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【発表項目】
知事:
1番目は「新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等」です。
(1)県内の患者の状況等
本日の新規感染者数は、1万1452人で、対前週同日比で1449人の増加です。
8月に入って前週比で1.0倍を切る状況が続いたところもありますが、ここに来て少し増加傾向が続いています。後ほど、県民の皆さんにもお伝えしますが、新学期が始まる時期ですので、引き続き注意が必要だと思っています。
政令・中核市以外の管内別で見ても、全体的に増加傾向が続いている状況です。
感染者数のグラフについて、病床使用率は60%の前半後半を行ったり来たりの状況です。また、重症病床使用率も30%台を超えてきている状況です。医療機関も厳しい状況がまだ続いている状況ですが、なんとか現場が回っている(状況への)対応として、後ほどまた説明しますが、医療提供体制の確保もしっかりとやっていきたい、と考えています。
それから、第6波との比較についても、一旦減少傾向になりましたが、また最近は少し増加傾向になってきています。
前週比のグラフについても、一時期、1.0倍を切りましたが、また1を超えてきている状況が続いています。これは全国的にも同じ傾向のところが多くあり、それはお盆の後であるからか、と考えています。
(2)入院医療体制の強化
現下の感染状況が増加傾向にあることを踏まえ、さらなる病床の確保が大事だと考えています。
公立病院、民間病院と個別に協議を進め、今回18病院の協力を得て、新たに83床を確保しました。本日から運用を本格的に開始し、従前の1629床から83床増やし、1712床に病床数を増やします。医療機関の協力には改めて感謝します。
また、入院患者の転院促進として、入院の必要性が低くなってきた患者を宿泊施設などに転院させる、回復者を受け入れる医療機関への転院を促すなど、そういったことも、改めて各医療機関にも協力を要請しました。ポイントとしては、医療提供体制の強化として、本日から新たに病床数を83床増やし、運用を開始しました。
それから、最後になりますが、県民の皆さんへの改めてのメッセージです。
依然として、新型コロナウイルスの感染状況は高い水準で推移をしています。医療現場も大変厳しい状況にあるのが現状です。お盆が終わり、来週ぐらいから、小学校をはじめ、学校もスタートします。
新たな学期が始まると、子どもたちを含めた人の流れができますので、引き続き、基本的な感染対策の徹底、そして、ワクチンの3回目、4回目の接種をお願いしたい、と考えています。
今回、83床の病床を増やし、医療提供体制の強化もしますが、それでも医療のひっ迫を回避、それから、保健所の負担を軽減するためにも、皆さんの協力をお願いします。
具体的には3つですが、(1つ目が)基本的な感染対策の徹底です。また、喉の痛みなどの異変を感じた場合には、仕事などを休むことをお願いします。感染など、もしもの場合に備えて、常備薬や食料品など10日間程度の備蓄をお願いします。
2つ目に、ワクチンについて3回目、4回目の接種をお願いします。発症のみならず、重症化リスク、後遺症のリスクを下げるものですので、よろしくお願いします。特に、ノババックスのワクチン接種の機会も確保しており、副反応が比較的ないと言われてるのはノババックスです。ワクチン接種の選択肢も増えていますので、積極的な協力をお願いします。
3つ目は、これも従前から言っていますが、医療ひっ迫、保健所の負担軽減のために、いろいろな検査や証明書をできるだけ求めないようにしてもらいたいと思っています。抗原検査キットの配布を県もやっていますが、自己検査で陽性となった場合には県が設置している自主療養登録センターへの登録をよろしくお願いします。
引き続き、感染対策を徹底し第7波を乗り越えていくために、よろしくお願いします。
それから、資料はありませんが、先ほど岸田総理が全数検査、全数届出に関する見直しなどについて言及しました。これを受けた対応については、まだ詳細が国から届くのを待たなければならず、まずは情報収集をしっかりと厚生労働省などからしつつ、どういった対応をしていくのかは検討したい、と思っています。
