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【発表項目】
(参考資料)令和4年度12月補正予算(緊急経済対策)(案) 施策体系別事業一覧(PDF:406KB)
知事:
本日、12月定例議会へ上程した12月補正予算について説明します。
新型コロナウイルス第8波の関係でインフルエンザ同時流行対策、11月8日に閣議決定した国の経済対策を踏まえ早期に対応が必要な案件、鳥インフルエンザ対策などについて取りまとめました。
まずは、全体のアウトラインです。
新型コロナウイルスの対策で300億円になります。新型コロナは第8波に入ったと認識していますが、1月中旬に想定されるインフルエンザの同時流行への対策と、先日、新型コロナウイルス対策本部会議でも議論したものを踏まえ、夜間救急、妊婦への対応を予算化しました。
物価高騰などの(影響を受けた)県民生活の安定に向けた支援が92億円。
円安・原油価格高騰等の影響を踏まえた事業者への支援122億円。
安全・安心の、国土強靱化などの対策で454億円。
そして、鳥インフルエンザの関係。
さらには、人事委員会勧告を踏まえた給与改定というものです。
これが全体の予算概要で、予算規模としては1006億円です。一般会計965億円、特別会計100万円、公営企業会計は41億円となりました。
資料3、4ページ(施策体系別事業一覧)は説明を割愛します。
5ページは、新型コロナの関係です。コロナとインフルの同時流行に備えた外来の提供体制の強化。また、年末年始は県民の皆さんも少し心配があるかもしれません。年末年始に医療機関を開業してもらうための経費を計上しました。診療時間の延長、休日診療の実施、年末年始の運営によるかかり増し経費の支援を実施します。
また、11月18日に(新型コロナウイルス感染症対策本部会議後の会見で)発表しましたが、発熱外来の診察で必要な同時検査キット、コロナとインフルエンザの同時検査キットとともに夜間救急、妊婦の診療体制の強化を予算化します。
6ページは、入院医療体制の確保ということで、従来から実施していますが、それをしっかりと継続していくものです。ワクチンの接種(にかかる経費)、また、水際対策緩和の際に説明しましたが、外国人患者の増加に備えて、(健康相談コールセンター等の)窓口での三者間の医療に関する同時通訳の体制を導入するものです。しっかりと医療提供体制の確保もやっていきたいと考えています。
7ページは、物価高への対応です。これまで、クリーニング店、一般公衆浴場を含めて、円安・物価高の、特に燃料費の高騰について(支援を)実施しましたが、今回は、2つの業界・業種に対するものです。
1つが、医療機関等に対する一時支援金の支給です。本来、診療報酬にそこを付加することがポイントとなりますが、これは全国知事会からもきちんと助成をしてほしいという話があった中で、今回、臨時交付金を活用して、地域の実情に応じて医療機関への一時支援金などを支給するようにという話(国の通知)がありました。それを踏まえて対応するものです。県内の歯科医師会、看護協会等からも要望があったことを踏まえて、一時支援金を有床施設2万円など、そういった基準で実施するものが24億円です。
もう1点が、私立学校の関係です。これは先日、県内の私立学校等の連合会から要望がありました。光熱費が高くなっている中で、それを保護者に転嫁しないように何とか頑張っていきたいということで、行政からの支援を(お願いする)という趣旨のものでした。私立小・中・高校、専修・各種学校、計200カ所ありますが、そこに対して、定員等に応じて一時支援金を支給するものです。
もう1点は、「がんばろう商店街お買い物キャンペーン」で、これは引き続き実施するものです。人の流れをしっかりと盛り上げていくことが大事だと考えています。
8ページです。これは新たな事業になります。生活困窮者への支援として、生活困窮者に対するフードサポート体制を充実強化していくものです。やはり、物価高騰の影響により、生活困窮者などの食料支援のニーズは高くなっています。一方で、JA、スーパー、個人などから支援してもらっていますが、寄付にはいろいろな波があり、そこをどのように安定的に確保していくのか。フードドライブ、子ども食堂、そういったものをどう連携していくのか、がこれからも不可欠だと思っています。
そういった中で、公民連携による持続的な取組への移行を考えています。現在、ヤングケアラーへの配食支援なども、県の委託事業として実施していますが、これは、委託事業の後も、いろいろな枠組みとして、民間と公が連携しながら続けていく仕組みが大事だと思っています。
