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ようこそ知事室へ
本日、第360回兵庫県議会の開会にあたり、県政推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に敬意と感謝を申し上げます。
また、新型コロナウイルスの医療現場を支えていただいている医療従事者や関係者の皆様、そして感染防止対策にご協力いただいている県民や事業者の皆様に、改めて感謝申し上げます。
(故原吉三県会議員の逝去)
原吉三議員が、去る11月10日に逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
原氏は、平成3年、兵庫県議会議員に初当選されて以来、連続8期31年余の長きにわたり、兵庫の発展に尽力してこられました。
この間、第112代兵庫県議会議長をはじめ、全国都道府県議会議長会副会長、県監査委員など要職を歴任されました。誠実で責任感あふれるお人柄と、卓越した行動力をもって、県政の推進に多大な貢献をいただきました。
生前の数々のご功績をしのび、衷心より感謝の誠をささげますとともに、心からのご冥福をお祈りします。
次に、提出議案の説明にあわせて、諸般の報告をいたします。
まず、新型コロナウイルス感染症及び物価高騰への対応と補正予算についてです。
新型コロナの新規感染者数は、10月中旬以降、再び増加傾向が続き、第8波に入ったと見られます。本格的な冬の到来を控え、新型コロナと季節性インフルエンザとの同時流行による発熱患者の増加が懸念されます。こうした状況を踏まえ、先月18日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開催し、県医師会等と連携して医療提供体制の強化などを進めていくこととしました。
また、原油・原材料価格の高騰を受け、消費者物価、企業物価ともに上昇し、県民生活や事業者の経済活動への影響が続いています。あわせて、ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締め等を背景とした海外景気の下振れにより、本県経済への影響が懸念されます。
先般、政府において「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が決定されました。本県としても、この経済対策を活用し、緊急性の高い、事業者や生活者への支援を実施するとともに、新型コロナ対策や高病原性鳥インフルエンザ対策を推進するため、補正予算を編成することとしました。
その1は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策の推進です。
第8波とインフルエンザの同時流行に対応するための医療提供体制の強化のほか、保健所やワクチン接種体制などについて、事業期間の延長等に伴う必要額を追加します。
同時流行対策として、流行期に診療時間の拡大や休日開院を行う発熱等診療・検査医療機関などに協力金の支援を行います。
また、第7波の医療逼迫時に抗原検査キットが不足したことを受け、事前に県が確保し、必要に応じて医療機関等へ配布します。高齢者施設等の従事者に対する集中的検査については、検査回数を原則週2回に拡充します。
ワクチン接種の更なる促進を図るため、年末までをワクチン接種強化期間として、普及啓発を強化しています。県接種会場では、利便性を高めるため、予約なし接種を再開するとともに、夜間の接種日を増やしました。
県民の皆様には、今一度、基本的な感染対策の徹底のほか、インフルエンザを含めた積極的なワクチン接種をお願いします。また、医療逼迫時には、重症化リスクの高い患者や子どもの患者が速やかに受診できるよう、重症化リスクの低い方については、自己検査及び自宅療養にご協力いただきますようお願いします。
その2は、県民生活の安定化に向けた支援です。
光熱水費等の上昇の影響を受けている私立学校や医療機関等に対し、一時支援金を支給します。生活困窮者やヤングケアラー等に対して食品配布などのサポートを行う体制構築を支援するとともに、生活困窮者の支援ニーズの増加を踏まえ、相談体制を強化します。
物価高騰に直面する県民生活を支援し、消費の落ち込みを回復させるため、商店街などが取り組む期間限定のプレミアム商品券の発行などを支援します。
また、国の総合経済対策に呼応し、妊娠期から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援を一体的に行う出産・子育て応援交付金を市町に交付するほか、9月に起きた静岡県での園児バス置き去り事案を受け、幼稚園や特別支援学校などの送迎用バスの安全装置改修などに対して支援します。
