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更新日:2026年2月17日

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第374回(定例)兵庫県議会 知事提案説明(令和8年2月17日)

第374回兵庫県議会の開会に当たり、議員各位の日頃のご尽力に敬意と感謝の意を表します。
先般、衆議院議員選挙が行われ、有権者の皆様の判断が示されました。今後、物価高対策をはじめ、成長戦略、教育、社会保障といった山積する課題に対し、迅速かつ的確に取り組まれることを期待します。本県としても、国の政策動向を注視し、緊密な連携のもと、「躍動する兵庫」の実現に向けて力を注いでまいります。
それでは、提出議案の説明に先立ち、今後の県政運営に関する所信を申し述べます。

<兵庫の歩みを見つめ直した令和7年>
阪神・淡路大震災から30年、先の大戦の終結から80年という節目を迎えた昨年は、私たちにとって忘れ得ぬ1年となりました。天皇皇后両陛下をお迎えした1月の追悼式典では、防災を学ぶ高校生が、「兵庫の地でつながれてきた教訓のバトンを受け取り、さらに後世まで伝え続ける」と力強く誓いました。また、8月の兵庫県戦没者追悼式では、曾祖父が戦没した硫黄島を訪れた大学生が、「戦没者が命をかけて守ってくれた日本を受け継ぐ責任がある」と語りました。多くの先人が積み重ねてきた苦難や努力に対し、若い世代が敬意を抱き、その歩みを継承していこうとする覚悟に、私は深い感銘を受けました。昨年はまた、大阪・関西万博を通じ、本県の挑戦と再生の歩みを国内外へ発信する機会ともなりました。灘の酒、播磨の金物、但馬牛、丹波焼といった地域の産業・食文化の継承、コウノトリの野生復帰、尼崎運河の再生、そして震災からの創造的復興。万博会場で上映した「ミライバス」のテーマ「兵庫は続ける、乗り越える」のもと、本県が紡いできた物語を広く発信しました。“先人が植えた木陰で憩う私たちは、次代のために新たな木を植える責務がある”。この格言のとおり、今を生きる私たちも、将来世代に誇れる兵庫を築かなければならないとの思いを新たにした1年でした。

<将来世代への責任>
人口減少の加速、気候変動の深刻化、災害リスクの増大、技術革新の急速な進展。社会構造や価値観が揺らぐ時代にあって、県政運営で私が大切にしたいのは、現在の県民生活の安定向上とともに、将来世代への責任を果たすということです。私たちが今日の環境を享受できるのは、過去の選択と努力の積み重ねの結果です。同様に、いま私たちが選び取る判断と行動が、未来の兵庫を形づくります。これから生まれてくる将来世代の暮らしにも想像力を働かせ、希望を手渡していく。そのために、次の4つの視点を重視して県政を推進します。

第1に、将来にわたる安全安心の礎づくりです。
阪神・淡路大震災から学んだのは、県民の命と暮らしを守るためには、いかに事前の備えが大切かということです。安全安心の基盤を確かなものにして、次代に引き継ぐ。このことは何にも増して重要な使命です。自然災害に対する備えはもとより、社会インフラの計画的な維持管理、医療・介護体制の充実、食の安定供給体制の強化など、多角的な視点から取組を進め、安心を享受できる兵庫をめざします。

第2に、地域の力と誇りの創出です。
人口減少が進む中、地域の持続的発展に向けた取組は、容易に成果が見えるものではありません。だからこそ、中長期的な視座を持って挑戦を積み重ねることが不可欠です。次代を担う若者が伸び伸びと自分の可能性を広げられる環境づくり、フィールドパビリオンをはじめとする地域資源の磨き上げと発信、ものづくり力を活かしたイノベーション創出など、地域の力と誇りを高める取組に力を入れます。

第3に、未来から託された資産の保全・継承です。
本県の豊かな自然、美しい景観、長く受け継がれてきた産業・食文化等は、一度失われれば容易に回復できません。これらは先人から受け継いだものであると同時に、将来世代から託された資産とも言えるでしょう。その価値を損なうことなく、次世代に引き継げるよう、森林の適切な管理、豊かな海の再生、地場産業や農林水産業の発展、伝統文化や景観の保全等を着実に進めてまいります。

