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本日、第295回兵庫県議会の開会にあたり、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告をします。
平成20年度は、「兵庫の再生元年」。本年2月に策定した第1次新行革プランに基づき、平成20年度当初予算を編成し、本庁組織、定員・給与、事務事業、投資事業にわたる改革に着手しました。
現在、県民局をはじめとする地方機関の再編や試験研究機関の見直し、公社等外郭団体の改革など、残された課題について、検討を進めています。今後、早期に第2次案として取りまとめ、県議会をはじめ、市町、県民の皆様からのご意見をいただき、本年度上半期には新行革プラン全体として最終決定します。
こうした改革を着実に実行していくためには、職員一人ひとりが県民のために発想し、主体的に行動することが基本です。このため、4月に事務改善等推進本部を設置し、仕事の仕方の見直しに取り組んでいます。今後とも、県議会や県民の皆様のご理解をいただきながら、改革を推進します。
5月2日のミャンマーへのサイクロン上陸に続き、5月12日には、中国四川省における大地震発生と、大規模な自然災害が続出しました。心からのお見舞いと早急な復旧復興をお祈りします。
早速、本県として、両国に見舞金を贈呈するとともに、中国には緊急物資として、毛布1,000枚及びテント200張りを送りました。そして、両国への義援金の募集も開始しました。またJICA国際緊急援助隊医療チームのメンバーとして、災害医療センター及び県立大学看護学部の看護師を中国へ派遣しました。
阪神・淡路大震災の経験や教訓を活かし、海外の大規模自然災害からの復旧・復興に貢献していくことは、本県の責務です。私たちの復旧・復興過程における経験や教訓を、中国の被災地の再建に活かすことができるのではないかと考えています。そのため、行政のみならず大学や研究機関、国際支援団体など関係機関と協力し、中国側の要請に積極的に応えていく体制を整えます。
今後とも、両被災地の的確な情報収集を行い、必要な支援活動を行っていきます。
今年も、まもなく増水期を迎えます。表六甲地区や加古川、武庫川など3地区29流域において、自然環境や土地利用状況などを踏まえた治山・治水アクションプログラムを作成し、ハード・ソフト両面から総合的な防災・減災対策を推進します。
中国産冷凍餃子が原因と思われる健康被害や、清涼飲料水への異物混入など、今年に入り、食の安全・安心に係わる事件が続いています。
このため、その都度、県内の食品関連施設における衛生管理状況等の調査を行い、製造から流通販売過程での食品自体に何ら問題がないことを確認しています。今後とも、食品の製造段階はもとより、流通・販売段階での商品管理を含めた、流通過程全般にわたる食の安全確保に取り組みます。
本年4月に韓国で高病原性鳥インフルエンザが発生し、国内においても秋田県及び北海道で白鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が確認されました。
既に、渡り鳥の飛来時期を過ぎており、本県に影響する可能性は低いと考えられますが、養鶏農場に対する注意喚起や巡回指導、事前予防として養鶏農場及び鶏舎周囲への消石灰の散布消毒を実施しました。
今後も引き続き、巡回指導や研修会実施などの発生予防対策や、モニタリング検査などの監視対策を行うことにより、発生防止に努めます。
硫化水素による自殺が全国で多発しています。本県でも今年に入り、硫化水素を用いた自殺が既に16件(5月末日現在)発生し、最近ますます増加の傾向を見せています。
平成18年から兵庫県自殺対策センターを設置し、自殺予防に取り組んでいますが、硫化水素による自殺の多発を受け、5月1日に薬種商協会などに注意喚起を依頼するほか、県民向けの緊急メッセージとして、ひとりで悩まず、各種相談窓口に連絡するよう呼びかけを行いました。
引き続き、関係機関との連携のもと自殺予防対策に努めます。
さる3月5日明石海峡で発生した船舶衝突事故から3か月が経過しました。少量ですが沈没船体からの油流出は、現在も続いています。すでに、関係大臣や船舶所有者等に速やかに油流出の防止措置をとるよう申し入れるとともに、県としても、海上や港湾等における油の防除や、流出油の監視・防除活動、水質調査、定点監視調査等により、漁業への影響把握や被害防除対策に取り組んでいます。現在のところ、油分等の検出はありません。