全国知事会でも言っていますが、医療機関、保健所の負担が今の第7派で極めて大きくなっている状況で、そういった中で、高齢者、基礎疾患を有する重症化リスクのある人に発生届を限定する方向に舵を切るという方向性を示されたことは、本県としても一定の評価をしたいと思います。
ただ、届出の対象とならない人へのフォローをどのようにしていくのかなど、現場が急に方向転換することによって混乱しないように。また、軽症であってもコロナになった人が置き去りにならないように、フォローの体制をどのように再構築していくのかが重要事項です。県の医師会や市や町と連携しながら、体制構築を至急検討していきたい、と考えています。
また、これは今後、調整次第お伝えすることになろうかと思っていますので、よろしくお願いします。
2番目は「HYOGO TECH(ひょうごテック) イノベーションプロジェクト 協働実証を実施する事業者と地域課題の決定」です。
ひょうごテック・イノベーションプロジェクトは、様々な地域課題を新しいデジタル技術などで解決していくために、民間企業のいろいろなアイデア、ノウハウを活かして、その課題解決をやっていこうというシビックテックを、私の選挙公約で掲げました。それを今回、実施するプロジェクトになります。
中小企業やスタートアップの事業者が持っているデジタル技術などを、いろいろな市や町が抱えている地域課題の解決にマッチングさせるプロジェクトです。
今回、県内の市町に照会したところ、54件の提案がありました。これは、いろいろな地域が抱える課題の解決策をマッチングさせる機会を求めている人(市町)が多いということだと思います。一方で、パートナーとなる事業者を募集したところ40社からやってみたいという応募がありました。
県で選定をして、今回、6プロジェクトを立ち上げます。うち3プロジェクトに実証事業の経費として上限50万を補助します。残りの3社についても、補助がなくても一部実証に応じてくれたので、たいへんありがたいと思っています。
これからスタートし、各市町と調整しながらプロジェクトを進めていきます。そして、10月下旬ごろに中間報告会、来年2月ごろに実証実験の結果を報告する流れでやっていきます。
具体的には資料のとおりで、新温泉町では鳥獣被害が非常に、学校敷地を含めて出ていると。イノシシやシカに食べ物が食べられるというケースが多いのです。それを何とかできないかと新温泉町から提案があり、これを募集したところ、神戸市内に本社があるイーマキーナ株式会社から、ねずみやカラスを撃退するときに超音波を発信して追い払う対策をしており、それを鳥獣対策にも活用できないか実証実験でやってみよう、という取組です。
三木市からは、今、コロナでマスクを着けている人が大半で、聴覚障害者のコミュニケーションがなかなか難しい状況であることを解決したいという提案がありました。これは東京のスタートアップの事業者からAIのデジタル技術を活用し、即座にモバイル端末に文字起こしができる、そのような仕組みづくりをやっていきたいという提案です。
丹波篠山市からは、関係人口、交流人口を増やしていきたい、特に関係人口ということで、市のやってるいろいろな取組にもっとコミットしてもらえる人口を増やしたい、という話がありました。これは東京都港区の事業者が、農業生産の消費者に対するオーナー制度を活用した形で、結びつきを見える化できないかという提案です。
神戸市からは、道路や公園にある隙間の除草。草が結構生えていますので、それをどうすれば簡単に安全に除去できるのかを解決したい、という申し出がありました。これは神戸市内の小泉製麻株式会社が、熱湯を使って除草するようなシステムを使って、こういった公園や道路の隙間の除草対策ができないかの実証実験を実施するものです。
但馬の、朝来市では、子どもたちの交通事故を減らしていくために、どういった現場でリスクが高いのかを可視化していくこと。職員が一人ひとり回っていくこともできるのですが、それをデジタルツールを活かして把握できないかを、朝日航洋株式会社が車に内蔵のセンサーを活用した走行データで、速度や急発進の情報から、危険箇所を自動的にAIなりが抽出するという仕組みづくりをしたいとの提案がありました。
