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第299回兵庫県議会の開会にあたり、議員の皆様のご健勝を心からお喜びし、日頃のご精励に敬意を表します。
まず、平成21年度予算案の概要の説明に先立ち、県政の基本的取組について説明します。
東西冷戦の終結から20年が経ち、アメリカを中心とした国際的な政治経済の枠組みが大きく揺らいできました。サブプライムローン問題に端を発する金融危機は、世界を同時不況に巻き込み、テロリズムや地域紛争は、止むどころか多発化の様相を呈しています。
行き過ぎた市場原理主義のもと、個々の利益追求を第一とする考え方は、日々の暮らしとかけ離れた投機資金の拡大となってバブル経済を招きました。ともすれば強者こそが正義と受け取れるような力による統治手法は、国家や民族の間での不信感を拡大させてしまったのではないでしょうか。
世界は今、経済と国際政治の両面で、アメリカ一極構造から、それぞれの国や地域が個性を尊重し合い、連帯する多極構造へと模索を始めています。
国内では、命と生活の基本である食の安全を脅かす事件や身勝手で理不尽な犯罪の増加などを見るとき、私たち自身がいつの間にか利益優先主義、自己中心主義の利己的な振る舞いに陥り、また、企業の業績悪化を背景とした深刻な雇用不安や年金をはじめとする社会保障への不信感が広がるなど、日本社会の基底であった信頼と安心が大きく揺らいでいます。
わが国は、戦後、民主化と経済成長という目標のもと、国民全体が一つになって、自由で豊かな社会をめざしてきました。
しかし一方で、個人の自由を尊重するあまり、誤った権利意識による自己中心的な価値観や、競争原理を絶対視し、一人勝者になることを誇るような風潮が、お互いの信頼関係や連帯意識の希薄化を招いてしまったのではないでしょうか。
社会を支える人と人とのきずな、他者への思いやりのこころは、私たち人間が最も大切にしなければならない基本であり、それは、家庭や地域における豊かな人間関係のなかで育まれるものです。社会との関係をうまく築くことができない子どもたちの増加は、自己の確立と人間関係をつくる家庭や地域の機能が低下していることの表れではないかと懸念されます。
また、経済の拡大や社会の成長に最適であった、効率性と画一性を重視する社会経済システムは、今や、人、物、資金、情報の東京一極構造を固定化し、わが国全体の活力低下をもたらしています。
多様性や個性を重視する成熟社会を迎えた今、人や地域がそれぞれの個性を認め合い、連帯しながら、自分にふさわしい生活ができる共生型の社会構造が求められています。
そのためにも、画一的で硬直的な中央集権体制から、地方の自己決定、自己責任が貫ける、機動性と柔軟性に富んだ分散分権体制への転換を加速しなければなりません。
広大な県土を有し、日本の縮図と言われる兵庫は、神戸阪神、丹波、但馬、播磨、淡路の五つの地域の個性を発揮しながら、一体となって発展してきました。そして、未曾有の大震災から、ともに力を合わせて、支え合いながら創造的復興を成し遂げてきた経験は、どのような困難も克服できる底力となって、兵庫の明日をつくってくれるはずです。
兵庫のもつ多様性と個性、人と人、地域と地域のきずな、これこそが、今日の閉塞感を打ち破り、兵庫を再び元気にする再生力ではないでしょうか。今こそ、この力を結集して、主体性と責任感をもって行動する人々が連帯してつくる多様な共生社会を築いていくときです。
兵庫では、かねてより、生活の科学化や生活の文化化、生活創造を推進し、さまざまな県民主体の政策を展開して、県民生活重視の先進的な県政を推進してきました。そして、大震災からの創造的復興の経験や教訓を原点として、地域社会の共同利益の実現と県行政の推進の両面で、県民の参画と協働を基本姿勢とする県政を進めてきました。
このような兵庫だからこそ、県民主役の地域づくりを進め、わが国の成熟社会を先導していかなければなりません。
これからの数年間、厳しい経済環境は避けられません。しかし半面、この苦境は新しい時代に備える好機ととらえることもできます。明日の新たな飛躍に向けて、兵庫の底力を発揮し、未来への投資を進めていこうではありませんか。
世界同時不況が進行するなか、本県の経済雇用情勢もますます厳しさを増しています。
本県では、昨年9月の緊急措置に始まり、去る1月30日の臨時議会で議決いただいた追加補正予算による対策まで、4度にわたる対策を講じ、緊急の経済対策と雇用の安定を図っています。新年度においても、引き続き、経済雇用対策を最優先課題として、中小企業の資金繰り対策をはじめ、本県としてとりうる対策を適時、適切に実行し、県民生活の安定をめざします。
