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ようこそ知事室へ
【発表項目】
知事:
1番目は「新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等」です。
本日の新規感染者数は2184人です。先週同日比では1000人ほどの減ですが、連休を挟んでいますので、これで感染状況が減っているとは、まだまだ言えないと思っています。
引き続き、感染対策の徹底をしっかりとしていくことが大事です。
病床の使用率は、44.1%で昨日から上がっていますが、重症病床については約6%で、まだ比較的低位にあります。重症病床使用率も含めて病床使用率は、感染ピークから少し遅れて増えてくることがあるので、いずれにしても、引き続き、感染防止対策の徹底をお願いします。
先日、コロナ対策本部会議で確認したとおり、その方針に沿って県民の皆さんとともに対応していくことと、あとはワクチンの接種、3回目未接種者は3回目の接種を、そして4回目についても、特に高齢者、基礎疾患のある人は積極的な接種をお願いしたい、と思っています。
県は、大規模接種会場を引き続き8月以降も実施しますし、予約なしの接種も一部運用を再開しました。若い世代も含めて積極的にワクチン接種をお願いしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
病床の使用率を含めたトレンドは、新規感染者数の増が続いている形で、病床の使用率も上がってきています。一方で重症病床は6%前後での推移という状況です。
引き続き、対策をしっかりと講じていくことが大事です。
今週中には関西広域連合委員会も開催される予定ですので、関西全体としての対応をどうしていくのか、関西在住者へのメッセージをどのような内容とするのかも、議論して発信する形になろうかと思っています。
引き続き、基本的な感染防止対策、必要な場面での徹底と、ワクチンの接種をどうかよろしくお願いします。
2番目は「ひょうご事業改善レビュー」です。
私から資料に沿って説明した後に、本日は関西学院大学から上村教授が来ていますので、上村先生からもコメントをしてもらい、その後、質疑を受けたいと思っています。先生には今回の事業改善レビューの外部委員長を務めてもらいます。
内容については事前に担当からも説明をしていますので、今日はポイントを絞った形とします。
本県では行財政運営の改革をしっかりとやっていくことが重要です。
昨年度決定した県政改革の基本方針の中でも、事業レビューをすることが定まりました。
大事なのは、単に事業を廃止するのではなく、時代の変化にあった形でいろいろな事業をイノベーション型で改善していくことです。
そういった形でひょうご事業改善レビューを今年度から実施します。
レビューは資料2ページのとおり、コロナ禍を踏まえたICTの活用、民間との協働、コラボレーションなど、より効果的に施策を展開していくためのブラッシュアップ、前向きな事業改善を狙いとしています。
今後、外部有識者、委員からも意見、アイデアを得て議論していきます。そして、来年度の予算に向けて事業の改善に取り組んでいくものです。
事業レビューの流れは、資料2ページ下段の①から③のとおりです。
レビューの対象事業は3つのテーマで選定をしました。
1つ目が、民間との協働、そして、民間の知恵やノウハウをしっかりと活用するためにはどうするべきか、です。例えば、スタートアップとの連携促進であれば、異業種交流活性化支援事業があります。これを続けていくにあたって、スタートアップはこれからの県政の主要施策になってきますので、そういった連携をどのように促進していくのがよいか、事業レビュー外部委員の意見を聞きながら展開していきます。こういった、民間との協働、そして民間の活躍を促進する5事業をピックアップしました。
2つ目が、より効果的な施策の展開として、21事業を選定しています。その1点目が(1)ICTの活用です。これからデジタル化の推進が事業展開にとっても重要なポイントとなりますので、ICT・デジタル化をしっかりと活用することで、県民の利便性向上であったり、事業の改善に繋げていくような検討をしていきます。
例としては、県内大学生の地元就職促進プロジェクトがありますが、そこにバーチャル企業訪問など、いろいろなデジタル技術やICTを活用し、より効果的に県内大学生が地元企業に就職する、そのような改善に繋げていけないかを議論し、詰めていきたいと考えています。
次に、(2)周知、PR方法の改善・強化です。事業を進めていくにあたっては利便性を含めて、よい事業であっても、県民に施策自体を広く周知していくことも大事です。