そういった意味で、生活困窮者、ヤングケアラーなどを支援する福祉関係機関とフードドライブに取り組む民間企業、それから、地域の団体、フードバンク関西もありますが、そこが連携して、持続可能な形で、中長期で、こういった食料支援を生活困窮者に行うための体制を作っていく。
名称としては、「ひょうごフードサポートネット(仮称)」、これを構築していきたいと考えています。面的なカバーをしっかりとするためにも、市や町の社会福祉協議会とも連携しながら、こういった枠組みを作っていきたいと考えています。その構築経費として1100万円となっています。
生活困窮者への支援は、一部の自治体で、直接お米や現物を給付するというやり方をしており、それはそれで一つの方法としてあるのですが。困っている世帯は、単身世帯、高齢者世帯、小さな子のいる世帯など、いろいろな幅広い世帯がありますので、それぞれの状況やニーズに合わせて、持続可能な形で、この生活困窮者への食料支援をしていくことが、兵庫県として大事だと思っていました。
何か(現物)を配るよりも体制を構築していくことを、兵庫ならではの取組として進めていく、「ひょうごフードサポートネット(仮称)」として、何とか形を作っていきたいと思っています。
おそらく、円安・物価高というのは、ウクライナ情勢などを踏まえると、食料需給もなかなか厳しい状況が続きます。円安が続く中で、いろいろな生活困窮者がこれからも増えていく可能性がありますから、中長期的な視点で、こういった枠組みを構築していくことが大事だと考えています。
9ページは、出産・子育て支援です。これは国庫の事業になりますが、0~2歳の子育て家庭への相談支援や、妊娠届出等を行った妊婦に対して10万円の支給をするものです。
10ページは、子どもの安心・安全対策です。送迎用バスの安全対策、子どもの見守り支援などを進めていく。これは先日の静岡におけるたいへん痛ましい送迎バスの事故がありましたが、そういったことを踏まえて、国から、国庫で安全装置の改修などの支援をするというメニューがきましたので、それに沿って、県から支援、補助するものです。
11ページは、経済活動の支援です。一番上が、いわゆる今、金融機関から県内の中小事業者に対しては、ゼロゼロ融資ということで、無利子・無保証料の融資がコロナ後ずっと続いていますが、これがいよいよ返済が近づいてくる、という時に、倒産リスクが出てくるのではないかというのが大きな懸念としてあります。そこで、今年度の当初予算でも、そういった事業者に対して、伴走型で、新しい経営改善策など、成長戦略のプラン作成支援の経費を計上しました。これが予想以上に、非常に強いニーズがありましたので、これは経済界からも引き続き、続けてほしい、という声が強いのです。今回、この冬からまた新たにスタートできるように、補正予算として追加で計上することとしました。
それ以外にも、省エネやコスト削減などのチャレンジを応援するというものも、追加で実施します。
12ページは、新たな対応になります。燃料価格高騰の対策については、これまでいくつかの業種に実施しましたが、今回は中でも、LPガスを主な燃料として製造を行う地場産業の事業者に対して支援をするものです。12ページ左側の表にあるように、LPガスが非常に高騰しています。実は一般家庭用は2.7%の増加ということで、微増ですが、事業者向けの卸売価格は、1年あまりで4割近く、大幅に上昇しています。そういったLPガスを主に使う事業者というのは、調べますと、淡路瓦、丹波立杭焼など、こういった窯業の事業者が、このLPガスの高騰(の影響)をもろに受けています。今回、LPガスを使っているそういった事業者に対する支援金給付を、新たに実施したいと考えています。
先日、確かNHKで(放送がありましたが)、淡路瓦の事業者が、すごく燃料代が高くなっていて不良品率を少しでも減らそうなど、かなりの努力をされていました。しかし、それだけではもう対応できない状況になってきていているところもあり、まずは県、行政から支援金を支給し、経営の下支えをしたいと思います。
13ページは、資金繰りの支援です。これは既存の融資枠の対応ですが、新たなゼロゼロ融資の返済のタイミングでの融資を充実させていきたいと思っています。
14ページは、ひょうごを旅しようキャンペーン・ワイドの延長です。12月20日が今の期限ですが、業界からも年明け以降も引き続き支援をしてほしいという声がありました。また、国からも全国旅行支援の延長というものがありましたから、一部、割引率などは引き下げにはなりますが、1月以降も延長するという予定で81億円を計上しています。