本格的な地方分権への流れのなかで、成熟社会の多様な県民の要請に的確に対応できる持続可能な行財政構造を確立しなくてはなりません。
新年度は、昨年の9月議会で議決いただいた新行財政構造改革推進方策が実質的にスタートする年です。経済環境の急変による税収の減少や緊急経済雇用対策などに伴い、将来負担のさらなる増嵩が見込まれますが、県民生活への支障をできるだけ最小限に抑えながら、大震災の復旧復興の過程で生じた大きな債務を解消していくという基本方針を堅持し、平成30年度の目標達成に向けて、全力で臨みます。
平成13年に県民の皆さんとともに策定した21世紀兵庫長期ビジョンが中間年を経過しようとしています。これまでの8年間、創造的市民社会、環境優先社会、しごと活性社会、多彩な交流社会という4つの社会像の実現をめざし、コミュニティで支える安全安心の基盤の構築、自然再生で培った環境の創造、先端科学技術が先導する産業成長力の育成、地域個性を生かした交流の活性化などに取り組んできました。
このなかで、これからの新しい兵庫づくりに向けた課題も見えてきました。人口減少社会を目前に控え、これへの適切な対応です。総人口の減少という量的問題に加え、急速な少子化と高齢化の進展、地域間の人口偏在という質的な問題への対応が必要となっています。もうひとつは、地球時代における本県の役割です。世界中の地域と地域が直接繋がる時代を迎えました。世界同時不況をはじめ、地球温暖化や食糧危機等は本県に直接影響します。もともと世界に開かれた日本の窓として発展してきた本県だからこそ、地球的な視点で地域のあり方を考えなくてはなりません。このため、県民の参画と協働のもと、長期ビジョンを見直し、これらの課題への対応策を明らかにしていきます。
私たちは、新しい時代を切り拓く力を持たねばなりません。緊急経済雇用対策で足下の基盤を固め、新行革プランでしっかりとした県政の枠組みを構築し、そして、長期ビジョンの見直しで未来の兵庫づくりを共有する。これらの三つの取組を基調として、新年度は、
の五つの柱を基本に、再生兵庫への布石となる施策を展開します。
県政を取り巻く環境が厳しい時代だからこそ、引き続き、参画と協働を基本姿勢として、県民本位、生活重視、現場主義の県政を推進し、ふるさと兵庫を確かに再生していかなければなりません。
これより、新年度の重点施策について説明します。
第一は、活力を生む元気な兵庫づくりです。
わが国経済を取り巻く環境が厳しさを増すなか、本県でも、造船、タービンなど引き続き堅調な分野がある一方、自動車や家電関連を中心として受注が急減し、企業経営が圧迫されています。輸出の減少や在庫の拡大、新規求人の減少と事業主都合による離職者の増加など、経済雇用情勢は依然として深刻な状況にあり、先行きに予断を許しません。このため、昨年来の緊急対策に引き続き新年度も、切れ目のない対策を講じ、経済の早期安定と雇用の確保に全力を尽くします。
中小企業融資制度については、平成20年度に引き続き、過去最大の融資目標額5,000億円を確保し、運転資金である経営円滑化貸付の確保、返済期間を延長する借換貸付の充実などにより、企業の資金繰りを支援します。
このようなときこそ新たな展開への準備が不可欠です。生産ラインの見直しなど将来の成長に向けた積極的な設備投資を支援するため、3億円を限度とする設備更新貸付を創設するとともに、設備活性化貸付の融資利率の引き下げを行うほか、商工中金と連携した新たな貸付制度を開始します。
また、県内の有効需要を創出するため、厳しい財政事情のもとでも、年度末と年度初めの空白期間対策と22年度以降の投資事業の前倒しにより、1月補正と合わせて20年度当初予算並みの事業量を確保しました。工事の分離分割発注により、中小企業の受注機会も拡大します。
深刻な雇用不安に応えるため、「ひょうご・しごと情報広場」において、就職相談や職業紹介など総合的、一元的な就職支援を行うほか、国の交付金により造成した総額116億円の基金を活用し、今後3か年にわたって失業者等の雇用機会を創出します。人材確保が課題となっている農林水産業や福祉介護分野については、相談窓口の開設や就職説明会の開催、修学資金の創設、職業訓練の拡充などにより、新たな人材参入を促進します。
また、今年度、連帯保証人の必要がない緊急融資枠の創設等の拡充を行った離職者生活安定資金融資制度により、引き続き、離職者の生活の安定を図ります。
不況の中でも、環境やエネルギー分野では新たな需要が生まれています。この機会に次代を担う産業を育成し、新たな成長戦略を描かなくてはなりません。
