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更新日:2024年6月14日

意見書 第33号

大規模地震災害を見据えた上水道施設の強靭化を求める意見書

 

 令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、最重要のインフラであるべき上水道施設の大規模地震に対する脆弱性が明らかになり、被災地の住民生活を一層困難にするとともに、復旧・復興の大きな支障となった。

 被災地石川県内では一時、約11万戸余りが断水したが、国の上下水道地震対策検討委員会での報告によると、発災15日後時点の断水戸数の断水率は能登半島地震48.3%、東日本大震災19.2%、熊本地震2.9%であり、能登半島地震による断水率が高い状況であったことがうかがえる。

 珠洲市と輪島市では浄水場が被災し、河川から水を取り込む取水口や浄水場から配水池まで送水する水道管が壊れるなどし、復旧が遅れた。能登町でも、浄水場から送水する水道管が土砂崩れにより想定以上に破損し、修繕に時間がかかった。

 現行の地方財政法では、上水道事業は公営企業と位置付けられ、水道料金で施設の整備費に充てる独立採算が原則となっている。しかしながら、能登半島地震の被災状況を教訓にすれば、国民の安全・安心を守ることは国の責務であり、憲法に規定する生存権の保障と考えられることから、上水道施設の強靭化について国の抜本的関与と公費負担が必要と考える。

 また、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70%から80%とされるなど、本県を含め大規模地震の危険性が切迫しており、水道施設の強靭化は喫緊の課題である。

 よって、国におかれては、下記事項に取り組まれることを強く要望する。

1 上水道施設の耐震化等のため新たに手厚い助成制度を創設すること。

2 上水道事業の耐震化等に対して新たな繰出基準を創設し、各地方自治体に対し水道施設の耐震化等に必要な地方財政措置を講じること。

3 個人負担とされている上水道の給水装置の修繕費について、大規模災害時には一括して地方自治体等が工事を発注することが復興・復旧を円滑化することから、公費負担の在り方も含めた制度設計を進めること。また、被災地の水道工事業者等の不足に対処するため、水道工事業者等の広域応援体制を構築すること。

4 大規模災害を見据えた上水道施設の耐震化等や発災時の早期復旧を推進するとともに、地方自治体の必要な財源を確保するために、上水道施設の強靭化のための法整備を行うこと。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

令和6年6月13日

兵庫県議会議長 内藤 兵衛

衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 尾辻 秀久 様
内閣総理大臣 岸田 文雄 様
内閣官房長官 林 芳正 様
総務大臣 松本 剛明 様
財務大臣 鈴木 俊一 様
厚生労働大臣 武見 敬三 様
国土交通大臣 斉藤 鉄夫 様
国土強靱化担当大臣、内閣府特命担当大臣(防災) 松村 祥史 様

 

 

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FAX:078-362-9031

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