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【発表項目】
知事:
行財政運営方針見直しの一次案について、説明します。
この方針は、これまで知事を本部長とした本部のもと議論してきましたが、この度、(副本部長である)副知事のもと、新県政推進室が中心になって取りまとめたものです。9月に、各分野の進捗方向として、「課題と検討方向」を取りまとめ、その後、具体的な見直し案を検討してきたという状況です。
本日の、見直しの一次案については、「課題と検討方向」で示した方針を踏まえて、副本部長である、副知事のもと全部局で検討を行い、新県政推進室が中心になって取りまとめたものです。方針の名称については、新たな改革を推進していく姿勢ということで、資料にあるとおり、「県政改革方針」という仮称で、定めています。
次の1ページの基本方針ですが、これまで述べているとおり、躍動する兵庫を実現したいということで、のびやかな試行錯誤を繰り返しながら、成長を目指していき、「オープンな県政」そしてSDGsにもあるように、「『誰も取り残さない』県政」、さらには「県民ボトムアップ型の県政」を目指していく方向になります。
2つ目が、持続可能な行財政基盤を確立していくことが重要です。やはり県政のベースは、財政状況が大事で、行財政改革をきっちりと進める中で、将来に渡って、持続可能な行財政基盤を確立していきたい、という思いです。
それからイノベーション型行財政運営の確立と、この3つがポイントになってきます。「イノベーション型の行財政運営」については、次の2ページですが、イノベーションには刷新や革新、新基軸という新たなものを作っていく意味があります。
今後また新しい時代が、コロナ後になっていきますが、職員一人一人が行財政運営について、自ら考えて、施策の運営など創意工夫していきながら、常にイノベーションを行い、時代の変化、それから県民のニーズに合った行政サービスを展開していくことが大事だと考えています。
以下3つのポイントですが、1つ目が新たな事業内容、それから事業実施方法の見直しに重点を置いたビルドです。要は、再構築することを重視した行財政運営をしましょうというものです。2つ目が、データなどの合理的根拠に基づく政策立案を重視していきましょうというものです。3つ目が、透明性向上のために、外部の評価を導入していきましょうというものです。このような新たな手法を活用して、イノベーション型の行財政運営を実現していきたいと考えています。
次が、「財政収支見通し(仮試算)」(3ページ)です。財政収支の見通しが、今後、コロナ禍・後の、中長期的な税収も踏まえたベースになるため、ここがやはり大事なポイントになってきます。その意味でも、中長期的な税収の見通しが予断を許さない状況で、税収の見通しや財政指標をより堅実に見込んで、県民の皆さんに今の本県の置かれている財政状況を分かりやすく伝えていくことが大事だ、と思っています。
1点目の変更について。これまでは税収の見通しを、経済成長率をベースにして、税収の見通しを引き延ばして、税収の見通しを作っていました。内閣府が示している成長率には2つあり、1つがベースラインケースというやや堅実に見たものと、あとは様々な施策をやっていく中で、どんどんと成長していくと考えるやり方の2つがあります。
これまで兵庫県は、どんどんと成長していくという成長志向の指標を使っていましたが、それでは、結果的に税収がどんどんと伸びていく形になっています。それでは財政状況としてはよい方向に寄与していきますが、果たしてこれからコロナを踏まえて、いろいろな税収の見通し、経済動向の見通しも含めて、なかなか不透明な面もあり、その他の自治体でも、やはりベースラインケースをベースにして、成長率を組み立てているものが多かったため、本県としても経済成長率をベースラインケースに変更することにしました。
それから2点目が、県債管理基金への預託金や外部基金の集約の解消等を実施します。これは何かというと、県債管理基金は、県のいわゆる借金を返すために計画的に積み立てている基金ですが、これは当然借金をして、建物を作った場合には、何十年、何年かおきに返済をしていかなければなりません。その返済のために積立をしているもので、事業実施のために借金をしたのであれば、いつの時点で、どのくらいの基金を貯めておかなければならない、ということがルールとして決まっています。
しかし、兵庫県の場合は、阪神・淡路大震災で大きな借金をして財政がかなり厳しかった状況で、あるべき基金の積立額が、若干不足していることが、恒常的にあったところです。ここは、阪神・淡路大震災の影響で、やむを得ない面があるのは、確かにありますが、一方で、今の県の基金の残高を見ると、他の団体から預託金という形で、お金を預かっていたり、外部の基金を県債管理基金に集約するというやりくりがありました。
ここは、県民の皆さんに県債管理基金の残高の実態がどうかということを、きちんと示す意味でも、そのような取組を一旦解消して、結果的に残高が減る形にはなりますが、そこはきちんと見える化しようと、ディスクロージャーをきちんとしていこう、ということを今回考えています。
3点目が、そのような関係で、企業庁とも貸借関係がありましたので、ここもしっかりと整理するということです。
このような形で県の財政状況を、やはり見える化していきましょうということが、今回の大きな方針の1つです。経済成長率をベースラインケースに引き下げて、堅めに見るということ。本来基金にあったと言われていた残高が、実は他の団体からのやりくりであったものを解消し、残高からは外すことにしたため、指標(実質公債費比率)が悪化する形になります。
令和10年度までの7年間の収支で言うと、もともと330億円が総額で不足すると言われていたのが、約100億円増えて440億円の収支不足になります。それから、実質公債費比率ということで、歳出に占める借金の割合で、これは高くなればなるほど、県の財政が厳しいと言われる指標ですが、これについても、17.9%と令和10年度で見込んでいたものが、20.7%になるため、約3ポイント悪化する形になります。
このようにして、今の本県の財政状況がどういう状況にあるのかを、私も就任直後であるために、この機会に改めて県民の皆さんも含めて、ディスクローズ、見える化をしていきたいということです。
今後の見通しについて、実質公債費比率は、県の財政に占める借金返済の割合を示すもので、ここで一番強調したいのが、実質公債費比率のところで、4ページの表が今回の見直し後の試算です。令和3年度から、どんどんと上がっていく状況にあり、18%を超えると借金をするために、これまでは総務省との協議の中で、同意を得られれば事業のための借金ができましたが、許可を受けなければならない水準に、あと数年で到達してしまう形になります。
起債のハードルが上がり、これがさらに上がっていって、25%を超えてしまうと、大きく事業の執行にあたって、起債、いわゆる借金することが、かなりハードルが高くなります。22.6%の令和11年度がピークになっていますが、このあたりでややもすれば若干上振れしただけで、25%を超えるリスクも、顕在化してくる可能性があるため、今のうちから財政状況をきっちりとディスクローズして、事業も見直し、あるべき持続可能な行財政運営をしていきましょうという思いが、今回の一次案にあるということです。
(5ページ)財政状況をディスクローズした上で、事務事業の見直しを、あくまでもスクラップ・アンド・ビルドを重視しながらやっていく形になりますが、今回は、イノベーション型の行財政運営ということで、パイロット版として一部先行的にやっていくものです。
1点目が、新たな事業内容への見直しということ、これからは民間のアイデアやノウハウを活用してやっていきましょう。それから時代の変化に合わせて廃止や縮減をしていきましょう、ということを新たな視点で、するということです。
実際に見直した事業の一例が、6ページに書いてあります。詳細は、また別紙で配布しているもので数十項目になりますが、ここでは例を挙げており、まずは海外事務所の運営経費についてのあり方を見直していきましょうということです。
現在、5つの海外事務所が兵庫県にはありますが、これは他の県と比べても非常に多い状況です。もしも財政がよい状況であれば、当然続けていくことが、国際交流のためにも1つのポイントになりますが。ここまで財政が厳しい状況と、国際交流や経済展開は、行政が何かする面もありますが、基本的な経済であれば、民間の事業者等が主体的にやっていますし、ジェトロや、JICAなど、様々な機関もあるため、県がここまで直営で持つ必要があるのかがポイントになります。
