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本県が所轄庁である社会福祉法人山の子会については、令和6年2月26日に監査を実施した。以後、継続して指導を行ってきたが、依然として債務超過状態が継続していること等により、法人の運営が著しく適正を欠くと認められたため、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第56条第4項の規定により、改善のために必要な措置をとるべき旨の勧告を行いましたが、期限内に是正又は改善措置等が図られないことから、同条第5項の規定によりその旨を公表します。
| 勧告内容に係る事項 | 改善報告の状況 |
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(1)債務超過の状況にあるため、法第46条の2第1項に規定する「社会福祉法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合」(以下「債務超過」という。)の解消方法について、公認会計士等外部専門家から意見を聴取すること。 さらに、その聴取した意見を踏まえ、理事会で債務超過の解消方法を検討し、その結果を記載した議事録を、公認会計士等外部専門家の前記意見と合わせて、令和7年9月1日までに、福祉部総務課法人監査指導班に提出すること。 |
(1)債務清算計画について、公認会計士による意見聴取を実施し、その結果を理事会にて報告。 しかし、当該法人が掲げる事業譲渡等の債務の解消方法について、譲渡金額の適正性等意見が付された点に係る見直しがなされていない。 |
| (2)理事会で債務超過の解消ができないと判断した場合は、法第46条の2第2項の規定に基づき、理事は、直ちに破産手続開始の申立てを行うこと。 | ー |
| (3)理事会で債務超過の解消が可能と判断した場合は、現在策定している再建計画の内容を実現可能なものに見直し、現再建計画に代わる、債務超過状態の解消を実現する新たな「債務清算計画」を策定し、理事会及び評議員会において決議すること。 | (3)(1)に記載のとおり、債務清算計画について公認会計士から付された債務超過の解消に30 数年を要するなどの意見を踏まえた見直しがなされていない。 |
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(4)債務清算計画においては、次の事項を明らかにした実効性のあるものとすること。 ア 法人が実施する事業の種類ごとの収入増を図るための具体的な対策、費用対効果 イ 新たな支出削減を図るための具体的な対策、費用対効果 ウ 債務の返済に充てるための具体的な財源 エ 年度ごとかつ法人が実施する事業の種類ごとの資金収支計画書 オ 年度ごとの債務清算計画 |
(4) ア 当該法人が実施する各事業が増収となることを前提とした債務清算計画となっているが、増収の前提となる各事業について関係行政庁との協議が行われていない。 イ 支出削減策が示されていない。 ウ 債務の返済に充てるための具体的な財源については、事業収益の他、理事長及び関連法人からの借入とされているが、具体的な金額、法人名が示されていない。 エ 当該法人が実施する各事業が増収となることを前提とした債務清算計画となっているが、増収となる根拠が示されていない。 オ 債務の返済に充てるための具体的な財源が明らかにされていない。また借入金の返済スケジュールも示されていない。 |
| (5)前記(4)オに示した債務清算計画の履行に当たり、新たな借入を元手に債務を返済することとならないよう、令和7年3月末時点の債務超過額(▲961百万円)をこれ以上悪化させないこと。 | (5)(4)ウに記載のとおり、理事長及び関連法人からの借入を前提とした債務清算計画となっており、令和7年度においても借入を実施している。 |
| (6)前記(4)エ及びオに示した資金収支計画及び債務清算計画について、年度ごとの計画値を達成すること。 | (期限未到来) |
| (7)債務清算計画においては、次の選択肢について理事会で議論し、検討結果(採用しない場合も含む。)を反映させること。 ア 法人が実施している事業のうち、不採算の事業を廃止・縮減すること イ 事業譲渡や合併による他法人からの資金確保、又は任意整理や民事再生法の活用により、債務の抜本的圧縮を図ること。 |
(7) ア 借入が継続して行われている状況にもかかわらず、理事会において、不採算の事業の廃止・縮減について、十分な議論がなされていない。 イ 事業譲渡予定先の法人への過大評価した譲渡価格など、譲渡価格の適正性が審議されていない。 |
| (8)債務清算計画の策定に当たっては、その内容及び適正性について、公認会計士等外部専門家の意見を聴取し、その結果を書面にして理事会及び評議員会に報告するとともに、債務清算計画に反映させること。 | (8)(1)に記載のとおり、公認会計士による意見聴取において付された意見について、債務清算計画に反映されていない。 |
| (9)債務清算計画は、当該計画に関する決議を行った理事会及び評議員会の議事録並びに公認会計士等外部専門家の意見聴取結果を添付の上、令和7年9月1日までに福祉部総務課法人監査指導班に提出すること。 また、債務清算計画の実施状況について、同計画実施期間中の毎年度9月30日及び3月31日からそれぞれ2週間以内の年2回、福祉部総務課法人監査指導班に対して報告すること。 |
(9)(1)と同様 |
| (10)令和6年2月26日に実施した指導監査の改善報告内容のうち、改善措置状況が確認できない項目については、県追加確認事項にあるとおり、定款、定款細則等の各種規程を整備し、改訂後の各種規程と改善措置状況が分かる資料を提出すること。 | (10)定款変更について、評議員会における決議及び所轄庁への定款変更認可申請がなされていない。 |
【参考】
社会福祉法(昭和26年法律第45号)(抄)
(監督)第五十六条
4 所轄庁は、社会福祉法人が、法令、法令に基づいてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該社会福祉法人に対し、期限を定めて、その改善のために必要な措置(役員の解職を除く。)をとるべき旨を勧告することができる。
5 所轄庁は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた社会福祉法人が同項の期限内にこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
6 所轄庁は、第四項の規定による勧告を受けた社会福祉法人が、正当な理由がないのに当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該社会福祉法人に対し、期限を定めて、当該勧告に係る措置をとるべき旨を命ずることができる。
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