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ようこそ知事室へ
【発表項目】
知事:
1番目は「新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等」です。
(1)県内の患者の状況等
本日の新規陽性者数は6名です。入院の病床使用率についても1.6%で、重症病床も2.1%になっています。
感染については引き続き抑え込みができている状況ですが、引き続き、基本的な感染対策についてお願いします。
(2)ひょうごe-県民制度を用いた若者ワクチン接種促進事業の延長
現在開催中の兵庫県、楽天と連携した取り組みである、「ひょうごe-県民制度」を用いた若者ワクチン接種促進について、受付期間の延長と、さらなるPRの実施について説明します。
10月15日の受付以降、現時点で約9000人の方々に申し込みをしてもらっています。
e-県民制度の課題であった若年層の比率が5%から13%へ大幅にアップしているということで、申込みも若干の増加傾向であることから、1月末までの1カ月間の受付期間を延長します。
さらなるPRが必要だとも考えていますので、ヴィッセル神戸と連携したPRをやっていきます。
具体的には、ヴィッセル神戸から若い世代の代表として、郷家友太選手に出演してもらい、本事業のPR動画を作成し、広報に活用します。
作成したPR動画については、12月12日と1月10日にノエビアスタジアムで開催される神戸市の成人式で放映する予定で、成人した若い世代にも積極的な申し込みを呼びかけたい、と考えています。
また、インスタグラムやLINEなどのSNSでもこの動画を配信して、広く申し込みを呼びかけたいです。
12月6日時点で、県全体の対象人口に対する接種率が84%という形になっていますが、10代が66%、20代は73%で、全体と比べると若干低い状況なので、こういったPRをしながら、またキャンペーンを延長しながら、若い世代の方々にワクチン接種を考えてもらうきっかけ作りにしたい、と考えています。
(動画放映)
このような動画を流します。
しっかりとPRを続けていきたい、と考えています。
以上が新型コロナウイルス関連です。
2番目は「令和3年度12月補正予算案」です。
この度、現在開会中の第356回の定例会の閉会日、12月13日に追加上程する補正予算案を取りまとめたので説明します。
新たな変異株も含めて、次なる波への備えを強化するということ、それから11月26日に閣議決定された国の経済対策も踏まえて、早急に対応が必要な事業、それから鳥インフルエンザ対応の事業なども整理しました。
(2ページ)まず、概要が大きく4点あり、1点目が「新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の推進」で596億円、医療提供体制や保健所の強化、それからPCR検査等の無料化をするということ。
次に、「県民生活の安定化に向けた支援」ということで、生活が苦しい世帯等に対する支援として36億円です。
それから、「地域経済の活性化・地域の元気づくり」で89億円ということで、今、コロナからの経済の下支えとして事業者の皆さんへの支援の拡充、需要喚起をやっていくというもの。
さらに、「高病原性鳥インフルエンザ対策」として、まん延防止や養鶏農家等への支援で2億円。
合計、一般会計で723億円、特別会計で100万円になっています。3ページ、4ページに施策の体系があるので参照してください。
5ページですが、「医療提供・検査体制の充実」です。
まず、「保健所等の体制強化」で、初動や感染拡大時に機動的に増員ができるように、応援体制を整備していきます。約1000人の県職員に疫学調査等の研修を実施したというものです。
それから、保健所が保有する感染情報を、全県で共有する「HER-SYS連携システム(仮称)」ですが、これについてのシステム構築も進めます。
それから、「入院医療体制等の強化」で、1400床以上を確保していく方針になっていますが、そのための空床補償予算を210億円増額します。
また、宿泊療養施設についても16施設まで増加するということ等で49億円、自宅療養者へのフォローアップで8億円です。
それから、「3回目接種の実施に向けたワクチン接種体制等の整備」で、県では、にしきた接種会場と姫路市文化センターで、1月以降に大規模接種会場を設置することで、今、調整をしていて、その関連経費です。
また、「PCR検査等の無料実施」で232億円。次の6ページ、PCR検査の無料実施について、大きく分けて2つを実施します。
まずは、「Ⅰ ワクチン・検査パッケージ等の定着促進」です。ワクチン・検査パッケージは感染対策と日常生活の両立をしていくという意味で、これからも重要なものになってきます。一方で、様々な理由でワクチンが接種できない人への対応として、PCR検査等を無料にするものです。令和3年度内にやっていくというもので、61億円になります。
それから、感染拡大していく時において、知事の判断で、自己の意思に基づく未接種者も含めて、感染不安を抱える人にPCR検査を無料で実施していくものです。これが「Ⅱ」です。感染時に知事の判断で実施していくということで、171億円となっています。
