

泥を乾燥させ、来年3月に藍畑にまきます

 

年の瀬を迎え、今年一年の地域の皆さまのご協力に心から感謝申し上げます。
これからも、淡路島の恵みを次世代へつなぐため、力を合わせて取り組んでいきましょう。
暖かい日と寒い日が交互にあり、体調管理がなかなか大変です。淡路地域ではインフルエンザの感染が警報レベルとなっていますので、皆さまも外出時はマスク着用、手洗い・うがいの徹底を心がけ、健やかに良いお年をお迎えください。
毛皮がフカフカになった仲良し猫もベランダで黄昏れていますが、後ろ姿は完全に黒猫ですね…

ねこ
 

これまでの局長メッセージ

 

お問い合わせ

部署名:淡路県民局 総務企画室

電話:0799-26-2008

FAX:0799-23-1250

Eメール:awajisom@pref.hyogo.lg.jp