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【発表項目】
知事:
1番目は「新型コロナウイルス感染症の現状と対応」です。
(1)県内の患者の発生状況等
まず、新型コロナウイルスの感染状況ですが、今日は75名の発生です。1週間前(の月曜日)が39名、その前が17名だったので、急速に増えていることが窺えます。
昨日138名で、20日、21日、22日と、3日連続で100名を超えていたので、3月末の急上昇期に近い状況ですが、ただし、テンポが3月末よりはゆっくりしている、と見ています。このあたりをどのように判断するのか、もう少し推移を見定める必要がある、と考えています。
資料を見てもらうと、昨日現在ですが、病床使用率は入院が23.9%、重症対応が10.9%です。かなり多くの人が発症していますが、重症者は全体で15名なので、病床のひっ迫度はそう大きくはない、と思っています。
国との関係で言えば、まん延防止等重点措置区域に指定されるのか、指定されないのか。先週、北海道が(まん延防止等重点措置の)要請を決めましたが、結果として国は、「病床使用率にまだまだ余裕があるではないか」ということで、指定には踏み切りませんでした。
我々のこのような状況では、「発症者数の増加に対する懸念はあるけれど、病床使用率はこういう状況なので(指定しない)」、ということにもなりかねません。したがって、これからの推移をしっかりと見定めていくことも重要なのではないか、と考えています。
それから、年齢別の発生状況を見てもらっても、2ページ目ですが、この1週間では、30代以下が63%、特に20代が(全体の)4分の1になっています。30代は18%で、40代、50代は3割前後の水準で推移してきています。これは最近の傾向であり、変わっていません。
それから、感染経路別では、やはり「家庭」が6割ですが、「職場・施設・学校等」、あるいは「友人との会合、懇談等」がかなり目立っています。
3月との対比で見ても、3月29日(月)に(新規陽性者数)70名になり、3月30日(火)に176名、31日(水)に211名、そして4月1日(木曜日)が199名、2日(金)が174名、3日(土)が205名、4日(日)が210名。このようなかたちで3月末は急上昇をしたのですが、ここまでいくのかどうか、少し見定める必要があるのではないか。
4月1日から一部地域(神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市)をまん延防止等重点措置区域に指定して、5日から措置を開始したという経過でしたが、先ほど言ったように、十分に見極めていく必要がある、と考えています。
(2)姫路・西宮会場における大規模接種期間の延長等
ワクチンの大規模接種の県の姫路会場と西宮会場について、同一会場で接種が完了できるように、姫路市、西宮市の協力を得て、接種期間を延長します。
西宮は、資料の(1)の注釈にあるように、9月27日以降は現会場に隣接する武道場で実施することになります。
それから、姫路競馬場、園田競馬場の活用ですが、国からのワクチン供給の可能性がまだ確定していないので、これを見極めた上で開催の検討をすることになります。
姫路会場については、予約受付を8月2日から15日まで、7000人分の募集を行います。西宮については、8月29日まで予約受付が済んでいます。両会場における接種期間の延長についてのお知らせです。
2番目は、「東京オリンピックで活躍した選手への『誉(ほまれ)』賞の贈呈」です。
昨日、阿部一二三選手と阿部詩選手が兄妹で同時金メダルを獲得しました。兵庫県民にとっては、たいへん勇気を与えてくれる大業績だったと思います。「誉」賞を、2人に贈呈することにしました。
表彰の期日は決勝戦の日で、7月25日付ということにします。
過去の「誉」賞の受賞者については、2ページ目に書いている通りです。
柔道では、谷亮子さん以来となります。
3番目は、「活力あるふるさと兵庫実現プログラム」の令和2年度取組状況」です。