第4に、財政健全化と未来への投資の両立です。
阪神・淡路大震災によって巨額の財政負担を背負った本県は、不断に改革を推進してきました。しかし、本格的な金利上昇局面を迎えた今、これに対応した財政運営への転換が不可欠となっています。その際には、歳出の適正化とともに、人材育成をはじめとする将来への投資も着実に進めることが、長期的に次の世代の負担軽減へとつながることを忘れてはなりません。この視点を大切に、財政健全化と未来への投資の両立を図っていきます。未来は偶然に委ねられるものではありません。「この判断は将来世代の安心と活力を高めるか」「地域の価値や持続性を損なわないか」。こうした問いを不断に重ね、私たち自身の手で未来を切り拓いていく必要があります。将来世代に胸を張って引き継げる兵庫を築くため、皆様とともに県政を着実に推し進めてまいります。
 

≪新年度の主な施策≫
以下、新年度の主な施策を説明します。

【若者の可能性を拓く】
一つ目の柱は、「若者の可能性を拓く」です。
先日、国が公表した令和7年の人口移動報告では、本県における転入者数から転出者数を差し引いた数は、マイナス約2,100人と、転出超過の状態ではあるものの、前年のマイナス約7,300人から5千人を上回る改善となりました。この増加数は全国1位であり、転出超過数が10年以上にわたって概ね全国ワースト5位以下に位置していた状態から脱し、上位10位台に上昇しました。とりわけ増加が顕著なのは、ファミリー層と20歳代です。背景には、都心部での不動産価格高騰などの影響があると考えられる一方、2年前にスタートした若者・Z世代応援パッケージの効果も一定程度表れているのではないかと受け止めています。しかしながら、改善の傾向が見えたとは言え、本県が依然として転出超過の状態にあることに変わりはありません。引き続き、パッケージの取組を強化し、若者一人ひとりが存分に力を発揮できる環境づくりを推進してまいります。

<「学びやすい兵庫」の実現>
その一は、「学びやすい兵庫」の実現です。

(教育環境の充実)
4月から高校授業料の実質無償化が始まります。公立離れが危惧される中、県立高校の教育環境の充実は喫緊の課題です。これまで特別教室等の空調や生徒用個人ロッカーの整備等を進めてきましたが、さらに体育館や食堂への空調整備を重点強化するとともに、空調が適切に稼働できるようランニングコストの措置を拡充します。部活動用具・校内用具等の整備も一層推進します。また、学校の魅力・特色を磨くカリキュラムの研究や、職業学科における先端機器の導入、遠隔授業の環境整備など、教育の質を高める取組を強化します。私立学校についても、生徒獲得競争が激しさを増す中、特色ある教育の磨き上げ支援や、生活保護受給世帯等への入学金支援を新たに実施します。

(教育費等の負担軽減)
令和6年度から段階的に進めてきた県立大学の授業料等無償化は、新年度から全学年が対象となります。また、令和9年4月には、DX・GX等の専門人材を育成する学部・学科の改編も予定しており、学費負担の不安を抱くことなく、先端の教育を受けられる環境づくりを進めます。奨学金返済支援制度については、12月末時点で、利用者は前年同期比約60%増の1,531人、利用企業等は約35%増の311と、着実に広がりを見せています。新年度は新たに学校法人も対象に加えます。

(次代を担う人材の育成)
海外武者修行応援プロジェクトを拡充し、高校生の対象人数を30名に増やすとともに、大学1年生まで対象を広げ、専門的で高度な分野に挑戦する大学生の留学を後押しします。中学生の部活動の地域展開は、新年度から「改革実行期間」に移行します。市町の取組が円滑に進むよう、企業や関係団体等と連携したコンソーシアムの構築や公認指導者の養成など、多角的な支援を行います。


<「子どもを産み育てやすい兵庫」の実現>
その二は、「子どもを産み育てやすい兵庫」の実現です。

(妊娠・出産支援の充実)
妊娠から出産、産後に至るまで、きめ細かな支援体制づくりが求められています。すでに不妊治療の先進医療費助成や、産後ケア事業の集合契約等に取り組んでいますが、新たに、遠方の産科医療機関へ通院せざるを得ない妊産婦の経済的負担の軽減に向け、通院経費を支援します。また、助産所等の分娩施設や産後ケア施設の設備更新に対する支援を行います。

(子ども・子育て支援の充実)
保育・幼児教育にも力を入れます。慢性的な人手不足の緩和を図るため、実技試験に代わり実技講習の修了で資格取得が可能な地域限定保育士試験を導入するとともに、幼児教育の専門的知見を有するアドバイザーによる訪問指導を開始します。また、医療的ケア児が特別支援学校に通学する際の保護者負担を軽減するため、児童生徒が利用する福祉車両等に看護師を配置します。

