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兵庫陶芸美術館開館20周年記念特別展「丹波焼の美-田中寛コレクションを中心として-」

2025年11月27日

担当部署名/兵庫陶芸美術館企画・事業課  直通電話/079-597-3961

1.展覧会の概要
兵庫陶芸美術館は、全但バス株式会社社長の田中寛氏(1904~81)が収集した丹波焼(丹波篠山市など)と兵庫県内産の陶磁器のコレクションを引き継ぎ、2005年、丹波焼の里に開館しました。
丹波焼は、平安時代末期に常滑焼(愛知県)など東海地方の窯業技術を取り入れて操業を開始し、中世には壺・甕・擂鉢を中心に無釉の焼締陶器を生産しました。この時期に作られたものは、焼成によって茶褐色に発色した土肌や窯の中で燃料の薪の灰が器肌に降りかかり、それが溶けてガラス化することによって現れた鮮緑色の自然釉が見どころとなっています。
近世には、窖窯から登窯へと窯の構造が転換し、土部の塗布や釉薬の施釉など、多彩な装飾技法を取り入れて色鮮やかな世界を展開しました。江戸時代前期には、赤茶色に発色する赤土部や緑がかった褐色の灰釉が器面を彩りました。江戸時代中期には、茶色の栗皮釉や漆黒の石黒釉が生み出されました。また、江戸時代後期には、精緻な薄手の器に白土を塗土した白丹波が作られました。各時代の求めに応じて変化してきた丹波焼は、2017年に日本六古窯の一つとして日本遺産に認定され、2018年には田中寛コレクションの丹波焼が兵庫県指定重要有形文化財に指定されました。
本展は、開館20周年を迎えるにあたり、当館のコレクションの母胎である田中寛コレクションを中心として、氏が情熱を注いで現代に受け継いだ丹波焼を紹介し、その魅力に迫ります。

2.展覧会の見どころ
(1)全国有数の丹波焼コレクション
「田中寛コレクション」の丹波焼は、質や量ともに全国有数の丹波焼コレクションを形成しています。本展では、丹波焼が誕生した平安時代後期から発展を遂げた室町時代、さらには新たな展開を見せた江戸時代、続く明治時代までの丹波焼を紹介します。

(2)器肌に表れた多彩な表情
自然釉とは、焼成の際、燃料となる薪の灰が器面に降りかかり、それが溶けてガラス質の釉薬のようになったものです。焼成温度や炎の影響を受けて、濃淡のある緑色を呈した釉流れや表面が焦げて黒ずんだ様子など、器肌に多彩な表情を見せます。他方、赤土部は、容器の水漏れを防ぐために器面に土部を塗ったものが赤く発色したもので、丹波ではこれを赤土部と呼んでいます。火表(ひおもて)と火(ひ)裏(うら)で器肌の発色に微妙な違いが生じ、グラデーションが表れます。自然釉の素朴な味わいや赤土部の色合いなど、個々で異なる器肌の表情が見どころです。

(3)バラエティに富んだ装飾技法
丹波では、江戸時代に至り土部の塗土とともに釉薬の施釉が行われるようになり、多彩な装飾技法が展開されました。初期には灰釉が、中期には栗皮釉やいわゆる石黒釉が器面を彩りました。後期には、器面に白土を塗土して白色の器肌の白磁をめざした白丹波が生み出され、その上から色絵具や鉄絵で文様を施した洗練されたやきものが作られました。それぞれの釉薬とともに用いられた「貼付(はりつけ)」や「釘(くぎ)彫(ぼり)」、「筒描(つつがき)」など、さまざまな器面装飾をお楽しみくだい。

3.会期 2025年12月6日(土曜日)~2026年2月23日(月曜日・祝日)

4.開館時間 10時00分~17時00分 ※入館は閉館の30分前まで

5.休館日 月曜日
       ※1月12日(月曜日・祝日)・2月23日(月曜日・祝日)は開館
       ※12月31日(水曜日)・1月1日(木曜日・祝日)・1月13日(火曜日)は休館

6.観覧料 一般700(600)円、大学生600(400)円、高校生以下無料
       ※( )内は20名以上の団体割引料金
       ※70歳以上の方は半額
       ※障害のある方は75%割引、その介助者1名は無料

7.会場 兵庫陶芸美術館(丹波篠山市今田町上立杭4)
 
8.主催 兵庫陶芸美術館、丹波新聞社

9.後援 兵庫県、兵庫県教育委員会

10.協力  丹波立杭陶磁器協同組合

11.関連イベント
◆ワークショップ「小壺を作ろう」
日時:2月21日(土曜日)10時00分~15時00分
講師:当館陶芸指導員
会場:当館エントランス棟1階工房
定員:20名(事前申込制、応募者多数の場合は抽選)
参加費:有料
応募締切:2026年1月28日(水曜日)16時00分必着

◆当館学芸員によるギャラリートーク
日時:12月20日(土曜日)、1月10日(土曜日)、2月14日(土曜日)
           いずれも11時から1時間程度 
           ※参加には当日の観覧券が必要です。

※各イベントに関する詳細は、お問い合わせください。 

12. その他
展覧会を含め各イベントにつきましては変更・中止なる場合があります。最新情報は、当館ホームページ等でご確認ください。