ここから本文です。
ようこそ知事室へ
【発表項目】
知事:
今日は、1点目が令和4年度の当初予算案について、2点目が県政改革方針の最終案について説明をします。
令和4年度当初予算については、私が知事に着任して初めての当初予算編成になります。
資料の表紙にも銘打っているとおり、財政が厳しい中ですが、「躍動する兵庫へ」ということで、その「第一歩を踏み出す予算」として実施させてもらいます。
内容については、後程説明をさせてもらいますが、部局長マネジメントをしっかりとやっていく中で、限られた財源が大変厳しい中で、何とかコロナ対応をしっかりとやりつつ、かつポストコロナを見据えた、新しい第一歩を踏み出す予算編成が何とかできた、と思います。
2点目の、県政改革方針ですが、持続可能な行財政運営、ということで、これも第一歩がこれで踏み出せた、と考えています。行財政改革についても着任直後の新しい県政の最初の時だからこそ、させてもらえるタイミングなので、そこはしっかりと持続可能な行財政運営に向けての第一歩を踏み出せるような、とりまとめができた、と思います。
それでは、対応について説明をします。
最初に、令和4年度当初予算案です。先ほど申し上げましたとおり、「躍動する兵庫」で第一歩を踏み出す予算という形です。
このたび、それを取りまとめまして、2月16日に開会する第357回兵庫県議会に上程をします。
2ページ、目次になります。項目は2本立てになっていて、まずは「令和4年度予算編成について」、それから新たに取り組む「県政の重点的施策について」の説明をします。
3ページ、「令和4年度当初予算の特徴」です。令和4年度の当初予算については、様々な課題に対して、のびやかな試行錯誤を繰り返しながら、新しい時代を切り拓いていく「躍動する兵庫」の実現を図っていきたい。それから、「持続可能な行財政基盤の確立」を図って、そして職員一人一人からの自立的・多発的な創意工夫、変革の提案ができる「イノベーション型行財政運営の実現」をしていく。
これらを基本方針としています。
部局長のマネジメントをしっかりとやってもらいながら、選択と集中を基本に、コロナからの創造的復興の施策を展開しようと思います。
4ページ「令和4年度当初予算の規模」ですが一般会計が2兆3833億円で、前年度より3471億円の減。特別会計も1兆5943億円で、公営企業会計が2706億円、全体で約4兆2500億円です。これは前年度に次いで過去2番目の予算規模になります。
一般会計の減が大きいのですが、これは後程説明しますが中小企業制度資金の貸付金の減少が大きな要因です。それを除きましても、社会保障関係費やコロナ関連の事業が増える一方で、人件費の減などの要因で、前年度を下回っています。
5ページ、「令和4年度当初予算歳入歳出の概要(総論)」で、県税等が8735億円、前年度よりプラス14.2%です。
コロナで厳しい経済状況と言われる中でも、今のところ企業業績が回復傾向にあり、法人関係税が伸び、輸入を中心とした消費の回復も見られるので、地方消費税の増などが要因となっています。
税収が増えるとそれと相まって「②地方交付税等」が減ります。3866億円になります。特に交付基準額が兵庫県のような大きな自治体だと減少額が大きくなります。
それから、「国庫支出金」が2553億円で前年から16.2%増です。これはコロナ対応の強化のための国交付金の増が主な要因です。
それから「県債」については、1059億円で減少となりました。様々な事業の進捗により減少しています。
「その他」については、7620億円で大きく33.1%減です。中小企業制度資金貸付金の償還金が減少しています。
6ページは歳出ですが、「①人件費」が、4521億円で、前年から1.7%減です。これは令和3年度に人事委員会の勧告に基づいて給与改定を行なったことによるものです。
それから「②行政経費」は1兆2514億円で、前年から19.1%減です。コロナ対応や、社会保障関係費が増加しているが中小企業制度資金貸付金が減少しているので規模としては減少しています。
ここ数年は企業がコロナの影響で厳しいということで、制度融資の貸付金に関する支出が増えていましたが、資金需要が一巡した昨今の融資実績を踏まえて融資目標額を8,000億円から5,000億円としたこと等から貸付金が減っています。
「③投資的経費」ですが、1811億円で前年から7.2%減になります。これは地方財政計画での投資的経費の伸び率を加えたり、県政改革方針に基づいて持続可能な投資のあり方をこれから目指していくことなどを反映しているものです。
それから「④公債費」が2685億円で、前年から14.3%の減です。これは令和2年度からやっていた県債残高を縮減していく対策をやめましたので減少しました。
それから「⑤その他」、2302億円について、これはプラスになっていますが、地方消費税が増えているためで、この半分は市町に配分することになりますが、それによって増加しています。
それから7ページ以降は、それぞれの県税等などの詳細なのでまたご覧になってください。
7ぺージが「県税等」、8ページが「地方交付税等」、9ページが「県債」です。10ページが「人件費」、11ページが「行政経費」、12ページが「投資的経費」、13ページが「その他の経費」です。
14ページが、「県債残高・基金残高」になりますが、県債残高については全体では4兆9186億円で、この中には地方交付税で国から措置される臨時財政対策債もあるので、国からの交付税措置があるものを除いた実質的な借金の残高は、2兆9934億円です。
前年度に比べて減になっていますが、参考にも書いているとおり、令和4年度の震災関連県債残高が2000億円を超えて2158億円あるので、やはり震災の時の財政への影響がまだこれからも続いていきます。
2000億円の返済というと、なかなか県の財源でいうと厳しいものがあります。ここも計画的にこれから返していくとことが大事になってくると思います。
それから、基金残高は6717億円ですが、大部分を占める県債管理基金が前年度末(令和3年度末)より減少になっています。これは少しテクニカルですが、令和3年度の普通交付税の見込みより、多く税収がありましたので、今後、精算することが必要なので、一旦令和3年度に県債管理基金に積み立てたものを、令和4年度に取り崩すことによるものです。
それから財政基金については、積み立ては、今後あり得るか、と思っていますが、財政が厳しい中では、当初予算編成の段階で積立というよりも、やはりここは、決算剰余が出た段階で、積み立てをしていくことが大事だと思います。
積み立てをしっかりとやっていきつつ、現実的にこれからの税収の伸びや、財政をしっかりと持続可能な形にしながら、後程説明させてもらいますが、行財政改革についても一定の方向性が出ましたのでその中で財政を、立て直しつつ、いろいろな余剰が出た場合に財政基金の積み立てをしていくことがよい、と思います。
それから、15ページ以降が、「特別会計予算の概要」です。またこれはご覧ください。
16ページが、「公営企業会計予算の概要」で、それぞれ増減が表されています。
以上が予算概要の全体像です。
次に、17ページ以降が、個別の施策についての説明です。
17ページ「最優先課題『新型コロナ対策』」で、これは令和4年度も引き続きすることになります。
新たな取組としてここに書いているとおり、これまで県は対策本部会議を中心にやってきましたけれども、そこに新たに大学などとの専門機関と連携した、感染症対策の機能強化を図っていきたいです。
これまで2年間は様々な、デルタ株それからオミクロン株などの変異株が出てきました。それから、感染拡大の波が繰り返されていたので、県民の皆さんの命、安全、経済活動に大きな影響が出てきています。
これまで以上に効果のある対策を検討し、発信していくことが重要になっていきます。そのためにも、これまで臨床現場、各医療機関で培ってもらった対応や実績、あとは感染状況のデータ分析を集約して、県立病院や神戸大学などの患者ごとのデータ分析で知見を得て、県の対策本部会議で、そういった専門家の方々の提言、助言を踏まえて、対策を検討していく。それを県民の皆さんに発信することに取り組んでいきたい、と思っています。
すでに、最近この絵の左側に書いてありますとおり、ワクチンの接種については、神戸大学の森先生と共同会見をさせてもらいました。その前には、県医師会の平林先生との共同会見をさせてもらったので、こういった情報提供を含めてやっていきたいです。
18ページ、「新型コロナウイルス感染症への対応」で具体的なものになります。大学との連携をしていくベースとなるデータ収集をしっかりとやっていくもので、特に真ん中あたりにあります「兵庫県感染情報共有化システムによる分析」です。ここは補正予算にも計上していますが、県で発生している保健所ごとの様々なデータで、患者の陽性の状況や、重症化の状況、ワクチンの有無などを県で集約してエビデンスを確認していく仕組の構築や、そういったことを中心にやっていきたいです。
それから19ページが、「新型コロナウイルス感染症への対応」の2つ目で、入院医療の体制の確実な確保で1400床の空床の予算や、保健所等の体制整備、検査体制の整備などを図っていきます。
