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【発表項目】
(資料に沿って説明)
記者:
現在の県内の感染状況について、危機的な状況にあるのかどうかなど、知事の考えについて教えてください。
知事:
危機感があるから、一昨日の対策本部会議でも、まん延防止等重点措置の要請を国に対して行う、と決定しました。
今回、国も、全国的な動きの中で、今日、指定する予定にされています。
国自体もそうですし、私たち自体もそういう要請をしてまで、まん延防止等重点措置という制度を活用してまで、封じ込めていきたい、という意図で行動しています。
これはやはり、県民の協力あっての対策です。このような状況で、資料1「県内の患者の発生状況」の3ページのグラフの通りになるのかは分かりませんが、是非あと1カ月は注意をしておかなければ、第4波のピークよりもさらに高いピークを迎える可能性がある。だからこそ、今から協力をお願いしている、と理解のうえ、協力してもらいたい、と思っています。
記者:
感染者数については、第4波より若干早いスピードで(増加している)という話でしたが。病床使用率については、今、どのように見ていますか。
知事:
病床使用率は、おかげさまで、ワクチンの成果が大きいのかもしれません。高齢者はだいたい基礎疾患のある人が多いので、重症化しやすいのですが、高齢者の罹患率が低いために、高齢者の重症者が少ない。したがって、重症病床の使用率が今までと比べて低い状況で推移しています。
ただし、全体としての病床使用率は高まってきているので、これからの推移によっては、徐々にきつくなっていくことは予想できます。先ほど説明したような、医療体制の運用をしっかりと適切に行っていきたい、と考えています。
記者:
酒類提供の禁止について。国の対処方針では、感染が下降傾向にある場合は、緩和するという条件がついています。兵庫県としては、そういった条件は特に付さないのですか。
知事:
国は、「ただし書きは知事に任せる。ただしそれは、下降傾向の時に」という話です。今の段階では、下降傾向とはとても言えないので、我々の判断の余地はありません。
したがって、対処方針通りにやらざるを得ないし、やるべきです。ここまで一挙に、緊急事態宣言の対象地域と同様な措置になります。まん延防止等重点措置が緊急事態宣言と同等の措置なのはいかがか、という意見もないわけではありませんが。国の対処方針が、酒類提供禁止というところまで踏み切られているので、本県としてもそれに準じる、という方針を決めました。
記者:
先日、姫路を含めた15市町を時短営業の対象地域に加えられました。本日も、まん延防止等重点措置の対象地域は、この15市町ということで維持されましたが。維持された、15市町とした理由を改めて。
知事:
特に、2つあって、1つは感染状況です。最近の感染状況が、姫路や東播磨についても、従前の神戸以東の地域と遜色がない、というのが1つ。
もう1つは、大阪との関係で、大阪は緊急事態宣言地域になって、全面的にお酒のサービスが禁止になります。それと同じような範囲を大阪との交流圏では取る必要があるのではないか、という意味で。姫路、加古川もかなりの人が大阪と交流しているので、そのあたりも考慮しました。
記者:
まん延防止等重点措置(の内容)は、他の道府県に比べて、横並びの対策なのか。兵庫独自で、何かこの点は違う、といったところはありますか。
知事:
協力金について、3万円が国の基本額ですが、県独自で5千円を上積みしました。
記者:
飲食店への要請については、他との違いというのは。
飲食店の営業時間の短縮要請については、他の道府県と同じような。
知事:
時短は、20時までということで、差はありません。
国の対処方針が20時までになっているので、あえてそれを19時までにされているところ(道府県)は聞いていません。
同じように20時で運用されようとしている、と承知しています。
記者:
医療体制について。資料2「まん延防止等重点措置指定を踏まえた医療提供体制」の2の(3)に、「軽症・無症状者は、十分な医療観察体制を確保したうえで自宅での療養も実施」とあります。
この文言だけを見ると、これまでの、前回、前々回の対策本部会議の後の医療体制の資料と見比べても、感染が増えている状況を踏まえて、自宅療養の対象を、少し広げたような印象があるのですが。そういう理解でよいのですか。
知事:
いいえ。もともと自宅療養の対象者は、軽症か無症状者なので、別にそれを広げたわけではありません。
運用上、宿泊療養施設や入院の状況を勘案して、自宅療養も実施せざるを得ない状況が来る場合には、やります、という方向を出したということです。
今すぐにやるのか、やらないのかは、現場の状況の判断になります。
記者:
国の方でもさんざん議論として出てきていますが。自粛疲れや、オリンピックをやっている中で、こういうまん延防止等重点措置や、他の地域では緊急事態宣言という中で。「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるのではないか」というような指摘もあります。
そのように思う県民もいるかと思うのですが、そのあたりを踏まえた、県民への呼びかけはどういうものがありますか。
知事:
オリンピックの開催と、コロナによる感染者の増加とは、基本的には、関わりのある話ではないのです。ただし気分的に、自制行為が働きにくくなる恐れがあるのではないか、ということが、オリンピックに関しては指摘されていることです。その、自制行為が実施しにくくなるのではないか、というのは憶測に過ぎません。それが正しいのかどうかは、誰にも分かりません。
しかし、私はオリンピックが行われている状況だからこそ、逆に、みんなで注意をしながら、オリンピックを盛り上げていこうではありませんか、というメッセージだと理解してもらえれば、と思っています。
記者:
自粛疲れを感じている。正直、またか、と思ってしまう人もたくさんいるとは思います。その人たちに対するメッセージは、何かありますか。
知事:
自粛疲れは、みんな疲れているので。あと1カ月、先ほどのグラフの通りになるのかは分かりませんが。あと1カ月が本当に正念場ですので、この1カ月を乗り切りましょう。この1カ月を乗り切れば、ワクチンの接種率も上がってくるし、それから、下降局面に、第4波のグラフで見れば、入るはずですので。
そのような意味で、あと1カ月が正念場ですから、しっかりと対応していきませんか、という強い呼びかけをしたい、と思います。
記者:
今回、国の対処方針の中に、お酒の提供禁止が入りました。以前、兵庫県でも、酒の提供禁止や、土日に酒の提供禁止がありましたが、やはり酒の禁止は効くのでしょうか。
知事:
非常に効果がある措置だと思います。というのは、お酒を飲むと、少なくとも、会話が弾む、時間が長くなる、声が大きくなる、もしかするとうろうろする。こういう行為が伴うので、やはりお酒の席は非常にリスクの多い、しかもマスクを外している場面になる、と思われます。
特に、今までの経験の中で、マスクを外している時間が問われています。最近、特に、学生さんや若い人たちの会話などが感染源になっているケースが増えてきています。それは何かというと、マスクを外した会話、宅飲みなども、さらにそれを促進させている、ということになります。
やはり、マスクを取る場面を引き起こし、そして、その時間が長くなるお酒の席は、一番の要注意の場面ではないか、と考えています。
政府自身が、そのような見解から、今回の対処方針を定めてきている、と理解しています。
記者:
国がこうやって対処方針に入れることによって、ほとんど皆(各道府県)、そういう形に、従う状態になりました。
国がそういうもの(酒類の提供禁止)を入れたことについての評価は、いかがですか。
知事:
まん延防止等重点措置実施の地域まで(酒類の提供禁止に)踏み切ったことは、それだけ危機感が、国としては強い。しかも(期間を)22日から31日まで延ばしたことも、そのような考え方がベースにあるのではないか。
先ほどのグラフ(「第3波~第4波」と「第4波~第5波」の新規感染者の状況)で説明したように、8月いっぱいというのは、ある意味で、第4波との関連では、それなりの合理性があるか、と受け止めています。
記者:
国の考え方も先ほど述べられました。今回、緊急事態宣言の地域と、まん延防止等重点措置の区域と(両方とも)で酒の提供を禁止。まん延防止等重点措置の区域であっても、強い措置です。
前回の、4月の緊急事態宣言の際は、兵庫はほぼ同じような内容でしたが、酒は提供していました。看板の問題かもしれませんが、その違いがあることについて、何か所感はありますか。
知事:
国は、今回の措置の前提として、(これまでは)まん延防止等重点措置として原則的に酒類提供を禁止していなかったことに伴って、例えば、大阪、首都圏の3県などで、結果として増えさせてしまったのではないか、という反省や思いがあって。やはり、まん延防止等重点措置であっても、酒の提供は禁止する方が、効果的だったのではないか。
それから、東京都を(一旦は)まん延防止等重点措置実施区域にしてから、再び緊急事態宣言実施区域に指定したのですが、まん延防止等重点措置実施区域にすることによって、酒を解禁してしまったのです。解禁してしまったことが、結果的にものすごく、後でもう一度、緊急事態宣言下に復したものの、もしかすると呼び水になったのかもしれない。
そういう反省や思いが今回、まん延防止等重点措置実施区域についても、強い措置を行うことが必要だと判断をした、ベースにあるのではないか、と思っています。
記者:
事業者について、協力のお願いというのか、これも何度も続いていることなので、何かあれば、お願いします。
知事:
事業者の皆さんには、また8月の1カ月。特に、まん延防止等重点措置実施区域の皆さんについては、お酒の提供をやめてもらうという協力を求めます。これは、先ほど言いましたように、第4波との関連で、第5波の動きを考えてみると、これから急上昇しかねないような状況なので、ぜひ協力をお願いしたい、と思います。
まん延防止等重点措置実施区域での対応として、国の最低基準、協力金の枠は3万円なのですが、県として、わずかではありますが、5千円は上積みして、県としての誠意を、少し示させてもらいます。このような額で誠意になるのか、と言われるかも知れませんが。県としては、それなりに努力をしたつもりです。
それから、酒の卸売業者に対しても、売り上げ減の要件を、緊急事態宣言下と同じ状況、3割減から5割減までの皆さんにも、対応することにしています。県としても、ぎりぎりの努力をしていますので。
それはそれとして、業界を挙げて、飲食店の皆さんには、まん延防止等重点措置の実施下で、しかも、これからの急上昇が予想される、コロナの感染状況に対する正念場の対策なのだ、ということで、ぜひ協力をお願いしたい、と思っています。
もうぜひ、協力をお願いします。
記者:
お盆休みがあります。期限が8月31日までで、井戸知事の任期は7月末までですが。この対策の期限内で、お盆休みの移動や帰省については、県としてはどのように捉えていますか。
知事:
人の動きが増えることは、本質的に感染が増えるわけではありませんが、移動に伴って、飲食の機会が増えることは免れません。そういう意味で、原因というのか、契機になり得る、移動というものも自粛して欲しい、とお願いをしています。
お盆の時期、去年もそうだった、と言われる向きも多いかと思いますが、不要不急の帰省などについては、ぜひ自粛の協力をお願いします。
記者:
それに関連して。夏休みに入っているので、子供たちを持つ親が、どこか遊び場を求めて、県内を移動することもあり得るか、と思います。また、土日に、例えば飲食店に行くことも。
対象区域以外の26市町で、土日の酒類提供だけでも禁止にしなかった理由は、何ですか。
知事:
先ほども言ったように、患者の発生状況の現状と、緊急事態宣言下の大阪との関連を考えた場合に、大阪との交流圏は、協力してもらう措置区域にしましたが。交流圏とは言えないようなところは、その他区域として、時間制限の協力をしてもらうことにしました。
緊急事態宣言が出れば、全県一律、ということになりますが、まん延防止等重点措置の場合は、措置区域とその他区域との、県としての判断が、そのように取ることができた、ということです。
記者:
やはり、土日の酒類提供の禁止までは、行き過ぎではないか、という判断ですか。
知事:
その他区域にそこまで求めるのは、いかがか、と考えました。
記者:
前回、4月5日に、まん延防止等重点措置が適用開始になりましたが、それから約3週間後に緊急事態宣言になりました。このあたりについて、同様の経緯をたどる、という懸念はないのでしょうか。
知事:
全く状況が違うと思います。と言うのは、お酒の問題です。
私は今回の措置は、緊急事態宣言下における対応の効果と、同じような効果を上げ得る措置ではないか、と期待をしています。
記者:
5千円の上積みは、どこからの財源ですか。
知事:
どこからの財源になるのでしょう。できれば、我々は、臨時地域創生交付金を期待しています。国への要望の中で、2000億円の配分がされていないので、早く配分して、と言っていますが、そのような配分がされた財源が充てられれば好ましい、と考えています。
記者:
規模的にはどれくらいを見込んでいますか。
知事:
25億円から30億円ぐらいです。
記者:
国への要望が通ればそれで賄えるし、賄えなければ、県の財政から組み替えるのですか。
知事:
予算化している中で、不執行も随分ありますから、ゆすってみる(精査する)のも、今後の対応にはなるのではないか。
記者:
本当に、知事として、最後の最後になると思いますので。
もうすぐ知事が代わりますが、まん延防止等重点措置に入って、コロナの対応について、新しい知事に、こういうところに気を付けて対応してほしい、ということと。あと、県民への本当に最後の最後で、こういうところに気をつけてほしい、というのをお願いします。
知事:
対策本部会議で、対処方針を踏まえて、運用していくわけなので、十分に本部会議で議論をして、県民への協力を求めていかれれば、と願っています。
県民の皆さんには、これからの対策、対応が正念場なので、またか、という思いがないわけではないとは思いますが、その最後の「またか」に、ぜひ協力してもらって。コロナに対するこれ以上の感染をさせない、という強い思いで、行動をしてもらうことを期待したい、お願いしたい、と思います。
ありがとうございました。本当にありがとうございました。これで、こういう場面での会見は、おしまいになります。皆さんありがとうございました。
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