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更新日:2024年1月31日

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知事記者会見(2024年1月31日(水曜日))

【発表項目】

1.兵庫型奨学金返済支援制度の拡充(PDF:710KB)

2.能登半島地震に関する兵庫県の支援の状況(PDF:1,781KB)

3.「創造的復興」の理念を活かしたウクライナ支援検討会 中間報告会・シンポジウムの開催(PDF:351KB)

動画

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知事記者会見内容

知事:

1番目は「兵庫型奨学金返済支援制度の拡充」です。

現在、学生の多くが奨学金を受けながら、大学生活を送っており、その数は3人に1人や半分以上と言われています。

私自身も多額の奨学金を借りていました。県立大学の無償化も表明していますが、奨学金の問題は、社会が対峙していかなければいけない問題だと強く感じていました。

県版の企業と連携した奨学金返済支援制度を実施していますが、大幅に拡充をして令和6年度からスタートしたいと考えています。

議論は、主に人手不足問題対策会議で行ってきました。奨学金返済支援は5年間となっていますが、実際の返済期間の平均は約15年間で、返済金額も300万円近くになり、期限を延長することが大事だとの意見がありました。また、企業の人材確保施策としての一つの売りになるとの意見もありました。

現在の対象年齢は30歳未満にしていますが、一度東京などに出て就職した人が、UターンやIターンで県内へ戻ってくることもあります。特に理系人材を中心に奨学金を借りている方も多いと思うので、対象年齢を30歳未満から40歳未満にすることで、企業の採用活動にとっても重要な要素となるので、拡充して欲しいとの意見もありました。

先日、政労使会議を開催しました。賃上げの問題などが主なテーマでしたが、人手不足の問題も非常に大事な問題だとの議論になりました。

兵庫県は、特に若い年代の人口流出が非常に多いので、企業にとっても人材確保のために、思い切った手立てが必要だとの話も出ました。そのためにも、若者にとって魅力ある労働環境を作っていくことが大事です。

奨学金返済支援の拡充は、当事者や企業の方々から聞いて、様々な課題が整理されたと考えています。

一つ目は、奨学金返済負担が大変重いことです。調査では平均借入額が300万円を超えており、返済期間約15年です。23歳から社会人生活が始まれば、40歳近くまで奨学金の返済をすることになります。

結婚や子供を持つ、家を買うなど人生において大事なライフステージのポイントになる年代に、多額の奨学金の返済が残っていると、結婚を躊躇するなど、人生の選択肢に大きな影響を与えることもあるので、現実的な課題を解決していかなければいけないと考えています。

二つ目は、企業の人材確保にとっても大事な制度になります。特に30代から40代の若い世代がUターンやIターンなどで就職する際の一つの重要な要素になります。

三つ目は、経済的な支援のみならず、若い方、特に女性などから選ばれる企業を増やしていかなければいけないことが大きな課題だと思います。

学生へのアンケート結果によると、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業、女性が活躍しやすい環境整備をしている企業、SDGsへの取組として、環境面など持続可能な企業経営をしているかが、学生にとって就職先を選ぶ際の重要なポイントになっています。

奨学金返済の負担の重さは、補助期間や補助額を拡大していくことが必要です。企業の人材確保は、対象年齢を30歳から引き上げていきたいと考えています。若者・女性に選ばれる企業の拡大は、若い世代や女性に選ばれる企業としての条件をどのように課していくのかが大事です。

課題を同時に解決する制度の拡充をしていきたいと考えています。

具体的な制度内容は、企業の人材確保、UIJターンの促進、子育てや結婚をする若者、Z世代への更なる支援策として、奨学金返済支援制度を来年度から大幅に拡充していくことが大きな目標です。

対象年齢は、現在30歳未満ですが、40歳未満まで拡充しようと考えています。補助期間は、最大5年間を最大17年間まで延長しようと考えています。補助総額も合わせて、306万円まで拡充したいと考えています。

支援の拡充により、奨学金の平均返済期間が14.5年、平均借入額は約310万円までカバー可能な内容になります。

奨学金を借りている方が、県内の条件を満たした中小企業に就職される場合には、実質的に全ての奨学金の返済を免除するようにしていきたいと考えています。

県で定める認定制度の基準を達成した企業に、最大17年間の補助期間の延長をしたいと考えています。

県内に本社のある中小企業に勤務し、奨学金を受給し返済義務があり、40歳未満の正社員で県内の事業所に勤務している方が対象になります。

補助期間は、最大17年間になります。補助額は、県が3分の2、企業が3分の1を分担し合います。ベースとなる5年間の制度は堅持しつつ、10年、17年とステージを3つに分けて、最大で17年間補助できる仕組みを作りたいと考えています。