これらについて民間の検査機関、それから薬局、事業者の方々に、これから委託をして、体制を整備していきます。できるだけ早く、準備をしていくもので、いずれも国の臨時交付金で対応する形です。
それから、次の7ページが「生活困窮者等への切れ目のない支援」で、3つありまして、1点目が「緊急生活福祉資金」で、緊急小口資金、総合支援資金の制度の延長に伴うものです。令和4年3月末まで延長となります。
また、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」ということで、申請期間について令和4年3月末まで延長、それから支給期間についても最大3カ月追加するものです。
あとは、「住居確保給付金」についても延長となっています。
それぞれに要件がありますが、県のホームページ、それから所管課の方で情報発信をしながらやっていきます。
次に、8ページで、「中小企業の新事業展開への支援」です。
コロナ禍で環境変化に応じたビジネスモデルの再構築、それから小売店や飲食店においては、新たなECサイトの立ち上げや、デリバリーの宅配事業を実施した企業もあるので、その方々に対する、フェーズに応じた支援です。
9月補正では、そもそもどのような事業をするのかという、ビジョン策定の支援について実施しました。
今回の事業は、その後の、ビジョンを作った後の事業実施段階に対して応援していくものです。これを予算計上するもので、3.5億円となります。
それから、「中小企業への資金繰り支援の強化」ということで、こちらは既定融資枠対応という形になりますが、コロナの影響によって資金繰りがたいへん厳しい事業者に対して、低利な県の融資制度による対応を行っていくもので、令和4年の3月末まで期限を延長します。
そして、「中小法人・個人事業主への一時支援金の支給」です。次の9ページですが、コロナで、今、飲食店の方々に対する時短要請も緩和したところで、日常生活において徐々に飲食や観光の機会が増え、元に戻ってきているところですが、一方でまだまだ弱含みの状態が続いているところもあります。
ようやく回復の兆しも見え始めていますが、昨今の原油価格の高騰や、あとは資材費などの経費の高騰は中小企業、個人事業主の皆さんにおいてはたいへんな負担になってきているものもあります。県独自の施策として、中小法人そして個人事業主の皆さんに一時支援金をスピーディーに支給していきたい、というものです。
これは12月補正で計上し、できるだけ早く支給して、事業者の皆さんの様々な価格の高騰に対する下支えをしたい、というものです。
飲食店以外の事業者においては、国の月次支援金の受給をしている人に対して、これが10月までで制度が一旦切れるので、その方々に対して確認をして、中小法人で20万円、それから個人事業主で10万円を支給していきます。
それから、飲食店についてはやはり大幅な売り上げ減少が、かつてと比べると起こっていることもあり、あとは原材料の高騰もあるので、今回はコロナの認証店を対象に、1店舗当たり10万円を支給していきたい、と考えています。
審査時間をできるだけ短縮させて、迅速な支給を実現していきたい、というものです。詳細はこれから、手続きを含めて調整中ですが、令和3年度内のできるだけ早くに支給を開始していきたい、と考えています。
それから次の10ページが、「ふるさと応援ひょうごを旅しようキャンペーン」の延長です。
県独自で10月からこのプレ実施をして、現在、本格実施を11月から、今のところ12月の末までという形になっていますが、県内で多くの県民の皆さんにも活用してもらっている状況です。
現場のホテル・旅館の方々とも話をすると、かなり多くの県民の皆さんに利用してもらっていて、予約についてもかなり埋まってきているという多くの声を、期待の声をもらっています。
これは12月末までで終わるよりも、やはり、GoToトラベルが年明け以降開始の見込みもありますが、やはり年内だけではなくて、年明けも延長して欲しいというニーズも結構現場からもあるので、県でも予算措置をしながら延長していきたい、と考えています。
具体的には、この1月から2月の末までを今回拡充していきます。延長は、国の補助の活用ではなくて、県独自のものになりますが、ワクチン・検査パッケージの活用も前提に、対象者がこれまでは県民のみでしたが、隣接する近隣の府県民にも活用してもらえるよう、エリアの拡大をしたい、と考えています。
現在、関係府県と調整をしていますが、支援内容は従来と同じで、1泊当たり最大5000円。そしてクーポンについても最大2000円の配布をします。
何とか年明け以降も、需要の下支えをしていって、その先につなげていきたい、というものです。
それから最後の11ページが、「高病原性鳥インフルエンザ対策」で、3点あります。
11月17日に姫路市で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、その対策の経費を計上します。