その3は、事業者の経済活動への支援です。
まず、中小企業等に対する支援の強化です。
省エネやコスト削減に資する設備を導入して、新事業へチャレンジする中小企業者に対し、支援します。金融機関による事業者の経営改善や成長力強化を促す伴走型支援について、支援期間を延長するとともに、支援対象事業者を拡充します。無利子・無保証料融資の返済本格化に伴う借換需要の増加に対応するため、伴走型経営支援特別貸付の要件を拡充するとともに、企業再生貸付にコロナ対応分を創設します。また、地場産業の中でも、製造工程において国の燃料価格激変緩和対策の対象とならないLPガスの使用量が特に多い事業者に対し、一時支援金を支給します。
継続した観光需要喚起のため、12月27日までの「ひょうごを旅しようキャンペーン・ワイド」を令和5年1月以降も延長します。また、インバウンド需要の本格回復に対応するため、万博時のフィールドパビリオンの展開も見据え、古民家等を活用した宿泊施設と地域のコンテンツをつなぐモデルツアーの造成やインバウンド対応可能なガイド育成などに取り組みます。
次に、農林水産事業者への支援の強化です。
耕畜連携は、化学肥料や飼料高騰対策だけでなく、飼料の自給率向上や環境負荷の軽減にもつながります。家畜ふん堆肥等を活用した農作物生産や、自給飼料の増産を進める地域や農家の取組に対して支援します。
既に実施している生産コスト低減機械や施設園芸の省エネ機器等の導入支援は、申請状況をふまえた事業費を追加計上します。
国庫補助を活用し、産地競争力を強化するための農業機械導入を支援するとともに、収益強化や規模拡大に取り組む畜産農家の牛舎整備を支援します。また、間伐や路網整備、高性能林業機械の導入を支援します。
その4は、県民の安全・安心の基盤づくりです。
防災・減災、国土強靱化加速化対策事業について、治水などの事前防災対策、社会基盤施設の老朽化対策、迅速な復興を支える道路ネットワークの整備促進を図ります。
その5は、高病原性鳥インフルエンザ対策です。
11月13日、たつの市の農場で、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されました。約4万4千羽の殺処分や鶏舎の消毒など一連の防疫措置と殺処分鶏の焼却処分をすべて完了しました。今後、更なる発生を防ぐため、県内すべての養鶏場に対して消毒の徹底を指導するとともに、異常発見時の早期通報や最大限の防疫対策を徹底するなど、改めて周知を図っていきます。また、各種広報媒体を活用し、鶏肉・鶏卵の安全性に関する情報発信を行います。
なお、職員の給与改定については、県人事委員会勧告を踏まえ、国に準じて給料表の引き上げを行います。期末・勤勉手当についても勧告どおり引き上げを行います。
以上が、補正予算案の主な事業です。
次に諸般の報告をします。
第1は、兵庫の強みを活かした産業の育成です。
(スタートアップの育成)
まず、スタートアップの育成です。
スタートアップ事業者などが有する技術と地域の課題をマッチングさせる「ひょうご TECHイノベーションプロジェクト」について、協働実証実験の中間報告会を開催しました。学校敷地内での超音波機を用いた鹿の忌避効果など、いずれのプロジェクトも着実に成果を出しており、中小企業やスタートアップが持つ既存の技術が新たなイノベーションを生み出す可能性を感じました。
また、学生や若手起業家によるビジネスアイデアを発掘するため、3月に「スタートアップ甲子園」を大阪府と共同で開催します。SDGsの達成をめざすビジネスプランを募集し、次世代のアントレプレナーシップの醸成を図ります。
(首都圏プロモーション等の展開)
「シリ丹バレー構想」を推進する丹波地域では、古民家や空き家を有効に活用しながら人材を呼び込み、地域発のイノベーションも生まれています。東京への一極集中を是正し、こうした動きをさらに広げることで、ヒト・モノ・投資が集まる兵庫をつくっていかなければなりません。
先月22日、東京で「企業誘致セミナー」を開催し、トップセールスを行いました。充実したインフラ、次世代産業のポテンシャル、SDGs等の兵庫の新しい取組などをPRしました。
また、企業立地の受け皿づくりも重要です。交通網の発達によって市街化調整区域への立地のニーズが高まっていることから、都市計画審議会に専門委員会を設置し、市町とも連携して区域区分の要否も含めた見直しの検討を進めています。
併せて、首都圏をターゲットに、観光と特産品のプロモーションを展開しています。作り手の思いが込められた兵庫の伝統工芸品や、地域で守り育んできた食材を活かした逸品に触れることで、兵庫デスティネーションキャンペーンのテーマである「兵庫テロワール旅」のコンセプトを実感してもらい、兵庫への誘客につなげます。
(県産農林水産物等の認知度向上・販路開拓)