これは、「活力あるふるさと兵庫実現プログラム」の成績表ですが、平成29年度から5年間の県政の重点施策の目標と工程を示したプログラムです。令和2年度の取組状況を取りまとめました。
一応、5年間にしていますが、これの改定を行うのか、それとも全く別のプログラムを策定するのかは、新体制に委ねます。
今回の評点について、目標を超えているのが「◎」、目標を概ね達成しているのが「○」、下回っているのが「△」、目標の70%未満で大幅に下回っているのが「▲」にしています。目標を概ね達成した事業は、全体の65.3%。昨年よりも12ポイント落ちています。新型コロナウイルス感染症の影響によって目標達成しなかったものを除くと78.9%なので、「ほぼ横ばい」と言えるのかもしれません。
それから、施設整備や計画策定などの分野では概ね計画通り進捗しているということです。
一覧表は、2ページ、3ページです。4ページに、今までの総括の年次別の、進捗状況を示しています。(平成29年度)77.9%、(30年度)81.7%、(令和元年度)77.1%、(2年度)65.3%。コロナの影響を除くと(令和元年度)78.8%、(2年度)78.9%なので、4カ年通してみると77.9%、81.7%、78.8%、78.9%というような状況です。
「5 目標を下回った主な事業等」として、「▲」ですが、「待機児童数」、「ひょうごケア・アシスタント事業就業者数」など、それぞれの理由なり、今後の対応を資料に整理しているので、参照ください。
5ページの「6 新型コロナの影響を大きく受けた主な事業等」で、「空き店舗出店によるしごと創出人数」、「県内宿泊客数」、「農山漁村と都市の交流活動支援数」、「HUMAPによる留学支援者数」、「ひょうご安全の日(1月17日)推進事業の助成件数」、「舞台芸術のアウトリーチ活動の実施回数」、「県民ボランタリー活動助成件数」などを挙げています。人と人との接触や、機会が抑制されたことに伴う事業の状況である、と思います。それぞれの細かな評価等については、資料をご覧ください。
4番目は、「令和4年度国の予算編成等に対する提案」です。
概要としてまとめていますが、「Ⅰ 新型コロナウイルス感染症対策」として、「医療・検査体制の充実」や「事業継続・雇用確保対策の充実」、「生活に困窮されている方への支援」、「地方財政への支援」を。
それから、「Ⅱ 安全安心な兵庫づくり」ということで、「防災・減災対策の推進」、「医師確保対策の推進」、「病院の再編」や「こども庁の創設」についての意見、「不妊治療等に関する経済的負担の軽減」などを挙げています。
次ページに、「Ⅲ 兵庫五国の交流新展開」ということで、「瀬戸内海クルーズ」や「ワールドマスターズゲームズ」、「基幹道路の整備促進」を挙げています。
「Ⅳ 兵庫の強みを活かした産業の育成」で、「変化に強い産業構造への転換」として、国内サプライチェーン網の再編やUNOPSの活動、あるいは関西広域連合で検討されている関西版フラウンホーファー(仮称)の整備に向けた支援などを挙げています。
「Ⅴ 多様な人材の活躍」として、特に、「少人数学級の実現」の中で加配定数を基礎定数に振り替えられると、兵庫型の教科担任制の実現がたいへん窮屈になるので、この点について、兵庫としては、すでに先行してきている実態をぜひ評価してください、ということを要望します。
それから、「Ⅵ ポストコロナ社会への道筋」、「Ⅶ 地方税財政の充実、強化等」という内容になっています。
これについて、国の概算要求に間に合わせなければならないので、各省には提出しますが。新知事のもとで検討して、追加的な対応が必要ならば、その部分は8月早々に追加的な対応をしてもらうことにしたい、と思っています。
そのような意味では、国に対する予算編成の提案が2段構えになる可能性はありますが。概算要求期限との関連で、とりあえず兵庫の主張はしておいて、必要ならば2段目として、新しい提案を追加してもらうという運びにしたい、と考えています。
5番目は、「『第41回全国豊かな海づくり大会~御食国ひょうご~』開催日の決定」です。
