ここから本文です。
ようこそ知事室へ
【発表項目】
知事:
1番目は「新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等」です。
本日の新規感染者数は345人です。
対前週比で35人減となっています。若干の増加傾向が続いており、全国的にも同様の傾向です。様々な要因があると思いますが、引き続き状況を注視していきたいと考えています。
県としては5類への移行に向けて、医療機関との調整など、前回の対策本部会議で決定した方針に沿って、対応しています。
社会経済活動もかなり元に戻ってきています。卒業式、入学式も通常どおり開催され、花見やイベントなどの日常が戻ってきたと思っています。
マスクの着用も個人の判断となり、いろいろな場面で、着けている人、着けていない人がいますが、そのような形で、これからも日常を取り戻していきたいと考えています。
2番目は「播磨臨海地域カーボンニュートラルポート(CNP)形成計画骨子(素案)の公表」です。基本コンセプトはファースト・ムーバー「播磨」for「瀬戸内・関西」です。国は2050年に向けて脱炭素社会、CO2を排出しない社会を作っていく方針を示しています。神戸港では先進的な取り組みを行っていくことになっています。
そのような中、播磨地域がファースト・ムーバーとなり、兵庫県はもとより、瀬戸内、関西に水素などの供給基地として貢献していく、サプライチェーンの拠点となることを目指していきたいと考えています。「播磨」から瀬戸内・関西へ、を基本コンセプトに脱炭素に向けた取り組みをしていきます。
後ほど説明しますが、播磨地域は、カーボンニュートラル形成に向けた非常に大きなポテンシャル、力がある地域です。脱炭素に切り換えていかなければならないという地域なので、先頭に立ち、関西、瀬戸内を目配せしながら取り組みを進めていきたいと考えています。
資料3ページのとおり、姫路、加古川、高砂を中心とする播磨地域は、発電、鉄鋼、化学など、エネルギーを多く消費するタイプの産業が集積しており、CO2をたくさん排出する状況となっています。
製造品の出荷額も6.7兆円で全国2位、姫路港にあるLNG発電は瀬戸内で1位となっており、多くのエネルギー消費型の産業が全国の中でも屈指の規模となっています。
そのような中で、播磨地域は、姫路港のLNG輸入量は1375万トンで全国5位となっており、エネルギー供給拠点としてのポテンシャルが非常に高いと思っています。
播磨地域を中心にすると、大阪湾全体と、岡山、香川、広島という瀬戸内の全体を目配せできます。ちょうど間にあるの播磨地域が、エネルギー供給拠点としてのポテンシャルをこれから生かしていくことが大事だと思っています。
兵庫県では、播磨臨海地域のカーボンニュートラルポート推進協議会を立ち上げ、官民連携で学識者にも入ってもらい進めてきました。企業では、関西電力(株)、川崎重工業(株)、(株)神戸製鋼所といった重厚長大型の産業をはじめ、様々な企業にも入ってもらい計画づくりをしてきました。
資料6ページのとおり、すでに播磨臨海地域は水素を含めた取り組みが非常に進んでいます。関西電力(株)は姫路を拠点に火力発電所のゼロカーボン化を表明しました。先日、高砂工場へ視察に行きましたが、(株)神戸製鋼所は水素の利活用に向けた実証実験も進んでいます。さらに、三菱重工業(株)など、水素やアンモニアに切り換えていくいろいろな取り組みが、面的にも広がっています。
本日、JR西日本が発表しますが、水素を使ったステーションを姫路貨物駅に設置するとのことです。製造業、鉄道など、いろいろな広がりの中でカーボンニュートラルの取り組みが進んでいます。
例えば、オーストラリアから水素を大量に輸入する。それを東側の神戸港を中心とする大阪湾に二次輸送で水素を送っていくサプライチェーンを構築。さらに瀬戸内海(岡山、香川の港)へ、水素に二次輸送するという流れをこれから作っていきたいと考えています。
CO2排出量が2013年時点で3875万トンでしたが、これを、2050年度までにはゼロにすることを目標とします。それに向けて、水素を大量に使って作っていくことが必要です。
2050年の時点でどれぐらい水素を使うのか試算されているのが資料8ページです。約571万トンの水素の需要があると見込んでおり、国内外から調達していくことになります。この571万トンは、今使われているLNGを含めて、いろいろな熱源がありますが、それを水素に換算し、どれぐらいの水素の需要があるかを算出したものです。神戸港の二次輸送も入っています。瀬戸内海の二次輸送は、これから連携しながら、どれぐらい需要があるかを積み上げていきます。また、大阪の他の港湾にも、姫路がサプライチェーンの供給拠点になるのであれば、どれぐらい需要があるかを積み上げていくのはこれからの検討です。
