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更新日:2023年8月25日

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小児筋電義手バンクへの応援~子どもたちの“夢・希望”実現のために~

小児筋電義手ユーザーの女の子小児筋電義手バンクでは、皆様からのご寄附をもとに、訓練用筋電義手の確保・貸出等を行っていきます。

 

小児筋電義手バンクの設立趣旨

小児用筋電義手 装飾義手 能動義手

左から筋電義手、装飾義手、能動義手

筋電義手(きんでんぎしゅ)という義手をご存知ですか?
義手というのは、生まれつきや、事故や病気などによって手を失ってしまった人が使用する人工の手のことです。

義手には、装飾義手という見た目を重視した動かない義手や、能動義手という肩の動きを利用して手や肘の部分を動かす義手、さらには筋電義手という筋肉が収縮するときに生じる微量の筋電位を利用して、本人の意思で指を動かせる電動の義手があります。

特に、筋電義手は、能動義手に比べ、把持力が強い、ハーネスの装着が不要、見た目もよいなど、大人にとっては、社会復帰や社会参加に欠かせない道具の一つです。また、子どもにとっては、お茶碗を持ってお箸で食べる、紙を持ってハサミで切るなどの両手での動作を可能にし、体のバランスを整えるなど、成長過程でのさまざまな利点が挙げられます。

しかし、現在日本で使用される義手の約8割は装飾義手です。特に小児筋電義手については、訓練を受け習熟すれば、約150万円の費用に対して自己負担額0円~37,200円(残りは公費負担)で購入することが可能ですが、訓練用の筋電義手については公費負担の制度がありません。また、子どもの場合、訓練期間は平均2~3年ほどかかり、訓練中に義手が小さくなれば新しい義手へと替える必要があります。さらには子どもの訓練に対応できる医療機関も限られることなどから、あまり普及していません。

兵庫県立リハビリテーション中央病院は、特に子どもの筋電義手の訓練に対応できる全国でも数少ない施設であることから、県内にとどまらず近隣府県からも筋電義手を望まれるお子さんを受け入れています。これまで中央病院や兵庫県が訓練用義手を用意してきましたが、さらに多くのお子さんに対応できるよう、寄附金をもとに訓練用義手を貸し出す「小児筋電義手バンク」を平成26年度に設立しました。

小児筋電義手バンクの事業概要

  1. 小児筋電義手の確保
    1. 筋電義手を使用されている方に、成長に伴い大きさが合わなくなり、不要になった小児用の筋電義手の提供を働きかけます。
    2. 筋電義手の購入やメンテナンス等のために必要な寄附を県民や企業等に広く呼びかけます。
  2. 小児筋電義手の貸出
    提供あるいは寄附をもとに購入した筋電義手を、訓練のために必要な小児に無償で貸し出します。
  3. 他の訓練施設との連携
    連携病院を募り、小児筋電義手の訓練ができる人材を育成するとともに、連携病院を通じた筋電義手の貸し出しを行います。(平成27年10月末現在では、国立大学法人東京大学医学部附属病院と共同事業協定書を締結しています。)
  4. 国産筋電義手の開発支援
    現在、日本で使用されている筋電義手の大多数が、約150万円と高額なドイツ製であり、より軽くて使いやすい、かつ安価な国産の筋電義手開発に向けた取組を実施します。

小児筋電義手バンクをご支援いただいた方の声

小児筋電義手バンク設立後、全国から温かいメッセージとともに多数のご寄附が寄せられました。その一部をご紹介します。

  • 「応援する気持ちを届けたい」
  • 「年金生活のためわずかですが」
  • 「少しでも子どもたちやご家族のお役に立てば」
  • 「バンクの存在が知られ、小児筋電義手に関心を持っていただくことで支援の輪が広がるように、少しでも早く必要としている子どもたちに届けられるように」

中には、千羽鶴を届けてくださった方や、二度三度と寄附してくださる方、また、ご夫婦やご家族で、職場や地域でと多方面からのご寄附が寄せられています。

小児筋電義手バンクは、子どもたちやそのご家族をはじめ、関わるスタッフも、多くの方々の温かい思いに支えられています。

小児筋電義手バンクからの貸与実現

平成27年3月12日には、全国の皆さまからのご寄附をもとに、奈良県の竹田歩叶(たけだほのか)ちゃんと兵庫県の女の子に、小児筋電義手バンクからの初めての貸与が実現しました。

貸与式の様子 

初めての貸与を記念して、兵庫県庁で貸与式を実施しました。知事から筋電義手を受け取る歩叶(ほのか)ちゃんです。早速装着して筋電義手をグー、パーとひらいてみました。そして、「ビーズをやってみたい」「鉄棒やうんていをやってみたい」と夢を話してくれました。

