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【発表項目】
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1番目は「「ひょうごグリーン県民債」の発行~全国初となる県市町共同形式での個人向けグリーンボンド~」です。
県と県内の14市町の合計15団体で、共同発行方式の個人向けグリーンボンドを全国で初めて発行することになりました。
現在、兵庫県ではSDGsを推進しており、様々な機会を通じてSDGsの機運醸成を進めています。
ひょうごグリーン県民債は、県内の市町との連携のもと、グリーンボンドを県民の皆さんに購入してもらい、県政にも参画してもらうことを目指しています。
共同発行、個人向け、そしてグリーンボンド、この三つを併せ持った共同債で全国初になります。
発行額20億円、5年間の満期一括償還の債券を8月から募集開始します。県内在住の方などが購入できます。
参加エントリーしている14市町と連携しながらやっていきます。県単独では、令和4年からSDGs債の発行をしていますが、先日、2回目を実施し、即完売となりました。
信号機のLED化、治山ダム、コウノトリが育成できるような水資源の環境整備に充当していきます。
今回、ひょうごグリーン県民債の発行を初めて実施することになります。
もともと兵庫県は平成15年からのじぎく債というものを実施しており、県と県内市町が連携して共同発行方式で個人に債券を買ってもらうやり方のベースがありました。
平成28年に投資環境が低金利ということもあり、売れ行きが難しいことを踏まえて休止していましたが、最近は金利がやや上昇局面になっています。
そこでSDGsの切り口も含めて機関投資家のみならず個人投資家においても関心が高まってきています。
SDGsの発信を、県民や投資家の皆さんにも知ってもらうことが大事だと思っているので、ぜひ多くの県民の皆さんのご購入をお願いしたいと考えています。
2番目は「ワーケーション知事室 in 淡路の実施」です。
コロナが2類相当から5類になり、世の中の動きが平常化、活発化してきています。
ワーケーション知事室も、今年度から精力的に実施したいと考えています。夏の素晴らしいシーズンなので、先月の家島・坊勢に続いて、二カ月連続で実施します。
今回は淡路です。場所は南あわじ市の沼島、洲本市、そして淡路市で開催します。
1日目は7月28日でひょうごフィールドパビリオンのプレミア・プログラムにもなっている、「沼島おのころクルーズ」を体験します。
漁師の方が操縦する漁船に乗り、国生み神話の地である淡路島、沼島を体感したいと考えています。
午後にはオンライン協議、先日西宮で行った躍動カフェの第2回目を淡路で開催します。子育て中の人を中心に意見交換をしたいと考えています。
それから2日目の7月29日は、9月18日に4年ぶりに開催される淡路島ロングライド150(アワイチ)のコースを体験し、誘客のPRもしたいと思っています。それ以外にも島内レストラン等に野菜を出荷する農業者の施設の視察行います。
ワーケーション知事室を通じて淡路の魅力の発信、県民の皆さんとの意見交換などを通じて、実情を把握したいと考えています。
私からは以上です。
記者:
「ひょうごグリーン県民債」でお伺いします。
これまではグリーンボンドを法人投資家向けに発行していましたが、法人にとってはSDGsなどに配慮しているところが、会社にとってはアピールできるメリットもあり、低い利率で発行ができていたと思います。
改めて個人向けに発行する意義などの考えがありましたら、教えてください。
知事:
県民の皆さんの県政への参画やコミットは様々な方法があります。
投票や納税、様々なパブリックコメントなどを通じて県政に参画する方法がありますが、資金調達を通じるやり方も一つの方法だと思っています。
それが今回の「ひょうごグリーン県民債」です。先ほども言いましたが、本県では平成15年からのじぎく債を発行していました。
兵庫県には、参画と協働の理念があり、県民の皆さんが資金調達の手段を通じて県政に関与、参画する方法をこれまでもやってきた経緯があります。
一旦、のじぎく債は中止していましたが、SDGsは行政だけでなく、民間企業や県民の皆さんとともに参画する大事なテーマです。