昨年の7月に私が知事に就任して以降、いろいろな取り組みを実施してきました。カーボンニュートラルポートの協議会を設置し、その直後に、関西電力(株)が姫路をエリアにサプライチェーンしていくという方針を発表しました。
4月には国でも水素関係閣僚会議が開催、5月末には水素基本戦略を改定していく流れがあります。兵庫県もその流れに乗って、今回カーボンニュートラル形成計画の骨子を作成しました。夏頃に、港湾法に基づくCNPポートの推進計画をとりまとめたいと思っています。そして、本日、JR西日本が鉄道アセット活用による水素の利活用の検討開始を発表します。
資料10ページは参考ですが、水素関連の企業立地を促進するため、設備補助率を10%に設定し、重点化していきたいと考えています。
このように、カーボンニュートラルポートの形成計画は、港だけじゃなく、兵庫県のものづくり産業にとっても本当に大事な、生き残りをかけた取り組みです。関西、西日本をリーディングできるような地域にしていきたいと考えています。
3番目は「初の『空家活用特区』の指定」です。
昨年4月に「空家活用特区条例」を施行しました。それに基づき地区指定をするものです。今回、それぞれの自治体と調整がつきましたので、「空家活用特区条例」に基づく初の指定となります。
地域は、赤穂市の坂越地区と西脇市の嶋地区です。
すでに3月31日付けで指定はしていますが、今回改めて発表します。
この特区は、条例に基づくもので、空き家の所有者が空き家情報を届け出て、それを利活用できるよう行政の補助金など、支援をしながら空き家の活用を促進します。
特区の指定を受けると、その地区内の空き家の所有者に対しては、市街化調整区域の大幅な規制緩和やリノベーションに係る費用なども補助します。利活用されてない空き家の掘り起こしも含めて、空き家の活用をさらに進めていきます。
1カ所目が赤穂市の坂越地区です。ここはまち並みがすごくきれいで、私も何度も訪れたことがある地域ですが、北前船の寄港地という歴史的なまち並みを活かした観光スポットになっています。パイ生地に生クリームを入れたスティック状のお菓子を食べるところなど、休日は非常に賑わっています。
この地域は、古民家を活用したカフェや物販店舗への用途変更をしたいニーズが高かかったのですが、市街化調整区域にあり、そのような取り組みをしようとしてもハードルが高く、時間がかかるとの声を聞いていました。今回、この地域を特区に指定することによって、市街化調整区域の規制緩和を行うとともに、手続もスピードアップします。
規制緩和を行うことで、空き家のリノベーションを進めていきたい。具体的には、空き家を新しい住居へに建て替え、カフェ、物販の店舗、さらには、ホテルなどへの用途変更がしやすくなります。
もう1カ所が西脇市の嶋地区です。こちらも古いまち並みがある地域で、播州織のデザイナーによる店舗などが増えている地域となっています。
同じように、空き家を活用した飲食、物販店舗、ホテルなどへの利活用をしていきたいという意向のあるところです。
この取り組みにより、市街化調整区域におけるハードルを緩和することが一つのポイントとなり、補助を拡充することにもなります。
この2地区を中心にトライアルで実施し、すごく使い勝手が良いとなれば他の地域にも広がっていきます。取り組みを進めている市街化調整区域の問題、空き家の利活用の問題の両方解決する一つの有効な手段になると考えています。
4番目は「『HYOGOアサ@プロジェクト~2023春の新展開~』の開催」です。
去年9月に朝の時間を大切にする、朝の活動を有意義にする、朝ご飯をしっかりと食べる、というプロジェクトを県民運動として進めていくために「HYOGOアサ@プロジェクト」を開始しました。
これは官民連携で進めていく兵庫県ならではの取り組みです。すでに18社の企業が参加しています。
資料の左上に記載のとおり、新たに(株)オイシス、ケンミン食品(株)、(株)ストークス、フジッコ(株)の4社が加わり、新たな取り組みをさらに広げていきます。