県警察本部からは、X(旧Twitter)を含めたSNS上に子どもに関する様々なリスクのある投稿や、そういったものが溢れている中で、今はサイバーパトロールを人海戦術でやっているのですが、それをどうやって軽減できるかというものです。情報処理会社からSNS情報をリアルタイムで分析するようなサービスを開発し、それをこの課題解決につなげていきたい、という提案がありました。
このように6つの事業が無事にマッチングしましたので、進めていきたいと思っています。
一つひとつは小さなプロジェクトかもしれませんが、スタートアップは、大きなユニコーンのような上場して成功するタイプのみならず、SDGsもそうですが、社会課題を解決して持続可能な地域づくりをするためのスタートアップというものにも、兵庫県で挑戦して欲しいというのが私の方針です。
今回、6つの事業者が、ある意味50万円という小さな補助かもしれませんが、それがあってもなくても、やりたいと声を上げてもらえました。これからも地域での様々な課題を解決するために、官民連携のマッチングの取組が今回新たにスタートしましたので、これをより多く広げていきたいと考えています。
それが、兵庫県がそういった地域課題解決型のスタートアップのまさにメッカになるような、そんな取組になっていくのではないかと、私としては期待しているところです。
3番目は「プロバスケットボールクラブとの連携による地域活性化の取組 -西宮ストークスとの包括連携協定-」です。
これは、令和4年1月に締結することになっていたのですが、コロナの影響もあって延期し、2022-2023シーズンの開幕前に締結する形になりました。
西宮ストークスは県内唯一のプロバスケットボールクラブで、本県出身のプレイヤーを含めて、多くの人が県内でバスケを盛り上げているところです。
今回、協定内容としては4つで、1つ目は、スポーツの振興、これは子どもたちの成長発展、スポーツに楽しむ環境づくりをやってもらいます。
2つ目は、ストークスというのはコウノトリの(英名の)ことですが、コウノトリに代表されるように、水辺環境を中心とした環境保全の活動に選手とともに協力してもらいます。
3つ目は、観光、県産品のPRです。西宮ストークスは試合で県外に行きますので、その先で兵庫県の観光のPRや、農林水産物など兵庫県で作られたものの販売PRをしてもらいます。
最後に、地域のにぎわいづくりです。身長の大きなプレイヤーに、兵庫の各地域に行ってもらい、いろいろな地域のイベントなどにも出てもらいたい、ということです。
協定の締結は8月31日に予定しており、場所は西宮市立中央体育館です。
北村社長と前シーズンキャプテンとして活躍し引退した今野翔太元選手が出席予定ですので、どうぞよろしくお願いします。
4番目は「兵庫県職員経験者採用試験募集開始」です。
「躍動する兵庫」の実現のためには、新しい発想、柔軟性、挑戦する人材の確保が不可欠で、経験者採用は大事な人材獲得のツールです。8月22日から募集を開始しています。
民間企業などで培った企画提案力、ネットワーク力、ITの技術力などを県政の企画立案にも活かしてもらいたい、と考えています。
令和3年度までは「社会人経験者採用試験」を別途実施していましたが、それと統合する形で、28歳から45歳の試験を実施するものです。
実務経験を重視し、職歴に応じて主任級でも採用していく形になります。
採用予定者数については資料のとおり89名を予定しており、筆記試験なども従来よりも早めて行います。面接は11月から12月にかけて実施し、12月23日に合格発表です。
こういった形で、多様な人材を兵庫県でも獲得していくことが大事だと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
私からは以上です。
記者:
コロナについて、岸田総理の全数調査の件に触れて、知事としてはその方針を評価しているとのことですが、基本的には兵庫県も対象を絞っていく、という方針ですか。
知事:
基本的には対象を絞っていく方針になろうかと思っています。やはり、現場からも、医療機関や発熱外来を含めた、ひっ迫、それから保健所も様々な工夫をしていますが、多くの発生届が来ることにより、膨大な作業が出てきています。
今回、国が一定の方向性を出したことは、全国知事会からの要望もありましたし。(兵庫県が)自主療養制度を創設した理由も、事実上なかなか全数把握が本来の感染症法上の感染を抑え込んで広がらないようにするところになっておらず、私自身も今の状況ですと事実上、統計作業をしているだけという面が否定できないと思っていました。
そういった意味でも、今回の見直しは一定の評価ができるのではないかと思っています。ただ、制度の切り替えは、急激に行うと現場も混乱が生じますので、どうすれば現場の混乱が起きないのか。医療機関や県の医師会、発熱外来、保健所の現場ともしっかりと丁寧に調整しながら、切り替えをしていくことが大事だと思っています。
記者:
絞る対象について、高齢者や入院を要する人、重症化リスクがあって薬品投与が必要な人と言われていますが、そのあたりの具体的なことについてはこれからですか。
知事:
はい。これからだと思います。
基本的には政府も示していますが、高齢者、基礎疾患を有する人、妊婦といったハイリスクや重症化リスクのある人には、引き続き発生届を出してもらい、入院や自宅療養のフォローアップなどをやっていく形になる、と思っています。
記者:
岸田総理はこの感染者の全数把握見直しに関しては、全国一律ではなく、各自治体の判断で行うというような方針を決めていますが、各自治体の判断に委ねられたところに関して、受け止めを聞かせてください。
知事:
日本全体としてこのコロナをどうするかというところの、感染症法上のこの全数把握は、結構キーポイントですので、可能であれば国としてこういう方向性でいくという、大きなところを定めて決めていく方がよいのではないか、という思いはあります。
それを、それぞれの都道府県による判断に委ねるというのは、ある県は全数把握でやっていきます、ある県は少し違うオペレーションになりますという、例えば隣の県とで齟齬が出てくると、感染症対策というのは広域的なところもあるので、そこの数が合わないことになった場合に、そこが果たして適切なのかという議論はあると思いますし、私自身もそこは少し感じるところもあります。
ただ、全体的にはこれまでのコロナ対応も、まん防の指定や今回のBA.5の宣言も、今の政府はどちらかというと、我々が知事会として地方の裁量をお願いします、と言ってきたのを受けてだと思うのですが、都道府県の判断を重視する方針できていますので、そういった流れでの今回の判断だと思います。
一方で、全国の知事の中でもいろいろと意見が分かれているところもあります。例えば、鳥取と島根で、鳥取県は全数把握を見直すべき、島根は見直さなくてもよいのではないかというように、同じ山陰地方でも分かれていることがあるので。
それを国が、賛否の分かれる中で、こうするというのはなかなかできにくかったのではないかということがありますが。できれば、一定の方針でこうします、と示してもよかったのではないか、とは思います。
記者:
全数把握の話の中で、自主療養制度のような、兵庫県から進めている制度もあります。一定期間進めてきた中で、自主療養制度の、陽性者へのフォローアップ面が適切にできているのか。自主療養制度の難しさ、課題等、知事の考えをお願いします。
知事:
自主療養制度については8月5日からスタートし、抗原検査キットの配布を22日までで今、18日間していますが、おおよそ8万個の配布を、神戸市除きで、県と市町でしています。
その中で、自主療養については約1万7000人が登録しています。1日平均1000人前後が、この自主療養制度に登録しています。約2万人弱が、一旦、発熱外来には行かずに、自主療養制度というものに登録をして、自主療養をスタートしたということです。
これは比較的早く自主療養制度をスタートし、発熱外来の負担も減らすことが一定できたのではないかという意味では、一定の成果はあると思います。