SDGsの取り組みに特化した「ひょうごグリーン県民債」を個人向けに発行することにより、県民の皆さんが、特にSDGsの分野に関して、資金調達の面で県政に参画、関与することに繋がると思います。
記者:
「ひょうごグリーン県民債」の件ですが、参加しなかったもしくはできなかった自治体は、どんな理由で今回参加しないのですか。
知事:
発行額が20億円で金額としてはそこまで大きくないことが理由として考えられます。今後、規模を広げることも検討していきます。
発行額の内訳は、20億円のうち県が13億、市町が7億円です。7億円を14市町で配分すると1市町当たりは、5000万円ほどになると思いますので、自治体によっては、今回は共同で行うまでもないという判断があると思います。
全市町に声かけはしましたが、今回手を挙げたのが、14市町でした。
のじぎく債の発行実績の中で、平成19年の14市町が最高でしたが、今回はその時と同数の市町が手を挙げたので、関心は高いのではないかと思っています。
残りの自治体も今回は様子見としている自治体もあるかもしれませんが、できるだけ多くの自治体に広げていけるように取り組んでいきたいと思っています。
記者:
次年度以降、今年度の様子を見ながら、規模を拡大して、全県的にやっていく狙いや見通しはありますか。
知事:
そうしたいと考えています。現状、できるかは不透明ですが、まずは今回20億円で行い、県民の皆さんの関心や非常に倍率が高い状況などメリットがあれば、神戸市はどうなるかわかりませんが、全県に広げ、金額も増やしていきたいと考えています。
記者:
今、SDGs債は人気があり、企業からも関心が高く投資環境も整っていると思います。その点に関して、知事として何か意見があればお聞かせください。
知事:
先月、SDGs債の「グリーンボンド」を県単独で法人向けに発行しましたが、即日完売で、とても引き合いは強いと考えています。
機関投資家や企業も含めて、SDGsに資する事業投資に関心が高く、投資家の観点からも求められる時代になっていると思います。
SDGs債への関心は高まっており、今後も引き合いは強いと思っていますので、期待しています。
記者:
「ひょうごグリーン県民債」の件でお伺いします。
SDGs債は人気がありますが、法人投資家と違い、個人相手に需要があるのかどうか、知事はどのように考えていますか。
知事:
金利が少し高まりつつある局面なので、預金金利と比べて、債券に対する関心が高まってきているのではないか、また、県民の皆さんの中には、行政のSDGsへの取り組みを後押ししたい、応援したいとの気持ちがある方が少なからずいらっしゃると思うので、マーケットの新たな掘り起こしとSDGsへの関心を広げていくために、全国初のチャレンジとしてやっていきます。
記者:
調達した資金を県のどのような事業に生かしていきたいかお聞かせください。
知事:
SDGs債なので、持続可能な県土づくり、地域社会づくりに向けた取り組みに活用したいと考えています。治山・土砂対策やため池防災対策、治水事業など環境にやさしい、環境を保全する取り組みにしっかり充当していきたいと考えています。
記者:
先日、躍動カフェを開催されましたが、所感や市民との対話を通じて得た新たな気づきなどがあれば教えてください。
知事:
先日、躍動カフェ第1回を西宮で行いました。
阪神南地域は、ファミリー世帯を中心に住環境として人気のある地域です。その地域で教育や子育て、介護、スポーツ、芸術など様々な分野の一線で頑張っている方々と意見交換ができたのは大変有意義でした。
印象としては、非常に前向きな提案や意見が多く、特に不登校の問題を指摘される方が3名ほどおられました。
小規模で経営している学習塾が、結果として不登校児童の集まる場になっていることなど、現場の実情を聞けたので教育委員会と連携しながら取り組んでいかなければいけないと考えています。
不登校対策は、学校側の問題に加えて、地域や民間企業との連携をどのようにするかが大事だと思いました。
もう1点印象的だったことは、県立高校の入試問題で、兵庫県は内申書のウエイトが一対一となっており、非常に高いことです。中学校教育の中で一定の影響が出ているので、改善して欲しいと話がありました。
県立学校に対して、具体的な配分方法などは来月に発表する予定ですが、今後300億円の投資を行っていきます。
県立高校のあり方、その中で入試がどうあるべきかを教育委員会とも意思疎通しながら議論していきたいと思っています。