(課題を抱える子ども・若者への支援)
全国的に不登校児童生徒数の増加傾向が続いています。その中にあっても、支援員を全校配置した本県の中学校では、昨年度、過去10年間で初めて不登校生徒数が前年度を下回りました。一方、小学校では増加が続いていることから、支援員の全校配置に向けて事業を拡充します。児童養護施設等で育つ子どもたちに対しては、学習塾代の助成や大学進学支援等に加え、新たに職業体験機会を提供します。また、社会的養護を離れたケアリーバーについては、応援企業と連携した短期就労機会の充実など、自立支援を強化します。


<「住みやすい兵庫」の実現>
その三は、「住みやすい兵庫」の実現です。

(子育て世帯への住宅支援)
昨年は本県へのファミリー層の転入超過数が2,800人を超え、近年で最大となりました。この流れを確かなものとするためには、良質な居住環境という本県の強みをさらに伸ばすことが重要です。モデル事業として実施している阪神間での子育て住宅促進区域の取組について、来年度は効果検証を行い、対象地域の拡大を含めた検討を行うなど、住みやすい環境づくりを一層推進します。

(通学路の安全確保)
登下校中の児童の事故を防ぐため、通学路の交通安全対策を強化します。特に、歩道のない通学路において有効なカラー舗装について、経年劣化の激しい区間が増えていることから、見えにくくなったカラー舗装のうち、交通量の多い区間を対象に県内一斉に引き直し、子どもたちの安全を早期に確保します。

(子どもの遊び場の充実)
猛暑が常態化する中、子どもたちが安心して遊べる環境整備も重要です。県立都市公園では遊具周辺や運動施設にミスト装置を設置し、暑さ対策を実施します。


<「働きやすい兵庫」の実現>
その四は、「働きやすい兵庫」の実現です。

(多様な働き方等の推進)
若者の働き方のニーズは多様化しています。中小企業へのテレワーク推進に対する支援を強化するとともに、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を発信するフォーラムを開催します。また、林業に触れる機会の創出、デジタル化が進む建設業界の魅力発信、ものづくりの楽しさを伝えるイベントなど、多様な進路の選択肢を示し、自分に合った生き方が見つけられる機会を広げます。


<若者による政策提案>
若者が抱える課題を解決し、その力を伸ばしていくためには、若者が“サービスの受け手”にとどまらず、政策立案に主体的に関わる経験を持つことも大切です。学生や若手社会人がチームを組んで当事者目線で課題を発掘し、政策提案につなげる仕組みを構築します。これは、若者の主権者意識を高め、地域社会への参画を後押しすることにもつながると考えます。


【安全安心な暮らしを守る】
第二の柱は、「安全安心な暮らしを守る」です。
安全で安心に暮らせる基盤があってこそ、地域の経済や文化は発展し、新たな挑戦も芽吹きます。災害や犯罪、健康不安など、多岐にわたるリスクから県民を守り、誰もが安心して日々を過ごすことのできる環境づくりを進めます。


<防災・減災対策の推進>
その一は、防災・減災対策の推進です。

(大規模地震等への備え)
南海トラフ地震に備える「地震・津波対策アクションプログラム」については、被害想定の見直しを踏まえ、内容を改定します。あわせて、津波浸水の危険性が視覚的に理解できる動画を作成し、住民の避難行動の徹底を促します。阪神・淡路大震災では、密集市街地を中心に火災が甚大な被害をもたらしました。そのうち約6割が電気に起因するものであったという教訓を踏まえ、密集市街地での感震ブレーカー設置を支援します。また、火災・災害現場の状況把握に有効なドローンの活用を広げるため、消防職員の操縦技能向上の取組等を支援します。さらに、災害時の対応力を高めるため、県、市町、消防、自衛隊等が参加する多機関連携型の図上訓練を実施するとともに、大規模災害時の空路による物資・支援要員の受入拠点となる但馬空港について、有利な財源を最大限活用し、防災機能の向上を図ります。

(被災者支援)
能登半島地震では、災害関連死が直接死を上回るなど、避難所等での生活環境の改善が大きな課題となりました。トイレカーに続き、電動簡易トイレやスポットクーラー等の備蓄を進め、被災者の生活の質を守ります。また、家屋被害認定調査や罹災証明書の発行を迅速に行うため、市町と連携し、県内で統一した被災者支援システムを導入します。