一方、漁業被害の総額は52億円を超えるなど、ノリ養殖業をはじめ、今後の本県漁業への影響が懸念されています。豊かな海づくり資金の貸付枠の拡充や貸付利率の無利子化により、漁業経営の安定化への支援を行ってきました。さらに、被災漁業者に対し長期低利の借換資金枠を確保し、利子負担の軽減を行うこととし、今月2日から受付を始めました。今後も被害状況を注視しながら、対応に万全を期していきます。
「気候変動」、「生物多様性」、「3R」をテーマとして、G8環境大臣会合が、5月24日から26日の3日間、19ヶ国、8国際機関の参加により、神戸で開催されました。北海道洞爺湖サミットにおいて、温室効果ガス削減の長期目標に関して共有できるビジョンを合意することについて強い意思が表明されるとともに、サミット後も継続して主要国が協議する場として「神戸イニシアチブ」の設立が合意されました。
また、会合を契機に、本県が進めてきた地球温暖化対策、コウノトリ野生復帰などの自然再生や環境学習などの取組みを、国内外に発信するとともに、環境保全に関わる人々や団体、特に次代を担う子どもたちの交流が図られ、今後の取組みへの大きなステップとなりました。
地球温暖化防止については、本県では、昨年度から「止めよう温暖化! ~ひょうごから あなたから~」をキャッチフレーズに、一大キャンペーンを展開しています。本年度も引き続き、産業部門では、大口事業所に対し、更なる排出量の削減目標の強化を指導するとともに、民生部門では、協定締結店と連携した省エネ家電の導入促進や、マイバッグの普及促進とレジ袋の削減等に取り組みます。
さらに、グリーンエネルギーの導入促進、環境大臣会合を機に設置される「兵庫県環境適合型社会づくり推進会議」を中心とした運動展開などにより、県民、事業者、行政が一体となった環境適合型社会づくりを進めていきます。
自然の再生については、昨年度は、野生のコウノトリがふ化し、46年ぶりの巣立ちが現実のものとなりましたが、本年度も引き続き、5組のペアから産卵ふ化が確認され、8羽のヒナが育ち、そのうちの1羽が昨日巣立つなど、野生復帰が順調に進展しています。
今年3月に第2次発掘調査を終えた「丹波竜」については、まとまった肋骨や腰骨が発見され、今後、全身骨格が見つかる蓋然性が高まっており、進化の解明につながる世界的にも価値のあるものとなる可能性があります。
丹波市山南町の恐竜ラボや、三田市の「ひとはく恐竜ラボ」において、県民参加の剥離・クリーニング作業などを通じ、世紀の大発見を発見のままだけで終わらせることなく、学術的に解明するとともに、地域振興にも繋げていきます。
先月、若手医師の確保をめざして、県内外の医学生を対象に、県下の臨床研修病院の合同説明会を開催しました。県医師会ドクターバンクとの連携によるへき地医療への診療支援や女性医師の再就業の支援などにより、引き続き医師確保に取り組みます。
また、今年度から、後期研修病院が優秀な指導医を配置し、研修医の確保と医師不足地域への派遣を行う取組みを支援するほか、開業医、勤務医等を対象にした総合医育成研修事業の実施などにより、医師の偏在是正に努めます。
本年4月、阪神北圏域3市1町や地元医師会とともに、「阪神北広域こども急病センター」が開設されました。地域の安全安心の拠点として、大きな期待を集めています。また、総合リハビリテーションセンター内に、病棟、療護施設、学習棟が一体となった「ひょうごこどもリハビリセンター」を開設し、肢体不自由児の医療と福祉サービスの充実を図るとともに、小児の睡眠障害等新たな分野の小児リハビリにも取り組んでいます。
存続が課題となっていた兵庫医科大学篠山病院について、引き続き運営継続される方針が決定され、これまで同様、篠山地区の地域医療の確保が図られることとなりました。県としては、特別講座の設置など、篠山病院の運営に対して、篠山市とともに、支援を行うこととしました。
本年4月からスタートした後期高齢者医療(長寿医療)制度については、制度の早期定着と安定した運営のため、周知活動の強化や保険料負担者の見直し、保険料軽減にかかる国の財政負担などについて、国に提言していきます。また、制度実施主体である広域連合に対して、市町とともに円滑な運営に向けた支援を引き続き行います。