実情を反映した生の声を県民の皆さんから直接聞けたことは大変有意義な機会でした。
今月、淡路でも躍動カフェを行いますが、不妊治療を経験された方がいれば、特に都市部ではない多自然地域でどのような課題があるのかを聞きたいと考えています。
プライバシーの観点から公の場でその話題を聞けるかは確認中ですが、不妊治療を受けるために、島内のクリニックにどのくらいの方が通われているのか、それとも神戸など都市部のクリニックまで行っているのかなどの意見が聞ければと思っています。
記者:
300億円の配分は、どの学校にどれくらいの金額を配分するのかと言うことですか。
知事:
そうです。個別の学校名まで出せるかは分かりませんが、教育委員会と予算配分の最終的な調整をしています。
記者:
外郭団体の見直しで質問します。
6月県会でも質問が出ていましたが、兵庫県は32ある外郭団体を本来の実施計画に基づけば、令和4年度末にゼロベースで見直して方針を示すことになっていますが、未だにその方針は示されていません。
点検する第三者委員会も令和3年度、4年度は1度も開かれていませんが、スケジュールの遅れをどう受けとめているか。また、今後の見直しスケジュールをどうするのか、改めて知事のお考えを聞かせてください。
知事:
公社・外郭団体の点検と見直しは大事なテーマです。
もともと県政改革方針の中で、令和4年度中にしっかり議論していくことになっていましたが、コロナ対応がある中、公社の自己点検を進める、公社が運営受託をしている指定管理の公募化を優先したことなどにより、令和4年度は委員会の開催も含めてできませんでした。
令和5年度の県政改革方針の中でも、しっかりやっていくと位置付けており、公社等運営評価委員会の開催を早急に実施したいと考えています。
そこで32ある公社・外郭団体のあり方がどうあるべきかを、内部チェックやどのように県費が使われているか、人の派遣、公社・外郭団体の中に様々な基金の状況がどうなっているのか、今年度中に議論をして方向性を定めていきたいと考えています。
記者:
指定管理の公募を進めていく中で、民間と外郭団体とを入札を含めて競争させることと、資金のあり方を見て検討していくことですね。
第三者委員会を早急に実施したいとのお答えがありましたが、時期はいつごろになるのか、どれぐらいの見直し方針が決まるのかをお聞かせください。
知事:
少なくともお盆明け以降ぐらいには早急に立ち上げていきたいと考えています。公社等運営評価委員会自体はあるので、委員との日程調整も含めて開催の調整をしていきたいと考えています。
記者
外郭団体で一番やっぱりネックになるのは、ひょうご農林機構いわゆる森林整備公社ではないかと考えています。
この公社の大きな事業の一つは、土地を借りて植林し、木材を伐採して売る分収造林事業を進めるために、全国で最も多い約700億円の借入金があり、利子を支払うために金融機関に少なくとこの3年間では、毎年5億円程度を支払っています。これ自体が、県民の理解を得られないのではと思っています。
この事業に対する検討会が、すでに去年の秋から立ち上がって議論が進められていますが、半年程度スケジュールが遅れています。
一方で、外郭団体の見直しを第三者委員会でやり、この事業のあり方を検討するという、二段の構造になっていているので、そこはもう少し整理をして、ひょうご農林機構のあり方を検討すべきだと思っていますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
知事:
全く同じです。
公社・外郭団体32組織が、どうあるべきかの議論をしっかりやっていく。
その中でも、ご指摘のひょうご農林機構の分収造林事業は、雪だるま式に借金が膨らんでいます。
これまでの経緯を見ると、平成20年度の行革時に経営のあり方を見直し、数十年後には黒字になる見通しでした。平成28年に見直しを実施した時も、長期的には黒字になる見通しで手をつけずにこれまで来たところがあります。
結果的に700億近い運営の借金が雪だるま式に膨らんでいます。
平成20年前後に、全国的に第3セクター事業が課題になっている時に、総務省が抜本的に解決をするために3セク債というメニューを用意してくれましたが、当時、行革プランを作った直後だったので、それを活用せずに今まで来てしまいました。