(震災の経験と教訓の継承)
昨年9月の創造的復興サミットでは、高校生・大学生が中心となって、震災の経験と教訓をつなぐ「次世代の行動宣言」を取りまとめました。その実践の場として、若者が集い、防災減災活動について意見を交わす交流イベントを開催します。

<県土の強靱化>
その二は、県土の強靱化です。

(地震・風水害対策等)
南海トラフ地震や風水害に備え、緊急輸送道路等の橋梁耐震補強や法面防災対策、河川の改修や堆積土砂の撤去、防潮堤の嵩上げや水門整備等を着実に進めます。あわせて、日常の安全安心に直結するインフラの維持管理も重要です。道路区画線の引き直しや河川堤防の点検前除草といった取組を継続して実施します。


<地域の安全安心の確保>
その三は、地域の安全安心の確保です。

(特殊詐欺等への対策)
特殊詐欺の被害は全国的に増加を続けており、本県においても令和7年は被害件数が前年比約35%増の1,900件超となりました。そうした中、高齢者世帯への自動録音装置配付事業へのニーズは高く、今年度の配付数は当初見込みを大幅に上回る状況です。引き続き配付を進めるとともに、若者・現役世代にはスマートフォン向け詐欺検知システムの体験会を実施するなど、世代に応じた対策を講じます。

(安全安心を支える体制の強化)
防犯カメラ画像捜査が検挙の端緒となった事件は、令和7年の刑法犯検挙全体の約17%を占めます。増加する解析需要に対応するため、警察署にAIを活用した画像解析装置を整備します。

(犯罪被害者等への支援)
犯罪被害者の経済的負担を軽減するため、遺族見舞金、重傷病見舞金に加え、新たに、転居費用に対する見舞金制度を創設します。あわせて、「兵庫県犯罪被害者等支援計画」の改定に向けた検討を進めます。


<医療・介護の充実>
その四は、医療・介護の充実です。

(地域医療の推進)
人口減少が進む中で、地域医療の確保は極めて重要な課題です。医療機関の確保が困難な地域において、診療所の承継に必要な設備の整備を支援します。加えて、医師不足地域でのオンライン診療等の導入を促進するため、医療DXセミナーを開催します。

(県立病院の経営)
県立西宮病院と西宮市立中央病院を統合再編して整備する「西宮総合医療センター(仮称)」が、本年7月に開院します。高度急性期・急性期の医療を担う中核病院として、阪神圏域の医療を支えていきます。一方で、物価上昇等を背景に、全国的に病院経営が苦境に陥っており、県立病院も深刻な状況です。そうした中でも、県民の命と健康を守る最後の砦として、良質で安全安心な医療を提供していくため、病棟の一時休止や診療材料費の抑制などの経営基盤の強化に継続して取り組みます。同時に、診療報酬の確保や地方財政制度の拡充について、国に積極的に要望していきます。

(がん対策の推進)
がん治療は長期化することも多く、収入や社会とのつながりを維持するためには、治療と社会参加の両立が重要になります。医療現場、関係団体、企業等で構成する検討会を設け、両立支援に向けた具体策を検討します。

(介護サービス提供体制の確保)
介護ロボットの導入等によって、介護職員の負担を軽減し、より働きやすい職場づくりを進めるため、県立福祉のまちづくり研究所にアドバイザーを配置し、事業者への伴走支援を強化します。


<ユニバーサル社会の推進>
その五は、ユニバーサル社会の推進です。

(障害者の就労支援)
障害福祉サービス事業所で働く方々の自立と生活の安定のためには、工賃の底上げが不可欠です。商品開発や設備更新、専門家による経営分析など、事業者が行う工賃向上の取組を支援します。あわせて、事業所で製作された商品「ここいろひん」の認知度向上と販路拡大にも取り組みます。

(パラスポーツの振興)
障害者が安全に利用できるスポーツ施設を広げるため、環境改善や介助者利用料の軽減などの民間施設の取組を支援します。また、県内スポーツ施設のユニバーサルデザインの状況をバーチャルで発信していきます。新たなパラスポーツ拠点については、必要な機能や規模に関して有識者や利用者の意見を伺うとともに、有利な財源や民間活力の活用を踏まえて検討を進めていきます。

(ユニバーサルツーリズムの推進)
高齢者や障害者、インバウンドなど多様な旅行者が安心して旅行を楽しめるよう、階段での歩行が困難な方のための避難器具の配備や、避難を呼びかける多言語表示など、宿泊施設等の防災対策の強化を支援し、ユニバーサルツーリズムを促進します。


