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令和元年度決算にかかる知事記者会見

  1. 令和元年度決算 

知事記者会見内容 

知事:

 令和元年度の決算について、私から概略を説明させていただきます。

 資料の1ページをご覧ください。

 決算収支の状況です。令和元年度歳入総額(A欄)は、1兆7938億5800万円、歳出総額(B欄)、1兆7886億2900万円。形式収支は、差し引き52億2900万円で、翌年度繰越財源を差し引きますと、実質収支は2500万円です。したがって、昭和52年度以来実質収支の黒字は続いているのですが、平成19年度以来の厳しい実質収支の決算になっています。
 単年度収支は、マイナス6億4500万円ですが、基金の積立金を差し引きますので、実質単年度収支は3億900万円です。
 コロナの影響についてですが、3月の業績には影響していますが、法人関係は(概ね)2カ月後に影響が出るため、1月までの業績だと考えると、コロナの影響はほとんどありません。1ページに記載のとおり、米中貿易摩擦による中国経済の不活性化に伴う企業業績の伸びの鈍化など、サプライチェーンや、輸出入関係の影響が出てきているのではないか、と考えています。

 3ページは、現在の行財政運営方針における財政目標運営の状況です。
 令和元年度がスタートになっています。10年間の目標との比較については、一つひとつは解説しませんが、概ね達成している、という状況ではないでしょうか。滑り出しはまあまあだったわけですが、今年度が心配です。また来年度は、当初予算の編成には非常に苦労する、と考えています。

 5ページ「2 歳出・歳入の概要」です。
 「(1)歳出の概要」について、歳出決算の内訳の表をご覧いただきますと、義務的経費で128億円増えていますが、増えているのは社会保障関係経費の136億円であり、人件費は約30億円減っている、という実態です。
 投資的経費については、別枠の防災・減災・国土強靱化緊急対策事業が措置されていますので、その関係もあって増えています。
 行政経費が66億円減っているのは、繰出金等に項目変更した分がある関係です。
 その他経費の中で、税交付金は消費税等の歳入が落ちると減りますし、中小企業制度資金貸付金については、令和元年度は大きな資金需要が生まれていなかった、という状況が、この数字に表れています。

 6ページ「(2)歳入の概要」です。
 ①県税等は8000億円には届きませんでした。7951億円ということで、30年度から50億円ほど減る事態になりました。大きな原因は、株式等譲渡所得割や自動車関係税で、自前の県税分が36億円減り、地方法人特別譲与税が18億円減ってしまったということです。
 ②地方交付税等については、税収が全体としては伸びているということもあり、臨時財政対策債とあわせて、180億円減っているということになります。
 ③国庫支出金が増えているのは、先ほどの別枠の緊急対策に伴うものです。それに伴う地方負担として、④県債の発行を増加させていますので、国庫支出金と県債がほぼ同額増えているという関係になっています。

 8ページから「3 歳出の詳細」ですが、9ページ「②社会保障関係費」をご覧ください。
 いずれも増加が並んでいます。児童手当交付金については、児童数の減少があり減っています。

 10ページの下の表は、令和元年度だけの地方消費税増収額と活用状況を一覧にしています。参考をご覧ください。①地方消費税増収額が800億円。④特例交付金は34億円です。③本県の増収分が401億5400万円、②市町交付金が401億5500万円で、半分が市町に行っています。そのうちの社会保障の⑥充実分に414億円が充てられ、⑦安定化分が20億円という内訳で、社会保障の充実・安定化(⑥+⑦)で435億5700万円支出しています。④特例交付金を入れることでようやく収支を償っている、という状況をご確認ください。

 11ページ、「③公債費」です。
 震災関連の公債費が、令和元年も452億円あります。それ以外に、財源不足額を賄うために発行した県債に対する公債費が159億円あります(いずれも中段の表)。こういう状況が、これからまだ10年続きますので、しっかりとした財政運営を心がけていく必要がある、という状況になっています。