バンクには、平成29年度末までに64,196,083円(439件)の寄付が寄せられ、49人の子どもたちに義手を貸与しており、皆さん頑張って訓練に励んでいます。

竹田さんご一家からのメッセージ

バンクからの貸与第1号となった奈良県の竹田歩叶(たけだほのか)ちゃんのご両親の竹田孝典さん、竹田緑さんからのお礼のメッセージをご紹介します。

 

バンク設立後、筋電義手貸与第1号に選んでいただいて、大変恐縮いたしておりました。

奈良では、残念ながら、病院や施設がありませんでした。私どもも、手探り、手探りで、ようやく兵庫県立リハビリテーション中央病院にたどり着くことができました。そして、何度か受診させていただいた頃、「小児筋電義手バンクからの貸与者の第1号に選ばれたよ」と言っていただき、突然のことで、夫婦で大変驚き、喜んだのを覚えております。本人が、一番喜んでいました。また、いただいたのは、義手もそうですが、何より本人の自信です。

縁あって、主治医の先生やセラピストさんをはじめとする病院職員の方々、幼稚園の先生方、生駒市や兵庫県の職員の方、報道の方、またその報道を見てくださり、応援してくださる一般の方々・・・、この半年、筋電義手を通じて、いろんな方々の、お力、また、人の温かさも痛感いたしました。

今後も、本人含め、家族で支えあっていきたいと思っております。この御恩は、私達家族は一生忘れることはできません。本当にありがとうございました。

歩叶(ほのか)ちゃんの訓練の様子

歩叶(ほのか)ちゃんは、月2回ほど奈良県から兵庫県まで訓練に通っています。平成27年9月24日には、ビーズのブレスレット作りと鉄棒の前回りにチャレンジしました。

訓練の様子  

作業療法士さんにブレスレットの長さやビーズの色の組み合わせを相談しながら作っていきます。左手で糸を持ち、右手でビーズを通していきます。40分くらいで歩叶(ほのか)ちゃんにぴったりなブレスレットができあがりました。完成後はブレスレット作りに使った道具のお片付けもしっかりします。

 

「できたよー」と歩叶(ほのか)ちゃんが自分で作ったブレスレットを見せてくれました。歩叶(ほのか)ちゃんの左手の筋電義手にキラキラとブレスレットが輝いています。

お昼ごはんのあとは、鉄棒です。

   

歩叶(ほのか)ちゃんは、「鉄棒やうんていをやってみたい」という夢を語ってくれました。ただ、鉄棒にぶら下がるといったことが、体重を支えることができない筋電義手では無理でした。そこで、病院スタッフが鉄棒用の義手を考案しました。

最初の頃は戸惑いもあった歩叶(ほのか)ちゃんですが、何回も何回もチャレンジして、最近では一人で前回りができるようになりました。

この日も周りの大人が「そろそろ終わりにしようか」と声をかけるまで、もう1回、もう1回と練習していました。

小児筋電義手バンクへの寄附実績(令和4年度末時点)

これまでの寄附金の状況は以下のとおりです。

 

  H26年度 H27年度 H28年度 H29年度 H30年度
ふるさとひょうご寄附金 25,278,820 10,653,421 14,355,182 4,949,121 3,382,865
(社福)人兵庫県社会福祉事業団※ 3,532,082 1,374,993 1,980,000 2,072,464 17,872,443
合計 28,810,902 12,028,414 16,335,182 7,021,585 21,255,308
  R元年度 R2年度 R3年度 R4年度 合計
5,221,020 2,214,661 1,793,229 21,586,000 89,434,319
1,560,000 46,620,059 90,000 70,000 75,172,041
合計 6,781,020 48,834,720 1,883,229 21,656,000 164,606,360

 

 

 

皆様からの寄附金を使って購入した小児筋電義手によって訓練中の方も含め、計70名の方へ貸出が行われました。(令和4年度末時点)

※社会福祉法人兵庫県社会福祉事業団(小児筋電義手の訓練及び小児筋電義手バンクの運営を行っている兵庫県立福祉のまちづくり研究所の運営法人)でも寄附を受け付けております。

ロボットリハビリテーションセンターのスタッフからのメッセージ

小児筋電義手の訓練及び小児筋電義手バンクの運営は、兵庫県立福祉のまちづくり研究所ロボットリハビリテーションセンターで実施しています。

ロボットリハビリテーションセンターは、ロボット技術を応用したリハビリテーションの実践の場です。
ロボット技術を搭載したリハビリ機器を用いた先端リハビリ訓練と、医療スタッフや身体障害者・高齢者のニーズに基づく研究開発を実施しています。

陳隆明センター長をはじめ、リハビリ現場に携わる理学療法士・作業療法士、国産の筋電義手開発に関わるエンジニアの思いなど、株式会社NTT西日本ルセントによって運営されているポータルサイト「ドリームアーク」のICTレポートで取り上げていただきました。

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