周知やPRの改善強化として、最近はSNSを活用するなど、いろいろなアプローチの仕方がありますが、より効果的で実効性の高い啓発にはどうすればよいのか。また、新たなターゲットを獲得するためのPRはどうすればよいのか、という項目です。兵庫県ではe-県民制度をスタートして、もう数年になりますが、より若い世代や、兵庫のファンというコアな層をどうやって獲得していくのかを議論していきます。
次は、(3)県民ニーズ等の適切な把握を通じた事業内容の充実です。コロナ禍も含めて、社会情勢の変化や事業の実施状況を踏まえた適切な利用者ニーズの把握を通じて、事業改善の検討をするものです。
事例を挙げると、企業のメンタルヘルス推進事業があります。一般的に企業のメンタルヘルスは、労務管理の観点からも非常に重要なテーマです。これは特に、コロナ禍を通じて新たなメンタルヘルスのあり方や、精神的なフォローをどのようにしていくのか、企業で働いている人は効率化したいなどの悩みを抱えているケースがあります。そういった場合に、このような事業の支援を活用することが大事になってきますから、そういった支援の充実にも繋げていきたい、と考えています。
(4)は課題解決に向けた事業内容の改善で、よい事例を展開したり、あとは情報収集を強化する。また、関係機関との連携を深めていくことで、事業改善の検討を行っていきます。
ここで掲げているのが商店街の買い物アシスト事業です。これは、買い物弱者と言われる人がいろいろな地域、都市部であっても出ていますが、そういったアシスト事業のよい事例を、より効果的に横展開していくためにどうすればよいのかを議論していきます。
それから、県民利便性の向上として、4事業を選定しています。
(1)申請・手続き等のデジタル化です。資料の例のとおり、企業におけるがん検診の受診促進のために、紙ベースだけではなく、オンラインでの申請事務を可能にする検討などを行います。
いろいろな事業で、紙での申請から、オンラインを通じたデジタル申請、さらには、来庁するだけではなく、例えば郵送など、いろいろな形で県民の皆さんからの申請手続きを、利便性ある、より便利なものにしていくことを検討します。
それから(2)事務の効率化による負担軽減です。県民・行政双方の負担軽減として、いろいろな改善をしていくものです。
事例として挙げているのが、心身障害者の扶養に関する共済制度について、その掛け金の納付方法をより多様化していくことを検討していきます。
以上の項目、「1 民間との協働・民間の活躍促進」、「2 より効果的な施策の展開」、さらには、「3 県民利便性の向上」、この3つの観点に沿って、30事業をこれから事業改善レビューの対象として実施します。
そしてそれ以外にも、目標設定はこれから大事なテーマとなりますので、事業をスタートして間もない事業で効果測定を示すアウトカムの指標をより適正かどうか、7事業でレビューしていきます。
例えば、観光・特産品の首都圏プロモーション事業については、スタートした直後ですが、これから続けていくにあたって、アウトプット、そしてアウトカムが適正かを、委員と議論していきます。
外部有識者、委員は6名になります。
今日、来てもらっている上村先生は関西学院大学の経済学部教授で、委員長を務めてもらいます。委員は、小田垣氏、瀧井氏などを含めて5名です。それぞれの委員は、すでに兵庫県地域創生戦略会議の委員であったり、男女共同参画審議会委員、さらに県立大学大学院准教授など、いろいろな形で兵庫県の行政にも参画しており、県の特性を知っています。
全く兵庫県に土地勘のない人が意見を自由に言うよりも、一定程度、兵庫県の行政や特性を承知している人が、それぞれの専門的な観点から、有識者として意見する、そういう場にしたいと考えています。
別府氏はコニカミノルタパブリテック株式会社代表取締役ですが、先日、コニカミノルタとは包括連携協定を締結しました。こういった事業の効率化、改善についての委員に参画してもらうことも包括連携協定に基づく取組の一環です。
別府氏自身も、神戸市を始めいろいろな自治体で業務効率化の支援の経験もありますので、そういった観点からの所見を示してもらいたいと考えています。
それから、今後のスケジュールです。8月を目途に外部有識者と委員会を開催し、そこで30事業について順次意見をもらいます。
その後、意見を取りまとめ、10月中に外部委員会の意見を公表します。
その後がポイントですが、県が方針を決めていく中で、案を、市長会や町村会との会議で、県内の市町との意見交換会を、これは仮称ですけれども、10月から11月に予定しています。