大型放射光施設、X線自由電子レーザー、次世代スーパーコンピュータなど最先端の科学技術基盤の集積を生かし、幅広い関連産業への波及と大きな成長が期待されるナノ、情報通信・エレクトロニクス、健康・医療、環境・エネルギーなどを重点分野として、成長産業を育成します。
次世代スーパーコンピュータを新産業の創出に繋げる「高度計算科学研究支援センター(仮称)」の建設に着手するとともに、県立大学大学院の「先端計算科学研究科(仮称)」の開設準備を進めます。また、大型放射光施設の県専用ビームラインを活用し、県内企業における先端技術の実用化を促進します。将来のリーディング企業の創出をめざす新たな投資ファンドの組成にも着手します。
企業立地については、兵庫の地の利を生かし、ターゲットを明確にした誘致に努め、但馬、丹波、淡路地域などは人材確保対策を行いつつ、地域の特性を生かした戦略的な誘致活動を行い、産業集積条例も活用しながら県内投資を促進します。また、ひょうご情報公園都市に将来への布石として新たな産業用地を整備します。
ものづくり産業の技術力やブランド力を生かし、オンリーワン企業を創出する「一社逸品」戦略を展開します。
このため、工業技術センターやひょうご産業活性化センターによる異業種交流、技術・経営支援やブランド戦略の推進、人材育成支援に取り組みます。また、工業界、産業界の要望に応え工業技術センターの機能強化に向けた改築整備を進めます。
3月20日から、ものづくりの技を競う「全国技能グランプリ・兵庫」が始まります。職種、選手数とも過去最大規模となるこの大会を兵庫のものづくり力をさらに高める契機とします。
「ものづくり大学校(仮称)」は、平成23年の開校をめざし建設に着手し、先行事業として、企業在職者を対象とした技能向上訓練や技能伝承のための講座等を充実します。
播州織、淡路瓦など地場産業のブランド化に向けた技術課題の解決、販路開拓等を支援するほか、9月には、デザイン都市・神戸を舞台に高い感性の創造をめざす感性価値創造フェアを開催するとともに、ケミカルシューズ、神戸真珠などのファッション産業を全国に発信します。また、サイエンス映像などのデジタルコンテンツを作成する新たなサービス業の創出を支援します。
農業構造改革や国際化の進展など、農林水産業を取り巻く情勢変化に的確に対応し、安全安心と地域の元気を基本とする施策を総合的に展開します。
農業従事者の高齢化が進むなか、新たな担い手の不足による生産力の低下や農地の遊休地化が課題となっています。
このため、新たに「ひょうご就農支援センター(仮称)」を開設し、相談や実践研修などの支援を行い、幅広い年齢層の個人や企業の農業参入を促進します。地域のモデルとなる意欲ある新規就農者に対しては、機械貸与などにより円滑な営農開始を応援します。また、集落営農活性化塾によるリーダー育成などにより、集落営農の組織化、法人化等の取組を支援するほか、県産米粉の生産拡大など水田等の有効活用による食料自給力の向上と遊休農地の発生防止に努めます。
都市農業については、その振興方策や農地保全のあり方の検討を進めます。併せて、農業体験農園の開設等により住環境と調和のとれた振興を図るほか、気軽に楽農生活を実践できる市民農園や農産物直売施設の整備を進めます。
山田錦、淡路島たまねぎ、神戸ビーフ、兵庫ノリ、松葉ガニなど全国に名を馳せる産地ブランドに加え、新たな産品のブランド化をめざし、新規産品の育成やひょうご食品認証制度の活用などによる販路拡大を進めます。また、有機栽培や減農薬栽培等の普及など、環境創造型農業の推進により、ひょうご安心ブランド農産物の生産を拡大します。
林業については、成熟化が進む人工林の有効活用を図るため、平成22年度に稼働予定の県産木材供給センターへの原木の供給をはじめ、県産木材を利用した住宅建設への支援、小中学校への木製机等の導入など消費拡大にも取り組み、資源循環型林業の構築をめざします。
シカによる深刻な農林業被害を軽減するため、年間捕獲目標を2万頭に拡大し、狩猟規制の緩和や捕獲方法の改良、特別捕獲班の編成などに取り組むとともに、シカ肉の活用や防護柵の設置などの対策を強化します。また、アライグマやヌートリアなど外来生物対策も行います。
明石海峡船舶事故やノリの色落ちなどにより被害を受けた漁業者への支援を継続するほか、播磨灘での第2の鹿ノ瀬構想の推進や日本海での漁場整備、新しい漁業調査船の建造など、資源培養型水産業を振興します。
人の活力こそが兵庫の活力をつくります。兵庫を担う人づくりは未来への投資です。