あとは人事の関係でも、現地に派遣すること自体が、かなり厳しくなっている状況があるため、それらを踏まえて、まず5つのうち、ブラジルと西豪州については、来年度1年間、準備をしながら閉鎖に向けての調整をしていくことにします。一旦、ワシントン・香港・パリについては維持しますが、このあり方についても、引き続き検討していきたい、と思っています。直営でするのか、それとも外部に委託して運営ができるのか、様々なやり方があると思うので、この5つのうち、まずは2つを見直します。残り3つについても、これからあり方をしっかりと検討していくものです。
2つ目が、ひょうご地域創生交付金です。市町向けに、県単独事業として、ここ数年、県が市や町に対して交付していますが、当初は、県の基金を活用しながら、交付金を措置して、数年間やっていました。しかし現在は、基金がなくなっている中、兵庫県は、一般財源で、この交付金事業を推進している状況に一部なっています。財政がよい状況の県であれば、もちろんできますが、財政状況の厳しい中、一方で地方創生に関しては市や町に対しても、地方財政措置が講じられており、そもそも国で地方創生の推進交付金ということで、類似の交付金が、市や町向けにあります。その運用がかなり改善してきて、県内でも7割近くの市や町が、その交付金の採択を受けている状況を考えると、県が単独で、あえてやっていく必要があるのかどうかということで、一旦この事業については、やめようという話になります。
3つ目は、ふれあいの祭典についてです。今年は神戸でやりましたが、これは各地域持ち回りで、20年間ずっとやってきたものです。各地域でそもそもいろいろなイベント自体が、協働と参画という趣旨のイベントとしてすでに根づいてきていること。また、関係者からの声を聞くと、なかなかこの祭典の実施自体も、大きな担い手等が、高齢化してくる中で、だんだんと厳しくなっている実際の声もあって、20年たった今、このふれあいの祭典としては見直しをしていくということです。いろいろな地域のよさをPRすること自体は、続けていくべきことだと考えているため、新たな情報発信の仕方も含めて、検討していきたいということです。
4つ目は、出会いサポートセンター事業についてです。県として結婚をアシストしているもので、令和2年からスマホシステムの活用ということで、閲覧数は増加していますが、地域センターが10カ所、これは果たして本当に公が、どこまでするべきなのかという議論も必要です。行政である県が、一人一人のマッチングを果たして直営で、どこまでやっていくべきなのかという議論をした中で、スマートフォンを活用したITの中でのマッチングは、今、増えてきているので、やはりセンターの中で、直接県がマッチングしていくことは。
実際に、この結婚関係については、民間の事業者や、市や町でもかなりやっていることでもあるので、これについては、あり方を検討していくということです。令和4年度中に、今ある10カ所のセンターについては、調整をして、廃止をしていきます。令和5年度以降、出会いサポートセンターそもそもの事業のあり方についても、検討していきたいということです。
そのほかにも、配布している実施計画の中で、見直す事業の一覧表がありますが、事務事業全体を見直していき、令和10年度末までの総額が、事業費ベースで約575億円の見直しで、一般財源ベースで約170億円見直していくことになります。
一旦は見直しをして、社会情勢の変化や、事業そもそものあり方を検討した上で見直しをしつつ、この見直しによる効果額というものが、単年度ベースで出てきます。これは後ほど説明しますが、行革の見直し枠ということで、新たな事業をやっていくことで、来年度予算から新事業に反映させていくように、振り替えていきたい、と考えています。
7ページが、「投資水準の見直し」です。これまで本県は、投資的事業を積極的にやってきましたが、今回、総額の見直しをしてはどうかということです。ベースとなる事業量とは別に、国の有利な起債や、国の補正予算を活用して、別枠事業として、これまでずっとやってきました。それによって、本来は国の地方財政計画の中で、本県の合理的な投資の割合が概ね1.5%程度というのが、全国シェアの中にありますが、それを当てはめてみると、それよりもかなり突出した額を、本県は様々な投資事業に使っていることが分かりました。
これは確かに、財政が安定しているところであればもちますが、本県はなかなか厳しい中で、果たしてこのまま続けていてよいのかという問題提起です。特に、ベースとなる通常事業の水準を超えて別枠事業として、有利な借金や、補正予算を活用していましたが、実は上限が全くなく、付けば付くほどやっていたという状況が、これまで続いていました。
一方で、有利な起債と言いつつも、一部は自治体が直接返済に関して、借金の負担をしなければならないため、これが積もり積もっていくと、どんどんと先ほどの実質公債費比率というか、借金を返す割合が、財政に占める割合がどんどんと悪化していくのではないかと思います。一定の枠の中で、うまく持続可能な投資水準を続けていきたい、というのがここの趣旨です。
そのために令和10年度までの投資事業量に、一定の上限を設けて、その中で事業をうまく調整していくというやり方を、今回、組み入れるということです。
一方、その中で、県民の安全安心に直結するような、地域に身近な道路の改修や、河川の日常的な維持管理については、しっかりとやっていくことが大事であるため、県単独の土木事業に一部を重点的に振り替えて、実施していくこともやっていきたい、と考えています。
8ページ目が、「投資水準の見直し」のもう1つのテーマで、大規模プロジェクトの見直しです。まずはここに掲げている6つが、方向性を打ち出しているものです。
1つ目が、県庁舎の再整備です。これについては、一旦は凍結することを考えています。今の案では700億円程度かけて、県庁舎を、耐震に見合うように建て替えていくことですが、この財政が厳しい状況で、県庁舎だけを建て替えていくことが、本当に県民の皆さんの理解を得られるのかと。
一方で、神戸の地元の皆さんからもですが、この元町エリア全体を俯瞰した、大きなグランドデザインを描いた上で、いろいろな庁舎の整備や、駅前のにぎわいをどう取り戻すかの議論も必要だという声もあり、私自身もそれはもっともだと思っています。
そのため、県庁舎の再整備事業については、一旦は凍結し、立ち止まるというものです。その上で、将来の元町全体のこの地域までのストロークも踏まえた、大きなグランドデザインを描く中で、民間の投資も導入しながら、県庁舎の建替えコストを縮減できないかどうかも、しっかりと検討した上で対応していきたい、と考えています。
当面は耐震化が満たされていない状況をどうするのかも含めて、来年度にしっかりと重点的に検討していって、場合によっては一定程度必要な耐震措置を、まずは暫定的にすることも含めて、これから検討していきたい、と考えています。
2点目が、伊丹の庁舎の新館整備事業ということで、南北の阪神県民局を統合して、伊丹に庁舎を新たに増築するものですが、試算では30億円程度かかるものです。財政が厳しい中で、進めるということは、果たして合理的かというところを一旦、立ち止まっていきたいというものです。
したがって、伊丹の庁舎の増築については、一旦は凍結をします。ただし一方で、この2県民局の統合は、行革の観点からも進める必要があるため、まずは現有する庁舎を活用して、新たな「阪神県民局」としての立ち上げを、令和5年4月を目途に、やっていきます。当面は宝塚などが中心になりますが、これは議論する中で、コロナ後の新たな働き方や、地域全体の業務のあり方を踏まえた上で、もしも、整備が必要であれば、どこにするのかはこれから改めて議論したい、と思っています。
ひょうご障害者総合トレーニングセンター(仮称)ですが、これは現在、埋蔵文化財の調査をしています。一定の埋蔵文化財が出てきたということで、事業を一旦、文化財の関係で、止めている状況にあります。
そこを踏まえて、どういった投資、これから整備のあり方がよいのかどうかも、改めて検討したいということです。もちろん障害を持つ方々から、スポーツセンターを整備して欲しいという声がかなり強いということで、建物自体の必要性は私も認識していますが。