その場でも意見をもらい、11月に、いわゆる親会である県政改革審議会で、事業改善レビューの内容についても報告して審議します。その上で、2月の最終公表を目指します。
この間に、市や町以外の関係団体にも連絡、調整すべきことがあれば、しっかりと調整するものです。
今日は、上村先生もいますので、ぜひ、先生から話をしてもらいたいと思っています。
大事なのは、冒頭にも言いましたが、限られた税源・財源の中で、これからの時代に合わせた事業をしっかりと展開していくことです。今日掲げた30事業は、どの内容もこれからの時代にやはり不可欠なものです。したがって、一つの効果が今の指標上で上がっていなかったからといって、いきなり廃止などではなくて。その効果測定のアウトカム指標が適正なのか、それとも、今の設定を達成していくためには、こういったことを改善していくべきではないかといった、そういった前向きな、建設的な改善型の行財政改革を、今年度、スタートさせたいと思っています。
全体で200から300事業、そういった対象となるものはありますが、今年は30事業でスタートします。まずは、成功体験を今年度しっかりと固め、来年度以降により大きく花開きたい、と思っています。
限られた財源、そして、急な財源の増加が望めない時代になってきますので、今ある事業をどうやって新しい時代に即した形に変えていくべきなのか、より効果があるものにしていくべきなのかを目指していくことが、今回の事業改善レビューの趣旨です。
では、上村先生よろしくお願いします。
上村委員長:
この度、事業改善レビュー外部委員会の委員長に就任しました関西学院大学の上村です。
事業改善レビューですが、文字どおり、事務事業の改善を目的とした取組になっています。民間企業の場合は、売上や利益などが目的になりますが、行政の事業はそう簡単ではありません。
事務事業の何が目的で何が成果なのか、それを明確にして有効性を高めたり、より効率的にできる方法を考えるといった形で、改善の可能性について事業担当課と外部有識者で話し合う場を設けるのが事業改善レビューです。
PDCAサイクルというものがありますが、まさにチェックの「C」。この「C」のチェックの後に、アクションということで改善に繋げ、次の予算に反映させていくような試みになっています。
民主党政権の事業仕分けを思い出す人もいるかもしれませんが、この事業改善レビューはコストカットを目的とするものではありません。
事業改善レビューは名前のとおり、改善が目的になっています。つまり、政策のイノベーションという形は考えていますが、イノベーション型の行財政運営のエンジンになる、と考えています。
事業改善が一時的な目的ではありますが、より大きな目的としては、職員一人ひとりが、自分の担当する事務事業を自分事にして考え、自発的に創意工夫や改善提案ができるようなことも目的にしています。その意味では、ある種、研修と考えてもよいと思います。
さらに今回のレビューを通して、事務事業の内容を一覧にしたレビューシートを公開することになっています。今日公開する予定です。このレビューシートの公開は国ではしていますが、おそらく都道府県としては初めての試みだと思います。
レビューシートには成果指標が書かれていますが、その成果指標を県民と共有することによって、行政と民間が同じ目的を持って成果に向かっていく兵庫県を作ることも一つの大きな目的だと思っています。
私はこれまで国や自治体で約500の事務事業レビューをやってきました。国の行政事業レビューの有識者でもあります。今年で10年目です。国には1府12省庁がありますが、先ほどチェックすると、法務省と国家公安委員会以外のすべての所属に関わっています。それ以外の省庁すべてでコミットしました。
あとは自治体ですが、一番事務事業のレビューでコミットしたのは、大阪市、京都府の福知山市、兵庫県では川西市と宝塚市です。行政改革でいうと、阪神間のほとんどの市に私は関わっています。
今回、兵庫県において事業改善レビューを実施するために、昨年より調整をしてきました。兵庫県にとっては初めての試みになると思います。まずは小さくても成功事例を積み上げることが大切だと思っています。
少しずつ事業の改善を図って、その横展開をして、政策イノベーションを起こしていきたいと考えています。
記者:
まず、上村先生に伺います。改善レビューにあたって、事業をどのような考え方、どのような観点からチェックするのですか。
上村委員長:
事業のチェックの考え方はいくつかあるのですが、一般的に言われるのは、必要性・有効性・効率性、この3つの観点です。今回は、やはり改善を目的としていますので、特に有効性と効率性だと思います。
特に有効性がとても重要で、何が成果なのかというところで、その成果に向かって事業がしっかりと正しくやれているのかが私自身は重要だと思っています。