また、オミクロン株の拡大に伴って、4月以降はどうなるか、となりますが、自宅療養者が急増していることから、健康相談など、これもすでに設置していますが、24時間対応するセンターを4月以降も継続するために予算を計上しました。
また一番下の、3回目接種の実現に向けたワクチン接種体制等の整備については、しっかりと県の大規模接種会場もやりながら、市町とも連携して接種の推進をしていきます。
それから20ページ、「新型コロナウイルス感染症への対応」の3つ目で、高齢者の施設や、様々な社会福祉施設への感染対策の予算を計上しています。
それから21ページ、「『躍動する兵庫』へ 3つの視点」でコロナ以外のものになりますが、私にとって今回初めての当初予算編成なので、どういった視点で、編成させてもらうかは、このページがそのものになります。
3つの視点に重きを置いて、やらせてもらいます。
1つが左上で「新しい成長の種をまく」。そのためには、スタートアップの育成や中小企業の革新、DX化、様々な事業承継などもやっていく。それから地場産業、農林水産業も新たなスマート化などの展開をしていき、ブランド力を高めていきます。
それから、観光戦略、これからインバウンドがまた復調することで、またDC(デスティネーションキャンペーン)も始まりますし、万博もある中で、観光戦略を作っていきます。
また、水素社会の実現に向けて、姫路港のカーボンニュートラルポート化(CNP化)の推進も含めてしっかりとやっていきます。
そして、教育も大事ですので、特色ある学校づくりもしていきたい。
それから、成長の種をまきつつ、ひょうご五国の地域の価値も高めていきたい、というのが、右側の「地域の価値を高める」です。五国の魅力を高める地域創生を推進していきます。
それから、「ひょうごフィールドパビリオン」ということで、万博に向けて、兵庫県内にある様々なコンテンツを発信していく。
地域の担い手ということになると、兵庫県で働いてもらう若い世代を増やしていきます。
さらには、スマートシティや、大阪湾ベイエリアの活性化、そして、スポーツ・芸術文化の振興等にも取り組んでいきます。
やはり、スポーツの力もとても大事ですので、文化芸術活動も、兵庫県で育んできたものもしっかりとこれからも応援していかなければなりません。
それから、その下が、新しい成長として地域の活力を高めるためにも、ベースとなるのが、県民の皆さんの「安全安心の網を広げる」です。
それぞれ福祉施策などありますが、ヤングケアラーの支援や、発達障害児の保育園入園支援、災害に強い、防災県土づくり等にも取り組んでいきます。
こういった3つの視点の取組をやりつつ、ベースとなるのが一番下に書いていますけれども、SDGsがこれからの県の施策のキーになるので、頑張っていきたい、と思っています。
それから、22ページからが「重要施策 5つの柱」になります。
「Ⅰ 新たな価値を生む経済の構築」、「Ⅱ 安全安心社会の先導」、「Ⅲ 未来を創る人づくり」、「Ⅳ 個性を磨く地域づくり」、「Ⅴ 県政運営の改革」。この5つの柱に沿って、令和4年度の方向性を説明していきます。
23ページからが、「Ⅰ 新たな価値を生む経済の構築」として「産業競争力の強化」です。
まずはスタートアップの取組をやっていきます。若者を対象とした「ひょうごスタートアップアカデミー」を開設します。様々な社会課題の解決に向けた起業を含めて、主体的に取り組んでいきたいという若い世代の方々が増えてきていますので、そういった方々を応援していく、育成させてもらうために取り組んでいきます。
具体的には、BizWorldというビジネス、それから金融の基本について実践を通じて学ぶ教育プログラムをやっていきたい、と思います。このスタートアップは、学生のうちから、しっかりと興味のある、やる気のある人に対しては、教育していくことが大事なので、一部の県立学校、それからその他の私立高校などでもモデル的に導入していきます。6020万円の予算です。
そのほかにも、「SDGsチャレンジ事業」や、様々な企業への支援を、23ページにあるように行います。
それから24ページでは、スタートアップに加えて、地場産業、地域の中小企業自体をしっかりと応援していくことが大事だと思います。
これから、その中で、SDGsの取組を中小企業、個人事業者にもしっかりとやってもらうことが大事です。これが、SDGsの視点から、地域産業の、地場産業のブランド化の向上となり、地場産品の、兵庫県産品の魅力向上にも繋がるので、産業を活性化していきたい、と考えています。
具体的には、産地によるSDGsの取組に向けた計画の策定、準備経費、コンテンツの作成など、実戦的な支援として、3600万円を計上します。
県内でも、播州織や豊岡のかばんのように、様々なSDGsの取組の流れが出てきますので、その取組を県内各他の地場産業、地域産業にも広げていきたいというのが趣旨になります。
こういったことをやっていくことが、これからの時代の企業にとってのサプライチェーンや金融機関からの融資、人材の獲得など、様々な観点からSDGsを、大きな企業だけではなくて、中小地場産業もやってもらうことを広げていきたい、と考えています。
そして次のページ(25ページ)で「中小企業DX人材育成リカレント教育事業の実施」です。これは関西学院大学と日本IBMと連携して、共同開発したAI活用人材育成プログラムの補助です。様々なAIに関心がある人が多いのでこれから様々なDX人材を育てていくことが、キーになりますので、ここはしっかりとやっていきたい、と思います。
それから「中小企業等における経営改善・成長力強化の支援」で12億円です。新規施策になりますが、今コロナで飲食店以外の中小企業者も大変厳しい状況ですが、今直近で言うと無利息融資によって、倒産件数はかなり低く抑えられています。これから、いわゆるゼロゼロ融資を受けた事業者の返済がもうすでに始まっていますが、これから本格化していきますので、そういった時に、経営がかなり厳しくなります。
そういったときに、資金ショートや、様々な倒産を防いでいくことが、兵庫県としても大事なポイントになりますので、これをしっかりとやっていって、ポストコロナを見据えた事業の承継やDX、それから様々な人材確保などの計画を策定するものを応援していきたい、と考えています。
新たな取組として、地域の金融機関などと協調して、集中的にこの数年間で伴走支援をしていきます。
具体的には、県から金融機関に実施していこう、という方針を出して、銀行が中小企業の個人事業主に対して、伴走支援で経営改善計画を策定していきます。
ポストコロナ見据えながら、これからの経済悪化への対応も、早めの段階から手を打っていくことが大事です。
それから、26ページ「兵庫で働く人材の確保・育成」をしっかりとやっていくことです。すでにいろいろとやっていますが、「おためし企業体験」や「理工系人材の獲得」、いろいろな取組をこれから展開していきまして、「チャレンジHYOGO就職大作戦」を展開していきたいと考えています。
27ページが具体的なものになりますが、新規施策で「おためし企業体験事業の実施」をしていきます、2850万円。首都圏の在住者や就職氷河期世代の方々などに対して、就職を促進していく。県外に出ていくことになった若い世代の方々が、戻って来やすい環境整備をやっていきます。
これは学生未来会議での意見をヒントにしましたが、甲南大学や関西学院大学の学生から、県内で就職することも興味があるのだけれども、一度は東京に出て、いろいろな経験を積みたいという声が結構多かったのです。
もちろん、行っていろいろな経験を積んでもらいたいのですが、いずれまたいろいろなスキルや経験を積んだ後に、兵庫に戻ってもらうことを応援していきたいと思いますので、今回、この予算をつけて、いわゆるUターン就職を支援していきたいです。
それから28ページ、「新たな観光戦略の構築・推進」です。近隣府県との連携を広げる新たな観光戦略の策定を行っています。
2025年の大阪・関西万博があります。それから、今年からデスティネーションキャンペーンが3年間、JR西日本とコラボしてやっていきます。インバウンドもこれからコロナを乗り越えた後、復調していくことを見据えて、兵庫の観光戦略をこれからしっかりと立て直して、作っていこうと考えています。
県観光戦略の策定に向けて、学識者などで構成する「新観光戦略推進会議」を新たに立ち上げて、魅力度の調査など本物志向の観光戦略を作っていきたい。そのためには近隣府県との連携も広げながらやっていくことも視野に入れていきたいと思います。
それから、新規施策で「ユニバーサルツーリズム(UT)の推進」、高齢者や障害者が様々な旅行も含めて、県内で移動やレジャーを楽しんでもらいたい、というのが趣旨でやっていきたい、と思っています。
そういった誰もが旅行しやすい観光県の実現のために、現在、ユニバールツーリズムの検討会を開催していますけれども、その取組を具体的に予算として進めていきます。協議会の立ち上げや様々な相談コンシェルジュなど、様々なモニターツアーをやっていきます。