その下も新規事業です。水際対策の緩和でインバウンドが戻り始めているというところです。今後の万博や、その後のインバウンドの復調を見据えて、新たな旅行商品を作っていきたい。いわゆる富裕層、高付加価値型の旅行商品を作っていくモデル事業をするための経費を計上しています。例えば、兵庫県内には丹波篠山をはじめ古民家がたくさんありますが、そういった古民家の一棟貸しを活用したモデルツアーや、ヘリコプター、クルーズ船、さらにはローカル鉄道、バスを利用した新たな高付加価値の、体験型のツアーを作っていきたいと思っています。
15ページは、省エネの関係です。耕畜連携を進めていくものです。耕畜連携はその名のとおり、畜産農家で牛の糞尿が出ますが、それを有効活用することで、農家の田んぼや畑の肥料に使うという、循環型社会を作っていこうというものです。循環型社会を作るのと同時に、今の円安で肥料や原材料が高くなっていますので、そういった意味でも、国内できっちりと飼料を確保できる体制を作ることが、長期的な食料自給や脱炭素、それからSDGsな農業に、有機農業にも繋がっていくかと思います。国庫でも、一部、補助がありますが、それにあたらない経費への県単独の補助も創設します。
有機農業については、非常に県民の皆さんの関心も高いので、今日の定例県議会の提案説明でも言いましたが、有機農業の推進についてはこれからしっかりと検討していきます。有機農業をはじめとした環境創造型の農業への関心の高まりを踏まえ、今後、新たに有機農業等に関する検討会を立ち上げて、生産者と消費者のニーズも強いですから、そういったことを議論しながら、新たな対策をしっかりと講じていきたいと考えています。
その他、省エネ機器や生産コストの低減策というものを追加で実施します。
16ページは、農林水産業の競争力強化として、国庫などを活用して実施するものです。それから農業水利施設、ポンプなどの水利施設のコストが電気代の高騰によって高くなっています。そういったところを支援するものが8000万円ほどとなります。参考までに、17ページに、各種一次産業の業種ごとの支援策を整理しています。
18ページは、インフラの関係で、国土強靱化、防災・減災対策ということで、令和5年度事業の前倒しを含めて454億円実施します。
19ページは、鳥インフルエンザの関係です。まん延防止の対策、それから風評被害などについて、昨年も姫路で起こった時に実施しましたが、今回のたつの市の事案についても予算を計上するものです。
以上ですが、いずれにしてもコロナ対策をしっかりとやりつつ、円安・物価高、そして生活者の困窮、そういったこともケアしていく。さらには観光や国土強靱化、そういったところでも対策をしながら、12月補正としては、1000億円を超える大きな規模となりました。しっかりと議会で議論をしてもらい、早期成立、早期執行に繋げていきたいと思います。
私からは、以上です。
記者:
新型コロナについて、知事は先ほど「第8波に入った」という認識を示されました。その中にあって、補正予算では観光需要の創出という面で80億円近く捻出しています。コロナの感染が広がりつつも、観光需要も作りつつという両輪が必要だと思いますが、そのあたりについては難しさが出てくるかと思います。
改めて、コロナ禍の中の観光、医療体制の拡充という難しさと、どういうねらいを持って、予算を充てることになったのか、教えてください。
知事:
コロナについては、感染者数が数週間以上、対前週比で増加する傾向が続いています。
急に激増するタイミングではないのですが、今の継続状況を考えると「第8波に入っている」と考えてよいと思います。
ただ一方で、社会経済活動と感染対策の両立をしていくことが、繰り返しにはなりますが、今のオミクロン株の弱毒性を考えると、ステージが変わってきていると思います。コロナ対策の医療提供体制の確保、発熱外来や妊婦への対応。また、ワクチン接種や病床の確保も進めていきます。
一方で、経済を回していくということで、観光のキャンペーンや商店街のキャンペーン、そういったものもきちんと実施することが大事だと思っています。それによって経済活動等とコロナ対策の両立を図っていくということです。これはこれからも続けていきたい、と考えています。
記者:
フードサポートについて。すでに兵庫県では、ヤングケアラーへのフードサポートなどをしつつ、更なる強化をしているように感じます。
JAの例を挙げられていましたが、知事の耳に、今の体制ではまだ少し不足している部分があるなど、より拡充できるポイントがある、というような声が現場から上がってきたのでしょうか。
また、東京都や大阪府では、米の現物支給を上げています。そういう面ではなく、体制構築に力を入れると決めたねらいを改めて教えてください。
知事:
今、県ではヤングケアラーへの配食サービスを民間事業者への委託事業という形で実施しています。この利用状況については、順次また状況を確認しながら、また時期が来れば報告したいと思っています。