教育基本法の改正等により、教育行政の枠組みが大きく変化しました。学校教育から家庭教育など教育全般の枠組みをつくる「ひょうご教育創造プラン(仮称)」を策定し、兵庫らしい教育をさらに充実します。
義務教育期間中に、基礎学力をしっかりと身につけなければなりません。このため、小中学校の朝学習等により学ぶ習慣の定着を図るほか、経験豊富な退職教員の模範授業等を通じた教員の指導力向上などに取り組みます。
また、小学校高学年において、国語と算数の教科担任制と算数や理科などの少人数学習を組み合わせた「兵庫型教科担任制」を導入することとし、まずはこれに向けた実践研究を行います。理科の観察、実験活動の指導や外国語活動の必修化に対応する教員研修等を充実します。
基礎体力の向上をめざし、小中学生の体力、運動能力の向上を図る「運動プログラム」を作成し、実践推進校によるモデル実施等を通じて普及を図ります。
県立高等学校では、学校ごとの特色ある学力向上プランを策定し実践します。また、厳しい経済状況に鑑み、経済的な理由で修学が困難な遠距離通学生への交通費貸与制度を設けます。
自然との触れ合いを通じて、命の大切さを学び、生きる力を育む小学3年生の環境体験事業を新年度からすべての公立小学校で展開し、5年生の自然学校、中学1年生のわくわくオーケストラ教室、2年生のトライやる・ウィーク、高校生の地域貢献や就業体験事業と併せ、児童生徒の発達段階に応じた体系的な体験活動を推進します。思いやりの心や規範意識を育む道徳教育の充実に向けて、副読本作成の検討などに取り組みます。
県立大学については、姫路新在家キャンパスに健康増進や疾病予防に貢献できる管理栄養士を養成する「食環境栄養課程」を設置するほか、県立淡路景観園芸学校に、全国初の農学・環境系の専門職大学院となる「緑環境景観マネジメント研究科」を開設します。また、明石キャンパスで、助産師の活用と能力向上をめざす「バースセンター構想」を推進するほか、神戸学園都市キャンパスでの経営専門職大学院の22年4月開設に向けた準備、播磨科学公園都市キャンパスでの中型放射光施設ニュースバルの産業利用やグローバルCOEプログラムの推進、姫路書写キャンパスでの産学連携共同実験棟を活用した起業支援の取組など、全学で高度な研究を進めます。
少子化に歯止めをかけ、地域の活力を生み出すため、働く世代のだれもが安心して子どもを生み育てることができる、仕事と生活が調和する社会を構築しなければなりません。
勤労世帯等の多様な保育需要に応え、事業所内保育施設の整備支援を拡充するほか、私立の幼稚園や保育所が多くの子どもたちを柔軟に受け入れられるよう、安心こども基金の活用や県単独支援措置により「認定こども園」の整備を促進します。病児や病後児を保育できる体制づくりも進めます。
放課後の子どもの居場所をつくる「ひょうご放課後プラン事業」については、すべての小学校区での開設をめざし、順次拡充します。
また、仕事と生活の調和を推進する支援拠点として「ひょうご仕事と生活センター(仮称)」を設置し、女性の再雇用支援、企業での取組に対する相談員の派遣、先進企業の顕彰、ワンストップ相談や情報誌の発行など、企業と働く者の新しい関係づくりを進めます。
子育てや出産の経済的負担を軽減するため、第3子以降の幼稚園や保育所の保育料を助成するほか、妊婦健診について、5回分までの県単独支援に加え、国の支援措置に県の2年間の誘導措置を講じ、14回すべての健診の無料化に向けた市町の取組を促します。
小学4年生から中学3年生までの入院医療を支援するこども医療費助成制度の22年度導入に向けた準備を整えます。
毎日の子育てに悩む親たちの不安解消に向け、保育所や幼稚園で、子どもを預けながら自己学習や個別相談を受けることができる乳幼児子育て応援事業を拡充します。
重点施策の第二は、質の高い生活をめざす兵庫づくりです。
昨年12月に策定した「第3次兵庫県環境基本計画」に基づき、次世代に継承する環境適合型社会の実現をめざします。
温暖化対策については、本県の温室効果ガス排出量の7割近くを占める産業部門でさらなる削減を進めるため、大規模事業者の支援を受けて中小事業者が削減した排出量をその大規模事業者の削減分と見なすCO2削減協力事業を試行的に実施します。
排出量が増加傾向にある民生部門については、削減しきれない排出分を太陽光発電や森林保全への協力などの代替措置で埋め合わせるCO2排出量相殺(カーボン・オフセット)制度を推進します。
遊休農地等を活用したバイオマスエネルギー資源作物の栽培や燃料製造への支援、人工衛星を活用したゴミの不法投棄の監視などにも取り組みます。