 12ページ、「(2)投資的経費」をご覧ください。
 防災・減災・国土強靱化緊急対策事業で令和元年度約294億円。300億円ばかりありますので、これが投資的経費を膨らませている、ということかと思っています。
 一方で災害復旧事業は、年度進行の関係、また最近大きな災害に見舞われていない、というようなこともあり、前年度から減少しています。

 13ページ、「(4)その他経費」の②積立金については、100億円積み立てています。最終補正で30億円を庁舎等再整備のための計画的積立額を積んでいます。5年間で150億円積みますので、そのスタートを切らせていただいた、ということになります。

 19ページ、「5 県債残高・基金残高の状況」に、(参考1)実質的な県債残高の表があります。実質的県債残高(臨時財政対策債、減収補填債75%除き)が3兆1103億円としています。
 臨時財政対策債は、交付税算入100%です。交付税で本来交付されるべき額だが、国の交付税特別会計の借金能力の問題もあり、臨時財政対策債を発行することによって、各地方公共団体が交付税身代わり財源を調達しています。これは、後年度交付税で100%償還されますが、その部分が1兆6000億円程度あります。
 減収補填債については、本来交付税で過大に見積もった税収額の身代わり財源ですので、これも全部交付税で算入することが原則になります。ただ、留保財源率が25%ありますので、交付税に算入されている75%分は当然に交付税で見てもらえます。この2つは交付税身代わり財源ですので、これは当然に交付税として今後も措置されるべきものですから、それを除いた3兆1103億円が実質的な県債残高になっている、ということになります。
 (参考3)にありますように、震災関連県債残高は、令和元年度で3229億円です。

 20ページ、基金残高は5587億円です。

 21ページ、「Ⅱ特別会計」については、特に、コメントすることはありません。

 23ページ、「Ⅲ公営企業会計」です。
 (1)病院事業について、収益的収支で約40億円の赤字、資本的収支で約28億円の赤字でした。令和2年度は、コロナに伴ってさらに赤字幅がどこまで拡大するのかを懸念しています。
 (2)企業庁事業については、すべて各会計とも黒字を確保しました。(3)流域下水道事業についても黒字を確保したという状況です。

 24ページ「健全化判断比率」については、将来負担比率もまずまずです。説明は省略します。

 

 私からは以上です。

質疑応答

記者:

 冒頭にご説明いただいたように、実質収支は黒字を確保されていますが、黒字幅が40数年間で過去最小になるかと思います。また、実質単年度収支は12年ぶりに赤字になった、というような状況です。このあたりの財政状況について、改めて知事の評価をお聞かせください。また、今年度はコロナの関係でどうなるか見通せませんが、ご所見をいただけないでしょうか。

 

知事:

 国際的な経済変調の影響は、日本経済にも及び、兵庫はものづくり県ですので、ものづくり企業の決算があまり良くない、という状況で、このような結果がもたらされた、歳入面からの決算状況がこのようになった、と理解すべきではないか、と思っています。
 それと同じような状況か、それよりもさらに悪化するのが令和2年度であろうと思われます。6月の決算や株主総会などの状況、今後の見通しなどでは、黒字企業の話があまり出てきていない、というような状況です。相当の税の歳入不足を見込まざるを得ないのではないか、と思っています。
 そうすると、税の歳入不足は、交付税の収入見込みとの関係で減収補填債を認めてもらえる部分があるのですが、我々がもう1つ国に対して要請しているのは、消費税についてです。特にコロナの関係で消費が落ち込んだわけですので、消費税の減収がかなり大きなものが見込まれます。制度的に、消費税は減収補填債の発行の対象にはなっていませんので、ぜひ消費税を減少補填債の対象に組み入れてほしい、という要請を国に対して行っています。
 そういう形で、交付税の枠組みの金額の確保が仮にできたとしても、財政運営としては余裕が全くなくなりますので、大変厳しい運営を強いられます。
 来年は、地方財政全体としても大幅な歳入不足に陥るのではないでしょうか。今回のGDP等に対する影響が、リーマン・ショック時よりも大きいとなると、リーマン・ショック後の、平成22年度の地方財政計画では18兆円を超える歳入不足が試算されて、それを特別会計が借金をすることと、臨時財政対策債で対応しましたが、今回は18兆円で収まらないのではないか。適切な地方財政計画をしっかりと組んでいただかないと、我々は財政運営ができない、という状況にあることを訴えながら、私たち自身もできることをこれからやっていかざるを得ないのではないか。大変厳しい状況に置かれていると言える、と思っています。