【地域活力を底上げする】
第三の柱は、「地域活力の底上げ」です。
物価や金利の上昇が企業経営に大きな影響を及ぼし、世界経済も地政学的リスクの高まりから不透明感を増しています。こうした環境下にあっても、兵庫が有する多様で豊かなポテンシャルを最大限に引き出し、県全体の活力向上と持続的成長をめざします。


<産業の振興>
その一は、産業の振興です。

(中小企業の生産性向上等)
深刻な人手不足や物価高騰といった課題に直面している中小企業に対し、設備投資支援を大幅に強化します。人手不足対策としてのDX、エネルギー構造転換対策としてのGXなど、生産性の向上や付加価値の創出につながる投資を加速し、稼ぐ力を高めます。また、経営者の高齢化に伴う事業承継は、地域経済の持続に向けた重要な課題です。専門家の派遣やセミナーの開催を通じて、事業承継への意識を高め、次代の経営者の発掘・育成を図ります。

(地場産業の振興)
神戸空港の国際化は、県内各地の地場産品の海外展開を広げる好機であり、海外向け商品開発や海外バイヤーとのビジネスマッチングを強化します。他方で、海外輸出を巡っては先行きの見通しづらい状況も生まれています。日本酒をはじめとする地場産品の県内消費を一層拡大するため、具体的な方策を検討していきます。

(スタートアップ支援の新展開)
スタートアップ創出の加速に向け、「起業プラザひょうご」の拠点を集約・全県拠点化し、官民連携相談窓口の設置、先輩起業家と学生との交流など、新たな取組も加えて支援を充実します。また、素材・AI・医療等のディープテック領域における大学発スタートアップの育成を、県内大学等と連携して後押しします。なお、スタートアップ支援については、すそ野の拡大だけでなく、より成長性を見据えた取組も大切であり、新年度は支援のあり方について検討を行います。

(「ひょうご経済フォーラム(仮称)」の開催)
地域・社会の課題解決には、多様なステークホルダーが知見を結集し、方向性を共有することが重要です。このため、経済、観光、農業など、各分野で活躍する産業界のリーダーが一堂に会するフォーラムを開催し、時流に即したテーマについて議論を交わします。

(産業立地の促進)
県内の産業用地が減少する中、雇用を創出し、地域経済の活力を高めていくには、用地確保から企業立地に至るまでの一連のプロセスを、一体的かつ機動的に支援することが求められています。このため、多岐にわたる取組を総合的に調整し、迅速に対応できる全庁横断の推進体制の整備を検討します。


<新観光戦略の推進>
その二は、新観光戦略の推進です。

(新観光戦略に基づく誘客強化)
神戸空港の国際チャーター便就航により、神戸空港を玄関口とする新たな人の流れが生まれています。2027年のワールドマスターズゲームズ、2030年の国際定期便就航を見据えて見直した新観光戦略のもと、誘客の取組を加速します。推進にあたっては、オーバーツーリズムにならないよう、量と質のバランスを考慮してインバウンド誘客を図るとともに、宿泊者の約9割を占める国内観光の拡大にも継続して力を注ぎます。

(インバウンド誘客)
新年度は、インバウンド旅行者の県内周遊に向け、二次交通事業者と連携してツアーを造成するとともに、専門のコーディネーターの育成も含めたゴルフツーリズムの強化に取り組みます。また、海外メディア等へのアプローチを広げ、「HYOGO」の海外認知度を高めて誘客につなげます。

(閑散期における国内誘客)
梅雨期や冬季等の観光閑散期には、その時期ならではの体験やフィールドパビリオンを織り込んだツアーを造成し、首都圏等からの誘客を図ります。


<地域の活性化>
その三は、地域の活性化です。

(フィールドパビリオンの展開)
大阪・関西万博を兵庫の発展に活かすため、フィールドパビリオンを推進してきました。当初は不安もありましたが、「地域を元気にしたい」と多くのプレーヤーが名乗りを上げ、現在、プログラム数は270件に上っています。万博関連事業の検証にあたった有識者からは、プレーヤーの意欲的な活動が、地域・分野を越えたネットワークの形成や、地域に対する誇りの醸成につながったと評価されました。この成果を一過性に終わらせることなく、万博のレガシーとして活かしていかなければなりません。専門家派遣による商品化支援、フェスティバルの開催、子ども向け体験ツアーの実施など、引き続き、地域の持続的発展をめざして取組を進めます。

(空き家・古民家の活用促進)
空き家のリノベーション等によって収益を得ながら地域の価値を高めるエリアマネジメントについて、今年度は機運醸成や担い手育成に取り組んできました。新年度は次のステージとして、エリアマネジメント団体の組織化や資金調達支援を開始します。

