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更新日:2003年6月19日

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第275回兵庫県県議会 知事提案説明(平成15年6月19日)

第275回兵庫県議会でご審議いただく提出議案の説明に先立ちまして、諸般のご報告をします。
山本正治議員には、去る5月3日に急逝されました。先生の御霊に対し、謹んで哀悼の意を表します。
山本議員は、昭和58年、地元の衆望を担い兵庫県議会議員に初当選されて以来、5期20年の長きにわたり、地域の振興と地方自治の発展に尽力してこられました。
この間、平成9年に第100代兵庫県議会議長に就任されたほか、議会運営委員会委員長、常任委員会委員長、監査委員等の要職を歴任され、その温厚誠実で責任感にあふれ、飾り気のないお人柄に加え、豊富な経験と卓抜した識見をもって、阪神・淡路大震災からの復旧・復興をはじめ、県政推進に多大のご貢献をいただきました。先の統一地方選挙で6期目の当選を果たされた直後のことだけに、突然のご逝去は、誠に残念でなりません。
ご生前の数々のご功績を偲び、衷心より感謝の誠を捧げますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 
去る4月25日、26日の両日、皇太子殿下、雅子妃殿下には、本県に行啓になり、国営明石海峡公園淡路地区での第14回全国「みどりの愛護」のつどい式典にご臨席いただきました。また、北淡町震災記念公園や神戸市港島児童館等を訪問され、子どもたちをはじめ県民一人ひとりに親しくお声を掛けられ、ご激励をいただきました。あらためまして厚くお礼申し上げます。

平成15年度におけるこれまでの主要な県政推進について、ご報告します

いわゆる新型肺炎、SARSへの対応についてです

去る5月16日、SARSに感染した台湾人医師が兵庫県内を訪れたことが判明しました。外国人が日本国内で発症して帰国するという想定外のことでしたが、早速、関係市町とも連携を図りながら、感染拡大の防止に万全を期するため、接触者の把握や健康状況の調査、健康不安者に対する電話相談等を行うとともに、県民の皆様へ適切な対応と協力を求めてきました。
県内はもとより国内での感染者の発生はなく、5月23日に安全宣言を行いましたが、この経過において、正確な情報を適時適切に公開することが、いかに大切であり、不安を解消し的確な対応を行う基本であることを認識しました。
このため、国に対して、感染症対策に関する情報の一元化と統一的な対応、情報の公表、風評被害の防止等について早急な対応を要請しました。
一方、SARS感染医師が立ち寄った県内観光地や宿泊施設等では、入込客が減少するなどの影響が生じています。関係事業者への緊急対策として、特別経営資金貸付の融資要件の弾力的運用や既存の地域活性化集客支援事業を活用したイベントへの支援等を行うこととしました。
今後とも、県民の安全・安心を確保するとともに、様々な機会を通じていわれのない風評被害の払拭に努めるなど、関係機関と連携を図りながら、SARS対策に全力で取り組みます。
なお、本県の友好省である広東省に対し、SARS感染に関する緊急支援として医療用品をお送りしました。単にSARSに対して防御を進めるだけでは、地球時代の交流社会を生きるとはいえません。厳しい現実のなか、友情と連帯のもとに、今後ともSARSに負けない交流を進めます。