 

記者:

 行革はすでに一旦は終わっていますが、それをまたぶり返してやらなければならないという状況にまではならない、という見込みでしょうか。

 

知事:

 問題は、コロナの影響で、長期的な構造変化が生ずるか生じないか、ということではないか、と思います。今の段階は、まだ長期的な構造変化に繋がるような落ち込みというよりは、一時的な世界経済の変調とコロナによる消費控えの影響だと思いますので、この状況自身を見極めて対応していく必要があります。
 もし構造的な変化だとすると、なかなか今の行財政枠組みでは対応しきれなくなってしまうのではないか、という懸念をしています。しかし、そこはもう少し見極めければ、何とも言えないところだと思います。

 

記者:

 健全化判断比率における将来負担比率について。平成28年度からの数字が書いてあり、全国的に見ても高い数字がずっと続いているかと思います。震災から26年経った今でも、その負債が数字に影響しているのか、伺えればと思います。

 

知事:

 これは明らかです。先ほど将来負担比率でも触れたかも知れませんが、公債費を見ていただきますと、阪神・淡路大震災の時に発行した県債が約1兆3000億円ありました。償還ながら25年間やってきたのですが、それでも約3200億円残っています。このような状況は他の県にはない兵庫県の特殊事情です。東日本大震災の被災地であった東北各県は、この負担はほとんどゼロです。兵庫県のように、総額で2兆3,000億円の地元負担を強いられるという状況はありませんでした。ですから、25年経ってもこれだけの借金が残っていますが、返していかなければなりませんから、その影響が将来負担比率として表れている、ということだと思っています。
 従いまして、3ページの表をご覧いただきますと、目標も、将来負担比率については、令和10年度に280%程度を目標にさせていただいています。これは、行革期間中の縮減の2倍となる50%程度縮減させようということで、この目標を掲げています。
 ご指摘のように、この将来負担比率が、これからの財政指標の中では一番しっかりと実現していかなければならない指標になる、と考えています。
 これこそ構造的な問題ではありますが、努力をしていく必要があります。

 

記者:

 最初の質問で、知事が大変厳しい状況とおっしゃっていました。国に消費税を減収補填債の対象に入れてもらうことなどを訴えながら、できることをやっていく、とおっしゃっていました。できることとは、どういうことなのでしょうか。

 

知事:

 今から、メニューを一生懸命考えなければなりません。
 令和2年度予算で予算化しているのですが、執行を止めている執行保留が、1割ほどあります。これを解除して事業に回せるかどうかも含めて、検討しなければなりません。
 紙代の節約などのケチケチ作戦も行わなければなりません。これは、それほど大きな金額に積み上がるものではないのですが、職員の皆さんに対して、厳しい状況だ、という意識を醸成するには、そのようなことも考えなくてはならないのかも知れません。
 9月の予算編成を見定めた上で、それ以降の対応をどうしていくのか、検討に入ります。9月に年度の半分が過ぎますので、その段階で、見極めたい、と思います。

 

記者:

 長期的な構造変化というお話があったと思いますが、どのようなことなのでしょうか。

 

知事:

 税収が戻るか戻らないか、ということです。
 コロナの影響だとすると、コロナが収まれば、元の状況にほぼ戻り、消費が戻ってきます。ところが、消費が戻らないというようなことになってくると、人々の行動様式が変わった、と評価される恐れがあります。もしそういう現象が出てくるとすると、財政運営がなかなか容易ではなくなります。
 そういう事態にならないことを期待しています。

 

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