(地域整備事業の展開)
企業庁の地域整備事業は、会計の収束に向けた抜本的見直しを行いながら、効果的な取組を進めます。淡路夢舞台は、12月に創造的再生の基本方針を取りまとめました。ホテル等の資産の民間への譲渡に取り組むとともに、夢舞台全体の一体的な運用の確保に努めます。播磨科学公園都市では、未利用地の利活用方策を探るサウンディング型市場調査を実施しています。2年後のまちびらき30周年を見据え、持続可能な都市運営に向けた検討を進めます。


<スポーツ・芸術文化の振興>
その四は、スポーツ・芸術文化の振興です。
ミラノ・コルティナオリンピックのフィギュアスケートにおいて、宝塚市出身の三浦璃来選手、木原龍一選手の“りくりゅう”ペアが、団体戦の銀メダルに続き、見事金メダルを獲得されました。歴史的な快挙に、心からの敬意と祝意を表します。お二人のひたむきな努力と、不屈の精神、そして互いを信じ合う強い絆は、私たちに大きな感動と勇気を与えてくれました。改めて、スポーツが人々にもたらす力の大きさを実感したところです。

(スポーツの振興)
本県では、スポーツが持つ多面的な価値を最大化するため、官民連携による「スポーツコミッション」を創設します。スポーツイベントの開催、スポーツツーリズムの推進、さらにはアスリートのキャリア支援などを一体的に展開し、スポーツを軸とした地域力向上につなげます。来年に迫ったワールドマスターズゲームズに向けては、1年前イベントによる機運醸成、ボランティアセンターの開設、運営ノウハウを蓄積するリハーサル大会の実施など、競技団体や市町と緊密に連携し、万全の準備を進めます。子どもたちには、様々なスポーツを体験し、自分に合った競技や新しい魅力を発見してもらいたい。その思いから、新たに「プレミアムスポーツサマー」を実施します。夏休み期間中に県内各地で実施されるスポーツ体験イベントの情報を一元的に発信するとともに、複数競技を無料で体験できるイベントを開催します。

(芸術文化の振興)
「プレミアム芸術デー」は、誰もが芸術文化を楽しめる機会として定着してきました。新年度は従来の鑑賞体験に加え、子どもたちが1つの演劇作品を作り上げるワークショップや、展覧会の内容を子どもたち自身が考案する催しなど、これまでにない体験機会を提供します。


<社会基盤整備>
その五は、社会基盤整備です。

(高規格道路ネットワークの整備)
人々の交流や物流を支える高規格道路ネットワークは、兵庫の活力を生み出す大切な基盤です。大阪湾岸道路西伸部、名神湾岸連絡線、神戸西バイパス、北近畿豊岡自動車道、山陰近畿自動車道など、各路線の早期整備を推進するとともに、この春には、東播丹波連絡道路の西脇北バイパスが開通します。また、播磨臨海地域道路は、引き続き国・沿線市町と連携し、都市計画・環境影響評価手続を進めていきます。

(地域公共交通の維持・最適化)
人口減少が進む中、県民の日常の移動手段を確保していくには、地域公共交通の持続可能性を高めなければなりません。施設送迎やスクールバスとの連携など、限られた輸送資源を最大限に活用しながら、地域の実情を踏まえた公共交通に「リ・デザイン」を進めます。さらに、県内どこでも1枚の交通系ICカードでスムーズに移動できる共通規格プラットフォームを構築し、利便性向上と利用促進を図ります。

【自然との共生を深化する】
第四の柱は、「自然との共生の深化」です。
気候変動が農林水産業に多様な影響を及ぼし、生息環境の変化等から野生動物や特定外来生物による被害も深刻化しています。五国の風土のもとで育んできた暮らしや産業、文化を守り、次代に継承していくため、人と自然が調和した地域づくりを一層推進します。

<農林水産業の振興>
その一は、農林水産業の振興です。

(人と環境にやさしい農業の推進)
本定例会では「人と環境にやさしい農業・農村振興条例」の制定を提案しています。食料生産の不安定化や農山漁村の活力低下が懸念される中、有機農業をはじめとする人と環境にやさしい農業と、その基盤となる農村の持続的発展をめざし、県民全体で取り組むことをめざすものです。新年度は、田んぼの中干期間の延長など、農業者が取り組みやすい環境負荷低減技術の実証・普及を進めるとともに、県民への広報を強化して意識の醸成を図ります。4月に開講する「有機農業アカデミー」では、実践的なプログラムを提供し、担い手を育成していきます。あわせて、本条例や農林水産ビジョン2035に基づく取組を着実に前へ進めるため、全庁的な推進体制の整備についても検討します。