やはり民間投資を導入して、工事費を圧縮したり、より使い勝手のよい整備をして、パラリンピックのパラリストにとってもそうですが、そのような整備のあり方については、一度どのようなやり方がよいのかを、見ていきたいと考えています。
それから4点目の但馬空港の関係です。今、あり方懇話会で議論をしています。コロナでかなりエアラインの財政状況・経営状況が厳しくなっていることがあるので、ここはあり方懇話会の議論も踏まえつつ、慎重に検討していくべきだと考えていることを、ここで打ち出しています。
県立公園の整備・管理について、これは若干、抽象的な書き方ですが、パークマネジメントを大幅に、民間投資を中長期で導入して、民間の創意工夫を生かしてもらい、指定管理料も減らしながら、いろいろな形でにぎわいをもたらすことをやっていきたいというものです。
大規模アリーナの整備ということで、これは前知事時代に、大規模アリーナを、どこかで作りたいという方針が一旦示されましたが。そもそも大規模アリーナ自体は、公共で何百億円もかけて作るのは、今の県の財政にとってはあり得ない状況なので、ここは凍結で、恐らく整備はしない、と考えています。
大規模プロジェクトについては、私が着任した時点で、かなり進んでいるものもいくつかあり、実施したものもいくつかあります。それらも建てた後の運営管理のあり方を、思い切った指定管理の長期化であったり、様々な民間のノウハウを活用したやり方をしていかなければならないと思っています。これからという事業についても、今回、一旦は見直しをしますが、今後も個別に、いろいろな調整を、検討をしていきたい、と考えています。
それから9ページが、「民間活力の活用促進」です。これは、定性的な話になりますが、今後、施設の整備においては民間の資金、それから経営能力、技術能力のノウハウを活用するPFI手法の、優先的な導入の検討を原則とします。
先行導入検討事例について、県営住宅建替へのPFI制度の導入や、先ほど述べましたが、都市公園、県立公園へのPark-PFIの導入も検討していきたい、と思っています。
あとは、これから指定管理について、切替えの時期がありますが、原則公募で指定管理をすることを徹底していきたいと考えています。また現在、指定管理者制度を導入していない県施設についても、原則として公募による指定管理を導入することを原則に検討していきたいというものです。
それから10ページが、「ボトムアップ型県政に向けた組織の再編」です。
今、本庁については5部体制で、私も着任して4カ月が経ち、部長はだいたい11~12人いるのですが、そこを支える組織がスリム化されていたということで、意思決定のプロセスや、どこの課が部長や局長をサポートしているのか、ということがなかなか見えにくいのが正直な状況でした。
これは前知事がかなり長い間やっていたので、そういったマネジメントは自分でできるんだというところで、おそらくそういったスリム化をやっていた面があると思いますが。
やはりこれからは、後ほど言いますが、やはり部局長のマネジメントにしっかりと委ねて、事業や予算編成も含めてやってもらうということがこれからの時代にとっては大事。私自身もそういう県政をしていきたいので、そのためにはやはり各部局長を支えるスタッフをしっかりと充実していくことが大事だと思っています。窮屈な5部体制から、12部体制ということで、普通の行政のマネジメントの仕方に戻していきたい、と考えています。
これらの条例改正をこれからやっていくというもので、新たに財政が厳しくなっている状況を踏まえて、財務部というものも新たに創設することで調整を進めます。
そういった形で部長のマネジメントを強化するということですが、部長のもとにはやはり次長がいて、そして総務課長がいるというのが、オーソドックスな組織のあり方のベースですので、こういった形に戻していきたい、というのが私の思いです。
それから、「その他」の11ページですが、人材育成ということで、新たな人材育成をこれからしっかりとやっていくということで、インターンなどを庁内でやっていくというものです。「マルチワークプログラム」の新設であったり、あとはデジタル化をどんどんと進めていくというものです。
それから公社については、今の県職員OBで65歳以上の人については、一定の期限を区切ってそろそろ、ということをやっています。一方で、公社等のあり方については民間との役割分担や、あとは民間活力のいろいろな施設での積極的な活用を踏まえて、そのあり方について、今後、これは令和4年度以降になると思いますが、存廃も含めてゼロベースで、公社のあり方を見直していきたい、と考えています。
以下、事業の取組は一覧表(12ページ、13ページ)でまとめているのでご覧ください。
それから14ページです。「最終案に向けて今後」は、今日、一次案を出して、15時半から議会の特別委員会でも議論してもらうという形になります。
最終案に向けては、今、仮置きで試算を財政見通しについてやっていますが、令和4年度の国の地方財政対策がどうなるのかを反映するということ、それから経済成長率も最新のものに見直していくということです。
それから事務事業や投資事業の見直しの効果を、今の財政フレームには反映していませんが、これから議論をさらに深めていく結果で、事務事業や大規模プロジェクトをどうするのかということが、概ね見えてくれば、それは反映していく形になります。
そういった形で、令和10年度までの新たな目標を作っていきす。
右の方に書いていますが、財政指標については4つに再整理してしまうというものです。①単年度の収支と②実質公債費比率、③将来負担比率、④経常収支比率、このベーシックな4つの指標で県の財政を県民の皆さんに分かりやすく説明していこうというものです。
県ではこれまで、10個のいろいろな指標があったのですが、これは結局、他の団体にはない指標でもあるので。他の団体と比べる際に分かりにくくなっていたという面があるので、シンプルに4つの指標で、今の県の財政状況がどうかということを、分かりやすく説明していきたい、と考えています。
それから15ページが、今後の「不断の改革に向けた取組」についてで、条例改正を2月県議会に上程したい、と考えています。今、行財政関係の条例がありますが、ここを改正するというもので、名称についても、「県政改革の推進に関する条例」ということで、新しい県政の改革を推進していきたいという思いを名称に込めています。
それから、今回示した方針の名称についても変えるというものです。
また、今の行財政審議会について、多くの業界団体の方々を含めて、いろいろな多様な方々から成り立っている審議会で、これはオール兵庫で行財政運営を進めていくという意味ではこれまではよかったのかもしれませんが。私としては、もう少しここをスリム化、コンパクトにして、より行革や、事業の見直しがしやすい、コンパクトな体制に変えていきたい、と考えています。そういった意味では、外部評価を活用することにしていきたい、というものです。
それから3年に1回見直しをしていくということで、今回まさにそのタイミングでした。3年毎に大きな見直しがあり、いろいろな手続きがあるということで、議会とも一緒にやっていくという意味では、よい面もありますが。やはり行革というのは、毎年度、毎年度やっていく、不断の取り組みが必要だということがあるので、3年を目途とする見直しではなく、不断の見直しをしていくように、この3年というものを解消していきたい、と考えています。
それから2点目が事業レビューの導入ということで、今回は県職員としっかりと議論しながら、一次案の取りまとめを今回やってもらったということですが。これからしっかりと不断の見直しをしていくにあたっては、外部の有識者の方々の視点も大事ではないかということです。
そういう意味で、事業レビューを導入していきたいというものです。PDCAサイクルや、ビルド型の事業の見直し、イノベーション型の行政財政運営を、外部有識者による事業レビューを、数年かけて県の事業を1つ1つ見ていくという仕組み作りを今回、したいと考えています。
以上が全体で、今後のスケジュールですが、今日発表して、議会の特別委員会で調査をしてもらうという形になります。
また市や町の意見も年内に聞き、年明け以降に最終の取りまとめに向けた最終調整をして、2月には最終案を取りまとめて、議会に上程していきます。その際に、令和4年度の予算も提出していく中で、今後のあり方も含めて議論することになります。