来年に1年延びた、「第41回の全国豊かな海づくり大会~御食国(みけつくに)ひょうご~」の開催日が決まりました。令和4年11月13日の日曜日になっています。
正式名称は、「第41回全国豊かな海づくり大会兵庫大会~御食国ひょうご~」。大会テーマは、「広げよう碧(あお)く豊かな海づくり」。
場所は、式典は明石市民会館、海上歓迎・放流行事は、明石港ベランダ護岸で行います。関連行事として、明石市内や県下数カ所での開催も予定しています。
私からは以上です。
記者:
現在、飲食店に対する時短要請などを、新型コロナ対策でされていますが。8月1日以降の飲食店への要請などの、コロナ対策の考えは、現状いかがですか。
知事:
まん延防止等重点措置区域に指定されると、時短の見直しも検討しなければならないことになりますが。まん延防止等重点措置区域の指定が諸事情により、国との協議が整わないようなケースでは、今の対策を継続していくことが基本になる、と思っています。
記者:
現在の対策をなくす方向性は、現状では、ないのですか。
知事:
なくしてもよいのならば、なくしたいのですが。第4波に入りかけていた際の状況と比較して、第5波に近い状況の中で、県民への協力要請をやめてしまうわけにはいきません。
恐縮ですが、県民の皆さんにはご協力をお願いしたい、と思います。
記者:
本日、(井戸知事の)定例記者会見としては最後です。まだ、退任会見等あるかとは思いますが。
5期20年間、定例記者会見をたくさん重ねてこられましたが、振り返っての所感をお願いします。
知事:
定例記者会見は基本的に週1回、月曜日。政策会議は2週間に1回ですから、政策会議がある週とない週を含めて、週に1回定例記者会見をさせてもらいました。
私の感想は、県の事業の内容や当面する課題などについて、(記者の)皆さんに説明したり、皆さんの方から質問を受けたりすることによって、県民の皆さんに、情報がこのような機会を通じて、お知らせする有力な場面になった、と思っています。
ぜひ、次の知事も、記者会見を週に1回は継続されるように、私もアドバイスはしますが、皆さんからも働きかけてもらうといかがか、と思っています。
記者:
まん延防止等重点措置の要請については、今後の推移をもう少し見るということですが。どういった段階になれば、改めて、適用を要請するのでしょうか。
知事:
前回の、第4波の時は、3月末の状況で、まん延防止等重点措置の要請をしていきました。(新規陽性者)200人を3月31日に超えて、4月の初めは、3日が205人。200人が1つの目安になるのかもしれません。それから、急激に増えて、500人、600人となりました。
ただし、状況が違うのは、従来であれば、これだけ増加傾向になると、重症病床の使用率が上がっていくはずなのですが、あまり上がっていません。現実に10%程度なので、この動きについても注目をきちんとしていく必要があるのではないか。若干遅れて、重症病床などの使用は発生することがあるので、そのあたりのタイムラグもよく注意しながら、注目していく必要がある、と思っています。
記者:
「誉」賞の贈呈について。阿部兄妹の昨日の試合を、どのような形で観戦して、どのような感想を持ったか。また、「誉」賞の贈呈を決めた理由を、もう少し詳しく伺えますか。
知事:
もともと「誉」賞は、兵庫県にゆかりのある者で県民の誇りを高めるような活動、成績を上げた方々に贈呈しています。
例えば、谷亮子選手は、ご主人がオリックスブルーウェーブの谷選手でもあり、大活躍したこともあって、「誉」賞を贈呈することにしました。
今回の2人は正真正銘ですし、しかも金メダルを有力視されながら、その重圧に負けずに、2人がそろって金メダルを獲得するというのは、これはなかなか二度とあるような出来事ではない、と思われます。
試合ぶりも、阿部詩選手は最終的に一本でしたし、阿部一二三選手の大外刈りも、切れ味がよかったです。もう少しで一本だったはずです。うまく(対戦相手が)身体をひねって一本にならなかったのですが。反則の数で勝ったのではなくて、しっかりと技の真価を発揮して、金メダルを獲ったのではないか。