その下がそのためのハード整備になりますけれども、「ホテル・旅館バリアフリー改修の促進」を1800万円で計上します。既存のホテルの中でも、様々な段差の解消や、車椅子の方々が移動しやすいように幅を広げたり、様々なバリアフリー対策をしてもらうように計上しました。
それから29ページ、「兵庫デスティネーションキャンペーンの展開」で、令和5年度のDC本キャンペーンに向けての、プレ実施を令和4年度から行います。市や町、関係団体と連携しながら「兵庫テロワール旅」、ホンモノを知ってもらって感動してもらう、こういったキャンペーンをやっていきたい、と思います。
それから、「観光・特産品の首都圏プロモーション事業の展開」ですが、兵庫県の地場産品等の兵庫ブランドを活用して、民間事業者の皆さんと連携して、首都圏でプロモーション事業を実施していきます。
東京には「兵庫わくわく館」がありますが、今回、行財政改革の中で一旦見直しをしていく方向になりましたが、それに代わるビルドで、こういった首都圏におけるプロモーション事業を兵庫県産品について、しっかりとやっていきます。
一番下は、「大阪・関西万博を見据えた水上観光交通圏の形成」を促進するための事業を行います。
30ページが、「農林水産業のさらなる振興(1/2)」です。
これから農林水産業は後継者や人材不足となることは、これまでにも言われており、その点をしっかりとやりつつ、ベースとなる大事なことは、スマート化の推進です。これは人手不足を補うだけではなく、いろんな農業に関する水や肥料をやるタイミングなど様々なノウハウを、電子化して見える化することが大事です。そのようなスマート農業、スマート技術を有する企業と産地をマッチングして、様々な課題を解決していく仕組づくりをしたいということで、510万円を計上します。
販売産地の強化とともに、売れる先を作っていくことも大事なので、販売販路の拡大や学校給食の県産食材の供給拡大を行っていきます。
31ページが「農林水産業のさらなる振興(2/2)」です。
ポイントは、1点目がSDGsです。農林水産業の分野でもSDGsの取組を推進していくことも必要なので、農業の持続的な発展のためにしっかりとやっていきたいと思います。それから但馬牛改良の推進や県産木材の有効活用、今年は全国豊かな海づくり大会を11月に開催するため、その点について記載しています。
32ページが、「グリーン化の推進(1/2)」です。
ポイントは「ひょうご水素社会」を推進していきたいということで、3.5億円計上しています。これからカーボンニュートラルや脱炭素がキーになってくるため、水素社会の実現に向けた気運醸成を図っていくこと。産学官の連携を加速するためにも、ひょうご水素社会推進会議を設置して、官民連携でやっていきます。具体的には、地元自治体や企業有識者からなる推進会議を設置して、水素分野を含む成長産業の研究、様々な施策や研究開発の支援、それからエリアとしては姫路港がこれからカーボンニュートラルポートとして拠点性が増してくるように、形成計画策定などをやっていきます。
33ページが、「グリーン化の推進(2/2)」です。
Jクレジット制度や鳥獣被害対策などをやっていきます。
34ページからが、「Ⅱ 安全安心社会の先導」として「医療確保と健康づくり」です。
まず歯及び口腔の健康づくりの推進です。これは歯及び口腔の健康づくり推進条例について2月議会に、歯科医師会と連携しながら策定しているため、上程しつつ、具体的な取組として、予算も計上しています。あらゆる世代の方々に対して、歯を健康にすることが大事だということを、PRさせてもらいます。
35ページが、「福祉社会づくりの推進(1/2)」です。
今社会問題になっている、ヤングケアラーについての相談窓口の設置、情報交換等の場づくりなどを促進します。
そして医療的ケア児に対する支援対策の構築です。たんの吸引等の医療的ケアが必要な障害を持つお子さんや、様々な事情がある方々を支援していくものです。
36ページが、「福祉社会づくりの推進(2/2)」です。
高齢者の補聴器活用の状況調査を行います。難聴を持つ高齢者の方々が補聴器をつけるとどのような効果があるのかを、調査します。
37ページが、「社会的養護従事者等における処遇改善」です。
看護師や介護職員等など社会的養護従事者等の処遇改善です。
38ページが、「安全安心な暮らしの実現(1/2)」です。
自動録音電話機等の普及促進、これは公約にも掲げましたが、コロナ禍で、高齢者の詐欺被害が増加しており、その防止を図るために録音しておくことが、私も大事だと思っていたため、その普及をしっかりと県警と連携しながらやっていきます。
それから、地域における安全交通安全対策です。子どもの横断歩道の事故など様々な事故があるため、地域における信号機や通学路の安全対策の実施。危険箇所を気軽に通報できるLINE窓口を開設し、それを即座に、応急措置等の対応ができるチームを設置していきたいと考えています。
39ページが、「安全安心な暮らしの実現(1/2)」です。
水上オートバイ対策を、今回取りまとめましたが、それに伴う予算措置の計上です。
40ページが、「社会基盤等の充実・強化」です。
道路などのハード関係の整備を行います。
41ページが、「災害への備えの強化」です。
県単独事業で、90億円を計上します。橋の耐震化や、高潮対策、道路の防災対策、河川の堆積土砂の撤去などを行います。
それから、避難行動要支援者のための個別避難計画の作成促進で、これは市や町に対して、支援していきます。
42ページからが、「Ⅲ 未来を創る人づくり」として「子ども・子育て環境の充実」です。
新規施策が一番上にありますが、「発達障害児等の保育所等への受け入れ支援」です。保育士・保護者への指導助言を行う支援カウンセラーの配置を支援するとともに、発達障害児などを受け入れる私立認定こども園に対して、職員加配に要する経費を、県独自で支援したいと考えています。現在国の制度では、2名以上の受け入れの場合、国庫補助がありますが、1人の場合だとありません。今回初めて、1人の場合でも、県独自の措置を行います。選挙中もですが、障害を持つ子どものお母様と話した際に、保育所に預ける際になかなかハードルが高かったと。受入れたことがない保育園が、1人目を受け入れることのハードルが高かったということがあったため、県から、このような支援をするものです。
43ページが、「学びの環境づくりの充実」です。
教育の関係で、ひょうごリーディングハイスクールの推進として、魅力・特色のある学校づくりを推進していきます。
44ページからが、「Ⅳ 個性を磨く地域づくり」として「五国の魅力向上(1/3)」です。
躍動する兵庫、持続可能な兵庫を実現するためには、多自然地域をはじめとする、そのような地域の活性化も欠かせないです。集落、地域の主体的な取組に対する支援を行います。行革の中で、地域再生大作戦は、事業のあり方を見直すことになっているため、令和4年度に議論しつつ、それに代わる、一つのビルドとして、この取組を行います。また、特区における空家活用への総合的な支援ですが、これは条例を今回制定しますが、その特区の中で、空家を活用していくための様々な補助を創設します。
次に、「県民局・県民センターにおける地域躍動推進事業の実施」として、12億円計上します。地域のことを良く知っている県民局・県民センターが、それぞれのトップのマネジメントを発揮して、施策展開をこれからも機動的・積極的に、実施していきたいというものです。
45ページが、「五国の魅力向上(2/3)」です。
五国の魅力向上で、「2025年大阪・関西万博ひょうごフィールドパビリオンの展開」です。国際的なイベントである2025年万博に向けて、しっかりと準備していくことが大事です。万博会場では、関西広域連合のパビリオンの中で、「兵庫棟」(仮称)を作りますが、それとともに、県内に多くの人を呼び込むような、兵庫五国での、ひょうごフィールドパビリオンを展開していきたいと考えています。パビリオンと言っても、県内に何か展示物の箱物を作るのでは無く、すでにある施設などを活用しながら、例えば震災の復興や地場産業、伝統文化など、兵庫県内における様々なSDGsの取組などを、発信していきます。兵庫にしかないものを見て、学んで、体験してもらう取組を、兵庫五国で展開していきたいと考えています。
特に、2025年は震災から30年という年になるため、地場産業・農林水産業のSDGsの取組の発信のみならず、震災からの創造的復興という取組も、兵庫発で発信していきたいです。令和4年度は、そのような機運醸成や、県としても推進体制を強化していくため、それをベースに市や町、経済界との連携もしっかりとやりながら、アクションプランをつくっていきます。
46ページが、「五国の魅力向上(3/3)」です。
「元町周辺再整備グランドデザインの検討」です。県庁舎の建て替えの関係ですが、新たな民間投資を呼び込むような、元町全体のグランドデザインを神戸市と連携しながら描いていき、県庁舎整備のあり方も検討するものです。現庁舎を当面活用する形になる場合は、安全安心のためにも必要となる耐震改修の方策等も検討します。