また、民間企業はおそらく、事業の取り組み方など、より効率的にできるのではないかを、おそらく効率性のところからかなり意見を出してもらえるのではないか、と思っています。
したがって、いくつかの観点がありますが、そういった形で事業の改善をできればよいか、と思っています。
記者:
事業改善レビューシートをこの後、ホームページで公表するとのことです。おそらく上村先生は既に見られているかと思うのですが、現状の所感・印象はいかがですか。
上村委員長:
レビューシートの作り方から私は関わっていたのですが、現状は数日間かけて読んだだけですが、とてもよく書けていると思います。
ただ、今後ブラッシュアップしなければならないところももちろんありますし、あと、他の委員の感想、意見などをまだ聞いてないので、それをまさにこの事業改善レビューでしっかりと議論していきたい、と思います。
記者:
レビューシートの中身を見て、有効性や効率性などが現状どれぐらいあるのかは評価できているのでしょうか。
上村委員長:
要は事業目的と成果指標がしっかりとマッチしているのかが、私は有効性という意味ではとても重要だと思います。
あとは、例えば年限でこれだけの指標を達成するという目的をもってその事業がなされているのか、またその手法が正しいのかどうかです。
記者:
知事に伺います。30事業ある中で、特にこの事業について意見を聞きたい、何とかしたい、という思い入れのある事業はありますか。
知事:
30事業自体がそんなに多くはないので、やはりすべての事業について、すごく関心があります。
ただ、ポイントとして、今日も例示で挙げましたが、「1 民間との協働」で言いますと、やはり5事業全部なのですが、スタートアップの支援について、スタートアップの事業を兵庫で実際にやっている同士が、いろいろな形で交流することの、活性化はすごく大事なテーマになっていますので。そういったところも、我々行政の観点ではなく、民間の委員の視点から、いろいろな意見をもらいたいと思います。
それから、それ以外にも、事業改善レビューによって県民のニーズや利便性を向上するとはこういうことなのだということが、分かりやすくなると思いますので。特に、「3 県民利便性の向上」は、どのように改善していけるのか、だと思います。
ついつい、行政は事業をスタートした後は、なかなか変えることが難しく、何となく雰囲気でもう少しこうすればよい、などがあったりもするのですが、なかなかそれを変えるきっかけがないことはよくある話です。
そういった意味でも、申請・手続のデジタル化などについて、外部委員からこのようにした方がよいのではないかと言ってもらえることで、積極的に変えていくきっかけにもなりますので、そういったことで上手に成功体験を作っていくことが大事です。
記者:
冒頭に何度か言われていましたが、廃止をするものではない、という理解でよいですか。
知事:
どの事業も事業内容やタイトルも含めて、これからの時代に、やはり必要な事業だと思います。それを一見その効果が出ていないから、指標を達成していないからといって、直ちに廃止するのではなくて。それをどのように達成していくのか、それとも、その指標がそもそも目的を達成するために正しい指標だったのか、そういったことを是非、改善していくことが今回の事業改善レビューの趣旨だ、と考えています。
記者:
この改善レビューは毎年度する、と事前のレクで聞いています。このレビューをした事業がその後どうなったのか、今後の検証などは、どのように考えているのですか。
上村委員長:
まだそこは調整中で答えられませんが、他の自治体の動き方で、例えば、私は川西市に関わっているのですが、川西市は3年間で全事業を見直しました。
レビューをしたのですが、その後にフォローアップ委員会ができていますので、その事業がどういう形で予算反映をして、結果的にどうなったのかという、フォローアップはやっていくべきだとは思います。
ただ、現段階では、今からスタートする話ですので、そこまではおそらく決めきれない、と思います。
知事:
そのあたりも是非、今回、委員会を開く中で、まずは30事業で実施し、そこでの成果を、今年度、一定の改善をした後、まさにPDCAのサイクルをもう1度回すために、普段のレビューができるようにするのかは、またテーマとして是非、議論をして決めていきたい、と思っています。
基本的には、上村先生が言ったように、改善したものを引き続き、フォローアップしていく、何らかの仕掛けづくりが必要ではないか、と思っています。
記者:
今回の30事業は、各部から提案してきた事業だと聞きました。より効果的な施策の展開は21事業あり、これに関して先ほど、将来的には職員の施策の立案能力を高めるのも一つの目標だということも聞きました。
ここには、職員の能力を少し不安に感じている、力量が少し足りないのではないか、という意識があるのかと思ったのですが。
知事は、職員の立案能力について、どのように現状を受け止めているのか、教えてください。
知事:
知事に就任して間もなく1年になりますが、兵庫県の職員の能力はすごく高いと思っています。私はいろいろな自治体や国を経験していますので、ある意味比較もできるのですが。兵庫県の職員は、事業構築を含めて、いろいろな選定の仕方もしっかりとしていると思います。そこのベースはすごく安心しており、信頼感があります。
これからしっかりとやらなければならないのは、行政だけで完結するのではなく、民間との連携であったり、そのノウハウを活用することや、オープンな形で施策を実行していくことなどは、もっと伸ばせるところがある、と思っています。
また、オンラインやICTの活用であったり、とても大事だと思ったのが、事業の周知・PRです。よいものをせっかくやっているケースでも、それを県民にしっかりと伝えられていないことは多々ある可能性もあります。そういった周知・PRをどのように効果的にしていくのかは、すごく大事な観点だと思っていますので、そういったところを中心に、しっかりとレビューをしていきます。
記者:
県政の中の根本的な部分に関わってくるのではないかと思います。そういう意味では、この取組は、齋藤県政の中では、ずっと毎年続けていく、ほぼ恒久的にしていきたいと考えている事業なのか、所感をお願いします。
知事:
やはり、最初にも言いましたが、財源・税源自体が、日本が急激に成長していく時代ではないので、一定の税源や財源のパイの中で、より効果的に事業をしていくことがすごく大事な時代にこれからなってきます。
そういった意味でも、この事業改善型のレビューは、今ある事業をどうやって新しい時代に即したもの、新しい時代のニーズに合ったものに変えていくのかという、修正・イノベーションのプロセスがすごく大事になってきます。
これが新しい行財政改革のあり方だと思っていますので、それを兵庫県でも今年度から導入して、30事業から膨らませていきます。
今年のみならず、来年以降もずっと、継続的に続けていくことが不可欠です。1回事業を見直して改善したと思っていても、新しい時代の変化にそれがまた違うことになってきますから、これは不断の継続を果たしていきたい。イノベーション、事業改善は、1回したから終わりではなくて、これからもずっと継続的にしていくべきだと思っています。それを職員が自発的にしていくことも大事ですが、こういった事業改善レビューの仕組を作ることが大事です。
記者:
上村先生に伺います。事業目的と成果指標についての話がありました。
県の事業には成果指標があらかじめ策定されているかと思いますが、このレビューの中で、過去の例も踏まえて、どのように変えていく、あるいは指摘するのかについて、具体的に教えてください。
上村委員長:
これからやろうとする話なので、なかなか具体的な話ができませんが。今まで関わってきた国の事業や自治体の事業などでよくあるパターンは、事業目的と成果指標がきっちりとマッチしていないことや。あとは、職員がすごく頑張ってやっていることがその成果指標にリンクしていないことがあります。
また、すごく大きなアウトカム成果を目標にしすぎて、その事業自体ではそんなに大きなことはできないだろうという指標を掲げている事業もよく見ました。
そういう場合は、それは最終的なゴールなのだけれども、中間アウトカムのような、中間的な成果指標を作り、まずはそこに辿り着こうと。そこから先は、もう少し違う事業なのではないか、もしくは違う展開なのではないか、というようにアドバイスをして、職員が頑張ったことが成果として見える形に改善することもやってきました。
このように、事業目的と成果指標との間がきちんと設定されているかというのは、事業の中で非常に重要なポイントの一つだと思っています。
記者:
そのあたりについて、民間との連携を考えていくにあたっては、公の中だけで考えていくと成果指標とミスマッチが生じてしまう、ということですか。
上村委員長:
国の行政事業レビューに私は10年関わっていますが、最初の3年で感じたことは、国家公務員の皆さんがアウトカムとアウトプットの区別がついていなかった点です。
アウトプットは自分たちがコントロールできるもので、アウトカムは自分たちがコントロールできないものです。コントロールできないものを動かしたいと思っているわけです。
その区別がきちんとできていないので、レビューシート自体もきっちりと書けていませんでした、国の場合は。