都市から農山漁村、平地から山、川、海など、兵庫の多様な県土には、さまざまな生態系があります。地球上に生きるすべての生物はまさに地球上の仲間なのです。昨年開催されたG8環境大臣会合でも生物多様性の保全が目標とされました。
このため、今年度中に「生物多様性ひょうご戦略」を策定し、新年度には貴重種だけでなく地域の特色ある生物や生態系も対象とした新たなレッドデータブックの作成に着手します。
瀬戸内海を豊かで美しい里海として再生するための新たな法整備をめざします。干潟などの劣化が進んできた播磨灘西部において、自然再生を中心とした里海づくりをモデル的に推進します。
中心市街地の活性化を図るため、商店の事業継承や新規出店、空き店舗の利活用を支援し、魅力のある商業集積の維持、発展をめざすとともに、商圏特性や地域資源の分析など商店街の再生をかけた戦略づくりや元気づくりイベントの開催などを応援します。
郊外の沿道サービス施設の無秩序な立地を抑制します。このため、国道176号をモデル路線として、丹波地域の自然や田園景観と調和した沿道風景を守る広域沿道土地利用計画を策定します。県民緑税を活用した緑化活動支援など都市緑化も推進します。
また、明石公園野球場での移動式照明施設の導入検討など、利用者ニーズを踏まえた県立公園の機能の充実を図ります。
芸術文化が県民の暮らしに息づく「芸術文化立県ひょうご」をめざし、多彩な芸術文化事業を展開します。
芸術文化センターでは、芸術監督プロデュースオペラ「カルメン」など自主制作公演や附属管弦楽団による定期演奏会、ピッコロ劇団による公演などの普及事業に取り組みます。
県立美術館では、「ピカソとクレーの生きた時代」展などの特別展を開催するほか、アウトリーチ活動、文化セミナーなどを通じて、多くの皆さんの来館を呼びかけます。
兵庫陶芸美術館では、特別展「九州古陶磁の精華-田中丸コレクションのすべて」や所蔵品を展示するテーマ展を開催するなど、陶芸文化の裾野の拡大をめざします。
歴史博物館の「沖縄・琉球王国の美」展、考古博物館の「王朝国家の光芒」展など特色ある事業を展開します。
このほか、県民が能楽や邦楽などの伝統文化に親しむ機会の提供や、神戸ビエンナーレ2009など地域の特色ある芸術文化活動の促進などにより、県民文化の裾野を広げます。
県民一人ひとりがスポーツに参加できる環境づくりに向けて、各小学校区に設立された「スポーツクラブ21ひょうご」の運営支援を行うほか、県民のスポーツへの関心を高めるための取組を展開し、生涯スポーツの振興を図ります。
競技スポーツについては、のじぎく兵庫国体で高められた競技力の継続と発展をめざし、次世代を担うジュニア選手の発掘と育成、指導者の養成など、長期的展望に立った取組を進めるほか、神戸の市街地を走るフルマラソン大会の実現に向けた検討に着手します。昨日から冬の国体スキー競技が始まりました。今年も8位以内の入賞をめざし、兵庫県選手団の活躍を期待します。
また、障害者の健康増進と自己実現を促すため、県民だれもが参加できる「障害者スポーツフェスティバル」を開催します。
重点施策の第三は、交流と連携を進める兵庫づくりです。
五つの国に広がる多彩な文化や歴史、自然を生かし、地域の個性と魅力を発信して、交流の拡大をめざします。
兵庫県発祥の地である兵庫運河周辺を舞台とする初代県庁舎の復元、森と水と人が共生する環境創造のまちをめざす「尼崎21世紀の森づくり」、里山を空間博物館として活用する「北摂・里山博物館プロジェクト」、水辺の地域づくり活動「いなみ野ため池ミュージアム」、音水湖を拠点とするカヌーによる地域づくり、丹波の恐竜・ほ乳類化石を生かした地域活性化など、地域の個性を生かすプロジェクトを推進します。
また、地域間交流の拡大をめざし、明延・神子畑・生野を繋ぐ「鉱石の道」や生野鉱山と飾磨港を結ぶ「銀の馬車道プロジェクト」、特産品の魅力を交流に生かす「北はりま交流拠点」推進事業などを実施するほか、淡路花博から10年を迎える平成22年春に淡路を舞台に開催する花の祭典やコウノトリの郷公園開園10周年記念事業などへの多くの方々の来訪を期待します。
人口減少社会が到来するなか、豊かな県土空間を活用し、地域の個性と魅力を生かして地域を越えた交流を広げていくことが必要です。
兵庫の県土は、美しい自然に恵まれた多自然居住地域を有していますが、この県土を守ってきた集落では人口減少や高齢化が進み、手入れが十分に行き届かない農地や森林などが発生しつつあります。
こうした多自然居住地域を、安心して暮らせる生活空間として維持、再生しつつ、地域の個性と魅力を引き出し交流を広げることで、多自然居住地域の活性化と都市住民の新しい暮らしの創造に繋げていかなければなりません。