あくまでも自主療養制度ですので、基本的には、自分で薬、あとは食料品も含めて、自分の力で準備をしてもらい、療養に入ってもらう。それは軽症の人が今回のコロナ、オミクロンでは大半ですので、その意味ではこの自主療養制度が必要だったと思います。
兵庫県として判断して、スタートしました。数が多い、少ないというのは、いろいろな評価があるかと思いますが、今の段階では、約2万人が自主療養制度を活用していることは、大きな意義があると思います。
記者:
自主療養制度は保健所からの発生届を介さないことについて。(従前の)保健所からの健康管理や、解除のタイミングでの連絡といった一定のやりとりがない中で、自主療養制度では患者に任される部分が非常に大きいと思います。
県としてのフォローアップ体制というところで、本来、保健所ですべきところが簡略化され、そのフォローアップは十分にできているのですか。
知事:
今でも、保健所の発生届が出た患者のうち、65歳以上などハイリスクの人は保健所が一人ひとりに連絡をして、疫学調査や、健康のフォローアップをしていますが、それ以外の比較的軽症の人は、ショートメールを送るなど、事実上、保健所がタッチしないのが現状です。
その人々が、もし何か苦しいなどの場合には、県が設置した相談センターに相談する、苦しい際には当然、病院に行ってもらう形です。事実上、保健所が関与していないという状況が、今の発生届を全数で受け付ける場合でも、大半がそのような状況になっていました。
したがって、自主療養制度とかなり近い状況になっていました。お盆を迎える中で、医療機関のひっ迫がすごく多くなってきている中で、それは思い切って自主療養制度で、医療機関も保健所も介さない、外立ちする制度をスタートさせたのが主旨です。
もちろん、自主療養した人であっても、相談センターへのアクセスや、少し体調が悪化した場合には病院にも行ってもらうことは当然です。そこのフォローは、きっちりと環境は整備できています。
記者:
大阪の吉村知事が、全数把握の質問を受けた際に、大阪と兵庫、例えば隣県の兵庫との足並みがそろわずに、片方が続けているのに、片方がやめるというようなことはないのではないか、という話をしていました。
そのあたり、特に大阪、兵庫のような繋がりのある都道府県というところで、全数把握について、足並みをそろえていく考えはありますか。
知事:
全体のトーンとしては、全数把握を縮小していくという方向性は特に、大都市部の人口が多いところは感染者数も多いですから、そこは大きな方向性はおそらく足並みがそろうのではないか、と思っています。
それぞれの都道府県によって、考え方も違いますので、そこの判断はまたそれぞれでしていくと考えています。自主療養制度の創設、導入自体も、この時点でも、大阪と兵庫は違う取組を既にしています。それぞれの府や県の判断でしていく面もありつつ、大きな方向性はおそらく、歩調を合わせながらしていく形になる、と思っています。
そのあたりは常に情報交換をしながら、大阪、京都、兵庫は、やはり関西の中では、人口規模も大きいところですから、そこの情報共有というのは、常に心がけていきます。
記者:
コロナ対策について。全数把握については、体制構築を至急検討していきたいということで、知事として、目処をどれぐらいで考えているのか。
これとあわせて、やはりお盆明け、少し感染が増加傾向にある一方で、新学期を間近に控えて、今後の感染対策や、医療ひっ迫にどう対応するのかについて、対策本部会議など、何かしら、皆さんの意見を聞く場も必要かと思います。本部会議等については、検討していますか。
知事:
新たな患者数の把握に関する政府の方針が示されるので、まずはいつからスタートするのかなどを含めて、これは法改正まではいかなくても、省令なり、いろいろな国の制度改正が一定必要になります。
どのタイミングから改正されて、どのタイミングから施行されるのかを見なければならない、と思っています。その上で、タイミングを待たずに、何かしなければならないことが県として必要であれば。そこは国とも協議しながら、必要な対策本部会議や、関係者の意見を聞く場というものは検討していきたい、と思っています。
今の時点でどういった会議を開くのかは、まだ決まっていないので、今回の国の方針の情報収集をして、現場の意見を聞きながら、対策を講じていくという形になります。