当時の借金額が約600億弱でしたが、10年前後で約100億の借金が膨らんだことになるで、結果的には見通しが非常に甘かったと断ぜざるを得ないと私は思っています。
そのため、全体的な公社・外部団体の見直しとは分けて、現在、分収造林事業のあり方についての検討会を立ち上げています。
内容が財務に関することや土地の所有者や市町も絡むなど関係者が多いことから、検討に時間がかかっている状況ですが、これを放置しておくと今でさえ682億ぐらいの借金が雪だるま式に膨らんでいるので、早く正さなければいけないと私は思っています。
早急にあり方検討会の議論を、廃止も含めて事業そのものをどうするのか、ひょうご農林機構のあり方も結論を出せるべく検討を進めていきたいと考えています。
記者:
事業のあり方検討会が、先週4回目の会合が開かれました。
土地所有者との契約も大事ではありますが、大局観に立った場合には、組織として、分収造林事業の廃止や、他県の事例を見ると、難しいかもしれませんが県営化も含めて、スピード感を上げて議論していくべきではないかと思います。借金を返すために税金もかかっています。
大局観に立って議論を進めていくべきだと思いますが、知事はどうお考えですか。
知事:
個別の所有者との関係よりも、全体の枠組みを見れば、平成20年度前後から10年ぐらいで、借金が100億ぐらい膨らんでいます。
最終的には全て県費で場合によっては処理をしなければいけない状況になるので、やはり対応が遅かったと思っています。
今からになりますが、大局観に立ってこの事業をどうすべきか、廃止も含めたあり方を早急に検討していきたいと考えています。
記者:
この事業は、確かに借金という目線ではどうしたら良いかと思うのですが、森林資源、森林資産を守ることを考えると、やはり広域負担として、民間ができない部分を行政がする部分も、防災の観点とかを含めて必要な事業だと思っています。
その上で、県ができるのかどうかも考えていく必要もあるのかと思う部分もありますが知事はどうお考えですか。
知事:
分収林事業は、土地を一旦借りて、50年、80年かけてヒノキや杉を造林しています。木が立派になった時にそれを売り、その収益を所有者と行政の方で配分して豊かな森を続けていくことが目的です。
ビジネスとしての持続可能性を追求している事業で、これは戦後のはげ山が全国各地で乱立していた中、植林政策を実施することは国の方針でしたが、県も地元と連携しながら実施してきた意義はあったと思います。
木材価格の下落を含めて、ビジネスとして成り立ちが不可能になってきていることが現状です。しっかり直視して10年前にやっておけば、借金は膨らむことはなかったので、当時の判断が正しかったのかどうかというと、私はもっと早く処理をしていくべきだったと思います。
そこは改めて検証をしていく必要があると思っています。
一方で、分収林事業をしっかりやっているところは、山腹崩壊などの災害がある程度抑えられている実績もあります。
山をしっかり守って管理していくことは、災害対策や治水などの森林の多面的機能を確保する機能も非常に意義があることなので、これをビジネスとして、甘い見通しを続けて、それを取り繕いながら続けていくのが良いのか、公共事業としてやっていくべきなのかを、これから議論をして結論を出していく時期になっていると思っています。
森をしっかり管理して、環境や災害対策、県土の多様性、生物多様性も含めて実施する方向性は間違いないのですが、それをビジネスとしてやっていくべきなのか、それともやっぱり一旦整理をして公共の世界でやるべきなのかを判断する時期に来ていると思っています。
記者:
大阪府の高校授業料無償化の件でお伺いします。
大阪府が無償化する中で、兵庫県の財政状況では今のところは厳しいのは承知していますが、実際に制度が始まった場合、阪神間のかなりの私立高校では、大阪府の生徒と兵庫県の生徒が机を並べて勉強することがあると思います。隣の大阪の子は授業料無償で、僕は払っているのに、みたいなことが起こり得ると思います。
そのようなことも含めて、兵庫県の私立高校では、大阪府の制度に参加するかどうかも含めて、いろいろと議論があると思います。60万円を超えた分の学校負担も兵庫県内の私立高校で様々な議論があると思います。大阪府の政策ではありますが、それが兵庫県民に影響するところもあると思いますので、知事として所感があればお願いします。
知事:
大阪府の高校等無償化政策は、もともとは所得制限がありましたが、今回所得制限を撤廃して、全ての世帯を対象にすることになっています。
