更新日:2004年11月24日

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第281回兵庫県議会 知事提案説明(平成16年11月24日)

本日、第281回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に感謝します。
 
提案説明に先立ち、台風23号など一連の風水害により犠牲となられました方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた多くの皆様に、心からのお見舞いと一日も早い生活再建をお祈り申しあげます。
 
今年は、本当に災害の多い年となってしまいました。
台風16号、18号、21号そして23号と、県内各地に甚大な被害が生じてしまいました。
台風23号については、被害発生と同時に、直ちに災害対策本部を設置し、市町とも連携して、救助活動、避難所の設置、ライフライン対策などの緊急支援、二次災害を防止する応急工事の実施に努めました。
私も、豊岡、出石、洲本をはじめ県内各地の被災地を訪れ、厳しい被害実態を目のあたりにして、被害を受けられた方々に、お見舞いと激励を申しあげ、一日も早い復旧支援を決意しました。
また、小泉首相をはじめ関係大臣にも被災地を視察していただきましたが、国に対しましては、激甚災害の早期指定や復旧・復興対策に対する支援について緊急要望を行っています。
このようななか、県議会には台風被害対策協議会を設置され、現地視察、これを踏まえた対策が熱心に検討され、過日、原県議会議長から要望をいただきました。
まさしく、住宅の再建、こころのケアや健康対策などの生活復興をはじめ、農業や地場産業の復興など、被災地の早期復旧、本格的な復興に向けた取り組みが求められています。
この要望をはじめ被災地の実状を踏まえ、このたび、災害ゴミ対策、住宅復興、生活支援、産業復興、公共施設の復旧復興など、被災市町と協力しながら、必要な総合対策を講じるとともに、予算措置が必要なものについては、所要額を見込み、補正予算を編成することとしました。
今後とも、被災地の本格復興に向け取り組みますとともに、今後も起こりうる自然災害に対して、河川等の防災施設の整備を進めるなど、県民の皆様が安全で、安心して暮らせる県土づくりをめざしてまいります。

第2は、新潟県中越地震への支援についてです

阪神・淡路大震災から10年を迎えようとする矢先に、震度7の中越地震が発生しました。
被災地が農山村であるものの、被害は極めて甚大であります。先の大震災に際して、私たちが取り組んできた経験や教訓を、中越地震に生かしてもらうことが、中越地震の被災者や被災地の緊急対策をはじめとする復旧・復興に有益であり、このことこそ本県の務めであります。
新潟県の要請も受け、災害対策本部や被災市町との連絡体制づくり、住宅対策やこころのケア・保健対策、仮設住宅や避難所の運営などを支援するため、市町とも協力をして、専門的知識を有する職員を、順次、交替で支援チームとして派遣するとともに、関係部局からなる支援プロジェクトチームを庁内に設置し、総合的な支援体制を整えています。
今後とも、一日も早い復旧・復興を祈念しつつ、震災被災県である兵庫の経験と教訓を生かした支援を行っていきます。

第3は、震災10周年に向けた取組みについてです

未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災から、間もなく10回目の1月17日を迎えます。
度重なる自然災害の発生は、私たちに震災の教訓を後世に伝えていくことの大切さを
示唆してくれています。
復興10年総括検証・提言事業では、過日、中間報告が取りまとめられましたが、震災の経験・教訓を踏まえ、地域における見守り体制の充実など今後に向けた317項目の提案が盛り込まれています。
台風23号災害や新潟県中越地震なども視野に入れながら、最終報告を取りまとめ、来年1月の創造的復興フォーラムや国連防災世界会議などを通じて、その成果を国内外に発信していきます。
また、震災10周年記念事業については、幅広い県民の参画を得て、「兵庫国際絵画コンペティション」や防災世界子ども会議など約400の事業を開催するほか、「1.17メッセージ」の募集等に取組み、復興の成果や支援に対する感謝を国内外に発信するとともに、震災の記憶を風化させることなく、後世に引き継いでいきます。
1月17日には、「阪神・淡路大震災10周年のつどい」を開催します。
また、国連防災世界会議の開催に向け、多くのボランティアの協力も得ながら、準備を進めています。
震災10周年を一つの節目として、震災の経験と復興の成果を広く伝えていきます。

第4は、国際交流の推進についてです

欧州の準姉妹州県との交流促進、震災10周年にあたって、これまでの支援への感謝、及び設立10周年を迎えたパリ事務所への一層の支援要請のため、過日、フランス、ドイツ、イタリアを訪問しました。
フランス、セーヌ・エ・マルヌ県では記念式典に臨むとともに、パリ市では人形浄瑠璃を公演するなど文化交流を進めました。
ドイツ、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州においては、ビジネスセミナーを開催し、ひょうご・神戸への企業誘致を積極的に働きかけるとともに、イタリア、ミラノ市において、関西の自治体・経済界が合同で開催する「ミラノにおける関西展2004」へ参加し、本県のすぐれた企業・製品を紹介するなど、経済交流に取り組みました。
いずれの準姉妹州県とも、今後の幅広い交流促進を確認するとともに、フランスと兵庫県との交流について、大統領外交顧問であるグルドモンターニュ氏と意見交換を行いました。
今後とも、文化交流、経済交流をはじめ、芸術分野など幅広い分野での交流を進めてまいります。