以上が県政改革の方針です。
次に、令和4年の当初予算編成です。
「当初予算編成の基本方針」ですが、先ほども説明した「県政改革の方針(仮称)」に基づいて、改革を進めていきましょうということ、新しい財政フレームで財政運営をやっていきましょうということです。それから大事なのが、部局長のマネジメントによる事業の総点検や、新たな施策を作ってもらいたいというものです。
そのための組織を12部に戻すということもしますので、しっかりとこの見直しの視点を、時代の変化や様々な視点を踏まえた民間との役割分担も踏まえてやっていきます。
要求水準については、一般事業枠を拡大したり、あとは新県政推進枠を設定、これはシーリングを20%程度するので、それで8億円程度出てきた財源を新しい県政の、様々な万博であったり、これからの創造的復興を目指す事業に重点的に充てていきたいというものです。
そのために、シーリングということで経常的・政策的経費については、令和3年度から80%の範囲内ということで、2割カットをします。
それから行財政改革の、今回の見直しの効果額も、新たな財源として配分して、よりクリエイティブな事業をしてもらうように見直していきたい、と考えています。
私からはざっとですが、以上です。よろしくお願いします。
記者:
財政状況について。今回の収支の見直しで収支不足額が従来から110億円膨らみました。このことを受けて、知事として、現在の財政状況をどのように見ているのか。
他県ではよく、非常事態宣言を出すところもありますが、そういうレベルなのか。そこまではいかないけれども、相当に厳しいレベルなのか。どのように見ているのかを教えてください。
知事:
今回、一次案ということで出しています。財政状況については、ご指摘のとおり、令和10年度までの収支不足330億円が様々な計数の見直しにより悪化して440億円で、約100億円の収支が悪化する形になります。かなり厳しい財政状況というのは事実です。
これから議論をしていく段階なので、今の時点では財政危機宣言的なものを出す状況ではないのですが、大事なのは、将来にわたって持続可能な財政状況を作っていくことが必要な状況です。
記者:
先ほど、知事は見える化を進めるということでした。見える化によって、かなり財政状況の厳しさも浮き彫りになるという面もあったかと思います。今回、知事として財政方針の見直しを作るにあたって、もっとも悩んだこと、あるいは、決断に時間を要したことがあれば教えてください。
もう1つは、知事選の公約というのか、選挙中の街頭などで、財政調整基金については、100億円くらいが適当なのではないか、という趣旨の発言がありましたが、これについては、今後どのように考えていますか。
知事:
着任して、いろいろな議論をする中で、行財政改革を進めていく中で、事業や大規模プロジェクトの見直しをしていくことも、かなり厳しい判断をしました。
一番大事な点で厳しかったのが、ベースラインケースへの変更や、(3ページの)2番に記載している、県債管理基金の残高です。今の状況は、いろいろな外部からの資金を集めてくる形で、積み立てていたというところが、着任して初めて分かったので、ここを県民の皆さんにリアルな姿で示すのかどうかは、結構悩みました。
一定の理屈と整理の中で、合理的な判断だ、ということで、おそらくこれまで議会にも説明してきた、そういった判断もあったと思います。
そして、指標が悪くなる面もありつつ、ここは県民の皆さんに県の置かれている財政状況を示すことで、20年ぶりに着任した知事として、今しかできない、という判断で、分かりやすく説明する方向に舵を切ったというところが、大きな判断ではあります。
記者:
財政調整基金についてはいかがですか。
知事:
財政調整基金は、公約で掲げました。
一方で、県債管理基金、借金を返すための基金の残高が、私が思っていた以上に不足している割合が、明らかになってきました。まずはこの財政調整基金よりも、この県債管理基金の残高を復元していくために、少しずつ積み立てを計画的にやっていくことを、まずは優先します。
その上で、臨時的な、例えば、土地の売却収入や決算剰余が出た場合などのいろいろな収入が出た際には、財政調整基金の積み立ても含めてやっていく、ということです。財調基金の残高の額を定めてやっていくことよりも、収支に応じて積み立てていくことにせざるを得ない、と考えています。それは正直なところです。
この県債管理基金の見直しをしなければ、急激に税収が減ったり、これまでずっとやっていた事業の借金が積み重なって、実質公債費比率が25%を超えることになってしまうのが、一番リスクです。そうすると、いろいろな大きな投資など、そういったものに、かなりの制約が出てしまいます。そうならないためにも、しっかりと今の財政状況を明らかにして、それをどう改善していくのかを一歩一歩やっていきたい、という思いです。
記者:
県庁舎等再整備について。これまでの計画では、2025年度ということで4年後くらいから、さらに5年間ぐらいで再整備だったかと思います。たいへんに老朽化をしていて、災害に備える、という観点からもスピード感を持って、ということでした。
一部耐震化を講ずることで対応するということでしたが、全体としてこのくらいの時期までに、この程度の再整備を終えたい、という具体的な目途やビジョンはありますか。
知事:
今の計画でも、10年以上先の完成を見据えた姿でした。そもそも耐震化をどうするかの議論が、実はあって、私はそこも含めて議論をこれからしていくことが大事だ、と思っています。
元町の駅からの県庁までのストロークも含めて、県の土地が結構あるので、ここを含めてどういう形がよいのかを改めて議論をしたい、ということです。
その上で、少し中長期的なスケジュールで、10年なのか、場合によっては20年か分かりませんが、そういった大きな視野で、改めて絵を描いていきたいという思いがあります。
その間は、ご指摘のとおり、耐震の基準が、Is値で大きく不足している状況があり、ここは緊急時の拠点性や職員の安全確保もあるので、当面の間は、建て替えに代わる、ある程度の簡易な耐震改修なども視野に入れて検討をしていきたい、と思っています。
一旦、簡易な耐震改修をしつつ、中長期的なビジョンで民間投資の導入も含めて、投資整備のあり方を議論していくという時間軸で、これから考えていきたいと思っています。
具体的なあり方はこれからまた再検討です。
記者:
三宮エリアは再整備が進んでいて、隣の元町もあまり遅れを取るわけにいかない、というのか、一帯となって再整備、という考え方もあるかもしれません。
元町全体のグランドデザインを描いて、民間投資を呼び込むということが書いてありますが、例えば、こういうこと、という具体はあるのですか。
知事:
ここは、これからまた示すことができれば、と思っています。
今、三宮の再開発が進みつつありますが、あれもかなりの規模、期間をかけてやっていくものです。
同じ時期にするのがよいのか、都市というものは再開発が、継続的に同じ地域でやっている方がよいという面もあるので、若干その投資の時期がずれることにも、一定の合理性はある、と思っています。
記者:
今回の行財政運営方針の見直しの一次案を踏まえて。改めて、どのような県政を目指していくのか、知事の言葉をお願いします。
知事:
これから、中長期的に持続可能な県政を運営していくことが大事だ、と思っています。それを踏まえて、未来への様々な万博や企業の誘致もそうですが、子育てなども含めて、いろいろな施策を充実していく上では、財政を持続可能な状況にしていくことが大事です。
まずは、財政基盤を、もう一度見直しを、新たに着任してから実施して、見通しの仕方や仮収支もありましたが、そのような収支の見方や、基金の残高、それから成長の見通しなどについても、改めて県民の皆さんに分かりやすく見える化したい、と思っています。
そうするとやはり、財政状況がかなり厳しいことが、改めて見えたので、そこで大規模プロジェクトについても、今回の一次案で一定の見直しをしています。
これをやはり、スクラップ・アンド・ビルドのビルドにつなげていかなければならないという面もあるので、これから部局長のマネジメントにしっかりと委ねられるようにします。大きな判断は私がしますが、そういった意味で部局長のマネジメントができやすいような組織もしっかりと強くする、よりよいアイデアが出てくるようにしたい、と考えています。
