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知事:
現在、新型コロナウイルス感染症が小康期なので、このような時期に体制の検討をしっかりと行い、次に備える方が良いことから、健康福祉部に「感染症等対策室」を設置することとしました。
ここでは、新型コロナウイルス感染症の「次なる波」の到来等に備えるため、医療提供体制・感染拡大防止対策の更なる充実や、新規陽性患者の発生状況に応じたフェーズごとの機動的な対応を図り、対策としての総合性を発揮します。
現行は、疾病対策課が感染症対策の主管課ですが、これを昇格させ、局に準ずる「感染症等対策室」を作ります。その中に、「感染症対策課」と疾病対策課の2課を置きます。新しく「感染症対策課」を設け、感染症対策を総合的に担当できるようにするとともに、疾病対策課には、がん・難病対策を担当する班を残します。
感染症対策は、それぞれの関係課で役割分担をしてきました。これを踏まえ、例えば、医務課長であれば、医療体制の確保を受け持っていたので医療体制担当の参事、薬務課長であれば、医療物資の調整や調達を受け持っていたので医療物資調整担当の参事という形で、兼務参事として「感染症対策課」を支えてもらう仕組みにします。
その上に感染症等対策室があり、室長が感染症対策を総括することにし、健康局長は、室の参事という形でバックアップする体制を作ることにしました。
2ページをご覧下さい。新型コロナウイルス感染症対策本部はこのような大きな仕掛けになっています。事務局は、防災監を筆頭に、健康福祉部長が副統括、その下に総合企画局、総務局、対策局、支援局、広域支援局が置かれていますが、この対策局長を感染症等対策室長が担います。そして、感染症対策課長とそれぞれの兼務参事が、担当事務の責任者として各班長を担います。この際、感染症へのしっかりとした対応力を、事前に組織として用意しておくため、このような組織を作らせていただきます。
なお、新型コロナウイルスだけではなく、感染症全般についてこの組織が担当します。仮に新型インフルエンザが流行したら、ここで対応することになります。
私からは以上です。
記者:
ご説明の通り、新型コロナウイルスの対応だけではない、とのことですが、今回の組織改正は、新型コロナウイルス対応として、第2波に備えて人員を増やし、調整機能を強化することが目的、という理解でよろしいでしょうか。
知事:
その通りです。今の時期に感染症等対策室を作る理由は、新型コロナウイルス感染症の第2波対策のため、とご理解いただきたいと思います。
現状でも医療体制、検査体制の準備はできていますが、まだ、事前に対応しなければならない事柄が残っています。例えば、社会福祉施設において、特に高齢者が感染されると、当該施設に入居されている方の対応をどうするのかが、非常に大きな課題になります。全国的にも、医療破綻ではなく、社会福祉施設が、介護破綻しそうになったことがないわけではありません。
本県でも、姫路市の仁恵病院の例では、たまたま4階が休止ベッドになっていたので、4階の休止ベッドと、重症者は仁恵病院以外で見ていただくという役割分担を上手にされながら乗り切られました。その際、仁恵病院だけではなく、他の施設からの応援などもいただくことで乗り越えることができました。
支援体制をどう作るかについては、いざというときは高齢者福祉施設協会が支援することにしていましたが、もっと事前に体制を作ることができるのではないかということで、現在、そのような仕組み作りを検討しています。今の時期にこのような仕組みを作り上げておくことが重要なので、本部事務局の強化を図り、検討を進めます。
記者:
「室」ということで、局に準じるということですが、名前のイメージからは、「課」の下にあるのか、と思ったりもします。
知事:
「局」並みの「室」というのは、他にも例があります。
感じ方の問題ですが、「局」にすると、恒久的な組織のイメージがあります。新型コロナウイルスが一段落した場合、このような大規模な組織として持続させるのかどうか、ということもあります。今の段階では、タスクフォース的な、臨時組織の位置付けにしておく、という意味で「局」という名前は使いませんでした。
記者:
初歩的な質問で恐縮ですが、感染症対策課の中に、疾病対策課を置かれるのでしょうか。
知事:
疾病対策課は感染症対策を担う班に加え、がん・難病対策を受け持っている班もあり、かなり大きな課です。疾病対策課から感染症対策を担う班を独立させ、感染症対策課として機能強化をします。疾病対策課は、がん・難病対策を担う課として残しました。
記者:
先ほど知事から、恒久的な組織とは少し違うという話がありました。この室は、目安として、最低どれぐらいの期間置かれるのでしょうか。
知事:
新型コロナウイルスが、収束状況になったと考えられるまでは、継続する必要がある、と思います。
記者:
第2波に備えて、対策室を置くことは理解しました。
その上で、設置時期について、なかなかそのようなタイミングもなかったのかも知れないのですが、もう少し早く、このような室を置くという考えは、あったのでしょうか。
どのような経緯で、今回、このタイミングで、となったのか、繰り返しになるのかも知れませんが、教えて下さい。
知事:
今までは、いわば戦争状態のような状況でしたので、そのような時に組織を変更することはやめた方がよいのです。安定期に入ってから組織を見直すのが常識です。
新型コロナウイルスに関しては、これまでから対策本部を作り、対策本部としての組織を動かしてきました。今回、その中で、事務局の対策局について、組織改正を行った、ということです。
記者:
これまでは対策本部できちんと対応し、小康期に入ったので、改めて対策強化をされた、という認識でよろしいでしょか。
知事:
そうです。
記者:
対策室という形で、人員も大幅に増加されています。具体的にどういった業務を期待されての、今回の「対策室」なのでしょうか。
知事:
もともと対策本部の中で、対策局が中心となり、具体の対策を行っていました。対策局は、それぞれの課が、役割分担をして担っていましたが、統括力を強化した方が、さらに動きやすい、ということが指摘されてきました。
統括する司令部機能を、感染症等対策室という形で、明示的に組織化して、司令塔機能を発揮する、という趣旨で作りました。
記者:
発表資料に、新規陽性患者の発生状況に応じたフェーズごとの機動的な対応を図るため、と書いてあります。現在、小康状態にあるという話がある中、ここがやはり一番重要な職務になるのでしょうか。
知事:
一番重要なのは、医療サービス、社会福祉施設サービスを破綻させない、検査体制をニーズに応じて的確に行うことです。命を守るための対応です。
関連業務については、それぞれの担当部局で担います。例えば、中小企業対策・産業対策等は産業労働部で担う等、感染症対策本部の各部で対応します。
記者:
今の質問との関連で、専任の方が20名から3名増加し、23名ということですが、この方々はどのような方なのでしょうか。
知事:
説明が後になってしまいましたが、3ページ目をお開きください。
このような組織と人員で対応します。感染症等対策室長は、現在の現場指揮の司令官である山下室長に担っていただきます。山下室長には、疾病対策課長も兼務していただきます。
味木健康局長は、現在も、医療関係の指揮をしていただいていますが、感染症等対策室参事として参加していただくことにより、統括的な指導力を発揮していただきます。
感染症対策課長は、西下課長にお願いします。彼は、新型インフルエンザの時も、疾病対策課で頑張っていただいた経歴を持っています。現在も、このような状況なので、健康科学研究所の所長補佐ですが、疾病対策課の副課長を兼務し、総合指揮をしていただいています。
また、それぞれの役割分担に応じ、関係課長を感染症対策課参事としました。
感染症対策課長を専任で置くとともに、班長・主幹を1人ずつ増員し、3人強化したことになります。
記者:
医師を、ということではなく、統括能力を重視したのでしょうか。
知事:
そうです。本当は医師の配置を強化できればよいのですが、年度途中でもありますし、医師の人員には余裕がありません。
統括は、医師である山下室長、味木参事に行ってもらいますので、その下で、経験力のある保健師、獣医師、事務職が組織的に動く体制にしました。
記者:
今回、職員数が101名増えるということで、数字的にやはり多いという印象を受けたのですが。
知事:
兼務させている課の人員を、全部足しているからです。
記者:
これだけの人数がいるということは、これから感染者が増えていった場合に、まずは、ここで会議をしてもらってから対策本部に挙げる、というイメージなのでしょうか。
知事:
対策本部体制を動かしてきていますので、対策本部の事務局として機能してもらうということです。従前から事務局として機能していたのですが、責任と組織との関係を明確にすることで、より機能アップを図った、ということです。様々な分野での対策が必要ですので、司令塔を置いて、その下で対応していくことが必要だ、と思います。
記者:
「室」を作られたということに加えて、従前は兼務職員を含めて21人だったのを、今この数字で言うと122名ということです。組織的にもかなり強化された、という理解でよいでしょうか。
知事:
そうです。感染症等対策室長が命ずれば、兼務職員もその指揮命令の範囲に入ってくる、ということになりますから、一体的な対応がしやすくなります。
これまでよりも一層、組織力を発揮できる姿になり、それを徹底することができる、ということです。
記者:
これまでに20人でやっていたことを120人でやる、最大120人に命じることができる、ということに関して。20人でできた、とおっしゃっていましたが、なぜ120人にするのか、という素朴な疑問があるのですが。
知事:
これまで、いろいろな部分で無理をして対応してきていたものを、組織上のシステムで動かせるような体制に作り直した、とご理解いただければと思います。
記者:
そのために120人はやはり必要だ、ということでしょうか。
知事:
兼務職員は、通常は一般の仕事をしています。必要が生じた場合に兼務職員としての仕事をする、ということです。ウエートの大小はありますが、兼務発令をすることによって、体制の一員としての自覚も持ってもらおう、ということにもつながります。それは今のような小康期から持ってもらおう、ということです。
記者:
今までも十分やってこられた、と思いますが、知事も先ほど戦争状態だったとおっしゃったように、目先のことに対処することで精一杯だった面もあるかと思います。そこから組織を整えることで、これから未来に向けて、コロナとどのように付き合っていくのか、新しい取組みや視点を持ってできるようなことなど、何か考えられていることはあるでしょうか。
知事:
先ほども少し例を挙げましたが、高齢者施設などについての対応では、デイケアセンターや施設で、生活されている方・入所されている方ではなく、通っておられる方がクラスターになりました。
しかし、もしも施設そのものがクラスターなったりすると、大変なことになります。陽性の方の取り扱いを施設外でするのか、どうかです。施設内で、きちんとした個室などを用意して、対応できるようにするとなると、その人に対する介護やサービスをどういう形で行っていくのかなどを、事前に考えておく必要があります。
今はそこまで制度化されていません。すでに検討に入っていますが、そういう課題も、感染症等対策室と一緒になって対応していくことは、今のような状況だからこそ、逆にできるのではないか、と思っています。
記者:
今、実際に起こってはいないけれど、起こる可能性があるものを想像して、対策をしていく、ということでしょうか。
知事:
準備をしていくこと。それから、シミュレーションをきちんとやっていくことは、非常に大切だと思います。
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