そのような意味でも、県民の理解を十分に得て、「誉」賞に値する、と考えています。
記者:
コロナの関係について。だんだんと(感染者数が)増加傾向にある中で、今週の対策本部会議の開催は、どのように検討していますか。
知事:
いずれにしても、まん延防止等重点措置の要請をするのか、しないのかは、今も検討を続けていくという趣旨で説明しましたが。「7月31日まで」と現時点の対策は期限を切っているので、8月1日以降の対応は、8月1日に新知事のもとで対策本部会議でも開いて、決めてもらうべきだと私も(以前)言いましたが。
県民に対して8月以降はどうなるのか、という事前アナウンスメントもしなければならないので。今週中に対策本部会議を開いて、8月1日以降の実施案をそれなりにまとめた上で、8月1日に臨んでもらえるようにしていきたい。
その時に、まん延防止等重点措置区域の要請をすでにしてしまうのか。それとも要請はもう少し慎重な検討を続けながら、しかし対策としては、私は継続が中心になるとは思いますが、どういう対策を8月1日以降行っていくのか。その案をしっかりと、今週中の対策本部会議で検討してもらおうと。
案ではあっても、このような対策本部会議の後、皆さんには公表し、説明をします。
記者:
その場合、日程をどのように考えているのか、が1点。
これは案ということで、次の新知事にある意味、手渡すものになるかと思うのですが。案ができ上がった段階で、何らかの形で、事務方からなのか、もしくは井戸知事本人なのか分かりませんが、引き継ぎの意味を込めて、斎藤新知事に説明をする機会を、今後もうける考えでしょうか。
知事:
事務方から連絡をきちんとして、対策本部会議でこういう形で案を取りまとめています、と事前に説明してもらうことになるのではないか。
日程について、対策本部会議は今週中にしなければなりませんが、7月31日までなので、水曜日か木曜日になる、と思います。
記者:
「活力あるふるさと兵庫実現プログラム」の令和2年度取組状況について。ここ数年を見ていると8割前後の達成率で推移してきたかと。逆に言うと、2割ぐらいは残った課題かと思います。
改めて、今週いっぱいで退任されることを踏まえて、次期知事に引き継ぎたい課題としては、どのようなことがあるのか。
知事:
このプログラムに挙げている事業自身は、県民から見た場合に、一応5カ年のプログラムとして挙げていますから。重点の差はあるのかもしれませんが、それぞれ、実施を期待されている事業と位置付けられます。
取捨選択はあるかと思いますが、引き続き実現方を図るように、県庁組織を挙げて取り組んでもらえれば、と思っています。
ただし、5期目の選挙の後の、県民に対する公約なども踏まえながら作り上げたプログラムという性格もあるため、目標数字が少し高いのです。選挙の公約をベースにして作っていることもあるため、2割程度は、なかなか(達成が)難しいプログラムが残ってしまっていることも事実です。
しかし、目標は高く設定すべきだ、というのが私の基本的な考え方なので、それでも8割程度で推移してきたというのは、それなりの成果を上げていると言えるのではないか、と思っています。
記者:
近日中に関西広域連合の会議が開かれると聞いていますが、井戸知事としては、最後の会議になります。
設立当初から、連合長として、まさに関西広域連合を率いてこられた立場で、広域連合の成果と課題。それから、次の知事にどのような関わり方で、関西広域連合に臨んでもらいたいか、という要望をお聞かせください。
知事:
広域連合の果たすべき役割に対する期待は、広域行政に対する、国民や県民、府県民の期待と重なっている、と思っています。
その時に、国との関係で、地方分権をどのように進めていくのか、という道筋がまだ十分に突き詰められていません。この点がやり残した課題なので、広域連合として、しっかりと取り組んでもらえれば、ありがたいです。
それから、広域行政の成果は語らなくても、いろいろな形で挙げてきています。