新年度から、県土空間を活用した地域活性化に取り組むモデル地域を選定し、住民主体による計画づくりを行い、交流拠点や市民農園の整備など地域振興事業を位置づけ、地域活性化のための新たな仕組みを検討する「県土空間活用モデル事業」を推進します。
「小規模集落元気作戦」については、対象地区を拡大するほか、都市パートナーとの交流を育みながら、古民家や廃校を利用した交流拠点づくりや特産品の開発と直売施設の整備など本格的な交流に向けた取組を支援します。
また、平成23年7月の地上デジタル放送への完全移行に向けた対策として、辺地共聴施設のデジタル改修や新設を支援するとともに、小規模集落等へのケーブルテレビのエリア拡大に取り組む市町への支援を行うなど、円滑な受信環境整備を促進します。
昨年10月からプレキャンペーンを展開してきた「あいたい兵庫デスティネーションキャンペーン」が、4月から本番を迎えます。書写山圓教寺での一日修行体験や丹波焼窯元での陶芸体験などの体験参加型イベント、地元ガイドが案内する「ひょうごのまち歩き」などで来訪者をもてなすほか、ひょうごツーリズムバスに新たな特別枠を確保し、誘客の拡大を図ります。
平成22年度には、このキャンペーンの成果を継承した新たな観光キャンペーンを実施します。22年5月から開催される上海万博には、大阪府など関西の自治体と協力して出展し、兵庫の魅力を紹介します。
国際交流については、ハバロフスク地方との友好提携40周年やワシントン州姉妹提携45周年を機に、行政、県民、ビジネスなどさまざまな分野における交流を展開します。
6月に開館する海外移住と文化の交流センターを拠点に、地域国際化セミナーや母語教育支援などを実施します。
県土の骨格となる高速道路網の早期形成に向け、平成22年3月に佐用から岡山県大原までの供用が始まる中国横断自動車道姫路鳥取線をはじめ、新名神高速道路、北近畿豊岡自動車道、鳥取豊岡宮津自動車道等の整備を促進します。
また、名神湾岸連絡線、大阪湾岸道路西伸部、播磨臨海地域道路の早期事業化に向けた取組を推進します。
JR姫新線の軌道改良や新型車両の導入により高速化と利便性向上を図るほか、山陰本線と播但線の定時性確保と神戸、浜坂間の所要時間の短縮のため、余部橋梁架替や信号施設等の改良を進めます。
北摂や丹波地域と神戸都心を結ぶ北神急行電鉄について、地域住民の利便性を確保するため、現行運賃の維持に向けた支援を行います。
関西3空港がそれぞれの機能を発揮しつつ、連携を強化するため、神戸空港の利用促進、大阪国際空港へのアクセス強化等に取り組むほか、羽田空港の拡張を契機に但馬、羽田直行便の就航をめざします。
開港50周年を迎える姫路港において、県民の港や海への関心と理解を深める記念事業を開催するとともに、さらなる利活用と機能強化をめざす整備利用計画を策定します。
快適で美しい水辺空間を創造する「高砂みなとまちづくり構想」や尼崎臨海部における運河再生プロジェクトを推進します。
重点施策の第四は、家庭と地域が支える兵庫づくりです。
震災直後の被災地には、全国から多くの方々が駆けつけてくれました。ボランティア元年と言われたこの時から、県内各地で、数多くのボランティア活動や地域づくり活動が芽生えています。この気運の高まりを応援するため、団塊世代の退職予定者や若者を対象に、地域づくり活動のきっかけとなる講座等を開催します。
こうした活動の担い手の育成に繋がる生涯学習については、高齢者はもとよりあらゆる世代の学習ニーズに対応するため、生きがい創造協会において、嬉野台生涯教育センターと生涯学習情報プラザ事業を一体運営するなど、生涯学習の支援機能を拡充します。また、いなみ野学園中教室の改築整備を進めるほか、阪神シニアカレッジに地域づくりを学ぶ新たな講座を設けるなど、多様な学習機会を提供します。
家庭の力を高めるため、県民一人ひとりが、家族や家庭の大切さを考え、地域ぐるみで家庭を支える「ひょうご家庭応援県民運動」を展開します。「家族の日」運動の普及により家族のきずなを深め、地域全体で多世代が支え合う地域三世代同居の実現をめざします。
子育て家庭を地域ぐるみで応援するため、まちの子育てひろばや子どもの冒険ひろば、ファミリーサポートセンター事業などに取り組むほか、開館20周年を迎える県立こどもの館で記念事業を開催します。
インターネット上に氾濫する有害情報や、不特定の異性を紹介する出会い喫茶の出現など青少年を取り巻く環境が悪化しています。このため、青少年愛護条例を改正し、有害情報を遮断するフィルタリングの利用や出会い喫茶営業の規制等により、青少年の被害の未然防止を図ります。