そういうところから、職員にアウトプットとアウトカムの考え方がどうなのかを浸透させて、アウトカムを設定するにはどうすればよいのかも浸透させて、自分たちの仕事の仕方によってどのようなアウトカムが望ましいのかも浸透させていく。そういうところから始めたいと思っています。
記者:
知事に伺います。今回30事業ということで、先ほど全体では200から300の規模の事業があると述べられていましたが。
どれぐらいのスパンで、例えば、来年度はどれぐらいに増やして、何年間ぐらいで全事業を対象に一旦見直しをするなど、といったスケジュール感があれば教えてください。
知事:
200から300というのは、事業費が500万円以上で、概ね事業スタートから3年が経過している事業が、それぐらいの数になります。
今回30事業で、これは各部局から提案があったものをリストアップしましたが、残りが200から250事業だとすれば、これから3年ぐらいかけて、まず一巡していくことも一つの方法です。
具体的にどのように事業数を設定するのかは、またこれから委員の先生方や、事務局との調整になります。
4年間で、全部というよりも、その一定の規模について、事業スタートしてから数年たったものについては一巡していきたい、と思っています。
まずは、今年の30事業をスモールスタートとして、先ほど上村先生から話があったように、アウトプット、アウトカムの違いなど、一からやっていくことになります。30事業で試行錯誤して、成功体験を一つ積み上げて、そこから次の展開を考えていくもの、と思っています。
記者:
コロナについて。先日の対策本部会議後の会見で、ピークの時期として4週間後ぐらいを一つの想定としている、と言われていました。その起点が6月18日だとすれば、もう過ぎているのかとも思われます。その想定について、改めて評価してください。
知事:
これは、海外の事例から、先日、保健医療部長から、4週間というのが一つのピークと示しましたが、あくまで一つの目安ですので、当然に日本で今回、新たなBA.5というのが主流になっていく中で、時期の前後というものがある、と思います。
その始点、終点の考え方をもう一度、改めて、保健医療部から説明します。
海外の事例を踏まえた一つの見解だとは思っていますが、4週間というのが一つの目安の中で、多少は、ピークアウトが後ろ倒しになっていくことは当然にある、と考えています。大事なのは一人ひとりが感染症対策をしっかりとしていくことです。
記者:
安倍晋三元首相が銃撃を受けて亡くなられ、この件に関して国葬をするという考え方に与野党の中から賛否両論が、あるいは、一部知事の間からも、意見が出ていますが、齋藤知事の所感をお願いします。
知事:
安倍元総理が、先日、奈良市内での演説中に凶弾に倒れたことは、本当に痛ましい、許せない蛮行であると思っています。そして、心から、改めてご冥福をお祈りします。
その上で安倍元総理の国葬の方針が決まりましたが、これは岸田総理が先日14日の会見で、憲政史上最長の8年8カ月に渡って重責を担われたこと。それから、経済再生、外交など、多くの評価、功績を上げたことを理由として挙げました。
私自身、岸田総理が会見で述べた安倍元総理の功績については、いずれも大きな功績、そして海外も含めて評価があったと思います。国葬については、私自身も理解できますし、賛成する立場です。
一方で、国葬として取り扱うことについては、与野党からも意見があり、国民からもいろいろな意見があることも知っています。最終的に内閣が閣議で決定することだと思いますが、そういった国民の大きな合意、理解をもらい、その上で、適切に国葬について取り計らってもらうことが大事だ、と思います。
記者:
国葬までしなくてもよいのではないか、という反対の意見については、理解できるのか、あるいは何か意見はありますか。
知事:
私としては、安倍元総理の功績を踏まえると、国葬を行うことについては理解できますし、それは賛成できるという立場です。
そこは、いろいろな意見があるかと思いますが、まずは内閣が判断する中で、皆さんが納得するような説明も大事だと思っています。皆さんが理解し、落ち着いた形で国葬を執り行うことが大事です。私自身は理解ができますし、賛成の立場です。
記者:
コロナの関係で、今週中に関西広域連合で対応をどうしていくのかを話し合うと先ほど言われました。
齋藤知事から他の各府県の知事に対して、兵庫県の現状を踏まえてどういう対応が必要だなど、そういう提案をする考えはありますか。
知事:
明後日、関西広域連合新型コロナウイルス感染症対策本部会議を予定しています。今のコロナの状況の共有と、それから各県の対応をしっかりと共有しながら、あとは関西に住んでいる人々へのメッセージを、通例、関西広域連合では発出しますので、そこを議論していくかと思います。
対策の状況というのは、徳島県や兵庫県の広域防災局が取りまとめていますので、そこが説明するものと思っています。
大事なのはやはり、社会経済活動と感染対策の両立をしていくことで、そのためには、県民、それから関西に住んでいる府民、県民が社会生活を営む上での基本的な感染対策を、一人ひとりが必要な場面ですることです。そこは改めてお願いする、周知する、というためのメッセージを発信します。
それからもう1点が、ワクチン接種の3回目もしくは4回目が大事なポイントです。私もそうでしたが、3回目接種前に、コロナに感染したというケースであっても、数カ月経った後には、免疫が逓減しているので、追加接種が大事だということも、やはり若い世代を含めて、伝えて、ワクチン接種に協力をしてもらいたい。そのあたりのメッセージも出すことになると思います。
いずれにしても、これまでの第6波までの経験を踏まえて、今回の第7波を、関西全体で対応していくための取組を、改めて議論していく場にしたい、と思っています。
記者:
昨日は万博まで1000日の日でしたが、改めて、999日後に迫った万博が兵庫県にとってどうなれば成功なのか。成功に結びつけるためには、今、どのような課題認識があるのか、教えてください。
知事:
昨日、万博開催まで1000日前ということで、東京や大阪でもイベントをしていましたが、兵庫県も、昨日はフィールドパビリオンについてのシンポジウムや空飛ぶクルマの展示を開催しました。
私が大阪で勤務していた時にこの万博の誘致が決まり、当事はかなり先の話だ、と思っていましたが、気付いてみれば、もう1000日前ということで、あっという間に、こういったタイミングが来て、これからもあっという間に1000日が経ち、開幕を迎えるのかと思っています。
大事なのは、これは大阪だけの万博ではなくて、関西でする万博ですので、その意味で、兵庫県もこの万博を機により兵庫県の魅力を発信していく、海外からも含む多くの人に兵庫県に足を運んでもらうことです。
約2800万人の想定来場者数、そのうち約350万人がインバウンドと推計されていますので、万博会場で見てもらった前後で、ぜひ兵庫県に寄ってもらい、兵庫県のすばらしいものを知ってもらう機会にしたい。
一方で、昨日の万博1000日前記念シンポジウムで、新温泉町でアイガモの無農薬農法を実践している人と、あとは三木で金物、包丁を作っている人の取組を、一つのフィールドパビリオンの候補事例として、当事者から紹介してもらいました。その時にも、上村先生が言われていたのですが、このような面白い取組が兵庫にあること自体を知らなかった、ということでした。
やはり万博を機会に、兵庫県でフィールドパビリオンを展開し、県内外からの人にいろいろなことを知ってもらうのみならず、兵庫県の人たちにとっても、兵庫県がいろいろなところで、すばらしい面白い取組をしていることを、知ってもらうことが大事です。
これは、なかなか数字では、指標としては出にくい場面でもありますが、より多くの人々に兵庫県各地で日々取り組まれている活動そのものが、世界の社会課題の解決策に通ずるいろいろな取組があることを知ってもらい、特に子どもたちを中心に兵庫県を、再発見、再評価することが大事です。その取組を通じて、兵庫県を、ふるさとを好きになってもらい、例えば、兵庫県に住み続けたい、また、東京に行ったとしても戻ってきて、兵庫のために一生懸命働く、頑張ってみたいという人を増やしていくことに繋がっていく、と思っています。
これから万博を契機に、機運を盛り上げていく、万博に対する機運を県民としても盛り上げていくことが、これからの課題であり、その取組を通じて、県民の皆さんが、特に子どもたちを中心に、兵庫県をより好きになってもらうことに繋げていくことが大事です。
記者:
350万人のインバウンドのうち、どれぐらい兵庫に来てもらうなど、具体的な数字を立てる予定はありますか。
知事:
そこはこれから少し議論をしていきたい、と思っています。今、兵庫県の観光戦略を新たに作り直していますが、そこでのいわゆるアウトプット・アウトカムの中で、数値目標を、恐らく設定していく形になります。
その数値目標を設定した中で、これから万博の期間も含めて、中間的にどれぐらい達成していくのか。その先に、どのような目標設定の中で達成していくのか、というロードマップの中で一つの位置付けができていくと思っています。そこはぜひ議論したいです。
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