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記者発表日時:2025年12月3日10時
担当部署名/産業労働部新産業課科学政策班 直通電話/078-362-3053
世界最高性能の大型放射光施設「SPring-8」が立地する兵庫県では、産業界によるSPring-8の利活用を積極的に推進しています。
社会に対し広くSPring-8の認識と知名度を高めるため、SPring-8における様々な成果の中から、社会経済全般の発展に寄与することが期待される研究成果等を表彰する「ひょうごSPring-8賞」を平成15年度から設けており、この度、今年度の受賞者が決定しました。
ついては、令和8年1月24日(土曜日)に神戸マリオットホテル(旧:ホテルクラウンパレス神戸)において、第23回ひょうごSPring-8賞表彰式を開催します。
兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センター
「地球温暖化に強い、兵庫県発おいしい米の新品種の優位性証明」
地球温暖化が食糧供給に与える影響は、食糧安全保障にもつながる世界的課題であり、我が国主食の米についても、近年の記録的な猛暑の影響で、品質低下や収量減少が発生している。こうした背景から受賞者は、関係機関とともに高温耐性のある米の品種開発を進め、当初1万系統あった品種から「兵系91号」と「兵系92号」の2系統に絞り込んだ。この2系統について、既存品種の「キヌヒカリ」と比較し、高温耐性と良食味での優位性等を確認するため、SPring-8を活用した。
X線CTにより非破壊で米粒全体をスキャニングし、デンプンの詰まり具合や内部亀裂の程度を確認した結果、「キヌヒカリ」に比べ候補の2系統は、デンプン粒の詰まりが密で、内部亀裂の発生が少なく、高温の影響を受けた白未熟部分ではデンプン結晶の崩れの程度が軽いということが明らかになった。特に、「兵系92号」はデンプン結晶の崩れが軽く、内部亀裂の発生が少なかったことから、高温耐性においてその優位性が証明された。
最終的に、栽培試験や食味官能調査等の結果から、「兵系92号」が新品種に選定され、「コ・ノ・ホ・シ」として今年度から栽培を開始している。
以上のように、SPring-8を活用して新品種の優位性に科学的根拠を加えた本研究は、食糧安全保障の解決につながるもので、高く評価できる。また、農業分野は従来のSPring-8の産業応用の範疇を超えた事例であり、特に品種改良への放射光分析の応用は、世界的にも新しい取り組みである。食用米のみならず、他の農作物の品種改良への応用が期待できる等、波及効果の大きな成果であると言える。
令和8年1月24日(土曜日)14時00分~
神戸マリオットホテル(旧:ホテルクラウンパレス神戸)ザ ボールルーム(神戸市中央区東川崎町1-3-5)
選定経緯説明、表彰状贈呈、研究内容紹介
公益財団法人ひょうご科学技術協会が主催する「第43回ひょうご科学技術トピックスセミナー」と同時開催いたします。ひょうごSPring-8賞表彰式に参加を希望される場合は、「第43回ひょうご科学技術トピックスセミナー」へお申し込みください。
令和8年1月24日(土曜日)14時00分~16時10分
神戸マリオットホテル(旧:ホテルクラウンパレス神戸)ザ ボールルーム(神戸市中央区東川崎町1-3-5)
公益財団法人ひょうご科学技術協会
100名程度
公益財団法人ひょうご科学技術協会ホームページから事前登録(参加無料)
第43回ひょうご科学技術トピックスセミナー申込フォーム(外部サイトへリンク)
以下のQRコードからも「第43回ひょうご科学技術トピックスセミナー申込フォーム」へアクセス可能です。