子どもの心身に深い傷を残す児童虐待を根絶しなければなりません。このため、児童虐待事例検証委員会の検証結果に基づき、川西こども家庭センターを西宮こども家庭センターから独立させ、困難事案への対応力を高めるとともに、児童の家庭復帰の適否を判断する第三者委員会を設置するなど、児童虐待防止体制を強化します。
また、24時間365日体制で、専門職員が地域や家庭からの相談に応じる児童家庭支援センターを増設します。
重点施策の第五は、安全安心をつくる兵庫づくりです。
医師不足の現状は依然として深刻であり、地域の医療体制を確保することが喫緊の課題です。
このため、専門医養成の後期研修を修了した医師等を県職員として採用し、地域の中核病院へ派遣するなど、医師の量的確保対策に取り組みます。
地域や診療科目の偏在があります。新たに神戸大学へ地域医療連携のあり方研究を委託し、県立柏原病院等での医療支援を行うほか、兵庫医大篠山病院への支援による地域医療体制の強化、へき地勤務医師を養成する修学資金貸与の対象者拡大、救急勤務医手当や分娩手当を支給する医療機関への支援などを行います。
県北部地域における救急搬送体制を強化するため、京都、鳥取両府県と共同して公立豊岡病院を基地とするドクターヘリを導入することとし、平成22年度の運行開始をめざします。
本年11月、県立加古川医療センターが診療を開始します。東播磨地域の三次救急医療の拠点として機能充実に努めるとともに、同センターを核とする健康の拠点づくりを検討します。なお、新病院開設に併せてアクセス道路となる東播磨南北道路の一部区間を供用します。
光風病院において、児童や思春期の精神疾患に対応した病棟を整備するほか、淡路地域の中核病院である淡路病院の移転整備、尼崎病院と塚口病院の統合再編の検討を進めます。
新型インフルエンザの大流行に備え、2次医療圏域ごとに対策会議を設置し、市町や医療機関等との連携を強化します。抗インフルエンザウイルス薬については、既備蓄分と合わせて全人口の45%相当量を確保するという国の方針のもと、本県でも、今後3年間で必要量を順次備蓄していきます。また、感染症防護服をはじめ必要な資機材等の整備を進めます。
がん検診の受診促進や拠点病院の機能強化などのがん対策、肝炎やエイズ対策についても万全を期します。
今年度から医療保険者に義務づけられた健康診査と保健指導の普及を図るほか、一人ひとりに合った「健康マイプラン100万人運動」を推進し、中高年齢者等の健康づくりを応援します。
病院から在宅療養への円滑な移行を図るための在宅ケア支援体制に加え、大幅な増加が見込まれる認知症高齢者への対応として、県内5圏域に認知症疾患に関する診断や専門医療相談を行う医療センターを設置し、医療と介護の効果的な連携体制を構築します。
障害者自立支援特別対策事業基金を活用し、引き続き、障害者自立支援法の施行に伴う新事業体系への移行や利用者負担の軽減を図るとともに、知的障害者が自立生活に向けた宿泊訓練を行うチャレンジホーム制度の創設や、但馬地域における発達障害者支援センター・ブランチの設置に取り組みます。また、県内6か所目となる障害者就業・生活支援センターを丹波地域に設置します。県庁舎の清掃業務等を障害者雇用に配慮した企業へ優先発注するなど、県としても、障害者の就労促進のための取組を率先します。
特別支援学校については、阪神地域と東播磨地域での新設校整備、のじぎく特別支援学校の増築など再編整備を進め、障害の重複化、多様化等に対応します。
このほか、福祉人材の育成と能力向上支援、精神保健福祉センターを拠点とした自殺予防対策の強化、無年金外国籍の高齢者、障害者に対する福祉給付金の拡充など、福祉の基盤づくりに努めます。
食品の偽装表示や振り込め詐欺、悪徳商法など、県民生活を脅かす事件が多発しています。このため、消費者の視点に立ち、消費者行政の総合調整と食の安全安心の確保に一体的に取り組む組織を整備するほか、地域における消費生活相談体制を強化します。
また、食品に関わる相談から、検査分析の実施と結果の啓発までを一元的に処理するため、健康環境科学研究センターの衛生部門と生活科学総合センターを統合し、健康生活科学研究所を設置します。
県版HACCP認定制度の普及を図るほか、食品の生産から販売に至る流通履歴を把握できる追跡システムの導入を促進するため、本県独自のガイドラインを作成します。
子どもや女性に対する犯罪等の増加に対応するため、警察本部に生活安全特別捜査隊を新設し、不審者の発見や検挙などの予防的警察活動を展開します。また、まちづくり防犯グループの活動など地域住民の自主的な防犯活動を支援します。