まん延防止・発生予防対策として、これはすでに実施したものも含めていますが1.9億円で、殺処分や消毒等の経費に関するものです。
それから、影響を受けた養鶏業者について、出荷制限などを行ったので、その方々に、融資制度の創設と利子補給を実施するものです。
最後は、風評被害対策で、姫路の養鶏農家も含めて、県産の鶏肉、それから鶏卵の安全性をPRすることで、風評被害を防止する対策をこれから実施していきたい、と考えています。これが300万円です。
以上が補正予算の全体像ですが、やはり経済・コロナ対策をしっかりとしつつ、その上で、景気の下支えと、今、価格高騰などで苦しんでいる事業主、中小の事業者を支援するということがメインになってきます。
これについては、議会の最終日(13日)に提案という形になります。
3番目は「福良港湾口防波堤 煙島水門(海底設置型フラップゲート)の設置」です。
南あわじ市の福良港は南海トラフ地震を想定した最大クラスの津波T.P.+8.1m(T.P.は東京湾平均海面。津波高の表記)、と大きな津波の被害が想定されており、津波防災インフラ整備計画の重点地区に位置付けて、防波堤の整備を進めています。
今回、漁船の航路として整備する煙島水門の据付作業というものをこれから実施していきます。
西日本で初採用となる、海底設置型のフラップゲートという形でこれから実施していくものです。
普段は海底に沈んでいるのですが、Jアラートの信号を受けると自動でロックが外れて水門が浮き上がって、津波をブロックするというものです。
これから工事を進めて、令和5年度の完成を目指しています。
4番目は「第1回ワーケーション知事室の開催」です。
11月19日、20日で実施を予定していたワーケーション知事室については、鳥インフルエンザの発生などもあり、一旦、延期しましたが、来週の14日から15日で実施します。
場所は北播磨地域で、多可町、それから西脇市です。
県下各地にワーケーション知事室ということで訪問し、五国の様々な地域特性にも触れながら、意見交換も、そこの県民の皆さんともしながら、かつリモートを活用して、通常の知事の仕事もする、ということです。
私自身が新しいワーケーションという働き方を率先していくとともに、先ほども言いましたが、県民の皆さんと話してニーズを把握する、それから兵庫県の魅力を発信するというような、トップセールスにもつなげていきたい、と考えています。
今回は、まずはスタートということで、2日間からの実施ですが。今後、やりながら、いろいろなやり方も工夫しながら、滞在日数を増やしたり。あとは、いろいろなところに、予定とは違うところにもふらっと訪れたり、そういった自由度をもったやり方も工夫を重ねていきたい、と思っています。
原則公開なので、取材の方もぜひよろしくお願いします。
私からは以上です。
記者:
補正予算について。1つは3回目接種のワクチン接種体制の整備で、1月ということで従来よりも少し前倒しをした形で、予算を組んでいますが。
県内の各市町を含めて、ワクチンの供給体制や、あるいは一般の人への接種のスタートは、だいたい1月ぐらいにスタートできる、という見通しを持っているということですか。
知事:
今回の補正予算は、県が設置する大規模接種会場2カ所についての補正予算です。姫路と西宮で、モデルナを中心にするものです。
設置については1月には、設置をして、おそらく実際に3回目接種をするのは、国の配分計画もありますが、2月ぐらいになるのかどうか。場合によっては前倒しということもあると思いますが、そのような形で考えています。
当面は、1月に開設して、県の設置会場では、まずは1回目、2回目が、まだ打っていない人もいると思うので、その方々の接種も実施していきます。
市や町については、現在12月以降のスタートという形で接種券の配布や、いろいろな体制整備を、今、各市や町が実施をしているところです。
現場では、ファイザーやモデルナ、この両方をどのように接種していくのか、現場ではなかなかオペレーションをどうするのか、苦慮しているところです。
一応は、ほとんどの市や町では、モデルナの接種も行ってもらえるということなので、そのあたり、市や町において、スタートの準備を今、鋭意に進めているところです。
記者:
中小法人・個人事業主への一時支援金について。先ほど知事は、令和3年度内のできるだけ早くに支給を開始したい、と言っていましたが、目標としては、いつぐらいですか。
知事:
どこまで早くできるのかは、少しまだ調整が必要かと思います。今回、迅速にスタートするということが大事なので、できるだけ早く、というものです。
具体的には、できるだけ早くということで、1月中には申請の受け付けを、できるだけ早く開始したい、と思っています。
申請書はできるだけ簡素な内容にして、申請者の負担軽減や、審査の迅速化を図って、できるだけ早く、2月には支給を開始していきたい、と考えています。
やはり年末年始で、事業者の皆さんもいろいろな意味で、資金繰りも含めて、たいへんな重要な時期ですし、ガソリンもそうですが、いろいろな原材料も、かなり高騰してきているので、できるだけ早く一時金の支給をしたい、と思っています。
