武庫川下流部築堤区間の河川整備について
武庫川では昭和36年6月に発生しました戦後最大洪水と同規模の洪水(3,510m3/s〔甲武橋基準点〕)を安全に流すため、阪神高速湾岸線からJR東海道本線の5km区間を対象に河床掘削工事や護岸工事などを進めています。
令和6年度の工事予定
令和6年度は、阪神高速湾岸線上流の河床掘削、南武橋関連工事、1号床止工撤去および帯工設置工事(尼崎市側)、2号床止工改築工事(尼崎市側)、国道2号上流の低水護岸工事、3号床止工改築工事(西宮市側)などに取り組みます。
また、周辺地下水の塩水化を抑止するための潮止矢板圧入工事を実施した後に阪神電鉄下流の潮止堰を倒伏させる予定です。
工事着手は11月1日を予定しています。工事期間中は、普段皆様が散歩やジョギングなどで利用されている河川敷に工事用のヤードを確保する必要があり、利用できる河川敷の幅が狭くなります。
重機やダンプなどの往来も発生し、県として利用者の安全に十分注意しますが、皆様におかれましても注意してご通行していただくなど、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いします。
上図は、概略的な位置を示したものであり、実際の工事延長を示していませんので、ご注意願います。
また、11月以前に実施する除草や樹木伐採などの維持管理工事および緊急対応が必要な工事については、記載していません。
インフラ整備や土木施設に関する情報を発信していきます。
令和5年度に実施した工事の様子
(1)河床掘削工事
- 阪神高速湾岸線上流部において、国交省との連携により、台船上のバックホウを使って河床を掘削しています。
- 掘削した砂礫は、大阪湾窪地対策に流用するため、土運船で大阪湾へ搬出します。
(2)南武橋関連工事
(3)床止工関連工事
- 川の流水によって、川底の土砂を侵食する量が多くなると護岸が壊れてしまう可能性が高くなります。
- 床止工は、川底の過剰な侵食を防いだり、河川の勾配を緩やかにして、流水の速度を安定させる機能を持っています。
- しかし、床止工は河川の流れを阻害してしまったり、魚類などの生息生物の移動の障害になるという側面も持っています。
- 現在実施中の河川整備工事では、水が流れる断面を大きくするために河床を掘り下げます。
- 川底が深くなることで、既設の床止工の基礎が浮いてしまいますので、改築が必要となります。
- そのため、2号床止工と3号床止工は、改築しています。
- 今回改築する床止工では、段差が生物の移動を妨げないように、全断面型の魚道(全体が緩やかなスロープ型になっており、どこからでも移動できる魚道)を採用しています。
- 1号床止工は帯工(川底と同じ高さ)を代わりに設置することで、川底の土砂を安定させることができるため撤去します。
1号床止工撤去および改築工事(西宮市側)
- 上段は施工中、下段は完成後の写真です。
- 完成した帯工は、流水によって見えません。
2号床止工改築工事(その1)(西宮市側)
- 上段は着手前、下段は完成後の状況です(工事中の流水がない状態)。
- 普段は水が流れていて見えませんが、川底は写真のようにコンクリートで表面を固めてあったり、ブロックを並べたりして、洪水の時に掘れないようになっています。
- 工事前に比べて、工事後の川底は深くなっています。
- 現在残っている既設床止工の一部は、上流側の河床を掘削した後(令和7年度以降)に撤去します。
3号床止工改築工事(その1)(尼崎市側)
上段は施工中、下段は完成後の写真です。
(3)低水護岸工事
- 河床掘削によって、既設護岸の基礎が露出してしまうため、低水護岸の基礎を深く入れ直しています。
- 上段は着手前、中段は施工中、下段は完成後の写真です。
- 低水護岸に使用しているブロックは、西宮市田近野町付近の武庫川の河川内に堆積したレキを使用して製作しています。