1点目が「はばタンチャレンジHYOGOアサ@キャンペーン~新生活応援編~」です。これは、大塚製薬とセブンイレブンとで連携し、朝のクイズを出すというものです。はばタン情報局というLINE公式アカウントに登録してもらい、キャンペーン期間中の朝の時間帯に3日間連続でクイズに正解すると、セブンイレブンでカロリーメイトがもらえるというものです。
非常に人気が高く、すでに4万5000人を超える人が、公式アカウントにLINE登録してくれました。内訳を見ると、県内の人よりも県外の人が多く、4万5000人のうち兵庫県内の人が8000人ぐらいです。ある意味、兵庫県の情報発信にも繋がっていくのではないかと大きく期待しています。
今回、第2弾として実施します。多くの人に取り組んでもらいたいと思っています。3日連続でクイズに正解したら、クーポンがもらえ、それをセブンイレブンに持っていくとカロリーメイトもらえますので、非常にお得な取り組みと思っています。
特に公費を出しているわけではなく、大塚製薬とセブンイレブンとの連携でやっていただいている、官民連携の象徴的な取り組みになっています。
それ以外にもいろいろな取り組みをやっていますが、新たにパートナーとなった(株)オイシスとは、県立農業高校と連携し、手軽に食べられる朝食向け商品、焼き菓子などを開発していきます。年内には発表したいと考えています。
それ以外にも、味の素(株)との連携、インスタグラムでアサ@公式アカウントの開設、朝への絵手紙コンクールでは、朝を楽しく過ごすためのメッセージをテーマにした募集など、いろいろな取り組みを官民連携で進めていきたいと考えています。
ぜひ、皆さんに参加してください。
私からは以上です。
記者:
CNP形成計画について、骨子の素案を公表とのことですが、具体的な形成計画は夏にまとまるのでしょうか。
知事:
資料の9ページのスケジュールをご覧ください。港湾法に基づく形成計画になるので、今年の夏に固めていきます。今回は骨子として途中経過を発表するものです。
今後、具体的な内容の詰めをしていきます。CO2排出量の見込みがどれぐらいの期間でどれぐらい削減できるのか。水素などの次世代エネルギーを受入れる拠点として、船の着岸や貯蔵をどうするのか。どこで使っていくのかなど、港湾の中やエリア全体で固めていく形になっていくと思っています。
記者:
CO2の排出量は資料に記載がありますが、現在2030年の達成見込みは検討中となっています。どれだけの数値を示すかが、ある意味、県としての姿勢やメッセージだと感じています。
知事としては、2013年の3875万トンをどれぐらいの規模感で削減することが望ましいと考えていますか。
知事:
これからの検討になりますが、兵庫県全体でいうと48%のCO2を削減していくという大きな目標があります。目標には、家庭や産業部門などいろいろな部門があります。48%の達成のための産業部門はどれぐらい必要なのか。その中で姫路エリアがどれぐらいのパーセンテージを達成できるのか、積み上げをしっかりとしていく必要があります。イメージとしては、48%を軸に置いて、検討して決めていくものと考えています。
記者:
今回は、水素を中心にしていますが、メタンやアンモニアも次世代エネルギーとしての活用が考えられると思います。播磨地域では、基本的に水素を次世代エネルギー等に据える考えでしょうか。
知事:
大きな中心は水素だと思います。一方で、大阪ガス(株)は、メタネーションを使った取り組みも進めていくということなので、大きなメインターゲットは水素としつつも、メタネーション、アンモニアをどう組み合わせていくかが大事だと思っています。
EVと水素、メタネーションのすみ分けをどうするかはこれからの大きな課題だと思います。小さな自動車は、水素よりもEVの方がより熱量としては効率的という議論があります。一方で、製鉄や発電など大量に熱量を使う場合には、EVや電力よりも水素やメタネーションの方が良いという大きな方向性です。
それをいかに積み上げていくか、それからメタネーションは大阪ガス(株)が取り組んでいますが、既存の配管施設を活用して送ることができるメリットがあります。家庭向けの脱炭素化は、もしかしたらメタネーションが短期的には合理的なのではないかということですので、メインは水素だと思いますが、いろいろな組み合わせを考えていきます。
記者:
次世代エネルギーは様々あって中心が水素になるとのことですが、次世代エネルギーの位置付け、各自治体エネルギーの位置付けや役割分担も夏頃の推進計画の中で具体的に決めるのですか。
知事:
計画の中で、カーボンニュートラルはCO2をいかに削減していくかがメインターゲットです。その手段として水素がいいのか、メタン、アンモニア、EV、太陽光発電、いろいろな組み合わせをこれから夏に向けて固めていく形になります。
記者:
空家活用特区の件ですが、指定した2つの地区でトライアルを重ねて、今後広げられるとの説明でした。どのような部分を県として注視していくのかお聞かせください。
知事:
これから一歩を踏み出し、必要であれば制度の改善をしていきます。ポイントは、空き家所有者に届け出をしてもらうことが義務化されることです。
規制緩和と補助が非常に大きなポイントです。改修やリノベーションするときの補助金を増額し、それによって改修するインセンティブを作っていきます。
もう一点が規制緩和で、特に市街化調整区域の問題です。県内には、市街化調整区域になっている地域がたくさんあります。市街化調整区域の指定は、昭和46年頃で、その時からは基本的にそこには住居などを建ててはいけない形になっています。市街化調整区域に指定される前からあった住居は引き続き建て替えても良いという形でした。ただし、除却すると新しく建てることは駄目ということになります。今回は、そこを緩和して新たに許可を受ければ、除却後の跡地でも新しい建物を建てることができることになります。
他にも、農業をやっている方でないと空き家を使えない、リノベーションは駄目という規制でしたが、この特区の中の方は誰でも許可を得れば、空き家に居住・使用が可能になります。
手続き面も緩和し、市街化調整区域にある空き家を用途変更して、ホテルや店舗にする場合には審査会が必要でしたが、特区内であれば審査会が不要になることで、市街化調整区域にある空き家の新たな使い方が土地の利用も含めて迅速になります。民間の投資に繋がっていくことを大きく期待しています。
記者:
CNP形成計画で記載されている温室効果ガス排出量3875万トンを2050年に実質ゼロにするといっても、まだまだ開きがあると見える数値です。実現可能性や、それ以外に進めなければならない取り組みなど、今後やっていかなければならないところお聞かせください。
知事:
今の排出量が3875万トン、これを2050年までにはゼロにしていくことで、完全にCO2をゼロにすることは非常にハードルが高い分野だと思います。ただ一方でそれをやっていくことが必要です。
これは二点あります。一点目が地球温暖化のために、少しでもCO2排出を削減していくことが人類の持続可能なあり方としても必要です。いろいろな分野、地域がオールジャパン・オール世界でやっていく取り組みが重要です。
もう一点が、企業や産業の競争力を維持強化していくために、この脱炭素の取り組みをしていくことが生き残りをかけた取り組みになっています。特に製鉄や電力で、いかに脱炭素、クリーンなエネルギーにしていくかが重要です。いろいろなマーケットやサプライチェーンの中で、それをしないと逆に輸入できない、国によっては輸入規制がかかる、企業によっては製品を使いたくない、となってきます。
特に兵庫の場合は、BtoBの素材産業が輸出面でも非常に強い分野です。海外マーケットを見据えた上でも、こうした取り組みを率先してやっていかなければ、ものづくり兵庫としての生き残りが図れません。危機感を持ってスピーディーに取り組む必要があると思っています。
記者:
CNP形成計画で記載されている水素等の供給量が571万トンと、温室効果ガス排出量3875万トンの関係を教えてください。
担当課:
3875万トンは、2013年時点のCO2排出量です。571万トンは、2021年の排出に使用しているエネルギー量を全部水素に変換するとした場合の水素需要量です。3875万トンはCO2の排出量で、水素需要量とは違います。
知事
全エネルギー量が水素に転換すると年間で571万トンが必要になります。全エネルギー量を571万トンの水素に置き換えることができれば、CO2排出量をゼロにすることが達成できるという考えです。
2021年の使用エネルギーは石炭とか石油とかLNGなのでCO2排出量が3800万トンになっているが、水素に切り換えていけば、ゼロになる計算です。
記者:
分かりました。
知事:
今の化石燃料由来の熱源を使うと播磨臨海地域では、CO2が3800万トン出ます。それをゼロにしていくためには、この熱源をすべて化石燃料ではなくてカーボンニュートラルな水素、メタンなどに切り換えていきましょうという取り組みです。そうするとゼロになる計算になります。
記者:
先ほど指摘のあった兵庫県の6割が産業部門の排出だと思いますが、家庭部門も含まれると思います。