目下の対応としては、今回示しましたが、医療提供体制の強化で、83床の病床をしっかりと確保をすることもします。あとは昨日も神戸市が、宿泊施設に2施設を追加というような取組も進めています。県全体として医療提供体制の確保は、しっかりとしていきます。
記者:
全数把握については、知事も、本来の感染症法上の目的に沿った対応という意味では、全数把握が働いていない、と指摘していました。今回、その点について政府は、一つの対応を打ち出したということだと思います。
自主療養制度には、発熱外来のひっ迫を緩和するという目的もあったかと思います。この点からすれば、発生届の改正は、事務の負担軽減にはなりますが、発熱外来のひっ迫の軽減になるのかというと、かなり感覚としては疑問があります。
発熱外来のひっ迫の緩和について、国に要望することや、県として何か考えていることはありますか。
知事:
発熱外来のひっ迫という意味では、医療機関にかからずに、陽性判定が自分の検査で出た場合には、自主療養していく仕組みがやはり大事だと、兵庫県としては判断しました。自主療養制度をスタートしています。
そもそも今は、コロナにかかった人も軽症の人が大半なので、確かに医療機関に行きたいという思いは分かりますが、今の段階では軽症の人は、自宅で療養を自らして、優先度の高い人が受診できるようにしていくことが、まだしばらくは大事です。そこをしっかりと確保するためにも、していくことが大事です。
全数把握を絞るということについて。一定程度大きな病院であれば、医者と事務を分けていて、先日視察した春日野病院などは、医者と、実際にそういった発生届を出す人が別という形です。そういったところは、処理が比較的進んでいるので早いのですが、個人病院などは、医師が自分で発生届を出すということで、すごく負担になっています。その負担を減らすという意味では、今回の絞り込みは、一定の意味があるかと思います。
そもそもやはり、コロナの今の重症化リスクの低さを踏まえて、発熱外来で引き続き、診療するのがよいのか、一般診療という通常の医療の中で見る形がよいのか、という本質的な議論は、今回、政府は既に一歩を踏み出しましたが、これは2類相当、5類の議論になるかと思いますが、その本質的な議論も、早めに方向性を出していくことが大事です。
新学期が始まって、教育委員会からも通知が出ていますが、実際にクラスター認定を少し緩和し、できるだけ学級閉鎖をしないという方向も出ていますし、海外からの水際対策も緩和していくということ。
それから、いろいろな観光や社会経済活動が、普通に回っていっている中で、国民や県民の皆さんの意識が、もうコロナを受け入れて生活や社会経済活動をしていくという形になってきているので。早くそれに医療の体制、そういったものもどのように合わせていくのかを、早めに決めていくことも大事だと思います。
記者:
コロナについて。率直に、自治体の判断に委ねるということについて、最初に知事が聞いた際に、戸惑いのようなものはありましたか。
知事:
少し戸惑いはありました。ここは感染症法上の感染対策の「肝」のところです。やはり政府が全体として、こうします、ということを示してもらう方が、今回のコロナはまさに全国的なもの、国家レベルの対策をどうするかというものなので、都道府県の判断に委ねるというよりも、国全体としてこのようにします、という方向を示してもらえるものと思っていました。
内容を聞くと、自治体毎の判断という形になったので、これは自治体もどうするかということで、いろいろと悩む、少し判断に苦慮するところも出てくるのではないか、と考えています。
オミクロンの特性がかなり見えてきた中で、果たして方向性として、どのようにするのか。大きな方向性を、より明確に示してもらうという意味では、全数把握もそうですが、自治体ごとの判断に委ねるというよりも、政府として、方向性を示してもらう方がよかったか、と思います。
記者:
見直しの内容が、不明確な点もあるので何とも言えないのですが。自治体判断という、「自治体」が何を指すのかも分かっていませんが。自主療養の制度をめぐっても、神戸市と兵庫県とで違う面も、異なるアプローチがありました。