単に延長するだけではなく、3つ目の課題である若い世代や女性などにとって働きやすい職場、選ばれる企業になっていただく政策目標も組み込むことが大事だと思っており、条件として、10年間まで延長したい企業は、SDGs宣言企業やミモザ企業、ワーク・ライフ・バランス宣言企業のいずれか2つに該当することを基準にしたいと思います。

17年まで延長したい企業は、宣言ではなく、認証や認定が条件となります。県がチェックリストに基づいて、SDGs認証企業やミモザ企業への認定、ワーク・ライフ・バランスの認定企業のいずれか2つに該当する企業を対象とする制度に変えていきたいと考えています。

他県でも同様の奨学金返済支援制度がありますが、本県は年齢要件や金額は全国トップクラスにしていきたいと考えています。

企業の皆様に積極的に活用していただくと同時に、学生の皆さんにも制度を知っていただくことが大事だと思っています。

奨学金返済支援制度の拡充は、若者・Z世代応援パッケージの大きな柱の一つです。

県立大学の無償化と併せて奨学金返済支援制度の拡充を行うことで、県内で住み、働き、学び、続ける若者の負担軽減を図っていきたいと思っています。

また、中小企業の人材確保や若い世代の県内企業定着、県内企業で活躍していただける環境を作っていきたいと考えています。

 

2番目は「能登半島地震に関する兵庫県の支援の状況」です。

震災発生から明日で1ヶ月になります。被災地は着実に復旧に向けて歩みつつありますが、今なお、多くの方が避難所生活を強いられており、被災地への支援を今後もやっていきたいと考えています。

人的支援は、職員の派遣を継続しています。他には仮設トイレを1月29日に珠洲市へ搬送しました。本日、第5次の緊急消防援助隊として、35隊115名を現地へ派遣するなど様々な取組をしています。

住まいの提供は、県営住宅1戸、市営住宅6戸で入居が決定した状況です。県営住宅では初めてになります。

また、地方職員共済組合本部から依頼があり、有馬にある宿泊施設「瑞宝園」で、宿泊料が無料となる被災者支援宿泊プランの設定をスタートさせます。

今後の被災地への支援ですが、今日も派遣された職員などから帰庁報告を受けましたが、被災地のニーズは刻々と変わっていきます。

特にニーズが高いのが、罹災証明書の発行に関して、家屋被害認定調査支援職員のスタッフを増強して欲しいとの声があり、1月31日から第3陣を派遣し18名に増強します。

中学生が地元を離れて二次避難し、学校再開していますが、生活指導などを行う教職員を3名派遣します。ボランティア支援に関しても石川県庁に業務支援職員を1名派遣します。

就労支援事業所への支援として、ユニバーサルな石川応援プロジェクト「石川応援+NUKUMORIマルシェ」の開催をしたいと考えています。

+NUKUMORIマルシェの方には福島の復興も含めて様々な支援に協力いただいており、御礼申し上げたいと思います。

今回は、石川県の就労支援事業所等で製作された製品を県内の+NUKUMORIマルシェで販売します。

具体的な取組は、+NUKUMORIマルシェでクッキーやコーヒーなどを販売します。

当面の予定として、2回実施することを考えています。1回目が、2月15日のお昼前後に県庁1号館前芝生広場で、10店舗程度マルシェを開催します。2回目が、2月17日にヴィクトリーナ姫路の試合の際にマルシェを開催します。

県庁2号館1階のドリームカフェでも、石川県産品を活用したメニューの提供を準備するなど、福祉関係の事業者からも、支援をいただいており、改めて御礼を申し上げたいと思っています。

引き続き、復旧から復興へフェーズが変わる中で、様々な支援を息長く続けていきたいと考えています。

 

3番目は「「創造的復興」の理念を活かしたウクライナ支援検討会中間報告会・シンポジウムの開催」です。

現在、支援検討会を続けていますが、その中間報告を実施し、シンポジウムを開催します。

2月24日にウクライナ侵攻が始まり間もなく2年を迎えます。今なお戦闘が続いていますが、一刻も早く平和が訪れてくれることを、国際社会としても強く働きかけていくことが必要です。