基本的には、国の制度の月次支援金が、この間あったので、それを受給している人、前年の売り上げが、4月から10月で50%以上減少という形で、一定の要件は早く把握できるようになっているので、支給をできるだけ早くしていきたい、と考えています。
記者:
e-県民制度について。対象や特典は変更せずに、期間を延ばすということは、内容そのものというよりは周知がまだ追いついていない、という感覚を持っているということですか。
知事:
もともと予算上は、6万人を想定していました。
今の時点では9000人で、これも、e-県民制度で言うと、かなり若者の割合が増えたという面はあるのですが。
県としてもさらに、周知をしていき、できるだけ多くの方々に、ワクチンの接種とともに、このe-県民制度に入ってもらうことをしっかりとしていきたい、と考えています。
記者:
半分の1000円は、「ひょうご市場」(ひょうごマニア)で使えるクーポンだったと記憶しています。
使われている形跡というのか、若者たちがもらったものをどうしているのかは、分かりますか。
知事:
半分が楽天のポイントで、半分が「ひょうご市場」で、使えるものですが、どれぐらいの販売数が、実際に進んでいるかというのは、また少し確認をして、追って、伝えます。
記者:
ワーケーション知事室のことについて。先ほども少し触れてもらいましたが、ワーケーション知事室を実施するねらいや、理由を改めてお願いします。
知事:
今回、12月14日から2日間でしますが、やはりワーケーションというものが、コロナ後の新しい働き方として、都会だけで働くのではなくて、いわゆる地域に数日間滞在して、リモートで仕事をすると。空いた時間を、いろいろな地域を楽しんだり、自分なりのライフスタイルを模索していくという、新しいワーケーションという働き方が、これからやはりコロナ後の社会で、1つの主流になってくる、と考えています。
そういった中で知事自身が、ワーケーション知事室というやり方を、ワーケーションという働き方をしたい、と考えています。
自分自身が地域に、今回はコテージだと思いますが、コテージに滞在して、日中は打ち合わせや、今回は、いろいろな打ち合わせ以外もします。そういった仕事をリモートでしながら、空いた時間を、地域の地場産業や、地域の住民と意見交換をすることで、そういった兵庫の魅力の発信であったり。また、ワーケーションを兵庫県が、どんどん推進しているということを、もっとアピールしていくことにつなげていきたい、と思っています。
人口流入の動向を見ても、全体として兵庫県は人口が流出しているという数字になっているのですが、この間を分析すると、30代、40代の人は、実は流入が増加している傾向が実は出ていて、世代によっては、兵庫県に特にこの播磨地域や、多自然地域に来る人も、これから増えてきているという若干の兆しがあります。
これはやはりワーケーションや自然豊かなところで住むという流れが、出てきているのかと思うので、そこを兵庫県としてもとらえていきたい、と考えています。
記者:
知事自身がワーケーションをするのは、全国的に見ても、もしかすると全国初めてかもしれないと思うのですが、何か参考にした事例はありますか。
知事:
これは、私が何か直観的に、ワーケーションが、コロナ後の新しい働き方になっていて、これを知事がするということが、1つ面白いのではないか、と思って。
よく移動知事室というのはあるのですが、それは地域に行っていろいろな知事の公務をする、ということですが。そこをリモートで結んで、仕事を実際にワーケーションという形でするのは面白い、と思ったので。
特に何かを参考にしたというよりも、ワーケーションという働き方自身を知事という立場でしたい、というような思いから提案しました。
記者:
e-県民制度のことで、繰り返しになるのですが、目標が6万人を想定していて、パーセンテージで言うと伸びた、という評価なのかもしれませんが。9000人しか登録がないという、もう一度、原因の分析と、これから何を変えればよいのか、目標が達成できるのか、考えをお願いします。
知事:
予算としては、6万人という形で用意しましたが、今の時点では、9000人なので、その予算からすると、そこには到達していないという事実は、受け止めなければならない、と思っています。
我々の方でも、PRはしっかりとしてきた、ということもあるのですが。大学とも連携しながら、大学では、メールで学生の皆さんにいろいろな情報を周知するのですが、そこにも載せてもらうなど、しているのですが。やはりそこが、学生の皆さんにうまく伝わっていない面も正直にはあった、と思っています。
したがって、もう少し期間を延長して、今回、ヴィッセル神戸の郷家選手にも、協力してもらい、神戸市でも成人式の場で、これを発信していくこともしてもらいます。
PRの仕方を、より若い世代に届くように、これからもっとしていかなければならない、ということで、今回しました。ワクチン接種を、呼びかけることもそうですが、やはり県がしている行政をいかに、若い世代の人々、20代、10代の人々に、アピールできるのか、根本的な課題の解決にもつながることなので、そういった意味でしっかりとしていきたい、と思います。