次が、「eスポーツを通じた地域課題解決への調査・検討の実施」です。兵庫県内でもeスポーツをどんどん展開していきたいです。様々な利点があるため、それを面的につなげていきながら、兵庫県にeスポーツの拠点性を高めていき、若い世代の方々も含めていろんな方々がeスポーツで、兵庫に集う取組をしていきたいと考えています。
47ページが、「大阪ベイエリアの活性化」です。
実証実験を、今年度やりましたが、阪神淡路の大交流プロジェクトということで、ベイエリアを囲んだグランドデザインを策定することが大事だと思います。新たなベイエリアの活性化の基本方針を策定し、万博を見据えて人、モノ、投資を兵庫に呼び込む事業を、官民連携でやっていきます。併せて、クルージングMICE実証実験も引続きやっていきます。
48ページが、「デジタル化の推進」です。
地域におけるデジタル化の推進として、スマートシティモデル地域課題をICT・データにより解決していくモデルを、県や市町などと連携してやっていきます。
49ページが、「スポーツ・芸術文化の振興」です。
地域スポーツの活性化をしっかりとやりつつ、新たなスポーツについても応援していくことが大事です。パラスポーツや、アーバンスポーツ、先ほど申し上げた、eスポーツ。この新たなパラ・アーバン・eスポーツを、これまでのベースとなるスポーツ振興と合わせて、しっかりとやっていきたいです。パラスポーツについては、先日大矢勇気選手等にも来ていただき、何か応援できる枠組みづくりを含めてしっかりとやっていきます。
あと文化芸術についても、これまで兵庫でやってきた一つの貴重な取組ですので、これも引き続きしっかりと応援させていただきたいです。県民プレミアム芸術デーということで、県立芸術文化施設の無料開放などを実施していきます。
50ページからが、「Ⅴ 県政運営の改革」として「これからの県政運営の方針」です。
行財政改革で、後程も言いますが、行革をこれからもしっかりとやっていくことが必要ですし、事業レビューや行財政審議会のあり方も、どのようなやり方が良いかを、これから検討していきます。
ボトムアップ型県政に向けた組織再編ということで、5部体制から12部体制に変えてしっかりと組織を強化していきたいと考えています。
51ページが「開放性の高い県政の推進」です。
公民連携プラットフォームを機能強化していくことと、また、兵庫版シビックテック「ひょうごTECHイノベーションプロジェクト」を行います。後継者がいない、地域の担い手がいないなど、様々な地域社会における課題も増えてきているため、そのような課題を、これまでのやり方とは別の切り口で、県内の企業家などに、我々が想像し得ないような新たな方法で、解決策を出してもらい、それを実施していく取組を行います。
52ページが、「県民ボトムアップ型県政の推進」です。
学生未来会議の実施等を行います。
53ページが、「情報発信力の強化」です。
54ページは、参考として「SDGsの取組の推進」です。
全庁的な推進体制を令和4年度に構築して、取組を加速化していきます。部局横断的な本部の設置や、企業や団体との窓口の一元化を行います。そして、内閣府の「SDGs未来都市」認定を、4年度以降に目指していきたいと考えています。令和4年度中に申請をし、その後の認定を目指します。
56ページも、SDGsの関係で、SDGs債をこれから発行していきます。3月に投資家向けのIRにおいて、発表する予定でしたが、このSDGsのとりまとめに合わせて、今回説明します。グリーン化を推進する本県のカーボンニュートラル等の取組に、本県として初の、SDGs債(グリーンボンド)の発行を行います。
それからふるさと納税についても、SDGsの取組を推進する事業や、寄付の返礼品として、SDGsに資する、農林水産物や地場産業品等を採用していきたいと考えています。
以上が令和4年度の当初予算編成です。
次に、令和3年度の2月補正です。
補正予算ですが、これも2月16日の定例会に上程するものです。大きく言うと、国の経済対策やコロナ対策。様々な予算を計上するものです。
2ページが概要になりますが、まずは新型コロナウイルスの対応として、まん延防止等重点措置に伴う協力金の支給が317億円です。
地域経済の活性化・地域の元気づくりということで、商店街、それから地場産業を応援するキャンペーンを行います。
それから生活困窮されている方への支援。そして国庫補助による社会基盤づくりとして、道路などの様々な事業やらせていただきます。
詳細は少し細かいですが、次のページ以降になるため、またご覧いただければと思います。5ページがコロナの対応です。6ページが学校等における感染防止対策。7ページが商店街等への支援。8ページが、観光キャンペーンを早めに、またまん延防止等重点措置の実施が落ち着いてきた段階を見据えながらやっていくことになりますが、それ以降にGo Toトラベル、それからGo Toトラベル後の、新しい県民割の支援補助事業を継続させたいです。そのほか、農林水産業や生活困窮者の支援を行います。
12ページが、妊産婦の方々の支援です。これは、予期せぬ妊娠など支援の必要性の高い妊産婦が、今、神戸市北区のケアハウスを利用されていますが、そのような取組をこれからしっかりと応援したいというものです。
予期せぬ妊娠等で問題を抱える妊産婦の方々への支援を新たに、今回実施していきます。すでに取組をやっている方々と連携しながら、受け入れ場所の確保や、心理的なケアなど、きめ細やかな相談をやっていくものです。県営住宅への入居も、今回、条例改正をして、現在は世帯入居がベースですが、そのような様々な状況を持つ人が、単身で入居できるような条例改正を行います。
13ページが、社会基盤の充実ということで、道路河川等の対応を行います。
14ページも同じく、様々な防災、交通安全対策などを行います。
以上が、令和3年度の補正予算です。
次が、行財政改革の取組で、「県政改革方針」です。
持続可能な財政運営をしていきたいというのが、私の就任からの思いです。行財政運営の見直しについては、12月16日に副本部長である、副知事のもとで一次案を取りまとめ、公表しました。その後、県議会、市町、それから関係団体から、様々な意見をもらいながら、令和4年度当初予算編成に反映させた上で、最終的に最終案として、私のもとで県政改革方針として取りまとめました。
行財政改革については知事就任当初から大きな一つのテーマとして掲げてきました。就任直後に兵庫県の財政状況を見ると、外から見ている以上に厳しいことがわかりました。
一方で、様々な県庁外の関係者の方々と意見交換をしていくと、県もこのような事業をどんどんやって欲しいなど、様々な事業ができるのではないかというお考えも結構ありました。そのような中、財政の本当の意味の厳しさと、県庁外の方々の受けとめのギャップがあると感じました。様々な県で財政運営をやってきた立場からすると、このまま続けばなかなか厳しい状況だと考えたので、持続可能な財政運営をしていく上で、意識改革も含めて、今回の行財政改革を取りまとめました。
就任直後の今だからこそ、そのような姿勢を示すことで、もちろん様々な関係者の方々と丁寧に議論しながら、持続可能な財政運営をしていくことが大事だと思っています。
基本方針としては、2ページにある通り、三つの視点になります。1つ目が、躍動する県政を実現していきたいということで、オープンな県政、誰1人も取り残さない、そして県民ボトムアップ型の3つの基本姿勢で躍動する県政を目指していきます。
2つ目が、持続可能な行財政基盤を確立していくことです。3つめはイノベーション型行財政運営の実現ということで、職員一人ひとりが、主体的に考え、事業施策の創意工夫をやっていくと。そして時代の変化や、県民の皆さんのニーズに合わせた、行政サービスを展開していくことが大事だと思います。
3ページが財政フレームですが、試算条件を見直して、当初予算をもとに、最初の経済成長率や、基金の集約の解消等を反映し、改めて試算しました。最終案における事務事業や投資事業の見直しを反映させた結果、令和10年度までの財政収支見通しですが、収支不足総額は、一次案の時には、マイナス440億円でしたが、300億円改善して、マイナス140億円となりました。
次のページがその具体的な内容ですが、一次案からの増減は、事務事業の見直しにより315億円、投資的事業の見直しにより95億円、合わせて410億円の見直しの効果額を見込んでいます。一方、ビルドとして、110億円活用するため、全体としては300億円収支が改善しますが、社会保障関係費や、様々な施策の経費があり、なお140億円の収支不足が生じてくることになります。
実質公債費比率についても、令和10年時点で0.3%改善して、20.4%になります。それから将来負担比率についても何とか7.2%改善しました。経常収支比率についても若干ですが改善するという形です。