第5は、ユニバーサル社会づくりの推進についてです

障害者の自立と社会参加意欲の高揚を図り、国民の障害者への理解を促進するため、「第4回全国障害者芸術・文化祭ふれ愛のじぎく兵庫大会」が来月、開催されます。
これを契機に、さらに、障害のある方もない方も安心して暮らせる地域づくりを進めていきます。
また、有識者会議での議論も踏まえ、健康福祉事務所や警察、市町などの相談体制やネットワークの充実、適切な医療の提供方法などについて検討を進めています。
また、高齢者や障害者が街の中を安全で、安心して移動できる情報をIT技術を活用して提供する、「自律的移動支援プロジェクト」のプレ実証実験も、神戸・三宮ではじまりました。
今後、これらの取り組みを踏まえ、ユニバーサル社会の総合指針を策定し、誰もが地域の一員として支え合うなかで、安心して暮らし、元気に活動できる社会づくりをめざしていきます。

第6は、地域づくりについてです

少子高齢化や国際化の進展、地域振興などの現下の課題に対応するため、県下では、産業、まちづくり、芸術文化などの分野で、13の地域再生計画、22の構造改革特区計画を推進しています。
既に高砂市や加西市における産業集積特区では、製造・物流関連の企業立地が進むとともに、地域再生では、農山村や水辺空間などの自然を生かしたツーリズムが盛んになるなど、着実に成果があがっています。
今後とも、地域再生と構造改革特区制度を有効に活用し、地域の特性を活かしながら、
地域自らが主体性をもって、地域経済の活性化と雇用の創造の実現に努めていきます。
また、地域を舞台として展開している「地域子育てネットワーク事業」及び「地域ぐるみ安全対策事業」については、推進母体や推進グループの立ち上げを、鋭意、進めるとともに、「県民交流広場事業」については、モデル事業の実施地域を選定するなど、事業の具体化を図っています。
今後とも、地域の自主的な活動を展開できるよう、積極的に取り組んでいきます。

第7は、三位一体改革についてです

過日、政府・与党が合意した「三位一体の改革に関する基本的枠組み」は、国庫補助負担金について3兆円の削減と税源移譲を行うこと、税源移譲に伴う自治体間の財政力格差を解消するため、平成17、18年度は、地方交付税で適切に財源措置を行うなど、地方の主張に対する理解が見られます。
しかしながら、義務教育費国庫負担金の取り扱いをはじめ、多くの重要な論点は先送りされており、三位一体改革の全体像へ向けた基本的枠組みとしては、不十分なものです。
今後も、関係省庁から、単なる地方へのつけ回しに過ぎない補助金の補助率の縮減や交付金化、地方財政計画の合理化に名を借りた地方交付税の大幅な削減が危惧されます。三位一体改革の全体像の策定にあたっては、「地方案を真摯に受け止め、できるだけ地方案の実現を目指す」ことを基本として、地方の自由度が高まる改革となるよう、全国知事会等と協力し、政府に対して強く働きかけていきます。

最後に、県財政の運営についてです

年度半ばを過ぎ、本県の財政状況は、堅調な企業業績を反映し、法人関係税に増収が見込まれるものの、個人県民税や自動車税は当初予算額の確保が困難な状況にあるとともに、
普通交付税等は、当初予算額は確保できたものの、昨年度に比べ400億円を超える減収となるなど、厳しい状況にあります。
また、このたびの月例経済報告では、堅調に推移していた景気は、一部に弱い動きがみられるなど、今後の景気動向に注視していく必要があります。
平成17年度は、県税収入は、法人関係税に本年度当初予算を上回る期待ができるものの、その他の税では、県民税利子割で大幅な減収が見込まれています。
また、本年度に引き続き、さらに地方の歳出総額が抑制され、地方交付税の減額のおそれがあるなど、本県財政に与える影響が懸念されます。
このように、来年度も引き続き厳しい財政環境が続くと思われますが、予算編成にあたっては、健全財政を堅持するなかで、財政を取り巻く環境を見極め、「行財政構造改革推進方策後期5か年の取組み」を基本に改革を推進していきます。
震災ポスト10年対策、未来を担う人づくり、地域の元気等、特に重点的に取り組むテーマについては、別途要求枠を設定するなど、21世紀の成熟社会にふさわしい「兵庫づくり」に取り組んでまいります。
 
なお、職員の給与等については、去る10月12日、県人事委員会から職員の給与等に関する報告及び勧告を受けましたので、勧告の趣旨を尊重することを基本姿勢としつつ、今後、現下の社会情勢と財政状況を勘案して、十分に検討し、適切に対処します。