記者:
若い人へのPRをもっと強化したい、ということですが。一方でワクチン接種は7割を若者でも超えていて、それでもe-県民制度の伸び率が低いというのは、メッセージは届いているけれども、魅力が感じられていない、という部分もあるのかと思います。
例えば、手続きが煩雑であったり、ねらいがわかりにくいなど、PRの方法を変える、中身を変えるということも考えなければならないのではないですか。
知事:
20代については、73%になっていて、当初に我々が想定していたよりも、ワクチンの接種率は、かなり協力をしてもらっています。それに比べてe-県民制度の登録が進んでいないということは、やはりPRの仕方を、しっかりとしなければならない、という反省もあります。
今回、ポイント等で、2000円相当というものについては、予算の中で、一旦決まったものなので、ここを少し変えることは、なかなか難しいので。
ただし一方で、汎用性の高いポイントなので、しっかりとPRをしていくことによって、より多くの学生に、ワクチン接種とe-県民制度の申請を促すことをしっかりとしていくことが大事、だと思っています。
私自身も楽天ポイントをよく使いますが、ポイント自身は、結構皆さんも、使っている人がいればですが、飲食店など、いろいろなところで、例えば100円など小口単位でコーヒーを買ったり、割と使い勝手はよいポイントです。
そういう意味でもしっかりとPRをして、若い世代の人も楽天のカードを持っている人も、それなりにクレジットの作りやすさからすると、かなり多いので、そこは我々がもっとPRしていかなければならない、と思います。
記者:
前回の知事会見のときに、市街化調整区域の話がありました。都市計画法の条例の一部を改正して市街化調整区域でも、家を建てられるようにしようということです。
少し疑問に思っているのが、地方にいろいろと人を呼び込む仕掛けを知事は作ろうとしているのですが、一方の国では、コンパクトシティなどの考えをもっと広めていこうというような法律もあります。
知事が目指す兵庫県の人口を増やすねらいというのか、設計図のようなものが、地方に向いていくのか、それとも都市を住みやすくしていくのか、どちらに向いているのですか。
知事:
それは本質的な話です。大きな流れで言うと、確かに、都市機能というのですが、病院であったり、役所であったり、そういった都市的な機能をコンパクトシティということで、集約していくという1つの流れが、かつてありました。
ただし、コロナによって、大きくそこが変わってきているというところもあります。都心ではなくて、地域に移り住んで仕事をしたり、それでもリモートというWeb、ネットを使って、様々な働き方や、業務の仕方が変わってきている中で。
地域に移り住もうという流れも、やはり一方であるので、それが2019年以降、若干、いろいろな数字でも出てきていることでもあります。
そういった中で行政としても、県としても、兵庫県にいろいろな多様な働き方を呼び寄せて、地域も活性化していくということが、大事な流れだと思うので、そこは市街化調整区域の緩和をして。
やはり地域でいろいろなニーズが多いのです。若い世代の人が移り住みたいが、規制があったので、なかなかそれがうまく進まないなど。企業誘致もそうですが、そういったことで、やはりチャンスを求めたり、呼び込もうとしていることには、できるだけ受けられるように、応援していく、環境を整えていく、ということは大事です。
ただし一方で、指摘のとおり、何でもかんでも規制緩和をしてしまうと、まちづくりの流れとのバランスが大事なので。やはりそこは、現場の市や町や住民の方々と、この間、議会でもそういった質問もありましたが、いろいろな合意形成を図りながら、この地域の、例えば市街化調整区域のこのエリアは、ある程度は規制緩和していきましょうなど。
そこの住民や市や町との合意形成が大事で、守るべき農地など、やはりもう少し規制緩和すべきエリアを、バランスをとっていくということの、それぞれの現場での議論が必要です。議論自体を、しやすくするような、環境を作っていくということは、県としての重要なミッションかと考えています。
記者:
12月補正予算について。全般的なことで、先ほども福祉関係について説明されていましたが、今回の補正予算のねらいで、額でいうと当然、コロナ対策というのか、コロナの押さえ込みが大きいかとは思うのですが。
徐々にコロナ後やウィズコロナ、コロナと共存する中で、どのようにして、かつての業績の回復につなげていくのか、に少しずつシフトしているような印象もあります。
そのあたりへの齋藤知事の考えが、どのように今回の予算案に反映されているのかを教えてください。
知事:
今回の補正予算のポイントは、そこです。やはり県内の経済を元に戻していきつつ、今後の新しいコロナ後の社会に向けて、軌道を作っていくことが大きなねらいとして、1つあります。
地域経済の活性化・地域の元気づくり、が1つのポイントです。
1つが、需要の喚起で、県民割の旅しようキャンペーンです。旅行のキャンペーンについて1月以降もしっかりと2カ月間拡充して、ようやく今戻りつつある県内の旅行を含めたレジャーですが、ここの腰を折らないように、しっかりと下支えをしていく、ということ。