県産農林水産物などのブランド力を高め、国内外に発信することが大切です。先月から来年の3月にかけ、県産農林水産物の新たな需要先となる海外市場を開拓するため、香港やマレーシア、フランスで、農・食・観光が一体となったプロモーションを実施します。また、神戸ビーフについても、アメリカやオランダ、フランスで、その歴史や魅力のPR及び食べ方の提案等のプロモーションを行い、更なる需要拡大を図ります。
(スマート農業の推進)
ドローンを使った農薬散布など、各地でスマート農業の取組が始まっています。県では、スマート農業技術の普及に向け、産地の課題や企業が有する技術情報を集約・発信するプラットフォームを構築しました。スマート技術に長けた民間コーディネーターを中心に、産地と企業をマッチングすることで、適正かつ速やかなスマート技術導入を図ります。
(有機農業の推進)
有機農業への関心が高まっています。県では、全国に先駆け、人と環境にやさしい農業として、有機農業をはじめとした環境創造型農業を進めてきました。今後は、SDGsの取組拡大など農業を取り巻く情勢変化に対応し、地域資源の活用や温室効果ガスの削減といった新たな視点を取り入れていく必要があります。今後、新たに検討会を設置し、さらなる取組強化に向けた検討を行います。
(全国豊かな海づくり大会兵庫大会の開催)
天皇皇后両陛下の御臨席のもと、第41回全国豊かな海づくり大会兵庫大会を11月13日に明石市で開催しました。式典では、若い世代が日頃の実践活動を紹介したほか、マダイやヒラメの稚魚の放流行事を行うなど、豊かで美しい海づくりに向けた本県の取組を全国に発信しました。豊かな海づくりフェスタ2022をはじめ県下各地の関連行事会場では、多くの来場者で賑わいました。
大会を契機として、県民総参加の豊かな海づくりの取組をさらに広げていきます。
第2は、地域の魅力づくりです。
(大交流圏の形成)
11月初旬、3年に1度の瀬戸内国際芸術祭が開かれている香川県直島を訪れました。建築・現代アートと島の自然・風景が織りなす世界を目当てに多くの方で賑わい、世界的イベントであることを肌で感じました。兵庫はその瀬戸内と関西の結節点にあります。集客力の高い両エリアをつなぐことで、兵庫が要に位置する大交流圏の形成をめざします。
大阪・関西万博が開催される2025年には、瀬戸内国際芸術祭が開催される予定です。芸術・文化・自然・歴史などをテーマとして、せとうちDMOや香川県等と連携した取組を検討します。他方、関西広域連合や大阪府等とともに、世界共通の社会課題の解決策を提示するという、大阪・関西万博の理念を具体化するための取組を進めていきます。
それらの核となる取組が、フィールドパビリオンです。現在、県内各地からSDGs体験型地域プログラムを募っています。12月16日の強化募集期間終了後、有識者等の審議を経てプログラムを認定し、誘客コンテンツとしての磨き上げを行っていきます。
また、「ひょうごはじまり館」がオープンし、「初代県庁館」とともに、兵庫津ミュージアムとして全面開館となりました。兵庫県の成り立ちや五国の多彩な魅力を発信する拠点施設として、民間とも連携して県内外からの集客を図ります。
(スポーツの振興)
3年ぶりとなる「神戸マラソン」を11月20日に開催しました。安全・安心な大会運営のもと約2万人のランナーが神戸の街を駆け抜け、沿道の温かい拍手がランナーの背中を押し、人々の笑顔が溢れました。
また、eスポーツの集客力や経済効果に着目し、地域活性化の可能性を検証する実証事業として、「HYOGO eスポーツフェスタin城崎温泉」を開催しました。
他方、加東市出身の蝉川泰果選手が、男子ゴルフの日本オープン選手権で95年ぶりのアマチュア優勝を飾り、尼崎出身の堂安律選手は、サッカーワールドカップのドイツ戦で見事なゴールを決め、私たちに大きな感動を与えてくれました。
スポーツの多様化が進む中、それぞれのスポーツの持つ力を地域の活性化に一層つなげていけるよう取り組んでいきます。
(高規格道路ネットワークの整備)
11月28日、国土交通省から播磨臨海地域道路のルート計画案が示されました。全国屈指のものづくり産業の集積を誇り、カーボンニュートラルポートの形成も見据える当エリアの発展に向けて、播磨臨海地域道路の整備は不可欠です。市町と連携し、インターチェンジへのアクセス道路等を含めた都市計画案の検討を進め、早期の都市計画決定を目指します。
第3は、安全安心社会の構築です。
(津波一斉避難訓練)
南海トラフ地震や日本海沿岸地域地震を想定し、11月2日、津波一斉避難訓練を実施しました。尼崎市内の幼稚園では、スピーカーを登載したドローンによる避難の呼び掛け、神戸市内の聴覚特別支援学校では、高台への避難を促す津波フラッグの啓発など、沿岸18市町の355施設・約11万人が訓練を行いました。引き続き、県民の防災意識の向上と地域防災力の強化を図ります。
