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更新日:2020年6月17日

意見書 第38号

地方衛生研究所の機能強化を求める意見書

 地方衛生研究所は、厚生労働省が示す設置要綱に基づいて都道府県又は指定都市等が設置する機関であり、衛生行政の科学的かつ技術的中核機関として、地域の公衆衛生の向上に重要な役割を果たしてきた。しかしながら、1994年に保健所法が地域保健法に改められた際、それまで国が一定程度補助していた予算が首長の裁量に委ねられることとなり、地方における行財政構造改革等の影響から大幅な人員・予算の削減が進んだ。

 こういった中、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国は全国の地方衛生研究所をはじめ、民間検査会社を活用してPCR検査の体制の拡充を図っているが、今後予想される新たな感染拡大に備えた体制が十分に整備されているとは言い難い状況である。また、都道府県等によって人口当たりの職員数はもとより、検査能力にも大きな地域格差が生じており、地方衛生研究所の機能や体制等の強化が急務となっている。

 よって、国におかれては、地方衛生研究所の法的な位置付けを明確にするとともに、短期及び中長期的な視点から地方衛生研究所の機能や体制を強化するため、下記事項に取り組まれるよう強く要望する。

1 現行の地域保健法等に、地方衛生研究所の役割を明記し、国と地方それぞれの責務を明確にすること。

2 地方衛生研究所がその責務を十分に果たすことができるよう、必要な検査機器や試薬等の確保、検体の運搬をはじめ、必要な予算や人員確保に向けた支援を充実させること。

3 感染症発生時に正確な検査を行うことができる人材の育成に対する支援を充実させるとともに、感染症(ウイルス学、細菌学等)を究める研究者の確保を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和2年6月17日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官   様
総務大臣
財務大臣
法務大臣
厚生労働大臣

兵庫県議会議長 長岡 壯壽