府民である生徒に対する政策なので、それが府内の学校に通っているケースもあれば、府外の学校に通っているケースもあります。いずれも府民である生徒のことなので、その理念自体はわかります。
問題は、私立学校が経営判断としてどのように取り入れていくか、だと思っています。
今回の無償化制度案は、一定のボリュームゾーンの所得世帯が無償化の対象になるので、そこに60万円のキャップ制をはめることによって、一定の学校負担が出てくる。それが経営の一定負担にもなり、教育の質が落ちるのではないか、という私学の懸念もよくわかります。
兵庫県がそれを今すぐやることはありません。まずは県内の私学団体との意思疎通をしっかりとやっていくことが大事だと思っています。
我々は、私立学校への支援を全くしてないかというと、先日、朝日新聞で特集してくれましたが、授業料負担の軽減策や、学校運営経費の補助をきちんと増やしている経緯があり、私学教育の支援を何もやっていないわけでは決してありません。
これから大阪府の政策が合意形成をやっていく中で、いろいろな意見も当然出てくると思います。それを踏まえて、兵庫県でも、近いうちに私学団体と会う機会を作り、意見交換やいろいろな連携を密にしていくことが大事だと思っています。
記者:
最終的には、私学の経営判断の中でどうしていくのか、自分で判断するのが基本だと思います。
一方で、大阪府が府の施策を決定してやっていくことは全然構わないと思いますが、正直困るという声や懸念も結構あるようです。
知事として、兵庫県は大阪府の隣県で人の交流も盛んで、一体となって連携していく考えのもとで、吉村知事とも連携されていると思います。
この点について何か大阪側に意見交換している、もしくはこれから私学の意見を聞いてから意見交換をするような予定はありますか。
知事:
府・県民に対して、どのような政策をするのかはそれぞれの自治体の判断でもあり、政策のスタンスがあると考えています。
兵庫県としては、財政状況と私学の独立性とのバランスから、今すぐこの私学の無償化を導入する時ではないと思います。
私学団体と意思疎通を引き続き図りながら、必要に応じて、大阪府吉村知事とも意思疎通をし、どのような形で進めていくことが適当なのか、意見交換する場はこれまでも大事にしていますし、そのような機会があればやっていきたいと思っています。
記者:
現時点では、私学の意見を聞くまでは、県として賛成や抗議、賛否といったところに言及するには至らない。
まずは私学から声を吸い上げて、判断することがあれば判断する、というのが現状と理解してよろしいでしょうか。
知事:
今は素案の段階で、大阪府以外の各府県の私学団体に説明をしている状況だと思います。
私学も経営体なので、県外からも生徒を受け入れて、私学として独自性、特色ある教育にこだわっているので、最終的な判断は、それぞれの学校側になってくると思っています。
状況をしっかりと見て、私学団体との意見交換も密にしていくことが大事だと思っています。県として現段階で、反対とか、そのようなことを示す時期ではないと考えています。
記者:
先週、高校無償化の記事を出した時に聞いた話ですが、兵庫県内の私学がキャップ制に入った場合に、大阪府の方に届け出をして承認をしてもらう必要がある、その後授業料を変更した場合に、大阪府に届け出をしなければならないのでは、という懸念を持っている学校もありました。
その点は、県として間に入ったり、府に意見を言ったりする可能性はありますか。
知事:
そのあたりの手続き的な関係や、法的な問題も含めて、しっかりと実情を把握していくことがまずは大事だと思っています。
私学側にとってそのような問題が起こったり、いろいろな手続きが煩雑になって分かりにくくなる課題があれば、県と府でしっかりと調整をしていくことになると思っています。
今の段階では、確定していないので、何とも言えないところです。
記者:
もしそうなった場合、すごく変な感じだと思っていますが、知事としてはどうお考えですか。
知事:
制度が変かどうかということと、法的に抵触するかどうかは、異なると思います。
この制度は基本的にエントリーしたところが対象になります。
先ほどの繰り返しになりますが、最終的には各学校の経営判断ですから、制度が変だからやりたくない、ということであれば、そのような判断もあるかもしれませんが、法や実務上の大きな制約で支障が出てくるのかどうかを、もう少し見定めなければいけないと考えています。