(米の安定供給に向けた取組)
県とJAが長い年月をかけて開発した「コ・ノ・ホ・シ」は、高温に強く美味しいお米として、昨年初出荷し、高い評価をいただきました。1等米比率も、従来の品種を大きく上回っています。引き続き、米の品種改良を進めるとともに、収量向上につながる新技術の実証を行う農家等を支援します。また、稲作就農希望者が働きながら学べる研修制度を新設し、担い手の確保につなげます。

(漁業生産の安定化)
播磨灘の養殖マガキは、本県にとっての重要な水産資源であり、今期の大量へい死は極めて深刻な事態です。来期の種苗購入費を速やかに支援するとともに、原因究明やへい死対策技術の研究、新たな養殖手法の開発など、漁業者と連携し中長期的な対策も講じます。また、兵庫の春の風物詩であるイカナゴの漁獲量も、近年大きく減少しています。このため、人為的に太らせたイカナゴの放流を行い、資源回復の効果を検証します。

(但馬牛の供給力確保)
神戸ビーフの将来需要に応えていくためには、但馬牛の供給力確保が不可欠です。生産者の規模拡大に向け、空き牛舎のマッチング強化や、牛舎のリノベーション支援、分娩間隔の短縮にかかる調査分析など、総合的な対策を推進します。

(高病原性鳥インフルエンザ対策)
12月と1月に県内の農場で高病原性鳥インフルエンザが確認されました。地元自治体等の協力のもと、一連の防疫措置と焼却処分を完了しました。引き続き、発生防止のための消毒や早期通報等の徹底を図ります。なお、これまで補正予算で対応してきた鳥インフルエンザ発生時の対策経費については、迅速な防疫作業の遂行と、適切な事務執行の観点から、当初予算に必要額を計上して備えます。

(森林の適正管理の推進)
森林が有する多面的機能を将来にわたり発揮させるため、適切な管理を着実に進めます。分収林事業は、今後3年間で分収林契約の解約を進め、収益が見込める森林は民間管理へ、見込めない森林は県などの支援による市町管理へと移行し、持続的な森林管理をめざします。


<循環型・自然共生社会の実現>
その二は、循環型・自然共生社会の実現です。

(野生鳥獣の適正な保護管理)
昨年、東北地方を中心にツキノワグマによる人身被害が相次ぎました。本県でも出没は増加傾向にあり、県南部への分布域拡大も見られます。市町長の判断で銃猟を可能とする緊急銃猟制度を円滑に運用できるよう、市町の体制整備を支援するとともに、クマ捕獲従事者の育成を進めます。また、イノシシやシカ等による農林業被害の低減に向け、狩猟免許試験の回数増や、狩猟デビュー研修の実施など、特に若年層の参入を後押しする取組を強化します。

(特定外来生物対策の推進)
ナガエツルノゲイトウやクビアカツヤカミキリなど、自然と農業に重大な影響を及ぼす特定外来生物については、全庁横断の対策本部のもと、被害の拡大防止に取り組んでいます。周辺への拡散の恐れが高い箇所から優先的に防除を進めるほか、新たな防除手法の実証にも着手します。さらに、ふるさと寄附金の活用により、県民からの発見・通報体制を強化します。

(水素利活用の促進)
水素を燃料とする燃料電池商用車の導入促進に向け、本県は国が選定する重点地域の中核地方公共団体に選ばれており、先日、関西初の燃料電池小型トラックの導入が実現しました。新年度は大型トラックも支援対象に加え、水素の利活用を広げます。


【県政基盤を強化する】
第五の柱は、「県政基盤の強化」です。
県政の多様な施策を前へ進めていくため、持続可能な行財政基盤の確立に力を注ぎます。

(財政の健全化)
今回改定した財政フレームでは、経済成長率の上昇が見込まれるものの、それを大きく上回る長期金利の上昇等の影響により、令和10年度までの収支不足額は、従前の160億円から530億円へと拡大する見込みです。また、実質公債費比率についても、令和7年度決算において起債許可基準である18%を超過し、その後も金利上昇を背景に、高い水準で推移すると見込まれます。これまで本県は、震災関連県債や財源対策債の償還に取り組むとともに、類似団体と比較して高い水準の投資事業を実施してきました。その中でも、県政改革の推進に加え、長らく続いた低金利環境の恩恵もあって、収支を均衡させてきました。しかしながら、今後は、本格的な金利上昇局面に対応した財政運営への転換が求められます。一方で、兵庫の発展には、教育や危機管理など、未来への投資を着実に進めることも不可欠であり、財政健全化と必要な投資の両立を図ることが極めて重要です。このため、本県の財政構造を検証したうえで、今後の財政運営のあり方の検討を進めてまいります。あわせて、起債許可団体へ移行することから、投資規模の抑制など適切に公債費を管理するための「公債費負担適正化計画」を策定します。