一方で、県には数百の事業があるので、これらについてもこれから、今回はコロナもあって半年間ということもありましたが、じっくりと、この数百ある事業を改めて検証して、修正すべきことは修正していかなければならない、という視点も大事です。外部委員による、事業レビューも投入して、スクラップ・アンド・ビルドをしっかりと仕組みとしてつなげていきたい、と思っています。
記者:
県庁舎の再整備について。県庁舎だけではなく元町エリア全体に広げることも検討して、かつ、民間投資も引き込んで額を下げることも検討していると。
単純に考えるとエリアを広げると額が増えざるを得ないと思うのですが、それを額も抑えて、エリアも広げるとは、どのようにするのですか。
知事:
具体的にはこれからのイメージですが、大きなエリアの中で、公共で投資するところと民間の事業者にも投資してもらえるようなエリア分けができればよい、と思っています。
そうするとご指摘のとおり総事業量としては大きくなりますが、民間の事業者の投資をうまく呼びこむことで、県の庁舎の建て替えについても一定圧縮できるようなやり方も含めて検討していきたい、という趣旨です。
記者:
今、持っている土地に民間が出すお金で何か施設なりが整備できないか、ということですか。
知事:
いろいろなやり方をこれから考えていかなければならないのですが、PFIというやり方もありますし、そもそも県の土地に、民間の事業者の投資を応募するというやり方もあります。
このあたり一帯は大きな広い土地があるので、ここをどのように今の施設も残しつつリノベーションができるかの、大きな絵を描いていきたいという趣旨です。
具体的にはこれからまた検討です。
記者:
これからの財政の収支の見通しの部分について。実質公債費比率のピークが、令和11年となっていて、そもそもこの行財政改革の期間が令和10年度までという話で、知事の任期も4年で、先々を見据えていく話になっていくかと思います。
どのあたりまで県民は我慢しなければならないのか、積極的な財政が運営できるのは、どのあたりまでがピークと知事は考えていますか。それまではどのようなところを抑えていかなければならないのですか。
知事:
ピークが令和11年で、大事な25%を超えて、そのまま発散していく形にならないようにしていかなければならないので、ここを一番見据えていかなければなりません。
そうすると大事なのが、起債をしながら、借金をしながらなので、この数年をしっかりと持続可能な、事業もある程度していきつつ、それが過度になりすぎて、後年度に借金をドンと返さなければならないという状況を作ってしまうと、(財政収支見通し、4ページ)ここが発散していく。要はワニの口のようになってくるので、ここをそのようにならないようにうまく抑えていく仕組みを作っていくことが大事です。
そこは、この数年の仕組みを作れば、投資の枠を作ることもそうですが、必要な事業を優先順位をつけながらやっていく仕組みをきちんと作れば、この範囲内でしっかりと事業やっていきましょう、ということもできます。今はそこがなくて、例えば投資事業もこのようになっているので、有利な借金や国の補正予算があったら、どんどんとやっていっている状況です。
有利な緊急防災・減災事業債というのがあるのですが、いろいろと調べてみると、兵庫県がそれを活用した事業が全国でトップです。断トツで飛び抜けてやっていて、それは有利な起債のメニューだからよいではないかという議論もあるのですが。緊防債でいうと、100億円借金をして、70億円は国からの補填がありますが、残りの30億円は、県が自腹で払わなければならないので、有利な起債であっても、一部負担が積み重なっていきます。
今はそれをどんどんと、県が全国一位の事業量をこのまま続けていくのがよいのかどうかの議論を今回して、そういった意味で上がらないように、一定の枠を固めて、必要な事業や必要な県民の皆さんへの投資や事業はしっかりとやっていく中で、一定は抑えながらやっていきましょうというイメージです。
この数年間をぎゅっと我慢とならないように、上手にソフトランディングしていくことを、今回考えていきたい、と思っています。
記者:
事務事業の見直しについて。59事業の見直しで166億円を生み出せるという話もありました。生み出されたお金、あるいは中大型事業の凍結で生み出されたお金で、どのような事業をこれからしていきたいのか。これから部局との調整になるのかもしれませんが、知事のイメージとしては、何にお金を使いたい、と考えていますか。
知事:
まずは、産業振興や観光振興、2025年度の万博に向けて、どういった観光を誘客していくのかなど。兵庫と大阪の連携するものも、明日また説明しますが、そういった中で、具体的な投資を呼び込むようなプロジェクトなどに、上手く部局のマネジメントの中で、投資していく面も作っていきたいのです。
いろいろな部局が、削減、シーリングも含めてやってもらう中で、福祉部局や健康部門など、これからの時代に合わせた事業をやっていくことも大事です。そこは、部局長のマネジメントをしっかりと見ながら、私自身もうまく全体の流れを作っていく形で、未来の子供たちの仕事や働きやすく、住みやすい、そして、あらゆる世代が幸せに暮らしてもらえるような社会を、一歩ずつ作っていくことが大事だ、と思っています。
まずは、財政の状況を今のままでは持続可能性が危ないので、しっかりと持続可能な形をまずは作っていきましょう、というのが今回の趣旨です。
そこで出た財源やその枠の中で、いろいろな投資を含めて、優先順位をつけながらやっていきましょう、という流れを作っていくのが大きなイメージです。
記者:
今回の素案について、副知事をトップに全部局で検討を行い、という文言がありますが、知事として、どのように一次案について評価しているのか。
もしも可能であれば、大喜利的ですが、名付けるとすれば、「県政改革方針(仮称)」ではなくて、どういう名前を付けたいなどがあれば、教えてください。
知事:
この間、私ももちろん報告を受けながら、基本的に副知事以下の新県政推進室を含めて新行政課、財政課も含めてみんなで議論をしてもらいました。実は、私からというよりも、ボトムアップ型で上がってきたアイデアも結構あります。県庁職員が基金の集約の解消やベースラインケースにするなど、あとは事業もそうですが、実はそろそろ見直したいのです、という声が結構ありました。
それを、私はもともとそれをすべきだ、と思っていた面もありますが、やはり知事が変わった直後だからこそ、やれるという大きな判断をしました。結構、勇気がいることではあるのですが、これまでの知事がずっとやっていたことなので、そこは思い切って見直しをしました。
そういう意味で、県民、県庁職員のボトムアップ型でできた方針ではある、と思っています。その一方で、持続可能な財政運営、県政運営に向けての第一歩、という方針と考えています。
記者:
一言でまとめると、「職員ボトムアップ型」ですか。
知事:
「県政の持続可能性への第一歩の改革」のような感じです。
これはまた、最終案が取りまとまった段階で、いろいろな議論をこれから議会も含めて、また市や町も含めて議論がある中で、これからまた最終案に向けて議論していきますので。その議論を踏まえて、でき上がった段階でまた名付けたい、と思います。
記者:
59の事業の見直しについて。いろいろな補助金をカットして、一部廃止などもあるかと思います。こういったことで、前回の行革の際にもそうだったとは思いますが、各団体からの批判や撤回の要望なども予想されます。そういった声に、知事はどのように対応していきますか。
知事:
実施計画の4ページ、5ページにいろいろな事業を載せています。
今日、発表して、議会も含めて市や町からもいろいろな声が出てくるかと思いますが。基本的にはそういった意見が出てきたものは、聞かせてもらう形になります。
やはり財政の厳しい状況が、今回、新たに100億円以上の収支不足というものが出てきて、実質公債費比率も25%を超える可能性もなくはないという状況なので。ここは県の財政状況が厳しいということを丁寧に説明して、理解してもらわざるを得ない、と思っています。
その上で、団体やいろいろな関係者の意見をしっかりと聞いて、どうしていくかというのは、これからやっていき、最終的には、私の方で判断することになります。
記者:
財調基金ですが、先ほど質問があったように、100億円を、実際に知事職に就いてみたら現実と違って、事実上撤回します、ということですか。その100億円という数字について。