5ページですが、財政フレームで大事なのが、実質公債費比率と将来負担比率を、どのように抑えられるかです。1次案では令和6年度に実質公債費比率は、18%を超過する試算でしたが、今回の見直しによって、何とか1年遅らせることができ、18%を越えるのが、令和7年度になりました。ただ、1年遅れることになったとはいえ、協議団体から許可団体に移行し、引続き厳しい状況が続くため、将来負担比率も含めて、財政フレームをしっかりと改善するように取り組んでいかなければならないと考えています。
6ページが今後の目標です。新たに令和10年度までの目標を設定しました。140億円の収支不足がまだ残っているため、これからの経済情勢、税収の見通し、一方で社会保障関係経費も伸びていくベースになるため、依然として残る140億円について、これからも歳入歳出をしっかりと見直していきながら、毎年度の収支均衡を目指していきます。
それぞれ目標値を設定し、最終的には、実質公債費比率、将来負担比率についても、25%などに達しないように、しっかりと抑え込みをしていきたいと考えています。
7ページが先ほどの予算でも言いました、スクラップした後のビルドの部分です。人、モノ、投資をしっかりと呼び込んでいくための、3つの視点に沿って施策を展開していきます。
8ページが、ビルドの関係ですが、今回イノベーション型行財政改革のパイロット版ということで、先行実施しました。シーリングや様々な事務事業の見直しを行いつつ、一方で行財政改革の見直し効果額の55億円と、新県政の推進枠の55億円の合計110億円を、新たにビルドとして活用していきます。
9ページが、投資水準の見直しで、これまでの流れを続けるよりも、持続可能な投資をこれから兵庫の未来のために続けていくことが大事なため、投資的事業も一定の枠内で、実質的な県負担額を管理していきます。そのようなコントロールをしていく体制を作ります。もちろん災害復旧事業については、しっかりとその都度やっていきます。また補正予算なども、後年度の事業の前倒しも行いながら、持続可能な投資水準に見直していきます。
10ページが、様々なプロジェクトということで、県庁舎の再整備も一旦見直しし、これからのあり方を考えていきます。伊丹の庁舎についても、統合そのものを一旦凍結して、今後議論を行っていきます。
11ページが、民間活力の促進です。様々な行政だけではなく、PFIなどを公園の運営管理などに導入していきます。
12ページが、ボトムアップ型県政ということで、5部制から12部制に変えていきます。部局長のマネジメントをしっかりと、これからも行うことが大事なため、それを評価して、次長、総務課長を配置します。
13ページの人材育成や公社の改革については、来年度行います。
最後に、不断の取組ということで、事業レビューを実施します。これは条例改正をこれから予定していますが、外部の有識者の評価を得ながら、兵庫県の様々な事業について、PDCAサイクルやビルドを重視した事業の改善をしっかりと行っていきたいと思っています。
今までの事業を、継続することから、時代の変化や社会の情勢に沿って、事業のあり方を少しずつイノベーションしていくことが、大事になります。そして、これから県政改革方針の見直しを行いますが、その際には、県議会それから市や町、そして関係団体の理解、そしてご協力が大事になるため、しっかりと丁寧な説明、そして幅広い意見を取り入れながら、改革を進めていきたいと思っています。
これについては、2月議会に提出して、条例改正や行財政運営方針の見直しについても議論してもらうことになります。
以上になりますが、この県政改革方針の最終案をまとめました。そして、当初予算案もまとめたことで、県政の第一歩、新たな令和4年度に向けて、予算編成、そして県政改革方針についても最終案をとりまとめ、これを基本に、県政を進めていきたいと考えています。
私からは、以上です。
記者:
当初予算について。冒頭にもありましたが、知事は初めての当初予算ということで、手応えであったり、強いこだわりを込めた部分を教えてください。
知事:
今回、初めての当初予算編成でした。冒頭に言ったとおり、躍動する県政に向けて第一歩という形になりました。しっかりと部局長マネジメントの中で、年末年始で、部局長とは、個別に協議は、ずっとしていました。彼らが考える大事な施策、それで私が考える方向性を協議しながら、議論を丁寧にしてきた結果、今回の予算編成となりました。
私としては、非常に充実した予算編成になりました。特に、21ページの「躍動する兵庫」へ向けて3つの視点が大事だと思っています。
スタートアップや、中小企業、地場産業、農林水産業といった様々な成長の種をまいていくことと、兵庫五国、さまざまな発信地域が兵庫にはありますので、そういった地域が元気になっていくように。それから大阪湾ベイエリア活性化関係。ベースとしては、安全安心な県民の皆さんの生活を支えることが大事です。特にヤングケアラーであったりや、発達障害児の保育所の受け入れなどをしっかりとしていくことができたと考えています。
記者:
年末年始にかけて部局長といろいろと議論したということですが、議論の内容で一番多かったのはどのような内容でしたか。
知事:
それぞれの部局長と考える中で、私が公約や、あとは、知事に就任してから6カ月間、SDGsや、スタートアップなどのいろいろな視点を掲げました。そういった所を、取り込んでもらいながら、部としてしたいことなどの、提案もありました。そこの議論を交わしながら、作り上げていきました。
そういった意味で、私が、これまで掲げてきた内容の意をくんでもらいながら、部局としても、知事査定の時間が減ったため、その分、部局の中で若手の人々と議論をする時間がかなりあったと言ってもらっています。
私が考える方向性、視点を取り入れながら、部の方も議論を重ねて納得のある、予算編成ができました。新しい知事の下、新しい予算編成の仕方を今回しました。全ての人が、理解していくという意味では、少し戸惑いもあったと思います。そういった中で、いろいろな部局長が、それぞれの中で、しっかりと議論しながら、予算編成の作業をしてもらって、かつ私との議論も落ち着いた形でしながら取りまとめていきました。
記者:
財政が厳しいことについて。そういった限界がある中で、予算を組む上で苦労したこと、工夫した点があれば教えてください。
知事:
今回の行革の中で、300億円の効果額を出しました。それはスクラップ・アンド・ビルドの中のビルドのところで、一定再配分して、そこで新たな事業をしっかりと生み出していきました。
それからやはり、さまざまな事業がある中で、一般財源をどういうように活用していくか、あとは国からの交付金もどうミックスさせながら、県がすべき施策とバランスを取りながらしていくことに苦労しました。
記者:
ビルドを余剰の財源からつくっていくことを、重視されたことについて、県議会からビルドが見えないというような意見も行財政改革の中でありました。どういったビルドが示せたかという、何か具体例はありますか。
知事:
当初予算編成の全体自体が、ビルドを示していると思います。当初予算編成の大きな方向性を今日、示しましたが、こういう県政方針を、県政を目指していくのだという、1つの方向性は見えると思っています。
あと、個別にも、様々なスクラップ・アンド・ビルドということで、地域再生大作戦に代わる集落の再生モデルや、あとは兵庫のわくわく館、東京の物産館についても、いったんは見直すが、さらなる首都圏のプロモーションをしてもらうなど。いろいろなスクラップした上でビルドを構築していくということを個別にも、出していきたい。県議会の皆さんにも、丁寧に説明していきます。
記者:
万博を見据えた、観光施策であったりや、産業育成の施策が今回、一つの柱として並んでいるかと思うのですが、いずれも万博なので、3年後のゴールを見据えた施策になっていくかと思うのですが、こういった事業運営をどういうように育んでいきたいか。
目指すべき事業のゴールへの道筋ということで、3年後どういうようになっていたらよいかという点について、万博に関してですが、教えてください。
知事:
45ページに、これから2025年万博に向けて、残り3年あまりとなっています。ここをしっかりと、来年度から取り組んでいくことが大事だと思います。令和4年が最初の年になる。大事なのはここに書いているように、県内各地に兵庫県も万博に対して積極的に参画していこうという機運を作っていくということが大切です。
これは、経済界の人々と市や町の方でもフィールドパビリオンということで、様々な地場産業や農林水産業。そういった取組をこれから発信していくに際して、具体的な行動計画を作っていきたいと思っています。そういった意味で、45ページにあるように、アクションプランを来年度中に作って、どういった形で2025年に発信していくかということを、県内全体で、していきたいと考えています。
大事なのは、やはり県だけではなくて、様々な経済界、市や町も含めて、すでに意識的にしてもらっている所も多いですが、そことどういうように、一緒になってしていけるかという体制を作っていくことです。そこは、まずこの予算とともに、万博に向けては組織の新たなあり方も。これはまた組織の発表のときに、説明しますが検討します。予算と組織で、推進力を作っていきたいと思います。
記者:
万博に関しては、兵庫大阪連携会議でもいろいろと議論を進めるということなのですが。今回、当初予算の中で、財源は別々だと思うのですが、一緒に大阪とも連携していきたいというような事業というのは具体的にあるのですか。
知事:
水上交通のクルージングMICEなど、そういった大阪湾を巡るベイエリアをクルージングのところなど。そういったものはこれから連携していくという形になろうかと考えています。
予算立てはそれぞれですが、実証実験の成果というものは共有したりということになる、と思っています。
あとは、スタートアップや、様々な人・モノ・投資を海外から呼び込んでいくという海外プロモーションについて連携していくと思います。具体的にはこれから連携会議した中で、いろいろな施策ベースで、連携内容を確認していくということです。
記者:
行財政改革について。収支不足額は440億円から140億円に300億円、減らすことができたという説明でしたが、実質公債費比率に関してはあまり前と差がなくて、許可団体になるという見通しは、依然として変わらないままですが、許可団体になった場合に、県がどういう財政上の縛りがかけられてしまうのかという、どういう懸念があるのかということを教えてください。
あと、以前にも説明してもらいましたが、基金の集約を解消することが取り外したことが一因で実質公債費比率が、こういう見通しになっていると思うのですが、このタイミングで、やはり解消しなければならなかった理由と、許可団体になったとしても、その決断を下さなければならなかったということについて、もう一度説明をお願いします。
知事:
今回、440億円の収支不足から、何とかいろいろな経費なども含めて事業見直しをする中で、300億円改善して140億円までの収支不足を圧縮することができました。
一方で指摘のとおり実質公債費比率については、1年、18%が後ろ倒しになったということで若干の改善はしていますが、年18%を超えるということは避けられないと。18%を超えると、協議団体から許可団体になると、借金をする度に、協議団体の場合は、県独自で一定の枠内ですることができるのですが、許可団体になった場合には、総務省に対して、申請をして許可をもらうという手続きが必要になりますので、一定のプロセスが増えるという形になります。
あとは投資家に対して、許可団体より協議団体の方が、見え方としては、健全性があります。そういった意味で、やはり協議団体であり続けるということがいいかと。大事なのは、25%を超えるということだけは避けなければならない。25%超えると、本当に自治体そのものに対する制限が出てきます。18%は一定のプロセスが、許可が必要だということになりますが、25%を何とか超えないようにするということが大事です。
5ページの表だと、22.4%のところが、これ単年度ですが、このあたりがピークになっています。この22.4%を何とか25%にいかないようにしていきたい。ここはなるべく回避したい。油断するとぱっと上がるので。
基金の集約化の解消ですが、県債管理基金の残高を一定保つために、当時としては、様々な判断でやむを得ないところで実施したこととは一定理解はしつつ、やはりこれは他の団体では、あまりしていない手法です。ここは県民の皆さんに対して、財政状況の見える化をしっかりとしていくことが、まずは第一歩として大事だと考えています。
3ページのとおり、県債管理基金の預託金や、外部基金の集約を解消したい。あとは、企業庁との貸借関係も解消していきます。ありのままの財政状況を一度、県民の皆さんに示して、ここから一歩スタートしていきたいという思いで今回集約を解消することにしました。
記者:
この18%を超えるということは現実的に起こり得ることだと思うのですが、許可団体になるというのは、例えば、これから起債のところに、制限がかけられて認められない、総務省に認めてもらえないということも起こり得るということなのですか。
知事:
ないと思います。借金をして、起債をしてするということが認められれば、そこは、ストップがかかるということはないと思います。一応、許可の申請をして許可をもらうというプロセスがふえてしまう。そこは、あるよりはない方がよいですが。何かこれは駄目など、過度に制限されることでは、18%の段階では無いです。
記者:
当初予算の内容について。新型コロナ対策でもろもろの事業がありますが、大きな今後の方向性というか、社会経済活動との両立を図っていくということになると思うのですが。そういった大きな方向性についてお願いします。
あわせて少し細かい話になるのですが、兵庫県感染情報共有システムというのは、以前とどういうように変わっていくのか、新しく変わっていくのかということをお願いします。
知事:
1点目が、予算編成の大きな方向性ですが、資料の1ページの冒頭のとおり、税収はいったんは伸びているのですが、その分、地方交付税等は減っていて、また歳入は一定のなかで、歳出のところでどう工夫していくかというところを今回、考えました。
コロナ対策を国の交付金を活用していく一方で、コロナ後を見据えた様々な成長政策に基づく施策を先ほど言いました21ページの3つの視点に沿って、様々な、取組をしていきます。コロナ対策をしっかりとしつつ、さらなる「成長する兵庫」、「躍動する兵庫」に向けての第一歩を踏み出すための3つの視点に沿って、スタートアップや万博に向けた取組、それから安全安心な地域作りをしていきます。
財政状況は、まだ予断を許さないのですが、そういった意味で行財政改革を今回して、それも第一歩を踏み出したかと思っています。行財政改革をしっかりとしながら、持続可能な財政運営をしつつ、「躍動する兵庫」に向けた第一歩を踏み出していくというフェーズにあるかと考えています。
それから、兵庫県感染情報共有システムについては18ページですが、今、HER-SYSで保健所ごとに発生届を入力しているのですが、この作業自体が、大変だということもあるので、それをどういうように合理化できるかというのがありますが、それぞれのデータ入力したものを今までは、それを政令市、中核市の保健所の分は集約できていなかった。それを集約できるようにして、ある意味ビックデータとして、患者さんの特性であったりや、年齢、重症化の有無や、回復するまでにどれぐらいかかったなど、ワクチンの接種状況、そういったビックデータを収集できるようにしようというのが、趣旨です。すでにこれは、今年度、事業着手していますが、さらに本格化するために、令和4年度、計上したと言うことです。
記者:
まず、今回の予算資料で変わったところとして、成果指標を取り入れたところだと思うのですが。見直し基準とありますが、途中で達成しなかった場合、見直しのような項目が随所に見られます。具体的に見直しというのはどういうように見直すのでしょうか。
知事:
事業レビューというものをこれから導入していきます。具体的にはおそらく、新しい事業をする時は、アンケート方式、3年してみてその成果がどうかということを検討することになろうかというところで。
そこで成果指標などそういったものを示しながら、それがどこまで達成できたのか。それが達成できてないのであれば、この事業をどうするかというのは判断して、もう少しここを工夫しながら、いわゆるイノベーションしながら続けようなど、違う形にしようなどというものを、議論していく形です。
事業レビューの中で、おそらく3年単位で、議論していく感じです。
記者:
事業の廃止も含めての見直しということでいいですか。
知事:
単なる廃止にということではなく、どういうようにイノベーションしていくかというところに重きを置きたいと思っています。
スクラップ・アンド・ビルドもそうですが、事業見直しをして新たな事業を構築していくということに重きを置いていきます。
記者:
収支不足額がある10年度までに300億円改善で140億円という試算も出ました。今の財政もかなり努力した結果だと思いますが、今後それを改善していく手法などがあるのかというところと、仮に職員の給与カットに今後、踏み込んでいくことはありますか。
知事:
職員の給与カットに踏み込むということはないと。やはり人事委員会勧告などで、国の方針などを踏まえながら、そういった勧告が出れば、いろいろな今回のボーナスの見直しなどそういうのはありますが。県単独で何かカットしていくということは、現時点では考えてはいません。
140億円というのは、これから10年間で社会保障関係費が伸びたり、いろいろな要素でなかなかここをゼロにするということが難しかった面もありますので。ここはこれからの、景気の回復による税収の増であったりや、1つ1つの事業もこれからレビューで見通していくので、上手くトータルで改善しながら、140億円のさらなる改善をしていきたいと思います。
記者:
18ページの兵庫感染情報共有化システムについて。すでに実施しているという話でしたが、鳥取県と確か知事会議したときに、県北部の発生届の共有の話もあったかと思います。そういうものも、今、実施しているのかどうか。いつからそのシステム本格導入を目指しているのですか。
知事:
まだ、実施はしていません。コロナのオミクロン株の影響で保健所での準備が、なかなかそっちに手が回らない状況ですので、実施はまだできていません。システムの構築に向けた、準備を今しているという段階です。
それが、来年度、第6波が落ち着いたあとに、構築していく流れかと思っています。
その上で、鳥取県との連携は、この間、平井知事との意見交換の中で、まずは本県としてのベースを固めつつ必要に応じて、鳥取県側とも協議しながら、どういった形で連携できるのか探していきたいです。
記者:
あと、公約に掲げている財調基金について。新しい財政フレームを示してもらって、100億までのロードマップというのは、知事自身の中に固まってきたのかというのと、漠然と考えているだけではなく、何年後には達成したいというような具体的な目標などもありますか。
知事:
14ページにありますとおり、当初予算編成の段階で基金の積み立てを計上するというケースも無くはないのですが。財政状況が厳しいという中で、集約の解消や、今回、県債管理基金を見直しました。
これからも県債管理基金の積立不足がありますので、やはりそちらを優先的にしていかざるをえないかというのが、今の状況です。結果として、決算で剰余が出た場合には、財政基金の積み立てをしていくという形にならざるをえないかと。
決算剰余というのは、毎年度どれぐらい出るかというのは、都度、都度になりますから、そこを、この4年間で例えば100億円積み立てるというのは、今の段階から宣言するというのは、正直難しいです。一歩一歩、行財政の見直しをしながら、あとは税収の状況も見ながら、結果として財政基金の積み立てをしていくことになります。
記者:
今回、齋藤知事にとって初めての当初予算編成ということで、主要施策についての説明をされましたが。その中でも、知事の思い入れの強い事業を、3つか4つ程度挙げてください。特に、その施策に込めた思いや、その施策を通じて実現したいこと、兵庫の将来像も含めて、知事の言葉でお願いします。
あわせて、20年振りの知事交代で、前県政から大きく舵を切った点についても、教えてください。
知事:
21ページにあるとおり、3つの視点で今回、いろいろな重点施策を掲げています。それぞれに思い入れがありますが、「新しい成長の種をまく」ということでは、やはり、スタートアップを大事にしつつ、中小企業など、地場産業、農林水産業という、これまでもこれからも地域経済の下支えをしてもらう中小企業、農林水産業を、しっかりと新しい時代に合わせて、DXや事業承継などについて、腰を据えて応援していきたい。中小企業等の革新や、地場産業・農林水産業の新展開などに思い入れがあります。
それから、その中には、24ページの地場産業や、31ページの農林水産業も、地域の中小企業にSDGsの取組をしっかりとやってもらうことが、ブランド構築などで、大事な視点なので、かなりこだわっています。
「地域の価値を高める」ということでは、やはり、ひょうごフィールドパビリオンで、2025年の大阪・関西万博に向けて、大きな人の流れを呼び込んでいく。県の物産を、県産品を買ってもらう流れを作っていきたい。このひょうごフィールドパビリオンの展開というのは、ずっと言ってきています。
それから、「安全安心の網を広げる」では、災害に強い県土づくりも大事ですし、一方で、困っている人を支援していきたいということで、発達障害を持つ子が保育園に入れるようにしていく。これを1人目から県単で実施することは、選挙戦中からずっと考えていたものです。その第一歩を踏み出したところが、主なところです。
記者:
今、挙がりましたが、SDGsが、今回の新年度予算全体のベースにあるかと思います。先ほど、産業分野でのSDGsには触れてもらいましたが、県では全庁的にSDGsの取組を推進する、「SDGs未来都市」の認定を目指す(54ページ)、とのことです。
改めて、SDGsを全庁、全県で取り組むことについて、その目指すところや心について教えてください。
知事:
SDGsがやはりこれから、持続可能な社会づくり、2030年に向けての、1つの国際的なキーワードになります。そういった意味で、兵庫県が、全体として、SDGsを推進していくことが大事です。
SDGsの内容としては、環境問題であったり、持続可能な産業のあり方、女性の活躍など、これまでの県政でもずっとやってきたものではありますが、大事なことは、それを見える化していくことで、SDGsというものを明示することです。17のゴールを各産業などで、取組のところで明示していくことが大事です。
これから、例えば、産業であれば、サプライチェーンに入っていく際に、SDGsの取組がなければ、なかなか取引先との関係が難しくなってくる可能性もあります。それから、銀行からの融資などの際にも、SDGsの取組をしているかどうかが1つのキーとなってきます。
いわゆるSDGsと言うと、環境など、そういった団体が中心の取組かと思われがちですが、そうではなくて、他の地場産業や農林水産業の分野でも、早めに取り組んでいくことが大事です。
そういった意味で、54ページで、全庁的に推進していく本部体制を、これから作っていきたいと考えています。兵庫県がSDGsを推進していく「未来都市」であるということを、県全体としても発信できるようにしていきたいのです。
全庁的にやっていくというのは、地場産業、農林水産業には触れましたが、例えば、建設業分野など、あらゆる分野でSDGsに資する取組は、建築廃材の利活用や、働き方改革など、いろいろなものが出てくるのです。あらゆる業界、団体で、その視点を持ってやっていくことが大事です。そのために、推進体制を作っていきたい、と思っています。
記者:
もう1つの視点として、知事も選挙の時から言われていましたが、兵庫県は人口減少、人口流出や転出超過という課題を抱えていると。県の大きな課題だと思いますが、そこに対する対策が少し、今日の説明からは見えにくい部分もあります。
改めて、今回の新年度予算で、そのあたりにどのように取り組んでいくのか、説明をお願いします。
知事:
これはトータルでやっていかなければなりません。あらゆる施策をやりながら、予算以外も含めて、じっくりとやっていかなければならない課題で、見えにくいところかもしれませんが。
例えば、27ページでは、「おためし企業体験事業の実施」ということで、Uターンで戻ってきて、県内の企業に就職してもらうことを、新たに今回、この取組をしっかりとやっていきます。
先ほども言いましたが、大学生と意見交換をしていると、一度は東京などで、ある意味で挑戦をしたい、という話があります。それはそれで、否定するものではありません。しばらくは経験を積むなどした後で、ぜひ兵庫県に戻ってきてもらって、いろいろな取組に挑戦してもらえるような環境づくりを、我々はしていくべきです。
こうした「おためし企業体験」やスタートアップの応援などをしながら、若い世代の方々が戻って来やすい環境づくりをしていきたい、と思っています。
記者:
SDGsに、産業分野で取り組む意義は伝わってきたのですが、兵庫県として、県庁組織として取り組む中で、まさに人口減少や、転出超過という課題解決の意味もあるのでは、と感じましたが、いかがですか。例えば、県のブランド化を図るなどの部分で、一定の層を呼び込みたいなど。
知事:
54ページ以降のSDGsの取組は、記載のとおり、17項目に沿っていろいろな分野、いろいろな事業で、進めます。しっかりと取り組んでいくことで、兵庫県が、環境分野もそうですし、人に優しいであったり、産業面でも、持続可能な取組をしているということを、トータルで発信していくことができれば。
かねてから、ひょうご(HYOGO)というブランドそのものを高めていきたい、と思っていますので、H・Y・O・G・Oというものを国内外に発信して、ひょうご(HYOGO)のブランド価値を高めていくことを、中長期的にはやっていきたいのです。
企業の方々と話をしていると、いろいろな資材高騰などがあるのだけれども、価格転嫁がなかなかできないことが課題としてあります。そこはやはり、ひょうご(HYOGO)ブランドというものをしっかりと高めていく、特に、海外に対して発信していくことで、兵庫県で作られたものであれば、これぐらいの価値があるから、その価格で当然だと。兵庫県に遊びに行くのであれば、ものを食べるにしても、何かをするにしても、これぐらい払うのは当然だ、という納得感を得てもらえるような、ブランド価値の向上につなげていきたいのです。
それをすることによって、もちろん企業の収益も高まりますが、賃金や給与へも転嫁していくことができます。それをすれば、兵庫県で働きたいという人も増えるので。そういったことにつなげるためにも、SDGsの取組が1つの大事な核になってきます。
ひょうご(HYOGO)ブランドを、H・Y・O・G・Oを、海外へもっと発信していきたい。そして、ひょうご(HYOGO)のブランド価値を高めていくことが、私の究極の目標なのです。これをすれば、いろいろな人・モノ・投資が集まってきますし、人口減少の問題についても解決の道筋ができるのではないか。
ただし、このブランド化というものは、いわゆる無形の価値なので、一石一鳥には、何とか登録を取ったから、とできるものではありません。あらゆる分野で、ひょうご(HYOGO)のブランド価値を高めていく、無形の価値を作っていく取組を、腰を据えてやっていきます。