これより提出議案の概要についてご説明します

まず、台風23号等の復旧・復興対策に関する補正予算案件です。
相次ぐ風水害から県民生活の安全・安心を確保するため、先般、予備費や既定の予算を活用し、住宅再建や生活支援などの対策を講じたところですが、台風23号の甚大な被害に対して、緊急に必要な復旧・復興対策について、所要の予算措置を講じようとするものです。
この度の被害では、被災地が都市部のみならず農山村部を含み、高齢被災者が多いこと、
地域の基幹産業である農業や地場産業が多大な被害を被っていること、風倒木など林地被害が多発していることなど、被災地の実状を十分に踏まえ、住宅再建対策をはじめとする生活支援対策、産業復興対策及び施設復旧復興対策に取り組みます。
まず、風水害で亡くなられた方のご遺族に災害弔慰金を支給するとともに、水害被害の実態を反映できるよう見直しを行った被害認定基準をもとに、全壊・半壊・床上浸水等の被害に応じて、災害援護金等を支給します。
県下の被害家屋は、全壊・大規模半壊家屋が、約2,000棟、床上浸水家屋などを合わせると約10,000棟と見込まれ、住宅再建が喫緊の課題です。
応急的な住宅対策として、県営住宅及び応急仮設住宅の提供や民間賃貸住宅に一時入居する場合の支援を講じるとともに、被害実態に対応し、被災者生活再建支援法を適用します。
また、複数世代が同居する世帯では、支援法の年収要件を超えるおそれがあることから、
被災地の世帯構成を踏まえ、居住安定支援制度補完事業を拡充し、年収・年齢要件を緩和します。
さらに、住宅再建共済制度が創設されるまでの間の臨時的な措置として、住宅再建等支援金を創設するとともに、新たな住宅融資制度や利子補給制度を設けます。
被災された高齢者が、被災前と同じ市町で住宅再建が行えるよう支援制度を創設するなど、住宅再建に向けて積極的に支援します。
中小企業者への支援として、経営円滑化貸付や地場産業等振興資金貸付金を拡充するとともに、初期の負担軽減を図るため、各種災害融資に対して利子補給を行います。
播州織産地や豊岡鞄など甚大な被害を受けた産地企業を支援するため、政府系金融機関からの融資を実施するための損失補償や利子補給を行います。
被災商店街の賑わいの回復を図るため、集客イベントやアーケード等の補修に対して
支援するとともに、観光客の大幅な減少が危惧されることから、誘客キャンペーンへの支援やツーリズムバスを拡充します。
また、応急工事を請け負っている県内中小建設業者の資金繰りを支援するため、短期貸付を行います。
農業者への支援には地域ぐるみの対策が必要です。被害のあった農地等を復旧し、再び農業に従事できるよう、地域農業再生プランづくりへの支援や、高齢者や女性等がつくる農業者団体が復興をめざす地産地消などの取り組みを進めます。
復旧農地の遊休化を防ぐため、集落営農組織等による経営規模の拡大に対して支援するとともに、豊かな村づくり資金について融資額の拡充や利子補給などを行います。
二次災害を防止し、森林の水源涵養機能を保全するため、風倒木の処理を促進するとともに、漁港や漁場に漂着した流木等の処理を実施します。
被災を受けた農地、河川等公共施設、県有施設等の災害復旧については、国庫補助事業による復旧に加え、国庫補助事業で対応できないものについては、単独事業によりきめ細やかに早期復旧に努めるとともに、河川の障害となる堆積土砂や流木等を除去します。
 
以上、補正予算の主なものについて申し上げましたが、その規模は、一般会計で580億
1,000万円の増額、特別会計で196億3,400万円の増額となります。
これらの財源といたしましては、国庫支出金、県債に加え、財政基金及び、災害に係る特別交付税を充当することといたしました。
 
次に、平成15年度の歳入歳出決算認定の件です。
平成15年度決算は、
一般会計で、歳入2兆564億7,800万円余、歳出2兆517億400万円余、
特別会計で、歳入1兆1,338億2,700万円余、歳出1兆1,257億8,800万円余
となりました。
平成15年度は、県税収入が昭和62年度以来16年ぶりに5,000億円を下回る厳しい財政環境にありましたが、行財政構造改革の中間年として推進方策の総点検を行い、さらなる改革に向けて取り組む一方、県民生活の安定、未来への期待など4つの柱を基調に諸施策を推進するとともに、緊急経済・雇用対策、高病原性鳥インフルエンザ対策など、当面の諸課題にも機動的に対応してきました。
この結果、平成15年度の一般会計決算額は、実質収支で引き続き黒字を確保できたものの、黒字額は平成6年度についで低い水準となりました。
この決算については、かねて、監査委員の審査に付していましたが、このたび審査意見書の提出がありましたので、今回認定を求めるものです。
 
条例案件は、南あわじ市の設置に伴い、福祉に関する事務所の設置など所要の改正を行う条例制定の件等6件です。
事件決議案件は、宍粟市及び香美町の廃置分合の件等15件です。
以上で提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

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