阪神・淡路大震災からの復興についてです

神戸東部新都心において整備を進めてきた人と防災未来センターにおいて、4月に「ひと未来館」がオープンしました。“いのちの尊さや共に生きることの素晴らしさ”をテーマとし、「防災未来館」との一体運営により、震災の全容を発信することができます。また、人材育成や調査研究、情報発信を一層積極的に推進し、国内外における災害被害の軽減に貢献する国際的な防災拠点をめざします。
5月21日に発生したアルジェリア北部大地震の復旧、復興を支援するため、被災市町ともども見舞金を贈るとともに、民間団体の募金活動に協力することとしました。また、国際緊急援助隊専門家チームに人と防災未来センター職員等を派遣しました。
この5月、兵庫県被災者住宅再建支援制度調査会を設置しました。
災害への備えとしての住宅再建支援制度の実現が急務となっています。阪神・淡路大震災の経験と教訓を新しい社会の仕組みとして後世に残すことは被災地の責務です。また、近い将来、東南海・南海地震の発生が危惧されます。
全国的な制度実現を今後とも働きかけながら、これを待つだけでなく、まず、兵庫からの意欲と責務を示すため、兵庫県単独の制度実施が可能かどうかの検討を進めます。
阪神・淡路大震災からあと1年半で10年を経過しようとしています。震災直後に策定した震災復興計画の目標年次まで間近となりました。被災地のこれまでと今を発信する必要があります。被災地が一体となって展開する震災10周年の記念事業やこれまでの復旧・復興に係る総括的検証等について、学識経験者や団体代表等で構成する復興10年委員会(仮称)を設置して検討を進めます。
また、平成17年1月に向け、21世紀の新たな国際防災戦略の策定に貢献する国連防災世界会議の誘致を進めます。近年、阪神・淡路大震災をはじめ大規模な自然災害が世界各地で発生しており、防災対策の充実は世界共通の喫緊の課題となっています。これらの教訓を持ち寄り、検証し、世界の共有財産として生かすことが重要です。震災復旧・復興の経験を生かすためにも、同会議がぜひ本県で開催されるよう、被災地として積極的に取り組みます。

経済・雇用対策についてです

現下の厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、かねてより、「ひょうご経済・雇用再活性化プログラム」に基づき、経済・雇用のセーフティネットの構築や地域産業の元気回復と新たな活力創造等に積極的に取り組んできました。昨年度のしごと・雇用創出は目標の17,500人を上回る約21,000人の実績を確保しました。
しかし、本県経済は今、全体として概ね横ばいで推移しているものの、米国経済やSARSの影響など、先行きに不透明感が強まっています。
商店街や小売市場の実態調査結果を踏まえ、商店街等の活性化を図るとともに、中小企業の総合的な支援センターとして再発足した中小企業活性化センターを核として、中小企業の起業から活動展開に至る支援を強化するなど、今後とも、経済・雇用情勢を注視しながら、再活性化プログラムの着実な推進と機動的な対応に努めます。
構造改革特別区域については、法に基づき申請した、先端光科学技術特区など11件すべてが認定されました。このことは、これまで先駆的にゾーン政策に取り組んできた本県の計画が国に高く評価された結果と考えます。
また、11の特区が設定されることは、新たな産業振興、地域振興のモデルとなる特色ある地域が多数存在するということであり、それだけに、地域活性化の先導役を担うとの気概を持って、今後の推進を図る必要があります。
このため、特区に係る規制緩和の実施とあわせ、産業集積条例を活用し、県と市町との連携による税制上の優遇措置、雇用創出のための助成、50億円を限度とする立地促進融資の活用など、多面的な立地促進、地域振興を図ります。
厳しい経済・雇用情勢のなか、障害者の雇用と就業を促進することが重要です。
これまでから、小野福祉工場の設置など、全国に先駆けて障害者の自立促進を進めてきています。授産施設や小規模作業所の製品受注先の開拓など、障害者の働く場づくりも推進してきました。こうした取り組みに加え、この5月から、民間企業や社会福祉法人、神戸市と連携し、施設等で作られる製品の新たな通信販売ルートを活用することとしました。
また、障害者の雇用・就業の場の提供に積極的に努めている企業や授産施設・小規模作業所等からの購入量を増やすため、県の物品調達等について、優先的発注を行うこととしました。今後とも、障害を持つ人たち一人ひとりの努力を社会全体で支援していくため、対策の充実強化に努めます。
環境対策では、本県のひょうごエコタウン構想が、国の「地域におけるゼロ・エミッション構想推進のためのエコタウンプラン」として、近畿で初めて承認されました。県内の産業基盤、物流基盤を最大限に活用し、広域的な資源循環体制を構築するため、姫路市での廃タイヤガス化リサイクル施設など、先導的施設の整備を支援するとともに、エコタウン支援センター(仮称)を設置して、産学官の連携による調査研究や普及啓発、事業化の推進等を図ります。

