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まるでサウナ風呂にでも入っていたような暑さも影を潜め、一挙に秋を通り越し、冬の装いさえ感じられる季節になりました。
新型コロナウイルス感染症の蔓延も落ち着きを見せてくれている状況にありますが、再び猛威を振るうのではないかとの予想もなされています。インフルエンザの流行にも警戒をしなければならない季節を迎えつつある中、決して油断は禁物です。
さて、今回は「外から見ると、不思議だらけの但馬地域」第五回です。
但馬地域には、寒さに勝るほっこりとした日常があります。
今回は、そんな日常の一コマを切り取ってみました。
第五回:挨拶は心の栄養!
長女が小学生の頃、ピアノを習っていた。
ピアノ教室に車で送り届け、自宅近くに来た頃、同じピアノ教室に通う娘の同級生が道を歩いている。
「ピアノに行くの?」
問いかけると頷く同級生の女の子。
「車で送って上げる」と話しかけ、助手席を進めるが、頑なに拒む彼女。
釈然としないまま、送るのを諦め、自宅に戻る。
夕食時、長女にこの話をすると、「知らない人から話しかけられても、逃げること」を学校で教えられているとのこと。
「人見たら、泥棒と思え」
他人を軽々しく信用してはならないという例えが我が家の周辺では実践されている。
しかし、しかしである。
但馬では、見知らぬ小学生から挨拶をされる。
「おはようございます」
通勤途上で、明るい声をかけてくれる。
眠気はもちろん、前日の嫌な出来事もその瞬間には吹き飛ぶ気がする。
おまけに、横断歩道で子供達に道を譲ると、「ペコッ」と会釈まで頂ける。
子供達だけではない。
単身赴任の悲哀で、ゴミ出しは家族との当番制では無く、私しか居ない。
とある日。カラスよけのネットが上手く拡げられず、悪戦苦闘の私。
そこに現れた救世主の見知らぬご婦人。
「おはようございます。あとは私がやりますので。。。」
「渡る世間に鬼はなし」
但馬には、泥棒も鬼も居ない。
代わりに「女神」が御座すのである。
(但馬県民局長・登日幸治)
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