記者:
知事は常々、「躍動する兵庫」を目指す、と言われていて、今回の当初予算案も「躍動する兵庫へ」とされています。改めて、知事が考える「躍動する兵庫」とは、どのような状態を指すのかを伺います。
また、どのあたりが、「第一歩を踏み出す予算」、踏み出せている、と考えていますか。
知事:
「躍動する兵庫」を目指すということで、先ほど言ったとおり、やはり、人・モノ・投資が、兵庫に集まってくるような、そんな兵庫県を作っていきたい、という思いがあります。
そのためには、先ほどの3つの視点、21ページがポイントだと思っています。「新しい成長の種をまいていく」、そして、「地域の、五国の価値を高めていく」という取組をして、ベースとなるように、県民の皆さんが「安全安心に暮らしてもらえる、そんな網を作っていく」と。それをSDGsという切り口でもって支えていく、ということをやっていきたいのです。
これによって、大きな人・モノ・投資を、結果として呼び込んでいけるような、ひょうご(HYOGO)のブランドを高めていくことを、安全安心も含めて、兵庫県の無形の価値を高めていく、ということをやっていきたい、と考えています。
3つの視点のところに記載している、スタートアップ、中小企業の支援や、フィールドパビリオン、それから、安全安心ということで、ヤングケアラーなど、困っている人を支える予算を立ててやっていきます。
記者:
「県政改革方針」は、行革については、「躍動する兵庫」に向かっては、削らざるを得なかった部分ということですか。
知事:
「躍動する兵庫」を作っていくためにも、当初予算の3ページにも記載のとおり、持続可能な行財政基盤を確立していくことが大事です。
どんどんと事業を行って、施設など箱物を作って、投資的事業をやっていくということは、短期的には、誰もが作ることができればよい、と思うのですが。それが借金という形で積み重なっていくと、我々の子供たちが大きくなった時に、何もできないような状況になってしまいます。
具体的には、実質公債費比率が25%を超えてしまう状況なのですが、そういったことにならないように、いろいろな投資、それから事業も含めて、持続可能なバランスの中でやっていけるような仕組を、まずはこの新県政の第一歩として、作ることが大事だと考えています。
その信念に沿って、今回の「県政改革方針」を、持続可能な財政運営の第一歩ということで、作りました。
記者:
今回、知事就任後の初めての予算ということで、知事選の際の公約がかなり盛り込まれています。一方で、コロナ禍にあって、返済不要の奨学金を設けたい、と選挙戦の公約ではありましたが、今回、見送りとなっています。これについて、実現できなかった理由を伺います。
また、今回の行革の中で、財政の見通しを、今までは「成長実現ケース」の数値でやっていたものを、「ベースラインケース」にされました。このことが歳入の見込みにも大きく影響を与えているかと思います。かねてより筋肉質の財政と言われてきましたが、改めて、「ベースラインケース」にされた知事の思いや、信念などを教えてください。
知事:
ご指摘のとおり、様々な公約で掲げた事業の実現に向けての予算です。
返済不要の奨学金については、思いとしてはあるのですか、なかなか財源的にもかなり要するものなので。既存の様々な奨学金等の制度があるので、そこをどのように改善していけるのか、今後の議論かと思っています。令和4年度では、できないということです。
それから、3ページの経済成長率を「ベースラインケース」に変更したことについて。歳入の見通しについては、誰でもバラ色の流れを見据えて、どんどんと税収が増えると描く方が、収支見通しとしてはやりやすいのです。しかし、現実的には、コロナ禍があり、経済が厳しくなっています。
高い成長をこれから目指さなければならないのですが、そこは現実として、「ベースラインケース」で見ていくことは、兵庫県のみならず他の県でもそのようにしていますから、財政の状況をしっかりと見える化していくことの方が大事です。
結果として、140億円の収支不足額が残りましたが。信念という言葉ではありませんが、やはり県民の皆さんに対して、しっかりと財政を見える化していく面でも、「ベースラインケース」に修正することが正しい、と考えています。
記者:
当初予算の45ページの「ひょうごフィールドパビリオン」について。知事から、フィードパビリオンについていろいろと発言があったと思います。
今の時代ですから、県が企画をして、職員が添乗員になってバスツアーでぞろぞろというイメージでは、ないと思うのですが。今ひとつ、フィールドパビリオンが、どういうものなのかという、具体像のイメージがつかないのですが、どういうものを知事としてはイメージしていますか。
知事:
できれば、今、記者さんが、言われたような委託的な感じで、バスや、ツアーでぞろぞろとしていくようなものではなくて、万博の後も、持続するような仕組づくりにしていきたいと思っています。これは、いろいろな仕方があると思うのですが。例えばで言うと、民間のツアー会社の人々に、自主的に商品を作ってもらって、兵庫の播州織のファクトリーツアーというものを作っていただいて、工場見学や、取組を体験したり、あとはメーカーの人々と商品開発に関する意見交換を行うというような、ファクトリーツアーなども、民間の事業者さんが主体になってもらいたいと思っています。
これをすることによって万博が終わった後もレガシーとして、残っていきます。そういったものをイメージしています。あとは今、国内外の人、特に外国人はバックパッカーがやはり多いですから、そういった人々が電車や車などで自由に行き来してもらって、いつでも現場を見て体験できるような仕掛けなど、イベントについて、これはいろいろなところでしています。
そういったところに、行きやすいような発信の仕方など。そういったものを作っていきたいと思っています。
それができれば、今後、MICEという形で、国内外で日本、関西で、いろいろな
国際会議など、これは、姫路でのサミットも一つですが、そういった形で、MICEを呼び込んでいきたいので、それを県内各地で、例えば姫路でMICEをしたあとに、たつのに行って、革製品の取組を見るなど、例えば、イタリアのフランスなどのワインの人々とのMICEを兵庫であれば、灘であったり、北播磨の山田錦の産地など、そういった所にミニツアーで、エクスカーションのような形で、フィールドパビリオンを体験する流れを作っていきたいです。そこは、民間のツアー会社の人々が、主体的に商品開発できるような、そういう取組をしていくというのが、私のイメージです。
記者:
資料の中に兵庫デスティネーションキャンペーンで施行するということが書いてあります。29ページのほうに令和4年度がプレキャンペーンで、令和5年度は本キャンペーンということで、行うようですが、デスティネーションキャンペーンは電車代などが安くなるなどするので、デスティネーションキャンペーンをしているところに旅行する人というのが、結構私の身の回りにもいます。
デスティネーションキャンペーンについて、知事として期待すること。あとその中で、このフィールドパビリオンの施行というのがありますが、そこでどういうような、ことを試せればいいかというのはどうですか。
知事:
デスティネーションキャンペーン今年から3年間始まりますが、ここがいわゆるフィールドパビリオンに向けてつながる切り口になるかと思っています。この間、提言に書いていたとおりDCの中で、これまでの切り口と違って、SDGsや兵庫県の歴史や文化、地場産業も含めた、農林水産業などの本物を体験してもらえる、仕掛けにしていきたいということがあります。これはまさにフィールドパビリオンです。
それがこの3年間、してもらう中で今年、来年、再来年して、素晴らしい流れが、兵庫県の中で入っていくかと考えています。
これをやることで、DC自体が、ここにも入れてますが、民間の、そこで、JRさん、それからJR以外も含めていろいろな形で、商品開発をしてもらって、それを県内各地につなげていくという、仕掛けに繋げていきたいです。
記者:
もしかすると、時期的にちょうどコロナ禍が明けたところというタイミングの可能性があり、その辺り、期待感はどんな感じですか。
知事:
兵庫県にとって非常に大きなチャンスです。コロナがちょうど、オミクロン株を何とか乗り越えた後に、県内割引など、そういうキャンペーンもできる早くしますが、そこで少し着火して、そのあとDCで3年間、誘客の仕組づくりをして、それを本格化する。それが、レガシーとして、万博後のMICEであったりや、そういったものに繋がって、インバウンドもその頃には戻ってきていますから。
そういった流れを繋げていくという、この5年間、兵庫の観光にとっての大きな試金石だと。そのために、令和4年度にこういったフィールドパビリオンであったりや、DC、それから新たな観光戦略、今回も予算の中で使います。そういったいろいろな芽出しをするのが、令和4年度、大事な年かと思っています。
お問い合わせ