知事:
まだ、撤回までは早い、と思っています。目指しはするけれども、やはり県債管理基金の状況なり、そういったものを踏まえると、かなり厳しいという認識です。
これから、コロナ後に経済が上向いてきたりで、いろいろな税収が増えて、いろいろな剰余金が出てきた際には、積立はどんどんとしていきたい。撤回までは、少しまだ早い、と思っています。
記者:
今回、随所でPFIに取り組む、民間投資を呼び込むなど、いろいろとノウハウを活用、といった記載があります。
こういったことを掲げるのは、県の財政負担が減って、よいとは思いますが、具体的にそれほど民間投資をたくさん呼び込むことは、実際にできるものですか。
また、それをするために、取り組みたいことはありますか。
知事:
これは指摘のように、例えば、県の公園であれば、いろいろな地域に公園があったりします。県有施設もいろいろな都市部だけではなくていろいろな地域にあります。すべての施設にどこまで民間投資や、そういった敷地を公募してレンタルして施設を建ててください、ということがどこまでできるのか。これからやってみなければ分からないという面も確かにありますが、今はその門戸自体をオープンにしないこと自体は問題だ、と思っています。
いろいろな多自然地域と言われる地域でも、例えば、アウトドアや、グランピングなど、自然地域での大きな流れも出てきています。そういった流れを掴む意味では、まずはどういった民間投資を導入する余地があるのか。サウンディングという形でよくするのですが、そういったことをやりながら、ここの施設は民間のノウハウを導入する余地がある、といったことを探ることが大事です。
今は、それ自体をしていない。もっと積極的にやっていくように、始めていくことが大事だ、と思っています。
記者:
まずは挑戦したい、ということですか。
知事:
そうです。
指定管理の期間も、10年やもう少し先に長期化したり、いろいろな投資を探ったり、とやはり動いていくべきだと。
記者:
県庁舎の建替について。県庁舎のうち、目の前に県公館があります。公館は式典などに重宝している一方で、日常的にそれほど使用頻度が、この本庁舎に比べて高いわけではないと感じます。
建て替え、もしくは何か別の利用をするような検討の対象に、公館も含めることになるのですか。
知事:
もちろん本庁舎以外の公館もすぐそこにあって、県有地なので、公館のあり方というものをこれから検討していく必要がある、と思っています。
たいへんすばらしい立派な建物で、取り壊すということはないと思いますが、素晴らしい雰囲気を含めて、どういう利活用のあり方ができるのかというのは、しっかりと検討していきたいと思っています。
記者:
一部を残して別の建物を作るなど、そういったことも想定しているということですか。
知事:
そういうこともある、と思います。
そこも含めてこれからの議論ですが、建物の良さを生かしつつ、もっと、普段からの利活用をしていき、人の流れや持っているといろいろな収益をあげられるような、そんな仕組みを作っていくことは大事だと思います。
もちろん大切な文化財的なところもあるので、そこはしっかりと残しつつ、もっとにぎわいを取り込んでいく流れにしていきたい、と考えています。
記者:
民間活力の活用というものが結構あります。今回の見直しは1つ1つの事業の積み重ねだとは思いますが、これまでの県政のどういうところに問題があった、課題があった。どういう視点が足りなかったなど、大まかな質問ですが、知事はどのように捉えていますか。
知事:
これまでの県政を決して否定するものではない、ということはまず前提としてあります。
よりこれからの時代にマッチした、機動的な県政運営をもっとしていくべきで、そこの1つが民間のノウハウや投資をもっと促していくということが大事だ、と思っています。
ともすれば、兵庫県はいろいろと、この間を見ていると、あらゆるイベントや事業整備、ハコモノの整備自体も、行政だけでやってしまう側面が若干、見えなくもないところがありました。
行政でするというのは、ある意味でよい面もありますが、その運用の仕方などが少し硬直的になってしまって、もっとうまくやればよいという面も多々あります。土地の利用の仕方や施設の活用の仕方は、やはり民間の活力をもっと導入していくべきだ、と思っていて、大きな1つの修正すべき点です。
記者:
今回の一次案について、どこかこれまでに他の自治体の実例など、参考にしたことなどはありますか。
知事:
PFIやPark-PFIは、隣の大阪でも積極的に導入していた面もあったので、そういったところは大いに参考にしました。
あと、神戸市も、先日の久元市長との連携会議でも、ウォーターフロントの開発で民間投資をかなり誘因しています。久元市長にも神戸市のノウハウを、県もこれからやっていく際にぜひ伝授してください、ということを快く引き受けてもらったので、そういったところはたいへん参考になる、と思っています。
記者:
昨日までワーケーション知事室ということで、北播磨の地域でいろいろな職種の人と意見交換をしてきたと思います。実際に現地でいろいろな意見を聞くと、県にこれをサポートして欲しい、これをやって欲しいなど、そういう声をたくさん聞くことになります。
なかなか財政がこういう状況であると、望むとおりにはしてあげられない場面もあるかと思いますが、このあたりは今後、この財政状況を踏まえて、どのように応えていこうと考えていますか。
知事:
そういう意味で、これから事業レビューも含めて、行革を不断の見直しをしていくということが大事だと思っています。昨日のワーケーション知事室でもいろいろな声がありましたが、その声に今のいろいろな事業が、果たして適応できているのか、というところがあります。
ずっと同じような流れでやってきて、蓋を開けてみると、重要視はしていても、手挙げが1つしかないなど、そういう事業も結構あります。今回、見直しをしているのですが、そうするよりも、実際のニーズに合った事業に組み替えて、例えば、米粉の支援であったり、そういった後継者をどうする、バスツアーをどう呼び込んでくるのかなど、いろいろな事業の見直しをする中で、まさにそれがイノベーション型の行革になります。そういった、今ある事業を上手く再構築していくことにつなげていきたい、と思っています。
もちろん廃止すべき事業は廃止して、生まれた財源で新たな今までなかったような事業に投資していくことも、もちろんやっていかなければならない、と思っています。
記者:
逆に、新たに使えるようになるお金は、どのように使っていくのか。昨日のワーケーション知事室のような、意見集約というのは、結構役立つということですか。
知事:
ワーケーション知事室でも、何人か言っていましたが、すべて言われたことを実現するのはなかなか難しいだろう、という声もあったようです。やはり優先順位をつけて、いろいろな共通する課題もあるので、そういったところを集約しながら、ここはこのタイミングでするべきだ、ということを上手く全体の中で調整していく。
私に声があるということは、もちろん部局長にも伝えますし、部局長自身も、あとはスタッフ自身もいろいろな現場で同じような声は聞いていると思います。そこをマネジメントの中で、うまく時代の流れに合った修正をしていく力が、もともとこの兵庫県の職員は実は結構すごい、しっかりとやってくれます。予想以上だったので、そこをやってもよい、というように上手く解き放てば、結構やってくれるのではないかと期待をしています。
記者:
見直し事業の実例の中で、私が過去に取材をしたことがある出会いサポートセンター事業が出ています。
この基本的な考え方は、いわゆる窓口業務的な地域センターをなくして、スマートフォンでするようなものに移行するという意味なのか。そもそもこういう事業自体を行政ですることを見直した方がよいという話なのか、どちらですか。
知事:
両方あります。
結婚のマッチングというものが、果たして行政が公でするべきかどうかという議論がやはりあります。民間の事業者の方でいろいろなサービスがあって、市や町もやっているので、そこで実際にやってもらえばよいのではないかという思いも私にはあります。県が本当に具体的なマッチングを一人一人やっていくということが必要なのか、議論していく中で、10のセンターについては、一旦は見直しという形にしています。