家庭力の再生の取組みとして、地域団体・NPOや企業等、624団体からなる「ひょうご家庭応援ネットワーク会議」が中心となって、「家族の日」キャンペーンの実施など「ひょうご家庭応援県民運動」を推進しています。県としても、「ひょうご家庭応援プログラム2008」にもとづく多様な家庭応援施策を、引き続き展開していきます。
本県の経済は、設備投資や輸出などが増加を続け、個人消費も底堅く推移するなど、緩やかに拡大していますが、世界的な原材料高などの影響や住宅着工の減少など、先行き不安なしとしません。
特に、原油価格や原材料費の高騰などにより、中小企業を取り巻く経営環境など、懸念すべき点もみられます。このため、特別金融相談窓口を設置するほか、セーフティネット保証を活用した経営円滑化貸付など、中小企業制度融資の利用を促進しています。
また、道路特定財源の暫定税率の失効・復元に伴う軽油等の中小販売業者への影響対策として、制度融資を準備するとともに、石油関係団体に対して混乱防止を要請しました。幸い、大きな混乱はありませんでした。
企業誘致は、大企業の工場立地が決定するなど、引き続き好調を維持していますが、これを地域活力につなげるため、ものづくりの技術力強化や取引拡大などに積極的な支援を行っています。今後も、産業集積条例の活用等により、特に但馬・丹波・淡路地域への立地を促進するなど、県内全域へのバランスの取れた企業誘致に取り組みます。
雇用対策としては、団塊世代の大量退職などに伴い、人材確保が困難となっている中小企業を支援するため、県外で合同企業説明会を開催するほか、労働力が相対的に不足している但馬、丹波、淡路地域において「ふるさと人材確保ネットワーク」を構築し、若年労働力の定着促進を図ります。
兵庫経済の持続的な成長と多様で安定した雇用就業の実現を図るため、今年度からスタートした「ひょうご経済・雇用活性化プログラム」を着実に推進し、震災で失われた経済ポテンシャルを回復し、経済規模を平成22年度末までには17年度の1.2倍にすることをめざします。
姫路菓子博2008については、多数の皆様のご来場と関係者のご協力に感謝します。おかげを持ちまして、入場者数は、当初目標の50万人を大きく上回る92万2千人にのぼり、これまで開催された菓子博の中では、実質最大規模となりました。
待ち時間が長すぎるなど、いくつかの課題があったことは反省点ですが、菓子産業の高い技術を発信できたことなど、総じて成功に終わったものと考えます。
来年4月から6月、JRグループと共同して「あいたい兵庫デスティネーションキャンペーン」を展開します。さる5月12日から14日に、その実施に向けた「全国宣伝販売促進会議」を神戸で開催しました。地元市町、観光関連団体等が、全国の旅行業者・出版業者等へ多様な観光資源・まち歩きルート・イベント・名産品等のPRを行いました。
姫路菓子博の成果を、このキャンペーンにつなげていくとともに、さらなる誘客宣伝活動を展開して、兵庫を全国にアピールし、明石海峡大橋などの「世界一・日本一」、灘や豊岡などの「ものづくり」をはじめ、「歴史・文化」、「学び・体験」、「自然・風景」など、多彩な地域資源を活かした交流人口の拡大を図ります。
あわせて、このたび創設されたふるさと寄附金税制については、ひょうごへの寄附を呼びかけていくためにも、「元気で安全・安心な兵庫」の魅力を全国に発信する「ひょうごイメージアップ作戦」を展開します。
本年は、日本人がブラジルへ移住して100周年となる記念すべき年です。さる4月28日に皇太子殿下とブラジルからの慶祝団をお迎えし、日伯交流年・ブラジル移住100周年を記念する式典を兵庫県公館で開催いたしました。
また、今月下旬には、姉妹提携しているパラナ州やサンパウロで開催される記念式典に、県民から組織された交流団とともに参加し、パラナ州及び現地日系人社会・兵庫県人会等との交流と相互理解を一層進め、成長著しいブラジルとのつながりを深めます。
あわせてブラジル出張の途上、アラブ首長国連邦を訪問し、医療・教育・経済など様々な分野での協力・交流関係を構築するとともに、兵庫経済のアピールを行い、今後の投資・貿易交流推進の契機を創出します。
今月9日、国連世界観光機関が、各国の観光政策に関して意見交換し、世界の観光振興を図るため、神戸で開催する「大都市観光国際会議」を支援します。兵庫のイメージを発信する機会としていきます。