それから、業界からも結構強い声があるのですが、近隣の府県との相互乗り入れも今回行います。例えば有馬であれば、大阪や京都からも、もともと観光客が来ていたので、そういった方々にもどんどん来てもらえるようなキャンペーンにして欲しい、という声がかなり強くありましたので、近隣府県からも来られるような、そういった流れを作っていきます。
一方で、小規模事業者の方々を含めて、原油価格の高騰や様々な原材料の仕入れで、今、厳しい状況にあるので、その事業者の方々に対して、一時金をスピーディーに支給します。
原油価格もガソリンも今かなり高止まりになっていて、あとは資材についても高くなっていると。サプライチェーンが滞っている中で、そういった影響もあるので、その影響をできるだけ緩和することで、事業者の下支えをします。
もう1点が、今後の中小企業のDXや事業展開をこれからしていくという意味で、中小企業の皆さんの新事業への展開として、様々な新しい業態の変化に向けて、新事業の展開を応援していく経費です。
今の景気の下支えと、原油高騰でなかなか苦しい事業者の皆さんへの下支え、それから未来に向けての新しいコロナ後の業態、経済構造のシフトに向けていく流れを作っていきたい、と考えています。
記者:
今の話と関連して。コロナ対策については、当然ながらかなりの額が、財源はともかくとして、結構大きい額なのですが、この予算の積み方、目的についても教えてください。
知事:
ここは、経済を活性化していく前提として、コロナ対策をしっかりとやっていかなければならない、ということがもちろんある前提で先ほど話しました。
医療提供体制のうち、病床の1400床以上、ホテルの16施設に2000室以上を確保していく、ということで、約300億円の予算措置をしています。
それから、県としての3回目のワクチン接種の体制をしっかりと1月以降に作ります。
また、経済活動にもつながってくるのですが、PCR検査の無料の実施を、2つのフェーズで、今のワクチン検査・パッケージに向けて作るということと、感染が拡大したときに、知事の判断で検査会場をセットできるという、この2つを行います。
医療提供体制、検査体制の充実についても、しっかりと今回、予算の措置をしました。
記者:
オミクロン株について。いろいろと動きが海外も含めて出てきています。オミクロン株への、現在、知事の見方、捉え方と、これまでの政府の、国際線をどうするのかなどの話がいろいろとありましたが、これまで対応についての評価を聞かせてください。
知事:
オミクロン株については、これまで国内で4名が感染しています。国ではかなり早い段階で、入国の規制もしています。
本県としても、オミクロン株に対するゲノム解析が1つのポイントだ、ということで、早期発見を県立健康科学研究所において積極的にやっていくことを説明しました。さらに、検査体制については強化をして、以前はサンプルでしていた形だったのですが、今はすべての新規陽性者を対象に、変異株のスクリーニング検査を、デルタ株のPCR検査を行った後にゲノム解析を行う体制にして。今、すべての新規陽性者のゲノム解析を、オミクロン株についても検査をしている状況です。
対策については、県でも一定の早期把握をしています。基本的な対応は、やはり感染予防対策のマスクの着用やこれからも手洗いの励行をしっかりとしてもらうことが大事です。
オミクロン株自身については、海外でもかなり知見が集積して、感染の速度は速いが、重症化については、最初に思ったよりも、そこまで重症化しないのではないか、という判断も出てきていますし、重症化に対して3回目のワクチン接種が有効だという結果も出てきています。
一方で、国内でも、今のところは全体に広がっている状況ではないので、今の流れでしっかりと水際対策をしながら。我々としても、ゲノム解析をしっかりとしながら、感染を広げない、ということを年末年始にかけてやっていくことが重要です。
記者:
福良湾湾口防波堤の海底設置型フラップゲートについて。福良湾のあたりは、津波防潮堤の対策をしていた印象があるのですが、改めて、西日本初のフラップゲートを用いるねらいやメリットは、何ですか。
知事:
確かにこれまで南あわじの周辺は、南海トラフの対応で、南あわじの南端が、そういった津波の影響も受けやすい、ということもあったので、対策はもちろんしてきました。想定津波高がT.P.+8.1mとかなり高いので、これまでも津波防災インフラ整備計画の重点地区に位置付けて、防波堤の整備は進めてきました。
今回、新たに行うのは漁船の航路として、煙島の水門が重要な1つの航路の拠点でもあるので、そこにフラップゲートを今回、設置して、より安全性の確保を港として強化していこう、という取り組みです。全体の計画の中で、これまでも進めてきたもの、と認識しています。
記者:
従来から計画していた取り組みをする、ということですか。
知事:
そうです。全体計画の中でこれをやっていて、地元の関係者の方々、漁業関係の方々も、これを早めに設置してもらいたい、という声もあったので。住民の皆さんの関心は結構高いと聞いているので、今回、整備について、情報発信をしたい、という趣旨です。