少なくともこの感染者数の把握については、県内全体で足並みをそろえる考えがありますか。
知事:
感染者数の把握については、今回の見直しでも、一応の数としては、全数把握がされる形です。65歳以上の基礎疾患持ちなど、ハイリスクの人は発生届けを出して、その人の氏名、基礎疾患の情報などを届け出てもらい、保健所がフォローアップしていく形です。それ以外のリスクの低い人は、数だけは、確か保健所に登録する形になります。数全体を把握するという仕組みは一応維持されているのかと思います。
記者:
例えば、届出をしてもらう対象者について、その判断の部分を、中核市と政令市とで何か別々になるのは、変ではないかと思います。知事としてはどのように考えていますか。
知事:
県所管と政令・中核市で、それぞれにまた判断をしていかなければならない形になります。疫学調査の対象範囲をどのように絞っていくのかという時にも、同じような議論が実はありました。
もともとは全員の疫学調査を、発生届けが出てきた人をこまめに聞き取りしていました。これがかなり第6波の時から、多くなりすぎて、第5波の途中でも、その対象を絞っていったということがあります。
現場の判断として、事実上、修正しているということは、これまでにもありました。今回もそういう意味で、同じような形で、それぞれの自治体、保健所設置市の判断によって、発生届の範囲を判断していくことになる、と思います。
これは、各保健所設置市も、どのようにするのかを、これから判断に悩むこともあるかと思います。
記者:
県全体で足並みをそろえるべきだ、という考えですか。
知事:
これから県の医師会などと話をしながら議論を進めていきますが、基本的には県全体として足並みをそろえていくことが大事かと思っています。
今回の自主療養制度も神戸市は、独自の判断で先にしましたが、中核市は、県の制度に合流するという形になりました。
県としてはできるだけ早く県としての方針を示して、それで、中核市や政令市も、判断をしやすい環境を作っていくことは大事です。
記者:
安倍晋三氏の国葬について。先日、兵庫を含め4道府県で、知事が公費で国葬に出席するのは違法なのではないか、という住民監査請求がされました。
まず、住民監査請求を受けた本人として、請求についてはどのように考えていますか。
知事:
住民監査請求をされたということで、兵庫以外にも、大阪や北海道、他の県にも出されたということですが。住民監査請求は、法令に基づく手続きとして認められています。いろいろな考え方があり請求を出されたのだ、と思います。
安倍元総理の国葬については、まだ、現時点で、正式な案内が来ていないので、具体的な情報はまだ持ち合わせていない状況です。請求を出されたということを、私としては、受け止めているだけ、という形です。
記者:
案内は、特にまだないということで、出席に関しては、どのような形で参列するのかなども、まだ具体的には決まっていないかと思いますが。今のところ、どのような形で行くのか、方針は決まっていますか。
知事:
現時点で、まだ具体的な案内をもらっていないので、正式にはこれからの判断になる、と思います。
一方で、案内があれば、基本的には公務として出席をします。安倍元総理は故人になりましたが、長年にわたり国の総理として大きな職責を担った、果たした人であり、特に地方自治体にとっては、地方分権、それから地方創生など、地方行政に大きく尽力した人、と私自身も受け止めています。
県民を代表して、地方自治体の長として、弔意を示すという意味でも、もし案内が来れば、公務として出席をする方向で考えています。
記者:
公務で出席するということですが。滋賀の三日月知事は、現在、世論が実施に賛成、反対で二分している中で、知事という公職を預かる者は、なかなか動きづらいという考えのようです。
世論が二分している中で、公務として出席することは、どのように考えていますか。
知事:
できれば世論を、丁寧に説明して、皆が納得する形で国葬を迎えることが望ましいと思います。いろいろな議論があるということです。