10月には、太平洋地域の国々の研究者をメンバーとする「東方地域都市計画住宅機構」等との共催で、「EAROPH姫路・兵庫世界大会2008」を姫路市及び淡路市で開催します。「住宅・都市文化の継承と持続性」をテーマとして、各国・各地域の事例に基づき、歴史・文化や災害・防災・復興について議論を行い、国際的なネットワークの形成を図ります。
先月、大阪国際空港の新たな位置付けに関する国と地元自治体との意見交換会が開催され、本県から、国に対して、大阪国際空港の運用制限の緩和、空港周辺の整備、関西3空港の連携強化を要請しました。今後とも、地元自治体の意向が反映されるよう、求めていきます。
関西国際空港では、第2滑走路供用の効果もあり、昨年度の国際線発着回数が過去最高を記録しました。今年度は、国際貨物地区の整備など、2期事業の着実な推進を期待します。
また、神戸空港については、利用旅客者数が昨年度は対前年度比23.4万人増の297.2万人となるなど、開港以後着実に増えており、秋には熊本線の復活も決定しています。
本県として、これら3空港が1つの国際・国内空港として兵庫・関西の発展に貢献するよう、相互の連携強化や利用促進に、引き続き取り組みます。
道路特定財源については、4月に暫定税率が失効し、5月に復元されました。これにあわせ、一般財源化が決定されました。国と異なり、地方では道路予算の約6割を一般財源と借入金で賄っているのが実態です。地方の道路整備の必要性、地方財政の危機的な状況を十分に踏まえ、これまで以上の地方道路整備財源確保のための「地方枠」の設定や、暫定税率失効期間中の減収に対する特例交付金など一般財源による速やかな補填措置を求めていきます。
5月28日、地方分権改革推進委員会の第1次勧告がとりまとめられました。「地域再生に寄与する改革」をめざし、重点行政分野における国から地方への権限移譲や国の関与の廃止など、地方の考え方に合致したものと評価しています。今後は、政府においてこの勧告を最大限尊重し、速やかに実行に移すよう期待します。
また、直轄国道や一級河川の直轄区間の管理権限の移譲など、国から地方への権限移譲に当たっては、これに伴い必要となる財源等を確実に移譲するとともに、国・都道府県・市町村の役割分担を踏まえ、国から都道府県への、都道府県から市町村への権限移譲を一体的に行うよう求めます。
さらに、第2次以降の勧告には、国の地方支分部局の徹底的な見直しや分権型社会にふさわしい地方税財政基盤の構築に向けた具体的な内容が盛り込まれるよう期待します。
あわせて、地方消費税の充実など偏在性が少なく安定的な地方税体系の構築、地方交付税の復元・充実による財源保障・財源調整の両機能の堅持など地方財源の充実強化について、全国知事会等と一体となって、国に対して具体的な提案を行い、その実現を強く求めていきます。
一方、関西から地方主体の分権を進めるため、関西広域機構において、「関西広域連合(仮称)」の設置に向けた検討が積み重ねられています。7月末に予定されている会議では、事業計画、組織、予算等を含め、新しい広域自治体の姿を明らかにする最終骨格案についての基本合意をめざします。
また、先月、本県と京都府及び大阪府の3府県知事会議を県公館で開催し、府県境を越えた政策課題についての意見交換を行いました。子育て支援キャンペーン、環境エコポイント制度、都市農村交流の3つの事業について合同プロジェクトチームを設け、検討を進めていくことに合意しました。
あわせて、東京一極集中構造の是正、アジアとの交流・連携拠点の形成、関西元気文化圏の推進をめざし、関西の自立と再生に取り組むことを宣言しました。
過日出納を閉鎖し、現在、集計整理している段階であり、未だその詳細が明らかではありませんが、一般会計の実質収支はかろうじて黒字を確保できるものの、その黒字幅は平成18年度決算を更に下回り、昭和52年度以降最小となると見込まれます。
提出議案の概要について、説明します。
まず、条例案件は、
「ふるさとひょうご」を応援するための寄附金を活用し、兵庫の地域づくりに資するため、基金の設置を行うふるさとひょうご寄附基金条例制定の件等8件です。
次に、事件決議案件は、
尼崎市の中核市指定に係る申出について同意する件等2件です。
最後に、専決処分承認案件は、
地方税法の一部改正に伴い県税条例の一部を改正する条例制定について承認を求める件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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