記者:
県と直接関係のないことかもしれませんが、18歳以下の10万円相当給付が今すごく話題になっていて、国は現金とクーポンで給付、ということを掲げています。
ただし、大阪市をはじめ市町の中には、迅速な給付ということで、すべて現金で給付を表明する市町も出ているようです。
結局は、国も現金給付を可能とすると言っており、今、関心が高いのですが。実際に、実務としては市町がそれを行うのかと思いますが、齋藤知事として、この件をどのように捉えていますか。
知事:
今、国が市や町と調整しながら進めていますが、スピード感という観点、それから実務的な観点からいうと、現金で給付する方が合理的だという判断の方が強いのだと思います。
いろいろな市町の首長が、ここは合理的にしたいというのは、現場でのいろいろなオペレーションをしている方々の思いだ、と思います。
ワクチン接種3回目の時期と重なるので、そういった意味でも現場のオペレーションで、特に子育て向けのクーポンだと福祉部局になって、ワクチン接種についても医療福祉、ということで、同じ部局の中でかなり負担がかかるのではないか、という現場の首長の懸念がかなり強いと思います。
そういった中で最終的には今、言われたように市町がどのような方法でするかの判断が大事になってきます。そこは市や町のいろいろな住民や首長の判断もあるので、最終的にはそこが大事です。
ただし、県としてもいろいろなサポートを、これからすることも大事なので。現金給付以外に、クーポンであればクーポン配布、他方で専用サイトの構築なども必要になってくるのですが。そういった時に複数の市町がそういったサイトでしたい、という場合に、例えば、その申し出があれば、県としても。いろいろなサイトを市や町それぞれに作るのはあまり合理的ではないので、一定のいくつかの市町がしたいのであれば、ここは調整しながら、都道府県が複数市町で利用可能なサイトを構築することも想定はされているようなので。今の市町の意向をアンケートで聞いている状況です。
現金給付以外にクーポンやデジタル的なものでしたい、という声が一定あれば、県も一定のサポートをすることもある、と思っています。
まずは、市や町の判断を見ていきます。
記者:
どのようなアンケートをしているのですか。給付方法について尋ねているのですか。
知事:
「現金でやりたい」のか、「クーポンの発行」なのか、「専用のオンラインで子供用品を買い物できるようなIDを付与してオンラインショッピング」、この3パターンがどうやら示されていて、どれを選ぶかの今の時点での市や町の意向を確認するものです。
その状況を見ながら、県としてどこまでフォローできるのかを検討していく形になる、と思います。
記者:
そのアンケート自体は、近々集約するのですか。
知事:
今、照会中と聞いているので、おそらく今週か来週ぐらいには集約ができてきます。
おそらく、市や町もなかなか苦慮している状況だと思うので、一旦このような判断をしたとしても最終的にどうなるかの判断は、補正予算の計上のタイミングも出てくるので、そこは流動的な面もあります。
今、照会中で、今週か来週にはだいたい見えてくる、と思います。
記者:
そもそもの発端としては、クーポンで5万円相当を配布する場合の事務費が、960億円以上かかるというところだと思っているのですが。知事からは、この事務費は過大か、適当か、どう捉えていますか。
知事:
やはり900億円という額を聞くと、多い。クーポン事業は一定の事務費がかかるのは仕方がない、という面もありますが、5万円や10万円というクーポンを、1人1人に配ることから考えると900億円は多い、と感じます。
そういった「多いな」という国民の皆さんの思いもあるので、そこがやはり、現場の市町の首長などからも、この制度のあり方はどうなのか、という声がかなり強く出てきているとことになっている、と思います。
記者:
市街化調整区域の土地をうまく活用できるようになど、いろいろと地方へ移住しやすくする環境づくりをしているという印象で、今度のワーケーション知事室で、いろいろな地域の人と話をするかと思います。
若い人が地方に移住する際にネックとなるのが、買い物や交通が不便ということもありますが、閉鎖的な人間関係に入っていけるだろうかというような、ハードというよりもソフト面に、非常に不安を覚えている人が多い、とよく聞きます。
私が感じるところ、兵庫県はあまりそういう県民性ではない気はしますが。何かこのあたりの不安を払拭することが、もしかすると移住促進の大きな要素になってくるという気もしますが、このあたりを知事は、どのように考えていますか。
知事:
いわゆる住む家のようなところは、空き家の改修や空き家のマッチングなど、いろいろな市町がやっていますが、確かに実際に住んでみた後にいきなり、具体的に言うと、地域の自治会など、そのようなところとどのようにコミュニケーションを取り、人間関係を作っていくのかは、やはり大事なポイントだと思っています。そこでトラブルになったりすると、非常に周りも含めてうまくいかない状況があります。