新知事には、本県は防災担当委員のため、防災は、地震だけではなくて、風水害やコロナ対策も一部であり、豚熱もあります。そのため、非常に範囲が広いのですが、防災が、関西広域連合発足の1つの大きなきっかけになっていることも踏まえて。防災担当委員として事務局と協力しながら、しっかりとした取り組みを期待したい、と思っています。
記者:
今、言われたことと重なるかもしれませんが、引き継ぎで強調して伝えたい、託したいことは何かありますか。
知事:
関西広域連合との関連で言えば、その防災担当委員としての役割をきちんと果たしてください、ということだと思います。
県の引き継ぎ事項とすると、いろいろな分野に跨がるため、繰り返しませんが。ただし、防災に関連して言うと、平成16年の台風第23号以来、河川防災や土砂災害の防止に関しては、ため池も含めて、かなりの成果を上げつつありますので。この歩みを、ぜひ計画も立てているので、計画的な対応を、引き続き、兵庫県としてもお願いしたい、と思っています。
記者:
定例会見としては今日が最後で、少し広い話をしようと思います。
この20年間の中で、知事として県政に取り組む中で、一番大事にされてきたこと。また、それをどのように新知事に引き継いでいこうと思っていますか。
知事:
阪神・淡路大震災の復旧・復興の過程で生じた、兵庫県の財政問題。これはどうしても長い間かかった対応でしたが、これは引き継がざるを得ないのです。
そのために、県議会とも相談して、行財政運営に関する条例を定めてもらって。その条例に基づいて、財政フレームなどを、毎年ローリングで見直しながら、その枠内で再編成をして。一方で、県民のニーズに応えながら、一方で財政対策もやっていくという枠組みを、震災後ずっとやってきています。
この枠組みをしっかりと堅持してもらって、兵庫県というのは、財政問題だけで行財政運営を行うのではなくて、県民ニーズとの両立を図りながら、財政問題の解決もしていく、そういう歩みを続けてきたことをしっかりと理解してもらって。中身はいろいろな形で検討してもらえればよい、と思いますが。そういう基本的な枠組みは、ぜひ理解をしてもらえれば、と思います。
記者:
新しく知事になる斎藤さんが、「県庁舎の建て替えについて見直す」という発言をしており、日本維新の会の松井代表なども、「建て替えではなくて耐震化でよいのではないか」、という趣旨の発言をしている状況があります。
この問題について、おそらく最初の方に、いろいろな議論が始まるかとは思いますが、知事の考えとしては、いかがでしょうか。
知事:
検討してもらえればよいのではないか。そういう、うまい方法があるのならば、我々もそういう方法を取ったのかもしれませんが。とても耐震化で間に合うような状況ではない、物理的に見て耐震化で対応できるような状況ではない、ということなので。十分に課題を踏まえた上で、検討してもらえればよいのではないでしょうか。
中途半端な見直しであれば、やめておいた方がよいし、やるのなら、本当に大丈夫かどうか、県民にきちんと説明できるような見直しでなければ、県民としては納得できないのではないか。
そういう意味で、軽々な議論はやめた方がよい。しっかりとした検討をするのであれば、してもらった上で結論を出すべきだ、と思います。
私は、「建て替え以外の選択はない」と思っていますが。まだ選択肢があるかもしれない、と思われているのであれば、「どうぞ、検討してください」ということです。
記者:
先ほど、北海道の例を引き合いに出して、北海道で、まん延防止等重点措置の要請が認められなかったので、兵庫県でも、という話もありました。
次の対策本部会議では、もしかすると要請するかも、というような趣旨のことも言われましたが、そのあたりはどのように理解すればよいのでしょうか。
知事:
そのままです。要請するような検討も見定めながら。今は検討中なので、検討しながら、しかし一方で、国の考え方もあるので。
そのあたりを、今度の対策本部会議で結論を出していかざるを得ない、という状況です。
記者:
現状では、もしかすると国に認めてもらえないかもしれないけれども、県の意思として、要請をするという「ポーズを取る」という(ことですか)。