記者:
都道府県の財政力によって、このようなことができたりできなかったりするところも不平等という話も聞きました。
知事は、国が絡んでやったほうが良いと思っているのか、それとも、ある程度都道府県で特色を出していくのが良いと思っているのか、お伺いします。
知事:
理想的には全て国が対応してくれれば良いのですが、キャップ制や私学の経営との関係で、どこまでやるべきかの議論もあると思います。
国では、すでに就学支援の関係を段階的に手厚くしており、そこに県も一定の上乗せをしています。そこはそこで一歩ずつやっていくと考えています。
それぞれの自治体が特色を持ってどのような施策をやっていくかも大事なことですが、それは各自治体の首長の判断だと思っています。
幼児期や子どもの給食といった初等教育の段階が良いのか、中等教育の私学や県立高校の段階が良いのか、高等教育が良いのか、それは各自治体が、特に都道府県の場合は、財源との兼ね合いでどこに政策的なターゲットを当てていくのかを考えることが大事だと思っています。
県では、7割程度生徒が県立高校に通っており、生徒一人あたりにかけている学校運営費が全国で46位という決算値もかつてあったので、そこは少し予算を増やすことで、環境や教育の質を良くしていきたいと考えています。
現在の県の財政状況と全体像を考えたら、まずは県立高校への投資をしっかりと増やしていくことだと思っています。
高等教育の関係も、奨学金の負担や軽減など、先日、県立大学に行きましたが、いわゆるZ世代の若者にとっては学費がすごく負担になっています。
かつて私たちの親の世代は、みんなが奨学金を受けながら学校に通っていましたが、社会全体が成長し、給与も伸びていく時代だったので、奨学金を返し得ることが見通せる時代でした。
今はどちらかというと、日本全体が横ばい、下り坂になるようなイメージが強い時代なので、奨学金の負担が若い世代にとって非常に重い課題になっています。
それが、結婚や出産などのライフスタイルを決める際の、非常に大きなハードルになっていると思います。そこをどのようにクリアにしていくかは、私の中での優先順位は少し高いと思っています。
記者:
知事も大阪府にいらっしゃったと思いますが、キャップ制そのものは、学校側に負担を強いる制度だと思います。このことについて、知事はどうお考えですか。
知事:
当時からキャップ制があることは認識していました。
ほぼ全ての高校がエントリーしている状況だったので、判断としてキャップ制に入るところはあるんだな、と素直に受けとめていました。
分析していくと、今までの対象所得世帯は、全体の生徒の数でいうと、一定限られているところだったので、キャップ制を導入することによる学校負担が生じたとしても、学校運営の中で対応できる、かつ、所得の低い世帯に対する教育的な支援策として、私学も一定の理解があったということだと思います。
一定の所得がある世帯は、生徒の数も多いので、キャップ制をはめると、経営に対する負担が非常に大きくなってくるところで、現在の状況になっていると感じています。
所得制限を設けるのか、一番世帯数が多いところまで無償化の対象にするかによって、私学側にも経営の負担が懸念として出てきているところで、議論が分かれるところだと考えています。
記者:
美方郡但馬牛が世界農業遺産に認定されましたが、知事としてはどのように受けとめられたか、フィールドパビリオンにも認定されているかと思いますが、今後視察や意見交換の予定があるかどうかお伺いします。
知事:
兵庫県で初めての世界農業遺産として但馬牛が認定されました。
先人から受け継がれてきた但馬牛の伝統が、世界的な評価を受けたことは大変うれしく思います。香美町、新温泉町、いわゆる、美方郡の生産者の皆様はじめ、関係者の皆様のご尽力に改めて深く敬意を表します。
田尻号という小代で生まれた血統が和牛の99%のベースに入っており、牛の戸籍(牛籍簿)を100年以上にわたって管理し、(他にも牛ふん堆肥を田畑に還元する農業に取組むなど)地域の循環型の牛の育てる仕組みづくりや地域の方々が地道に取り組んできたことが評価され、まさに地域循環型のSDGsな取り組みだと思っています。
ひょうごフィールドパビリオンに但馬牛関係も入っているので、ぜひ近いうちに改めて現地に行き、体験をして、一緒になって世界に発信していきたいと思っています。