県民の参画と協働の推進についてです

4月1日に施行された「県民の参画と協働の推進に関する条例」に基づき、「地域社会の共同利益の実現」と「県行政の推進」の二つの場面で具体的な取り組みを進めています。
県民の自発的な意志による地域づくり活動を広く情報発信し、活動のネットワークづくりを支援するための登録制度については、5月1日からひょうごボランタリープラザにおいて募集を開始しました。
また、地域団体が創意工夫をこらして進める先駆的な取り組みを応援する地域団体活動パワーアップ事業を県民局単位で展開するなど、団体やグループ、NPO等、県民が様々な形で取り組む地域づくり活動の基盤強化を図ります。

行財政構造改革と地方分権の推進についてです

平成20年度までの収支をあらためて試算したところ、起債制限比率は15%台に止まるものの、平成15年2月に策定した行財政構造改革推進方策における収支フレームに比べ今後5年間で収支不足額が約2,550億円増加することが見込まれます。
このため、改革期間の中間年度にあたる本年度に、これまでの取り組み実績や推進方策策定後の社会経済情勢の変化等を踏まえた総点検を実施しています。
当面、7月下旬を目途に改革の進捗状況や課題等について取りまとめを行うこととしていますが、さらなる改革の取り組みについて検討を進める必要があると考えています。今後、学識経験者や県民代表等からなる委員会を設置して、幅広くご助言いただくとともに、県議会のご意見やご指導をいただくこととなりますので、よろしくお願いします。
昨日の経済財政諮問会議において、三位一体改革の方針が決定されました。
4兆円程度の具体的な数値目標を掲げ、国庫補助負担金を廃止・縮減して、これに伴う基幹税を基本とした税源移譲を実施し、あわせて地方交付税の見直しを行うという基本的枠組みが示されたことは、国と地方の役割のあり方から見て、分権改革の方向が明らかにされた点で望ましいものと考えます。
しかしながら、国税と地方税の税源配分が一対一となるような税源移譲の規模となっていないこと、国庫補助負担金の削減額の全額が税源移譲されるものではないこと、行政サービスの水準の議論を行うことなく、一律に地方交付税の財源保障機能を見直すとされていることなどの問題があります。
また、税源移譲により顕著となる地方間の税源偏在を是正するため、税源移譲に伴う超過分を富裕団体から交付税特別会計に拠出するような、いわゆる「逆交付税制度」の導入をあわせて検討すべきです。
さらに、先の財政制度等審議会の建議では、税源移譲に伴い国と地方の債務残高の調整が必要との考え方が示されましたが、国と地方の債務残高は、法令等に基づく国と地方の役割分担、経費負担割合に応じて事業を実施してきた結果であり、過去の債務を自ら償還することを放棄し、地方に負担を転嫁することなど論外です。国の財政再建と国・地方を通じた分権改革とは別の問題です。
今後の三位一体改革の具体化にあたっては、地方の自主性・主体性の確保の見地から、さらに十分な検討が加えられることを望みます。
なお、平成14年度の決算見込みについては、過日出納を閉鎖し、現在、集計整理している段階であり、未だその詳細が明らかではありませんが、県税収入の決算見込額は現計予算額を若干上回り、一般会計の実質収支は黒字を確保できるものの、実質単年度収支は平成13年度を上回る赤字となる見込みです。

これより、提出議案の概要についてご説明します

条例案件は、県立都市公園の海上展望施設及び駐車場の使用料を引き下げること等に伴う、県立都市公園条例の一部改正等12件です。
事件決議案件は、構造改革特別区域法等の施行により、特区と認定された区域において、土地開発公社が造成地の賃貸事業を行うことができることとされたことに伴う、兵庫県土地開発公社定款の一部を変更することについて同意する件等76件です。
専決処分承認案件は、直轄事業等に係る起債の額の確定等に伴う平成14年度の一般会計補正予算について承認を求めるもの等4件です。
 
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただくようお願いいたします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

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