知事:
そういうふうには言っていません。そういうこともあり得るけれども、片方でやらないという選択もあるので、対策本部会議までに慎重な見極めをしながら、対策本部会議で結論を出す、ということです。
記者
慎重な見極めをする際に、大事な要素となる数字というのは、新規陽性者数なのでしょうか。
知事:
前にも一度、解除の基準の際も話したように、新規陽性者数の絶対数というのは一番の要素で、あわせて、重症病床の使用率等も勘案して、そして、他県やその他の地域の状況も踏まえた上で判断する。このように説明しましたが、その基本的な考え方は変わっていません。減る場合と、増える場合と、両方とも、そのような基本的な考え方で臨みます。
記者:
明日、明後日に、新規陽性者数が、例えば、3桁を超えるようなことになった場合は、やはり、まん延防止を要請しなければならない。その検討に入る、という考えですか。
知事:
水準によるのではないか。3桁と言っても100を超えたぐらいも3桁で、200を超えた3桁とは違うので、そのあたりの状況を、やはり見極めなければならないのではないか、と思っています。
記者:
コロナ対策について。かなり微妙な時期に、まん延防止等重点措置を申請するのか、しないのかを迷うような時期に、引き継ぎを次の知事にしなければならない状態ですが。
これだけは強調しておきたいなど、ここを重要視してコロナ対応をして欲しいという点での引き継ぎというのは、どのように伝えていきたいですか。
知事:
いずれにしても今の対策は、やめられないし、最低でも継続してもらわなければならないのではないか。このことは伝えなければならない、と思っています。
まん延防止が、本当に有効なのかどうかというのも、3月末の状況から4月に入って、まん延防止の制度を適用したのですが、あまり効かなかったのです。ですから、そういう事態も十分に踏まえながら。
しかし、まん延防止の適用があれば、県民に対して、それだけの危機感を持ってもらえるということにもなるので、そういう問題も含めて、慎重に検討していかなければならない、ということです。
記者:
今の質問に関連して。「まん延防止等重点措置を国が認めないと(推察されるので、申請を)出さない」のではなくて、県の考えをしっかりと打ち出すためにも、「国が認めるのかどうかには関係なく、出すなら出す、出さないなら出さない」とはっきりした方がよいのではないですか。
知事:
対策本部会議で検討する、ということになるのではないでしょうか。
記者:
200人が目安、ということについて。最初70人と言われていて、3桁になって。
目安の200人というのには、何か理由があるのですか。
知事:
2月末の解除の基準が約70人(人口10万人あたりの週間新規陽性者数10人以下)だったので、それは1つのメルクマールだけれども、要請の基準が70人の段階でよいのかどうかは、全然、別問題です。
同じ基準を使うことにはならない、とは思います。
記者:
まん延防止等重点措置を解除してから2週間が経ちました。その結果の、感染状況の広がりについて、現状の受け止めと、増加局面にあるという話も以前ありましたが、そのあたりも含めて、今の考えを教えてください。
知事:
数字の出方次第です。今の状況は、前週に対して、1.5倍前後に増えているので、要警戒状況なのは、間違いないのです。先ほど、協力依頼を全てなくすような考えはありますか、という質問に、そのような考えは毛頭ない、と答えました。
こういう上昇局面にある。ただし、上昇の度合いが、第3波から第4波に移った際の度合いと、今の状況とでは、少し第3波から第4波の方が速い。今の状況は、少しゆっくりしている状況です。
感染力がデルタ株の方が強い、と言われている中で、こういう状況をどのように評価するのか、これは難しい評価になる、と思います。
記者:
次の対策本部会議について。論点となる重要なポイントとして、以前、知事は、時間制限や地域の区別などを挙げていたか、と思うのですが。
今回は、何がポイントになってくるのですか。