一方で、国葬は公費で今回、支弁される予定と聞いています。公費で支弁される国葬に、県の代表として案内が来た場合には、公務として参列するということは可能です。
最終的には案内が来てから、今は来ていないので仮定の話になりますが、そういった中で対応していきます。
記者:
土曜日に日本維新の会の代表選の投開票が行われます。維新から推薦を受けた知事ということもあるので、この代表選をどのように見ているのか、教えてください。
知事:
日本維新の会の代表選は、馬場幹事長を含めて3人が出ているということです。私は、選挙戦中に日本維新の会からも推薦を受けて、選挙戦を戦いました。
特定の政党の代表に関することは、党の中での議論ですので、党員の人々を含めて、いろいろな人々が議論をしながら、誰が代表になるのかを決めていくことだと思います。具体的に誰がよいなど、そのあたりのコメントは控えたい、と思っています。
いろいろな形で、政治に対して関心を持ってもらうような動きは大事ですので、そういった意味で、特に関西では、メディアも維新の会の代表が誰になるのかは、すごく注目をしています。政治に対する関心を高めていくことはすごく大事なことですので、私としては状況を引き続き注視していきたい、と思っています。
記者:
お盆については、今回、行動制限がありませんでした。それ以降、増加傾向に転じたことについては、どのように受け止めているのか。
また、このタイミングで、病床使用率が60%後半で推移している中で、新たに病床確保する必要性をどうして感じたのか。なぜこのタイミングだったのか、伺います。
知事:
メッセージにもありますが、お盆が明けて、新規感染者数は増えてきた状況です。これはやはり、新たな人の流れや、普段会っていない人が会う中で、人の交流が活発になり、県は検査を受ける機会を増やすなど、いろいろとしましたが、どうしても人の流れが増える中で、行動制限がないお盆を迎えたので、その中で一定の感染者数が増えてきた状況だ、と思います。
我々自身も行動制限がないお盆を迎えること、社会経済活動をしっかりと維持しながら、コロナを乗り切っていこうと県としても考え、県民の皆さんともそういった合意形成を図って、今回の夏を迎えようと進めてきたところです。
我々としては、感染者数については注意をしなければならないのですが、これをしっかりと県としても受け止めていく時期に来ているのではないか、と思っています。
ただ一方で、重症化する人、ハイリスクな人に対する医療提供体制はすごく大事ですので、そういった意味でも。今は、中等症、軽症の人が急に悪化するケースも多いですから、そういった意味で、今回83床を確保しました。
基本的に中等症、軽症のベッドが中心ですので、そういった人への医療提供体制の確保を強化していくことが、結果的にコロナから県民の皆さんの命を守ることに繋がる、と思っています。
記者:
全数把握について、一定評価するとのことですが、事務的な軽減に繋がるのではないか、と以前に言われていました。
兵庫県では、既に保健所の業務を支援するとして、発生届の入力を職員に(支援室で)引き取っています。
現場レベルでいくと、保健所の業務の負担軽減に、今回なるのか、知事の考えを伺います。
知事:
まず、発生届を絞ることは、現場の医療機関の負担軽減に確実に繋がります。今まで多数の項目を入力していることが、数だけで済むことになりますので、そこの負担軽減には確実に繋がる、と思っています。
それから、保健所の現場も、今は紙ベースでファックスが来たり、発生届をすべて一旦受ける形なので、ファックスなり紙をスキャニングして、それを業務支援室に転送して、業務支援室が入力している状況です。
そういった意味では、保健所がそういった発生届をスキャニングしたり、それを転送したりする事務的な業務がなくなることは、大きな負担軽減にもなる、と思っています。
そもそも業務支援室自体も、保健所業務に関係しない、いろいろな部局からの応援職員をかき集めてやっていますので、これ自体が一定程度、県の他の業務にも影響が出ています。県全体の業務についても、大きな負担軽減に繋がってくる、と思っています。
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