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更新日:2020年10月1日
令和2年10月1日配付
農政環境常任委員会付託
種苗法改定案の廃案を求める意見書提出の件
1 受理番号 第22号
2 受理年月日 令和2年9月23日
3 紹介議員 ねりき恵子 丸尾牧
4 請願の要旨
私は、安心安全な食材が未来にわたり、提供され続けられることを望んでいる。しかしながら、今回の種苗法改定案により、農家をますます疲弊させ、営農が続けられなくなるような事態を招き、日本の農業文化・伝承技術や農民の種の権利が大手グローバル種子企業によって奪われ、種の多様性も失われようとしている。
2017年に施行された農業競争力強化支援法により、公的な試験機関にて守られてきた種子生産に関する「知見」を民間企業に提供することが義務付けられ、種子の開発、生産、普及に関する事業が公的機関から民間企業に移譲される事態になった。
2018年4月には主要農作物種子法が廃止され、これまでの都道府県が、米、麦、大豆などの主要農作物の「種」の生産・普及に責任を持つ体制に終止符が打たれた。
2020年10月の臨時国会では、審議予定の種苗法の一部改正(案)検討資料(昨年11月に農林水産省が公表)には、植物種苗の新品種開発を促進するため、種子の育成者権保護を目的として、農家の自家採種・増殖を有料の「許諾制」にすることが検討されようとしている。この自家採種・増殖禁止こそが、大手グローバル種子企業の日本食分野「全て」を支配下におくための「狙いどころ」であり、一連の法改正のつながりにおける最終到達目標であることを十分認識しなければならない。
こうした一連の流れの政策は、公的機関による種子の保全、育成及び供給を困難にし、大手グローバル種子企業による支配と独占に道を開き、日本の食を売却しようとしていることに集約できる。それにより、農家の経済的負担の増大や、農家による種苗の自家採種・増殖の権利も奪われ、育成者権者からの権利侵害を理由とした訴訟などの懸念から営農意欲をそがれ、後継者不足も重なって、伝統的な日本の農業の更なる衰退をもたらすおそれがある。
最終的に、種の多様性、環境の保全、地域の存続、といった持続可能な経済社会の崩壊 につながり、大手グローバル種子企業を中心とした市場参入が加速され、「農薬」、「遺伝子組み換え作物」、「ゲノム編集」といった人体に直接影響する深刻な問題が一層浮き彫りとなってくることが予想される。企業利益が最優先されることにより、国民の食糧保障や安全も二の次となるであろう。
そして、何よりも訴えたいのが、「食の安全の確保」である。大手グローバル種子企業などの特許取得によるバイオパイラシー(生物的海賊行為)を阻止し、最低でも他国の水準までレベルを引き上げて、食の安全に対する取組を行うことが急務である。
食分野の根幹を握られてしまうことにより、食の価格は高い上に、安心・安定して食べられない国になることなど、誰も望んでいないはずである。ただでさえ低い食糧自給において、その中身までを外資系を中心とした大手グローバル種子企業に売り渡すことが危険すぎることを、国民は自覚しなければならないのである。
そもそも、植物遺伝資源である種子は、生きとし生けるものの命の根源であり、種子の安定的な供給は、国民の生存権保障の義務を負う政府の役割である。その役割を、当該義務を負わず、何が国民にとって必須であるかより、何が一番もうかるかを考えて事業を行う民間企業に委ねることは、政府の責任放棄と言っても過言ではない。
コロナウイルスの影響により輸入制限、物流制限のリスクが高まっている。また、経済破綻を機に国家間の緊張の高まり、戦争を含めた混乱も想定される。それに伴い「食料危機」というワードが聞こえるようになってきた。今回の有事において、日本の食のあり方を見直すべきときが来ていると実感する。
以上の背景を踏まえ、種苗法改定に当たっては、「食の安全保障」に対し、二度と後戻りできない壊滅的影響を及ぼす前に、間違いにあふれた改定案の内容を十分に吟味する国会審議が求められるべきと考える。
安心・安定して食べられ、子孫にまで悪影響をもたらす可能性が強い、「種苗法改定」をなんとしても阻止しなければ、明るい日本の未来はない。
よって、下記事項を内容とする意見書を国へ提出するよう要望する。
記
1 種苗法改定案を廃案とすること。
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