(効率的・効果的な県政の推進)
効率的・効果的な県政推進に向け、官民の多様な主体が参画するPPP・PFIのプラットフォームを立ち上げ、施設の整備・運営における民間活力の活用を広げていきます。また、加速度的に進化するAIについては、職員がAIを利用できる環境を整え、活用が進んでいますが、さらに県民サービスの向上や業務の効率化につなげるため、有識者による検討会を設け、新たな活用策を検討します。

(ファンドレイジングの推進)
本年度の個人版ふるさと納税寄附額は、過去最高を更新する見込みです。ご支援いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。引き続き、ふるさと納税による寄附獲得を推進するとともに、いただいた寄附金を活用し、本県の様々な地域課題の解決に取り組んでまいります。

(新庁舎等整備プロジェクトの推進)
新庁舎等整備プロジェクトは、12月に策定した基本構想を踏まえ、新年度は基本計画を策定します。策定にあたっては、専門的観点からの助言を得るため、有識者等で構成する検討会議を設置し、機能的でコンパクトな新庁舎の整備や、モトキタエリアのにぎわい創出について、具体的な方針を検討します。また、暫定的な本庁舎の再編に際しては、移転に伴う業務への支障が生じることのないよう万全を期すとともに、本庁舎機能が分散する状況においても、大規模災害に迅速に対応できる体制の強化に努めます。


≪新年度予算の概要≫
これより令和8年度予算の概要を説明します。
歳入は、雇用・所得環境の改善による個人関係税の増加や、堅調な企業業績に伴う法人関係税の増加等によって、県税収入全体は前年度を上回る見込みです。地方交付税等も、給与関係経費の増や地域未来基金費の創設等に伴って増加し、一般財源総額は前年度当初予算を上回ると見込んでいます。歳出は、新型コロナウイルス対策資金の償還進捗に伴って中小企業制度資金貸付金が減少する一方、給与改定による人件費や社会保障関係費の自然増に加え、想定以上の金利上昇に伴い公債費など義務的経費が増加する見込みです。この結果、県政改革方針に基づき、徹底した事務事業の見直しや財源対策を講じてもなお、多額の収支不足が発生しています。安定的な財政運営を確保するため、これまで不測の事態に備え着実に積み上げてきた財政基金を暫定的に活用します。なお、今後の税収の状況など、令和8年度の収支状況を踏まえ、財政基金活用の見送りも検討していきます。
以上により編成した新年度の歳入歳出予算は、
一般会計:2兆3,182億2,300万円
特別会計:1兆8,359億3,100万円余
公営企業会計 歳入:3,434億100万円余、同歳出:3,762億400万円余 となります。


≪条例、その他案件≫
条例については、人と環境にやさしい農業・農村振興条例など18件、その他案件については、兵庫県県政改革方針の変更など20件です。


≪結び≫
宝塚市出身の漫画家・手塚治虫は、青春期に戦争の惨禍を体験しました。空襲への恐怖、飢え、友の喪失。終戦を迎えた時、再び戦火を招いてはならないとの誓いを、固く胸に刻みました。その後生み出された大作『火の鳥』には、古代から未来へと紡がれる人類の営みと生命の循環が描かれています。激しい抗争の末に文明が崩壊する未来編。苛烈な運命に抗い希望をつなぐ生命編・鳳凰編。それらの底流には、「未来は今を生きる私たちの選択と行動によって形づくられる」という強いメッセージが込められているように思えてなりません。将来世代への責任とは、次代に誇れる決断を下す勇気です。先の大戦、そして阪神・淡路大震災という幾多の試練を乗り越え、先人からのバトンを受け取った私たちが、希望と夢を未来へつないでいく責務をしっかりと果たしてまいります。

以上で、新年度の県政推進方針と提出議案の説明を終わります。議員の皆様には、よろしくご審議の上、適切な議決をいただきますようお願い申し上げます。

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