これは但馬地域にとっての観光誘客、人の流れを呼び込む起爆剤になると思っているので、非常に楽しみに感じています。
記者:
職員の出勤率4割に関係してお伺いします。
今も九州で災害があり大変な状況ですが、例えば本庁に4割しか出勤しない状態だと、来るべき人が来られなかったり、実際は2割しか出勤できなくて災害への対応が遅れる、または4割より多く集まり過ぎたが、フリーアドレスで自分の席がなくて廊下で仕事をせざるをえなくなったりして効率が下がる状況なども懸念されると思います。
知事は以前、災害時の対応も含めてきちんと対応するとおっしゃっていたと思いますが、具体的に災害時、非常事態への対応について、フリーアドレスなども想定した職場において、具体的な策を持っていますか。あれば教えてください。
知事:
非常に大事なポイントだと思っています。
災害時のBCPになると思いますが、今県庁でもBCP、いわゆる業務継続計画はありますが、4割出勤やフリーアドレスを踏まえたBCPの改定に着手しています。
今までの基本10割出勤をベースとしたBCPではなく、4割出勤や在宅勤務が平時化する中でのBCPのあり方を改定していきます。
この際には、県庁のあり方を検討する有識者の皆さんのサポート、議論の場もあるので、しっかりと議論しながらやっていきたいと思っています。
災害には様々なケースがあると思います。地震、河川災害や豪雨、いろいろなケースごとにどこが主力になるべき部局か、どのような部署が出てこなければいけないかのフェーズがあります。
そのフェーズや災害の種類に応じて、対応すべき部や課の職員が10割出てきて、作業ができる体制にしていく。それ以外の部局は基本リモートを中心にするなど、メリハリをケースバイケースで作っていくことが大事だと思います。
東日本大震災の時にも、庁舎自体が壊れたケースが南三陸町などでありました。災害時に、執務できるスペースがそもそもつぶれた場合には、もちろん、そうならないようにしなければいけませんが、その時にどうあるべきかは、同じ議論なので、そこも含めて議論をしていきます。
具体的にはBCP、業務継続計画の改定を今進めているので、そこで4割出勤なり、フリーアドレスを踏まえたプランにしていきたいと思っています。
記者:
4割出勤を想定したBCP計画は、何年後ぐらいをめどにきちんとしたものをまとめたい考えでしょうか。
知事:
令和7年度から県庁から退去していくので、基本的には来年度の末ぐらいまでには遅くとも作らなければならないと考えています。
記者:
昨日、経済産業省の職員の方のトイレの使用制限に関する最高裁の判決が出ました。
これは個別の事例なので特にそれが一足飛びにすべての施設に、民間企業にも応用されるわけではないですが、知事の受け止めを教えてください。
知事:
内容は報道ベースでしか見ていないので、確定的なことは言えませんが、執務室で当事者の方が働かれていて、トイレに行きたい場合に、2階離れたフロアを使うものだったと思いますが、それは合理性がない1つのポイントだと思います。
私もその通りだと思いますので、2つ離れたフロアであっても同じ経済産業省のスペースですし、そこで誰の苦情も無く運営しているのであれば、勤務スペースの近くのお手洗いで使用することも合理的だと思います。
兵庫県としてそのような取り組みをどのようにするかの指針は確定的なものがあるかどうかは別にして、今回の判決を受けて、当事者の方々が合理的な範囲内でお手洗いや、いろいろなところを使えるような環境にしていくことは当然だと思っています。
記者:
6月議会だったと思いますが、知事が答弁で、パートナーシップ制度は早くて来年度からとの発言がありました。
今回のこの件を受けて機運醸成ができ、更に早まるのではないかという思いはありますか。
知事:
パートナーシップ制度の導入は、どのような中身にするのか、今導入している市町、未実施の市町との調整が一定必要なところもあります。
早ければ来年度からの導入を目指して、作業を進めていくことが大事だと思っています。
その中で県庁を含めて、当事者への対応のあり方として、トイレなどの個別の事案をどのように対応していくのかも決めていくことは、今回の判例を受けて、検討すべき課題だと思っています。
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