知事としては水素社会の機運を高める取り組みを続けられてきましたが、今後家庭部分もやっていく必要があると思いますが、そのあたりの取り組みをお聞かせください。
知事:
家庭部門は、複合的な取り組みが必要になってきます。まず一点が電力です。再生可能エネルギーを中心に電力にどう変えていけるかも一つの中長期的な課題です。都市ガスは、大阪ガス(株)がメタネーションで取り組んでいきます。最終的には水素などに変わるかもしれませんが、それができれば家庭からの排出されるCO2が大幅に削減されることになります。
それから、車を使っている方は、EVに変えていくことによって家庭部門でのCO2の排出量は削減していけると思っています。そこは、今回のカーボンニュートラルポート計画ではなく、兵庫県全体の環境計画の中での検討になるので、そこでしっかり取り組んでいくことが大事だと思っています。
記者:
去年の9月から始まった朝活プロジェクトで、これまでの取り組みの総括と県立農業高校のメニューづくりなど今後に向けた期待などあれば教えてください。
知事:
HYOGOアサ@プロジェクトを去年の9月から始めました。これは斎藤県政になってから行政と民間企業が連携して、いろいろな取り組みをできるだけ公費を投入しないで実施するプロジェクトの象徴的なものの一つです。
その中で20社を超える多くの企業が参画し、大塚製薬とセブンイレブンにはLINEで朝のクイズに答え、カロリーメイトをもらうプロジェクトをしてもらい、4万5000人を超える人に県内外で登録してもらいました。本当は県内の登録が増えると思ったのですが、県外への情報発信などいろいろな効果が出ていると思います。
今後、農業高校の生徒との朝ご飯の共同開発などを通じて、さらにこの取り組みの輪を広げていきます。兵庫県にお住まいの人(特に子供たち、学生)が、朝を大事にし、朝ご飯をしっかり食べもらうことが大切です。朝ご飯を食べる習慣がない社会人の若い世代の人も少なからずいるのでそのような人に朝を大事にしてもらう。それから朝にランニングやスポーツなど、いろいろな朝活をやっていく習慣が根づく大きな一歩になることを期待しています。
記者:
空家活用特区では、市町の申し出を受けて県が指定しますが、今回この2地区のみからの申し出だったのですか。それとも幾つかあった中からこの2つを選んだということなのでしょうか。
知事:
申し出があったのが、2地区です。
記者:
それぞれの地区で空き家がどれくらいあるか教えてください。
知事:
赤穂市の坂越地区は、約26ヘクタールで空き家数が75戸、空き家率は約8%です。西脇市の嶋地区は、約40ヘクタールで空き家数は22戸、空き家率は約11%です。今回は2地域の指定ですが、市や町の意向を聞きながら調整を進めていきます。すでに意向を示しつつある市町もあり、今後10カ所程度の指定の申し出が見込まれています。各地域とも特に多自然地域を中心に、空き家は非常に課題になってきています。
一方で、兵庫県は、北播磨や淡路など多自然地域への移住が増えてきていますが、空き家が足りていません。流通市場で移住したい方が住む空き家がないということです。ニーズはあるが供給ができていない、ミスマッチが起きている状況です。これをいかに解決していくかが大事です。
空き家バンクへの登録の働きかけや市街化調整区域の規制緩和、さらには補助を行うことによって、特区の中で、円滑に空き家を供給できるシステムにしていくことが、ある意味、兵庫県の人口減少対策や地域を活性化する施策として大事なテーマだと思っています。
記者:
それぞれ空き家率が8%、11%ということですが、これをどれくらいまで下げていきたいかという目標値があれば教えてください。
知事:
限りなくゼロに近づけていきたいと思っています。空き家のままで放置されていることは、地域全体の活性化にとっては決して望ましくありません。様々な理由で、そのような状況になっていると思いますが、ニーズに応じてカフェや居住やホテルに活用するなど、できるだけ多く、新たな地域活性化の用途に変更していくことが大事だと思っています。
特にインバウンドの関係では、京都や大阪と比べるとホテルの数が少ない状況です。大きなホテルを増やすとともに、兵庫県の強みである古民家を再生したホテル(丹波篠山のNOTEさんや山崎、龍野のような古民家を活用した宿泊施設)を、それぞれの地域で進めていくことが地域の活性化とインバウンドの創出にも必ず繋がっていくと考えています。
記者:
空き家について、この両地域は知事も行かれたことはありますか。
知事:
坂越は行きました。嶋もおそらく行ったと思います。坂越はプライベートでも行きました。
記者:
両地域とも観光地としてのポテンシャルがあるような地域と考えて良いのでしょうか。
知事:
ポテンシャルはあります。坂越は牡蠣のシーズンも含めて、非常に賑わっています。赤穂には、有名なピザ屋がありとても賑わっています。その流れで坂越地域も空き家を活用したスイーツ店があり、土日は行列になっています。
そこを核として、日本酒の酒蔵を利用した施設や牡蠣を食べる施設など、まち並みを生かしながら賑わいを創出する店舗が増えている状況です。
そのような場所が市街化調整区域で、約5年の時間をかけてようやくできるようになりました。空き家の活用はハードルが高かったのですが、今回指定することによってポテンシャルのある地域が、より空き家の活用を行いやすくなります。西脇も播州織が盛んな地域で、観光のポテンシャルがあるのではないかと考えています。各市長さんも前向きだと思います。
記者:
実際に坂越を歩いて、空き家が多いところや残念、惜しいと思うところはありましたか。
知事:
表面的にはまち並みが綺麗になっており、空き家がそこまで目立ちませんが、使われていない空き家もいくつかありそうでした。それは表通りだけではなく、裏通りの路地も含め、より多くの空き家が使えるようになれば、もっと良くなるのではないかと思いました。
記者:
県議選について、今回、維新の会が躍進し、自民党が議席を減らしました。県議会でも自民党が分裂した2会派が統合する動きもあるようですが、知事としての受け止めを教えてください。
知事:
今回の県議選では、兵庫県だけではなく関西全体も同様です。維新の会が、大幅に議席を伸ばすという結果で躍進されました。
先日の取材の場でも言いましたが、東京一極集中の中で関西全体がより一層元気になって活性化して欲しい、そのためには、政治や行政に対して新しい風を吹かし、閉塞感を打破して欲しい、との有権者の思いが現れたのではないかと思っています。
一方で、自民党は、私も選挙の際に推薦を頂き、これまでも齋藤県政を支えて頂いた立場です。今回の選挙結果を受けて、二つに分かれている自民党の会派が一つになることが、有権者の県政を改革し、新しい時代に向けて前に進めて欲しいという思いに応えることになりますので、期待しています。
記者:
2年前に知事選を契機に分裂してから2年経ち、今回を契機に、一つになることが望ましいということでしょうか。
知事:
有権者は、コロナ後の新しい時代に向け、兵庫県が新しい方向に向かっていくことを望んでいるので、自民党は知事選の際に会派が分かれましたが、民意を踏まえて、もう一度一つになって、齋藤県政とともに一緒にやっていくことに大きく期待しています。
記者:
政府が、大阪府と市が申請したIR整備計画を認定する方針を固めました。賛否両論あるIRですが、知事の受け止めをお聞かせください。
知事:
IRについては、カジノのほかにもMICE施設、ショッピングモール等が含まれるものです。ギャンブルという側面以外で、観光、交流人口の拡大、雇用の促進など地域活性化のいろいろな起爆剤となるものが含まれています。
兵庫県に誘致をすることはないですが、隣県の大阪でIRが進められていくことは、選挙戦中からも言っていましたが賛成です。IRの中には観光の送客機能があります。IRに来られた多くの方々が兵庫県のいろいろな地域への旅行、県内での国際会議などにも派生していく可能性が大きいと考えています。兵庫県にとっても万博後の次の持続的な地域活性化の一つの取り組みとして、しっかりと活かしていくことが大事だと思っています。
認定に向けて、大きな一歩が踏み出されることは歓迎したいと思っています。もちろんギャンブル依存症対策の取り組みも指摘されています。今回の大阪の選挙でも、指摘がありましたが、ギャンブル依存症のセンターの立ち上げ、入場規制(6000円)などハードルは一定程度高いと思います。そのようなところもしっかりと対処していくので、プラス面と指摘されている課題の面をしっかりとバランスをとりながら、前に進めていくことが大事だと思います。
記者:
IRの開業に伴って、兵庫県では人を呼び寄せる施策を打っていく考えはありますか。
知事:
一番は観光です。併せて、MICEなどもいかに兵庫県で広げていけるかが課題です。一方で神戸空港の国際化なども進んでいきます。
今やっている観光戦略をしっかりとやっていくことが大事だと思います。
お問い合わせ