(盛土規制法への対応)
盛土等に伴う災害の防止も喫緊の課題です。本年5月に成立した盛土規制法について、国の基本方針案が示されたことから、先般、副知事をトップとする部局横断の対策チームを設置しました。今後、対策チームが中心となり、盛土の危険性の高いエリアの抽出や、県内市町・隣接府県との調整を進め、実行性ある規制区域の指定に繋げることで、県民の安全を第一とした宅地防災を推進していきます。
(課題を抱える妊産婦への対応)
10月からふるさと寄附金を活用した、課題を抱える妊産婦支援プロジェクトを開始しました。様々な広報媒体で広く寄附を呼びかけ、いただいた寄附金は、出産費用や資格取得支援などに活用します。今月から、ステップハウスとして県営住宅の活用も始めます。
(ヤングケアラーに対する配食支援モデル事業の開始)
ヤングケアラーについても、配食支援を行うモデル事業を開始しました。配食事業者と連携して、ヤングケアラー・若者ケアラーに食事の提供を行うとともに、ケアが必要な家族に対しては、福祉サービスの支援につなげます。このモデル事業により実態を把握した上で、今後の展開を検討していきます。
(てんかんセンター相談窓口の開設)
本日(12月1日)、神戸大学医学部附属病院にてんかんセンター相談窓口を開設します。
てんかん患者とその家族、医療従事者等からの治療に関する悩みなど様々な相談に対応し、地域で安心して暮らせるよう適切な医療や支援につなぎます。
第4は、公民連携の推進です。
(公民連携によるSDGsの推進)
SDGsが企業価値や人材確保に大きく影響する時代が到来しています。公民連携でSDGsを推進するプラットフォームとして、神戸経済同友会と連携し、「ひょうごSDGs Hub」を立ち上げました。
その第一弾事業として、誰もが自分らしく働ける職場づくりを組織のリーダーが宣言する、『「わたし」からアクション宣言』をスタートさせ、県内企業に広く参加を呼びかけています。
10月24日からの一週間は、「兵庫県庁SDGs WEEK」として、SDGs シンポジウムなど50のSDGs関連施策を実施しました。その一つである県庁舎フードドライブでは、本庁舎および3県民局・県民センターにおいて、計1トン近くの食品を寄付いただくなど、取組の輪が広がっています。
また、「SDGs公民共創プロジェクト」として、カーボンニュートラル社会の実現、地域産業のリブランディングなど10の重点テーマを選定し、県内の経済団体との共創により社会課題解決に取り組みます。プロジェクトのキックオフミーティングにおいては、公民連携による“朝”を大切にする取り組み「HYOGO アサ@プロジェクト」として、企業から提供いただいたSDGsに配慮した食材等による朝食ミーティングも実施しました。
(ひょうご女性活躍推進企業認定制度の創設)
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントも、SDGsの重要なターゲットです。
県内企業の女性活躍を促進するため、「ひょうご女性活躍推進企業認定制度」(ひょうごミモザ企業)を神戸市と協働で創設しました。企業が自己診断により現状を数値化・見える化し、一定基準に達した企業を県が認定します。認定企業は女性が活躍する職場づくりに積極的に取り組む企業として、広くPRしていきます。
第5は、今後の行財政運営です。
(今後の財政運営)
新年度の予算編成がスタートしました。県政改革方針に基づく取組を着実に進めるとともに、限られた財源の中、各部長等の創意工夫により、選択と集中を徹底し、大阪・関西万博開催に向けた取組や持続可能な地域社会・脱炭素社会づくり、公民連携など新たな施策の展開を図ります。県議会からの予算編成に対する申し入れも踏まえ、県民の期待に応える予算を編成していきます。
これより、提出しました議案について説明します。
予算案件は、さきほど主な事業を説明した「令和4年度兵庫県一般会計補正予算(第3号)」等9件です。補正の規模は、一般会計で965億40百万円の増額、特別会計で1百万円の増額、公営企業会計で41億12百万円の増額です。
財源は、地方創生臨時交付金をはじめとする国庫支出金など有利な財源を最大限、活用します。
条例案件は、「個人情報の保護に関する法律施行条例」、「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」等3件です。
その他案件は、工事請負契約の締結、「公の施設の指定管理者の指定」等14件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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