問題意識としては、県の委託事業という形でずっと続けていくことが、これは一つのやり方だとは思いますが、ベースとしては民間の皆さんの今までの地道な取組をより広げていくことが、私はすごく大事だと思っています。
先日もフードバンク関西の皆さんとフードドライブを実施すると、実はフードバンク関西の皆さんの取組の中で、食料品を集めてきて、それを家庭に配布するサービスもしていると聞きました。それであればそれをヤングケアラーに対して、食料品を配るという支援にも繋げられるのではないかということを私としても考えたところです。
このフードドライブは県でいうと環境部が所管しており、ヤングケアラーや子ども、生活困窮者の支援などは福祉部の所管になり、縦割りになっているので、ここを繋ぐよう指示をしています。
ここを繋ぐと、フードドライブなどの環境にやさしい、もったいない、フードロスを減らす取組と、困っている人への配食支援などをする福祉のところとの、「環福連携」という、そういった枠組みを作れば、より幅広い対象者、幅広い世帯に対して支援の輪が広がっていくのではないかと考えました。
一部の自治体の例として挙げられた、食糧の現物支給を行政がすることも、これは短期的には一定の効果があるかと思いますが、巨額の財政投資がかかるということと。あとは一部の家庭に限定してしまうという、これはこれで一つの政策ターゲットですが、困窮している世帯には、家族であっても、別に子どもがいなくても、生活が苦しい人がいます。ヤングケアラーや子育て世帯、独居老人であっても、生活に困っている人がいます。そういった多様な生活困窮者に対して、中長期的な枠組みでサポートができるような仕組みづくりをすべきということで、今回、「ひょうごフードサポートネット(仮称)」を作り、いろいろなプレーヤーを結びつけていく取組を進めたい、というのが今回の趣旨です。
記者:
予算規模について。一般会計で965億円というのは、この時期の予算案としては過去最も多いと聞いています。今回の社会情勢等に照らして、この金額、規模というのは、必要な予算を計上したという受け止めですか。
知事:
今回の予算規模全体で1000億円を超えました。うち、一般会計は965億円で、これは過去最大の規模になります。昨年の12月補正が723億円、その前では平成22年度が737億円です。いずれも経済対策の補正予算として、700億円を超えていました。
今回、12月補正の一般会計としては過去最大のケースになりましたが、大きくなった要因としては、コロナ対策、病床の確保の延長が約300億円。それから、公共事業の国土強靱化の関係が450億円ほどという大きな規模になっています。
それ以外にも、先ほど説明した旅行の支援や、いろいろなことをトータルでしていく中で、このような規模になりました。これは、国の予算もしっかりと活用しながら、一般財源の活用規模としては、36億円に収まっており、大半が国からの交付金、補助金、それから起債を使って、財源も確保しています。
記者:
コロナ対策や国土強靱化対策が非常に膨らんだという説明でしたが、必要な経費が計上されたとの認識ですか。
知事:
今の時代、コロナ対応もやはりこれから同時流行にそなえて不可欠なテーマで、災害や有事に備えて、安全・安心な県のインフラ整備というものも大事なテーマです。
それ以外にもいろいろな観光、中小企業支援、今の県の情勢で必要不可欠な、緊急性の高い事業をメニューとして挙げた結果、過去最大という形になりました。
記者:
特に、物価高対策として様々なメニューが上がっています。知事の考えとしては、事業者、病院など、まだ影響がかなり強いという認識ですか。どういった思いで、今回、予算計上したのか、改めて伺います。
知事:
中小企業に対する円安・物価高対策の予算というのは、これまでも計上しています。それを順次執行してきた状況です。聞き取りや要望を受け止めると、個別の業界ごとにかなり支出に占める燃料のウエイトが高いことや、あとは、(私立学校の)保護者や生徒に対する転嫁をしなければならない状況にあるという業界が、出てきています。
先日の(9月)補正予算では、クリーニング店や一般公衆浴場、農林水産の業界、事業者に対する支援もしました。その後、いろいろな要望やヒアリングの中で、今回上げたような医療機関、クリニックも非常にコストが高くなっていることと、私立学校についても、先日、要望を受け取りましたが、光熱費がすごく高くなっていて、保護者に負担を転嫁せざるを得ない状況です。
それからLPガスは、地場産業にとっても非常に大事なところです。淡路瓦や丹波篠山の立杭焼、そういった大事な地場産業への影響を緩和するために、物価高対策というものを実施していくことが大切だと考えています。
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