2年の節目を迎えるにあたり、国際社会の関心が移ろいつつある中で、避難されている方の受け入れを実施していますが、引き続き、兵庫県からはウクライナの復興支援を続けていくことで、それを考えるシンポジウムを開催します。

2月23日にラッセホールで開催します。内容は、兵庫県がウクライナ支援にどのような取り組みをしているかを報告します。

避難されている方への経済的な支援、ウクライナの今後の復興に対する支援で特に筋電義手や義足、心のケアの支援を、カウンターパート2州を決め、準備を進めていることなどを説明したいと考えています。

岡部先生から基調講演をいただき、一般社団法人芸術の森の皆さんによるウクライナの歌の特別コンサートの後で、パネルディスカッションをJICAなどと一緒にやるものです。

定員100名ですが、オンライン視聴も可能ですので、ぜひ多くの方々に参加いただきたいと考えています。

JICA主催でウクライナ関連のイベントが2月15日から東京で開催されるので、兵庫県もブース出展をするものです。

九段下の会場で行いますが、内容は兵庫県のウクライナ支援に関するパネル展示を中心にしていきたいと考えています。

我々がウクライナ支援の検討会の中で、どのような支援を検討しているのか、ウクライナからの避難民の方に生活支援をどのようにしているのかを発信していきたいと考えています。

ウクライナ侵攻はもう間もなく2年になります。繰り返しになりますが、改めて1日も早い平和と、復興への歩みを進めてもらいたい、それに向けて我々もしっかりと支援をしていくことが大事だと思います。

ふるさと納税も、12月末時点で5000件超、金額は9500万を超える多額の寄付をいただいています。

改めて、お礼を述べたいと思います。避難されている方への生活支援に使わせていただいており、今後はウクライナへの復興支援として、特に義手義足のリハビリテーションの専門人材の受け入れ研修にかかる経費に活用したいと考えています。

改めて多くの皆様に、ウクライナへの寄付、ふるさと納税をお願いしたいと思います。令和6年度も引き続きよろしくお願いします。

 

私からは以上です。

 

質疑応答

記者:

奨学金の返済でお伺いします。

今年度も支援制度は実施していますが、予算規模と支援実績はどれぐらいあるのか、来年度の予算規模がどのぐらいになるのかを教えてください。

 

知事:

今のところ12月末時点で262社が制度導入、696人が対象になっています。

最終的には、令和5年に一部拡充を行っているので、800人ぐらいまでいくと思っています。

令和6年度は予算上、470社、1180人程度になると思います。予算規模としては、広報経費も含めますが、1億5000万円を予定しています。

 

記者:

来年度に利用される方の規模は、奨学金を利用している方の割合に比較して、ほとんどの方が申し込む前提なのでしょうか。それとも、なかなか利用する方が少ないのでしょうか。

 

知事:

奨学金を県内で受給している方がどのぐらいいるのかは、データがありませんが、明らかに受給されている学生さんは、兵庫県に数万人の学生さんいるので、仮に3分の1だとしてもかなりの人数ですから、それをすべてカバーすることは現実的にはできないと思います。

この制度は、中小企業に就職した場合、その支援の対象になります。企業側にも一定の負担してもらう制度になるので、できるところから少しずつ増えていくと思っています。

 

記者:

県内の中小企業数はかなり多いと思いますが、その中でもこの制度を利用できる企業は限られます。

今回の拡充により最大補助期間が10年、17年となる企業はどれぐらい県内で想定されますか。

 

知事:

今後の見込みですが、5年後ぐらいには今までの伸びを勘案して、約1000社、約3000人程度の利用者になっていくことを想定しています。

 

記者:

SDGs宣言企業やミモザ企業として10年の枠組みや17年の枠組みが使える企業は、1000社うちどのぐらいになるのでしょうか。

 

知事:

全体を100%としたとき、一番ベーシックなところ(5年)が大体45%ぐらいになります。それから次の段階(10年)も45%ぐらいで残りの10%が最大の(17年)企業になると想定しています。

 

記者:

全ての企業に参加してもらうのがベストだと思うのですが、それに向けて取り組みをこれから何か進めていくのでしょうか。

 

知事:

来週、ひょうご経済・雇用戦略推進会議もありますが、そこで議題に上がると思いますので、企業への周知、県内の学生、場合によっては首都圏の学生も含めて、兵庫にゆかりのある人や帰ってきたいという人に、PRをしていきたいと思っています。

1000社、3000人が一つの目標ですが、もし3000人が県内に就職をして、かつ奨学金返済支援も、となれば全体の母数はもちろん、県内企業の人手不足や当事者の負担軽減という意味では大きいものになると思います。

3000人が超えてしまうぐらいの企業のエントリーがあれば、良いことなので、予算をしっかり確保して対応していきたいと思います。

 

記者:

1000社3000人はいつの目標ですか。

 

知事:

約5年後ぐらいです。

 

記者:

少なくともこの制度を5年は継続して行った上で1000社3000人ですか。

 

知事:

そうです。この数年間が大事なポイントです。

制度をしっかりと拡充していき、5年間で3000人ぐらいの方に人材として定着してもらった上で負担軽減をしたい。ワーク・ライフ・バランスなどの企業が増えていき、三方よしの制度にしていきたいというのが私の思いです。

 

記者:

奨学金返済支援の制度でお伺いします。

補助期間は、認定制度に対する取組に応じて、5年、10年、17年と傾斜を付けていますが、その狙いを聞かせてください。

 

知事:

課題にもありましたが、学生の奨学金負担を最大300万円軽減すると、結果的に実質全額免除になります。

二つ目が企業にとってのUターン人材などの人材確保にもなることです。

三つ目が、若い世代や女性などがこの企業で働きたいと思われる企業に選ばれる企業になっていくことが大事です。

その方々が入社した後でも、職場の環境などが素晴らしかったり、企業の理念が良くなることが大事だと思っており、単純に補助期間を延長するのではなくて、ワーク・ライフ・バランスや女性活躍、SDGsに取り組むことを条件にすることで、理想になりますが、若者や女性などに選ばれる企業の裾野を同時に増やしていくことで、三方よしの制度にしていきたいと考えています。

 

記者:

制度内容に関して、17年で306万円のうち県の補助が204万円ですが、17年で見ると、企業の負担は102万円になると思いますが、企業の事情等で50万円しか払えない場合、県の補助額は、企業負担に併せて変動するのでしょうか。

 

知事:

企業の負担に応じて金額が変わります。最大で204万円になります。

 

記者:

企業の負担を考えると、譲れないポイントですか。

 

知事:

そうです。

先日の県・市町懇話会でも説明をしましたが、例えば、地元の企業に就職した場合や地元に住んだ場合などを条件に、企業負担分の3分の1を市町が独自施策で負担してくれれば、企業の負担は実質ゼロになるので、大きく期待しています。

 

記者:

奨学金支援ですが、市町懇話会でも協力を呼びかけられましたが、反応はいかがでしょうか。

 

知事:

すでに15市町が独自に奨学金返済支援の取組をしています。

そのうち、県の事業と併用して実施しているのが12市町あるので、そこに呼びかけをしていく形になりますが、まだ分かりません。

 

担当課:

何件か問い合わせはあります。

 

知事:

まずは県が先鞭をつけ、できれば来年の当初予算から実施してもらえればベストですが、それぞれの市町の判断なので、おそらく延長の話は、実際に制度を運用している企業からの声でもあるので、それぞれの商工会・商工会議所などにも声が出て、地元の自治体にも、県の制度に併せて、市町でも制度創設をすべきではないかとの声は上がってくると思います。

 

記者:

先ほど5年後に1000社、3000人程度の利用を想定しているという説明でしたが、根拠を教えてください。

 

知事:

後ほど担当課から説明をさせますが、過去の実績を踏まえて、5年目以降もやりたい企業の率や意向を聞き取りながら、推移を伸ばして、5年後ぐらいに3000人という数字に落ち着く試算です。

 

記者:

先日、分収造林事業の有識者委員会があり、出血を止めるためには早期の債務整理が必要。とりわけ民間金融機関から借りている額は、基金を運用していることもあり、不適切な運用を解消する観点からも対応が必要だとの指摘が出ました。

知事の受け止めと、スケジュール感をお聞かせください。

 

知事:

先日、分収造林のあり方委員会と財務部会を合同開催しましたが、そこで今の借り入れスキームが、基金の運用も含めて不適切だとの話がありました。

このままやっていく、ソフトランディングしていくという、前知事のインタビュー記事もありますが、それでは将来が分からない中で、毎年5億円、金利が上昇すれば10億円ほどの利子補給をしなければならない。それをやり続けることが果たして合理的かというと、私は大変厳しいと考えています。

検討会でも、分収造林事業は事実上破綻しており、止血を早くすることが大事だと専門家からも指摘されましたので、早期にしっかりとやっていきたいと思っています。

金融機関を介した内容も、早期に解消することが大事だと言われており、これをどの時期でやるかは、調整検討しているところなので、決まったらお知らせします。

これをやれば、おそらく300億円の金利負担などが圧縮できるので、早くやったほうが良いと思います。

木材価格が上がって売れれば回収できるのではとの議論ももちろんゼロではないのですが、これから人口減少社会になって、住宅の建築ニーズが減ってくると言われている中で、木材ニーズがどこまで出てくるのかも不透明です。

木材はいかにコストを下げていくかが大事なので、大量の需要が見込まれて、大量に搬出できるような人出とインフラがあれば、コストを下げて利益が出ることになりますが、今、日本が置かれている状況を考えると、人口が減って木材需要のニーズは不透明で、人手不足などの状況でコストダウンをして利益を出すような事業スキームが続けられるかというと私は専門家の指摘の通り、なかなか難しいと思います。

 

記者:

今日、地域整備事業のあり方検討の報告書案が出てきました。令和7年度にこのままでいくと地域整備事業会計が資金ショートするかもしれないとのことですが、令和6年度以降、どのような対策を取っていく考えでしょうか。

 

知事:

今日、議論が行われた直後なので、いずれ会長から報告書が提出されることになると思います。

そこで、県の方針をどうしていくかを考えていく形になるのではないかと思いますが、売れずに残っている進度調整地や財務的な問題があり、一般会計との貸借関係をどうするかなども含めて、しっかりと考えていかなければなりません。

このままでは過去の負債の返済時期が迫ってくるので、企業庁だけに任せていたとしても、いずれ資金ショートするため、進度調整地の問題も含めて、一般会計でどのように対応していくのかは検討しなければならないと思います。

今年度中に何か結論が出るというものではなく、来年度にしっかりと時間をかけて、どのように財政的に処理をしていくかの方針をきちんと固めていくことが一つの方向だと思います。

報告書を提出いただいた後で、しっかりと考えていきたいと思っています。

 

記者:

指摘の中で、県民負担は、慎重かつ抜本的な議論を求めるような内容になっており、事業そのものの存廃も含めて、見直しても良いのではないかとの趣旨の記載があります。

現時点で、事業そのものを廃止するなどの大きな改革案をお持ちですか。

 

知事:

今の財務状況、リスクを明らかにすることが今年度のミッションです。

それぞれの事業、エリアも対象は概ね固まっており、そのエリアの事業をどのようにしていくかは地元との合意形成などの丁寧なプロセスが必要です。

少なくとも来年度1年間かけてどのような方向性で対処していくのかをきっちりと決めていく形になると思っています。

その中で、一般財源としてどのように返済金を確保していくのか、事業をどのように決めていくのか、になるのではないかと考えています。

イメージとしては、来年度のなるべく早い時期に議論を詰めて、年度後半には何らかの対策を打っていくようになると思います。

来年の後半から令和7年度当初予算時には、どのようにしていくかのスキームを決めていければ良いと思っています。

結構重い問題になりますので、我々執行部側と議会側がしっかりと歩調を合わせながら、どのような処理が良いのかを検討していきます。

あまり急激にやってしまうと、県の財政もまだまだ厳しい中で、いろいろな若い世代向けの投資とかとのバランスも大事なので、2つの課題をどのように構造的に処理、解決していくかの道筋を付けていきたいと思っています。

この先の具体的な処理の仕方は、直ちに処理をしていかなければならない問題と、少し時間をかけていく問題を選別して議論していくことになると思います。

 

記者:

JR西日本から加古川線の西脇市~谷川間は、現在、維持・利用促進協議会からさらに一歩進み、その地域の交通体系全体を議論する法定協議会を設置したい意向を明らかにされました。

まだ、県の方には正式に提案があったわけではないかとは思いますが、知事の受け止めと、加古川線のこの区間を、来年度どのように対応していかれる考えを教えてください。

 

知事:

法律上、地域公共交通活性化再生法の中で、事業者から要請ができるスキームが出来てきているので、その法律の中の見解を述べられたのかと思っています。

正式にまだそのような申し出はありません。

現在は、西脇市や丹波市も含めて、維持・活性化のために、いろいろなプロジェクトを片山市長はじめ、やっておられます。

今の思いをしっかり汲みながら、維持・活性化に向けた取り組みを継続していくことが大事なので、今の時点で申し出がない中で、それが来た場合のコメントはしづらいのですが、今のところ兵庫県としては、地元自治体などとしっかりスクラムを組み、維持・活性化に向けた取り組みをやっていきます。

 

記者:

維持・利用促進協議会を来年度どのような形にするのか現時点の考えをお聞かせください。

 

知事:

地元の皆さんと話をしなければなりませんが、今年度にどのような方針で利用促進をしていくかの議論をしたので、来年度も利用促進の事業、特に加古川線でもワーキングチームに基づいて実施していくことには変わりはないと思っています。

任意協議会を継続していく方向性の中で、それぞれの利用促進策を、令和6年度予算に計上しており、そこをしっかりとやっていくことになると考えています。

 

記者:

維持・利用促進協議会を来年度も継続していくとのことですが、一方で知事から取り組みの最中だという話もありました。

現時点のJR西日本側からの評価としては加古川線のこの区間に関して、利用促進の効果が限定的との厳しい評価もあり、なかなか住民の日常利用に繋がっていない評価もあります。

あくまで維持を前提とした協議会になっているかと思いますが、その前提を外して交通体系のあり方全般にまで踏み込み議論を、来年度、再来年度以降、含めてしていくお考えは現時点であるのでしょうか。

 

知事:

今は、維持・活性化に向けた取り組みを地元も含めて強い思いがあるので、その意向を受けとめて、県と2つの市と関係者でやっていくことを軸として置くことが大事だと思います。

ただ、JR西日本も、そのような意向を支社長として述べたということであれば、いずれかの時点でまた正式に話が来ると思いますので、理由などを含めて、彼らの考えを聞くことは大事だと思っています。

 

記者:

県としても、当然予算を使って利用促進策を実施しているかと思いますが、これも未来永劫利用促進を続けるのも持続可能性の観点から見ると難しくなる面もあると思います。

例えば、何ヵ年ぐらいで検証をして利用促進からもう一歩踏み込んだような議論にするかなどの将来に向けた構想などはありますか。

 

知事:

現時点ではありません。利用促進をやっていく思いのもとに実施しています。

どこまでやるのかを県がいきなり決定するよりも、地元の市町との合意形成が大事だと思います。

まずは、利用促進をしながら、その結果や成果を見て、今後どうしていくのかを議論をし、県と地元の市町を中心に合意形成していくことが大事だと思っています。

 

記者:

関空と神戸空港の新飛行経路案に関する環境検証委員会が一昨日開かれ、中間取りまとめが報告されました。

知事もコメントを出されましたが、淡路島の飛行ルートが増えることで住民の方々、市町の方々の意見が国への提案という形で盛り込まれたかと思います。

改めて、中間取りまとめの評価と、兵庫県を含む地域に対しては、環境監視体制の強化などが求められていますが、県としてこの先進んでいくにあたって何か計画はあるのでしょうか。

 

知事:

評価委員会の中で、エビデンスに基づいて、関空、神戸空港が増発された場合の騒音や高さなどの議論で方向性が出たということだと思います。

地元の合意形成は、オープン、丁寧にしていますので、そこを継続していくことが大事だと思っています。

特に淡路北部の方が地元の皆さんも含めて、心配されている方もおられるため、関係者と引き続き丁寧に協議をしながら、懸念点が何なのか、それをどのようにしたら解決していけるのかを、それがもし2025年以降、実際に飛び始めて問題が生じた場合に、それを解決するための仕組みをしっかりと準備をしていきたいと考えています。

 

記者:

分収造林の関係で確認です。

先ほど早期に解消が大事と指摘された金融機関を介した内容に関して、タイミングは検討ということですが、これは今年度内になりそうですか。それとも来年度に持ち越すのでしょうか。

 

知事:

そこも含めて、最終調整中です。

また、お伝えする時期になればお知らせします

ただ、検討会からもできるだけ早期にと言われているので、あまり先にできるものではないかと思います。

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