知事:
今、言われたような点もポイントになるのではないか。まずは、まん延防止等重点措置の要請をするのか、しないのか。それとの関連で、時短要請の時間をどうするのか。それから、区域をどのように考えていけばよいのか。いずれも重要なポイントです。
記者:
時短や区域については、今の考えでは、現状維持、もしくは、段階的な緩和という話が(以前)ありましたが、いかがですか。
知事:
段階的に緩和できるような状況にはなっていません。どんどんと増えているので。
したがって、緩和という方向とはベクトルが異なる、と思います。
記者:
豊かな海づくり大会の開催日の発表について。これまで知事は、実行委員会で会長を務められ、大会の意義として、豊かな海の必要性、豊かで美しい海の必要性について、提言をする新たな大会になる、という趣旨のことを言われていました。
1年あまり先の開催で、大会については、次の知事が会長を務めて開かれる形にはなりますが。この豊かな海の考え方は、特に、特措法が改正になりましたが、瀬戸内法のありようというものには、知事も積極的に、瀬戸内海関係13知事であったり、知事・市長会議でも先導して、議論も進めてこられました。
瀬戸内海の栄養の状況は、その地域、地域、湾・灘ごとによって課題が大きく異なります。これからの瀬戸内海の環境のありようについて、他の府県との意見がなかなか一致しない点も今後出てくる、難しい部分も当然出てくるのではないか、と予測されますが。
瀬戸内海の取り組みの方向性と、今回の大会の意義について、改めて、伺えますか。
知事:
瀬戸内法の改正の理由にも明確にされていますが、瀬戸内海は「きれいな海」にはなったのだけれども、漁獲量が激減している、という意味で、「豊かな海」がまだ取り戻されていない。
それから、白砂青松と言われたような景観的な面でも、豊島(香川県)は復元しましたが、そういう箇所がないわけではない。
ですから、やはりきれいな海、豊かな海、そして、美しい海の瀬戸内海を取り戻すというのが、瀬戸内海再生の基本三原則になる、と思います。それを実現するためにどうしていくのか、という場合に、実をいうと湾・灘ごとにありようが違う、課題が違うのです。
特に、兵庫県の養殖のりなどを含めた、瀬戸内海は、「富栄養」ではなくて「貧栄養」対策が重点対策になっているわけですが。例えば、香川県などのハマチなどの養殖地帯では、「富栄養」が課題です。これは、人為的にえさをやり過ぎているからではないか、などと言われますが、「富栄養」が課題になっている。
したがって、湾・灘ごとにいろいろな対策を計画して、その計画を実現していこうというのが基本スキームに、今はなっているので。その基本スキームをいかにそれぞれの特色に応じて進めていくのか。
その象徴的な瀬戸内海を再生させるという行事に、この「豊かな海づくり大会」がなってくれることを、私は期待しています。
記者:
今日、知事から話のあった、兵庫県の予算の大事な枠組みや、新型コロナの状況について。井戸知事が自ら、次の知事になる人と直接、引き継ぎをする機会は、今週あるのでしょうか。
知事:
できればそういう機会を作りたい、と思っています。しかし、それは公表するような場面ではありません。いずれにしても、正式な事務引き継ぎは、8月2日にします。大抵これは、サインをお互いにする、というのが一般的です。
記者:
退任に際して、退職金について。震災以降、行財政改革に取り組んできて、知事の給与のカットなどにも取り組んでこられました。
そうした中で、5期分で退職金が2億円程度に上るかと思うのですが、これについて削減される予定はありますか。
知事:
すでに平成24年の特別職報酬等審議会で、見直し作業をしているのです。すでにやっています。ですから、そのベースで退職金が支給されることになります。
記者:
それに加えて、何か、新型コロナの状況などもありますが。
知事:
新型コロナの状況と、私の退職金とは、直接の関連があるとは思いません。
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