一方で、民間の結婚の相談は割と高額であったり、あとは、信頼度の問題など、いろいろな問題もあり、行政も一定程度、ベースとなるところは用意すべきなのではないかという議論もあるので。そこは、コストパフォーマンスを考えた場合に、スマートフォンであったり、デジタルの技術を使ってやれることがあれば、どこまで投資効果があるのかも含めて、やってもよいのではないか、という思いもあります。
そこは一旦分けて、こっちを見直してこっちを引き続きやっていくと。ただし、こちらもやっていく中で、そこまでする必要がないということになれば、新たな見直しをしていくことも大事です。
そこは年限やパフォーマンスをみながら、再検討していくということになります。
記者:
県庁舎の建て替えは、凍結という形です。以前、大阪市の松井市長が「耐震化でよいのではないか」ということを言っていたことがあって、やはりそのとおりになったという気もします。
今度、大阪といろいろな連携を進めていく中で、そういう話はやはり兵庫県で決めることなので口を出さないでくれ、という形になるのか。それとも連携する中で、そういう意見にも耳を傾けて、取り入れていくこともあるのか、このあたりはどうですか。
知事:
それはあくまで兵庫県が決めることなので、そこはもう関与をお互いにしないということだ、と思います。
今度、実施する会議は、また明日以降に正式に発表しますが、あくまで観光であったり、万博の成長する分野に向けて、どのように取り組んでいくかというプロジェクトの話です。
今回の庁舎の話について、私は別に一切の話を聞いていません。自ら着任して、実際のプロジェクトの内容を見たり、県の財政状況を見た際に、700億円以上に、おそらくもう少し伸びていくかと思いますが、その巨額の資金を県庁舎の建て替えだけに収れんしてやってしまうことが本当によいのかどうか、改めて立ち戻るべきだというものです。
その上で、元町のエリア全体も含めて、繰り返しになりますが、絵を描いていって、民間投資を促しながら、事業費の圧縮もやっていきたい、と思っています。
必要最低限の耐震化については、Is値が0.6に届いていないところもあるので、最低限のものは一旦することも視野に、検討します。
記者:
見直し事業の中で、神戸マラソンについて。神戸マラソンは人気のイベントで、神戸市や民間とも協働して、今までも、県単独ではなく、県の負担が比較的少ない中で割と大きな効果を上げている、という捉え方もできるかと思うのですが。これを見直し事業に入れた理由は。
神戸市との関係について。神戸市と一緒に事務局を作って実施してきたのですが、一方的に見直しの対象と表明したことで、神戸市との関係においても、ある程度の影響があるのではないかと。そういうことも踏まえつつ、今回の市・県の協働事業の見直しということで、今後の神戸市との関係をどのように考えていますか。
知事:
神戸マラソンについては、確かに震災からの復興を発信したり、あとは、都市型のマラソンというのは、やはり主流になってきているので、大事な事業だと思っています。
実際に、今度、第10回の大会ということで、節目を迎えます。かなり多くの人々に、いろいろな形で参画してもらっています。県としては、一旦はあり方について見直しをしていきたいということで、今回、掲げているものです。
神戸市との連携事業でもあり、今回、見直しという形で掲げていますが、県の考え方は冒頭にもあるとおり、財政が、やはりここまで厳しい状況なので。
神戸市は財政の見通しが、一定程度は立ってきて、積極的な投資というモードになっていますが、兵庫県は、これからまだ、震災の借金の返済が3000億円程度も残っているので。そういった財政の状況がかなり厳しいというところで、一定の見直しをせざるを得ないということは、丁寧に説明していくしかない、それで理解をしてもらいたい、と思っています。
ただし、全く関与しないわけではなくて、いろいろな形でサポートや一緒になってすることは、もちろんこれからも続けていきます。そういった形でしていきたいと思っています。
それ以外にも、兵庫県と神戸市が、しっかりと連携しながら、いろいろ問題を解決していくこと自体は、この間の久元市長との連携会議でもいろいろな議論を活発にしたので、ここの基軸は外さずにいきたい、と思っています。
記者:
ある程度、具体的に、例えば、これぐらい削減したいや、あと人員も、事務局に県から7人ぐらい行っているようですが、人員はもう引き上げということになるのか。具体的なこと、もしもある程度の見通しがあれば、教えてください。
知事:
その内容は、今の時点では、調整中なので、またいろいろな形で調整が整ってくれば、いろいろな形で伝えられるかと。
今は、方向性として出しているということです。
記者:
県庁の再整備について。これまで再整備事業のために、基金を積んできたかと思います。その基金の取り扱いをどうするのかと、すでに基本計画の作成で、事業者と契約を結んでいますが、そのあたりの取り扱いをどうするのか、教えてください。
知事:
県庁舎の基金は、積み立てをしてきていて、これについてはいずれかの段階では、整備をすることは、グランドデザインを描きながら、いつになるのかは、これから検討ですが、必要かと思っています。積み立てたものを、チャラにするなど、そういうことはない、と考えています。
場合によっては、耐震化への財源にも使えるかどうかも含めて、いろいろなやり方は柔軟に考えていきます。すでにご指摘のとおり、計画の策定の業務や、そういったもので、一定の委託料が発生していますが。これ自体もこれから全体のグランドデザインを考えていく際に、かなり参考になる面もあるかと思うので、決して無駄になるものではありません。
一定の経費は支出しましたが、やはり数100億円という大きな投資をするのかどうかの判断なので。ここは少し進みつつある中でも、私としても勇気がいることだったのですが、一旦は立ち止まって、新たな姿を構築していきましょうということで、無駄にはしないようにしたい、と思っています。
記者:
庁舎の耐震化については、来年度重点的に検討するということですが、先ほどから出ている、元町全体のグランドデザインについても、来年度検討を始めるということですか。
知事:
中長期的に、これから進めていきたいのです。
ただし一方で、庁舎の耐震化というものは、急務な面もあります。どういった簡易な耐震改修の方法があるのかは、早急に来年しっかりと検討していきたい、と思っています。
あとは、そもそものグランドデザイン、大きな絵を描くということも、来年度にしっかりとしていきます。その際には、いろいろなディベロッパーや、民間の方々のアイデアも、ヒアリングなどをしながら、どういった絵があるのかを、あまり前提条件をつけずに、いろいろと聞いて、絵を作っていきたい。これも令和4年度から集中的にしていきたい、と考えています。
記者:
県債管理基金の集約について。いつごろから、どういう理由で始まって、累計どれくらい集約していたのですか。
知事:
詳細は、また財政課から説明します。
実質公債費比率という指標が、導入される際に、18%なり25%を超えることになると。県の財政が、かなり投資も含めて厳しいとなった際に、平成18年度ぐらいから、こういった基金の集約という仕方を、兵庫県独自の仕方として進めてきたという状況です。
金額については、また後ほどレクチャーします。
今、15年くらい経っているのですが、この方法は、実は他の団体ではしていません。やはり借金を返すための基金の残高は、返すためにとっておくべきだというのが原則です。
これは大阪にいた時も同じような課題があって、他の団体でもやはりそこは、きっちりと解消していくべきだと、きっちりと県民に伝えていくことが、ディスクロージャーの観点からも大事です。今回、オープンな県政にしていかなければならない、という思いがあり、少し勇気は必要だったのですが、思い切ってこういう状況です、と提示しました。
だいたい18年ぐらいからスタートして、財政課もかなり悩みながらだったとは思うのですが、知事が新しく変わったこの段階で、きっちりとディスクローズして、情報を開示しようという判断になりました。
記者:
全国で兵庫県だけがしていたのですか。
知事:
この基金を集約化するという方法自体は、兵庫県だけのようです。
基金を他の事業に使い込んでしまっているなどは、他の県でもあるのかもしれませんが、他の基金を集約しているというのは、あまり他団体ではないやり方です。
記者:
基金を集約するというのは、他からお金を持ってこなければ、借金を返すための基金が成り立たなかったということですか。
知事:
借金を返すために積み立てている基金が、本来あるべき残高よりも少なければ、実質公債費比率のうち減債基金積立不足額が増えていく形になります。
残高不足を少なくするほど、積立不足加算額が少なくなって比率が抑えられるので。残高を確保したいというインセンティブがあります。これはそれでしたのだと思います。
記者:
実質公債費比率を低く見せるために、県債基金の水増しが行われた、ということですか。
知事:
水増しではなく集約です。18%を超えたり、25%を超えると、18%では許可団体という形で、同意から許可というように、少しハードルが高くなります。
実際に起債する際に、国は基本的には同意するのですが、許可となると、ある意味で許可の申請をしてから許可というように、若干ハードルが変わります。
許認可という形になってしまうので、18%を超えたくないという意識は、私も財政をやっていた立場からするとよく分かるのですが。そういったところのいろいろな判断があったのだ、と思います。
記者:
本来入れるべきではなかったお金が、入ったことで何か他に犠牲になった事業などは、この15年間にありますか。
知事:
どういった基金から集約したのか、また後ほど説明しますが、県民の事業に、実害はないと思います。
記者:
方針を変えたということで、下の表にある実質公債費比率が当初17.9%だったものが20.7%になるということは、解消したことが影響しているということですか。
知事:
税収の成長の見通しを成長実現ケースからベースラインケースということで、パーセンテージを少し抑え目にしたことが1点。
もう1点が、基金の集約を解消したということ。この2つが大きな影響を及ぼしています。
記者:
ディスクロージャーと言われたのは、要するに県民に兵庫県政を透明化して見せることが大事だと思うから、こういう形に改めたということですか。
知事:
そうです。やはり県民の皆さんなど、いろいろな人々に情報開示は大事だと思うので。財政運営の、財政フレームという言い方ですが、その構築の仕方をやはり、より正確に示すということは、県民に対して大事だと思っています。
そういった実態を示すことで、県の財政がやはり厳しいということを伝えた上で、事務事業であったり、大規模プロジェクトの見直しを、やはり一定せざるを得ないということの理解もしてもらいたい、という思いです。
記者:
組織再編について。部局としては5部だけれども、部長は11人いるのですか。
例えば、企画県民部長であれば、2人いるということですか。
知事:
企画県民部長は1人なのですが、例えば健康福祉部などで2人部長がいるのですが、それを支える、総務課が1つしかない。
普通は、部長がいて、次長がいて、総務課長がいて、そしてマネジメントしていくというのが一般的なのですが。兵庫県の場合は、部長がいて、もう1人部長がスタッフでいて、そこを1つの総務課が支えているという形になっているので、少し頭が、多頭的になっているという感じです。
記者:
それを12部体制に変えると。
組織について、部長はいるが、スリム化されていたというのは、どういう意味ですか。
知事:
マネジメントが、発揮されやすい体制に戻す感じです。部長の数自体は一緒なのですが、無理やりに組織を小さくしているところがあるので、そこを結局元に戻していく方が、より合理的だという判断で今回しています。
記者:
改めて12部にすることで、どんな狙いがあるのですか。
知事:
これからの、予算編成や事業執行も含めて、部局長のマネジメントで。
いろいろな権限を知事が全部事業や、事業執行も含めて予算も含めて見るという、やり方がこれまで、兵庫県のやり方でした。
そうではなくて、一定程度、部長であったり、県職員のマネジメントの世界で、予算編成であったり、事業の進捗など、新たな課題を把握するということは、してもらわなければならないという方針を私は考えています。
それをしてもらうためには、組織としてきっちりと、マネジメントができやすい、強い、流れのよい組織にしていくということが大事だと考えています。
そういう意味で、今、多頭型を支える組織よりも、きっちりと部長がいて、そこを支えるという、普通の組織に戻していく形です。そうすればマネジメントはかなりしやすい。
普通、部には次長で総務課長がいるというのが、通常なのですが。その総務課長が割と人事や予算も含めて、その部全体の事業や施策の方向性を決める要になる。そこが曖昧な感じになっているので兵庫県の場合は。それを元に戻していくというイメージです。
記者:
新年度予算の新県政推進枠の8億円というのが、すごく少ないというイメージを持っています。どういう事情でこのように落ち着いたのですか。
知事:
シーリングの部分になるのですが、どうしてもやはり全体の事業の中で、大きいのは、様々な義務的経費です。人件費であったり、いろいろな経費が社会保障などがあります。
それ以外の様々な政策的経費など、県がある程度自由に運用できる部分でしか、シーリングはなかなか難しいということがあって、ここを今回2割カットする形にしました。
そうすると出てくるのが8億円だ、というざっくりとそんなイメージです。
本当はそれ以外も、全体を含めてシーリングすると、大きな金額が出てくるのですが、そうすると義務的経費や社会保障など、そういうところは法律で定められているので、過度に影響が出すぎるということで、普通はシーリングはそこにはやらないのが普通です。
記者:
具体的な話はこれからでしょうか。
知事:
はい。ここを使って、今後のまた新たな施策展開に使っていきたいのです。
記者:
先ほどの県債管理基金について。私も理解不足で、すでに話があったのかもしれないのですが、いくらぐらい集約基金の残高があったのですか。
知事:
どれぐらい集約されたのかは、後ほどレクチャーします。
記者:
県民も驚くかと思うのですが、そのあたりをどのように説明する考えですか。
知事:
様々な震災からの復興の財源を、借金を返済していくなど、たいへん厳しい平成15年や、平成21年あたりのリーマンショックなど、厳しい財政事情があったところで、一定そういった中で投資もしていかなければならない。そこで実質公債費比率という新たな指標が出てきたり、やはり行革をこれまでしっかりとしてきたという流れもあった中で、そういった手法を取り入れてきたという面もあったのだと思います。
そこは、かなり厳しい判断の中でしたとは思いますが、やはり、それは、本当を言うと、その残高はきっちりと、どれぐらいあるのか、県民の皆さんに対してより分かりやすく説明することは、やはり大事な情報開示なので。
ここは新しい知事になったというところで、今回、判断をして、提示をしました。過去、止むを得ない事情があったということも、県民の皆さんに理解してもらいつつ、分かりやすく説明するということの趣旨を冷静に受け止めてもらいたい、と思っています。
何かこれによって県財政が破綻的になるという状況では今のところはないので、そこは冷静に受け止めてもらいたい。ただし、財政自体は厳しい状況にあるということは理解してもらえれば、と思います。
記者:
PFIを様々に活用していきたいという話がありました。課題はどういうところにありますか。
知事:
課題は先ほどあったとおりです。県内のいろいろな施設や、公園もありますが、そこに民間の事業者がどこまで参入してくれるのかというところもあるので。
そういったところを、参入しやすい環境づくりを、例えば指定管理では3年などではなくて、10年、20年にすることで、より民間の事業者が投資して回収しやすい、返済の見通しが立てられるような環境を作っていくなど。
事前にこういったところがあることを情報提供するなど、あとは公募が公平な形でできるような形にするなど。そういった環境整備が課題だ、と思います。
記者:
導入した後の課題のようなもの。例えば、公共の視点が、やはり少し欠けてしまう懸念など、様々な業者がいるので、そのあたりの懸念であったり。
知事:
そこは、大事な視点なのですが、営利すぎず、やはり公の施設ですから、やはり、住民の皆さんにきっちりと、サービスを提供できるというところの、水準を確保しなければなりません。
そこは、仕様書であったり、公募の仕方できっちりとやって、あとは委託した後も、随時チェックはしていますから、そこで何とか水準を担保できるのではないかと思っていますが、ご指摘の点は大事な視点だと思います。
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