私もいろいろな地域で勤務しましたが、新潟の佐渡市役所がある佐渡島はいわゆる過疎地でした。私は市役所に勤務していたので、そういう意味では人間関係がそこにありました。それでも一から知らないところに行って住むのは、特に家族で行く場合には、かなり不安が大きい。そのようなところを、どのように人間関係やコミュニティの構築も含めて、フォローしていけるのかは、大事なポイントだ、と思います。
そういう意味でも、お試し移住というのか、ワーケーションもお試しになるため、いきなり全財産をかけて行く前に、1回お試しで行くと。それが2カ所であったり、ワーケーションもですが、そのような中で雰囲気を感じながら、移住に向けて、場所も含めて判断していく流れがよい、と思います。
記者:
今回のワーケーション知事室で、ぜひ地元のいろいろな方々と意見交換をする中で、話して欲しいところです。地方にいる人も、都会から誰か知らない人が越してくることに、そこまでは抵抗を感じていないのに、そのように見られるというのか、お互いに思っていることがすれ違っているというのか、そのような場面がある、と思います。
逆にいろいろな地方の人たちの、いろいろな考え方というのが、あまり見えてこない部分もあります。そのあたりを県としても、何かそれを伝えてあげるような、何か手段はないものかと思ったりしますが、いかがですか。
知事:
ソフト面の支援が大事で、受入れ側と行った側のコミュニケーションで重要なのは、その人次第というところもありますが、そこの橋渡し自体はおそらく受入れ側の市や町もかなり気を使っているところがあります。
そのようなところを県でも、県民局等を中心に、県の移住施策の中で、どのようなフォローをしていけるのかは、大事なポイントです。何ができるのかは、今回まさにワーケーションで行く中で、県民の皆さん、住民の皆さんとの意見交換の中で聞いてみたい、と思っています。
記者:
議会の一般質問、代表質問を聞いての確認です。先般、外郭団体のいわゆる65歳以上の人に対して、県から退職を求める文書を出した、ということを聞きました。
議会の代表質問等では、抜本的見直しという言葉を使って、表現していたかと思いますが。もともと地方公務員法の改正で、年金受給年齢が65歳に引き上げられたと。これに合わせて、複数の自治体では、もともと外郭団体の再就職年齢は65歳に限るといった規定を設けているところもあると。
兵庫県に関しは、そのあたりが、今まで曖昧だったと聞いていますが、知事としては、今回をきっかけに、今後はいわゆる県出身者で外郭団体へ再就職した人は、65歳をもって定年とするというのか、やめてもらうという運用を定着させる、という考えですか。
知事:
基本的にはその方向です。ご指摘のとおり、OB職員の人材については、雇用と年金の接続ということで、60歳で今は定年退職になりますが、年金支給が65歳で、この5年間をどうするか、というのは課題としてありました。そこを県としては、定年退職した職員を65歳まで再任用することもありましたし、県以外では、兵庫県の退職者人材センターがあるので、そこを通じて、団体とマッチングをしていました。
雇用と年金の接続のことを考えると、65歳まで受けるということが原則であると思います。
ただし一方で、密接公社、県の関与が強い公社においては、65歳を超えてかなり大幅に長期在職しているケースがあったので、そこは一定の流れの中で、今回、退職ということを連絡したところで、基本的な方向性としてはこれからそのような形になる、と思っています。
記者:
ひょうごe-県民制度について。もともと接種促進という目標が主であって、そこにe-県民制度の活用というものがあったと。国の、使っている交付金も、そのような建前になっていたかと思います。
今、(20代の接種率が)73%まで上がってきています。全県平均に比べれば10ポイントほど下回っているために、接種を推奨するという意味合いはあるかとは思いますが。一方で、あまり延ばしすぎると、それはそれでどうなのかという議論も出てこようかと思います。
そのあたりを知事としては、今回の延期で最後など、どのように考えていますか。
知事:
今回の事業は、若い世代の人のワクチン接種の促進と、e-県民制度ということで、兵庫ゆかりの人で、特に若い世代の人の加入率が低かったために、その2つをねらって事業を実施しました。6万人という予算規模の中で、今9000人で、到達していないのは、我々もPRを含めて反省すべきです。
今回、1カ月程度延長ということで、さらなる加入促進をしていきたい、と思っています。
一方で、84%の全体と比べると、まだ7割や、10代後半の人は66%ということで、ワクチン接種率もまだ、10ポイント以上低いのです。今、言われたとおり、そこについては、こちらの制度を周知することで、ワクチン接種の促進にもつなげていきたい、という思いもあって、今回、期間の延長をしました。
今回で期間延長が最後になるのかどうかは、まだ今の時点では決められませんが、一応は年度内の事業になるため、その状況を見ながら対応していきたい、と思っています。
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