その三は、防災・減災対策です。
震災15年目となる平成21年度は、災害文化のさらなる定着と防災減災対策の一層の推進に努めます。
これから1年間、防災関連機関と連携したリレーシンポジウムの開催など、震災で学んだ教訓と復興の過程で積み上げてきた経験を広く発信する阪神・淡路大震災15周年事業を展開します。テーマは「伝える」です。来年1月17日のひょうご安全の日のつどいでは、メモリアルウォークや追悼行事を実施するほか、兵庫芸術文化センター管弦楽団による鎮魂曲の演奏会も開催します。
また、地域の団体や学校などに建築士や防災リーダー等を応援員として派遣し、具体的な防災活動を指導するなど、県民の主体的な防災実践活動を促進するとともに、フェニックス共済制度については、各県民局に加入促進員を配置し、普及促進に努めます。
人と防災未来センターを改修し、実戦的な研修・図上訓練が可能となる空間を整備するほか、調査研究、支援活動の拠点となる国際防災・環境関連機関の集約を進め、国際協力機構(JICA)の防災分野研修への支援等を行うなど、国際防災に貢献します。
近い将来の発生が予想されている東南海・南海地震に備え、南あわじ市に津波防災ステーションを整備するほか、災害時に救助活動や避難の拠点となる県有施設や学校の耐震改修を進めます。わが家の耐震改修促進事業など民間住宅耐震化への支援を拡充します。
策定から10年が経過する地震被害想定を見直し、活断層モデルの追加等内容を充実するとともに、山間地域等にあって災害時に孤立する恐れのある集落について、通信手段の確保や臨時のヘリコプター離着陸場の整備などにより、防災体制を強化します。
昨年、5人の尊い命が奪われた都賀川の惨事を教訓として、親水施設を有する表六甲河川での警報システムの整備など、急激な増水時に迅速な避難行動をとるための安全対策を進めます。
また、県民緑税により緊急防災林、里山防災林、針葉樹林と広葉樹林の混交林、野生動物育成林を整備する「災害に強い森づくり」に取り組みます。
五つの柱を推進するためにも、分権改革と行財政改革を推進しなければなりません。
一昨年に始まった地方分権改革推進委員会の検討も、税財源の再配分など分権改革の根幹へと本格化します。また、新分権一括法の国会提出に向けた大切な時期を迎えています。こうした時だけに、地方が一致結束して改革を先導していくことが重要です。今後とも、地方の自己決定・自己責任の原則が貫ける分権型社会の実現をめざし、全国知事会や県自治体代表者会議等と連携して、国から地方への大幅な権限移譲と地方支分部局の抜本的な見直し、厳しい地方財政の現状に対応しうる地方税財源の充実強化などを強く働きかけていきます。
現在、国と協議を進めている一般国道直轄区間の移管についても、適切な財源措置等が講じられるよう求めたうえで積極的に対応します。
道州制についての議論が活発化していますが、これにより地方分権が確立できるのか、国の行政改革の手段なのではないか、など道州制に対する懸念が払拭されないままであり、分権改革に対する中央省庁の強い抵抗を勘案すれば、却って中央集権が強化される恐れさえあります。こうしたなか、関西では、府県を越える広域行政の責任主体となる「関西広域連合(仮称)」の設立に向け、処理する事務や組織、予算等の具体的な検討を急いでいます。
まずは、広域防災や広域医療連携など住民生活に身近な広域課題に取り組み、次のステージにおいて、関西3空港や大阪湾ベイエリア内諸港の一体的な管理運営、現在国の地方支分部局が所管している道路や河川の管理等の事務を処理するなど、その機能の拡充をめざすべきです。
今後、県議会の理解はもとより、県民の皆さんの意見をいただきながら関係府県との調整を進め、平成21年度中の設立をめざします。
4月には、尼崎市の移行により本県で第3番目となる中核市が誕生します。今後とも、市町との役割分担を明確にし、分権型社会にふさわしい県と市町の新しい関係を築いていきます。
新行革プランに基づく改革がスタートしました。全体プラン実行の初年度となる新年度は、県議会や有識者会議で議論いただいた改革の取組を確実に実施します。
定員と給与については、20年度の減額措置を新年度においても継続するとともに、事務事業や組織の徹底した見直し等により、一層の定員削減に取り組みます。
県民局の執行体制の簡素合理化や地域事務所の再編統合など組織の見直しを行うほか、まちづくり技術センターと下水道公社の統合など公社等の改革をさらに進めます。
法人県民税超過課税については、勤労者の福祉向上を目的としてきたこれまでの経緯を踏まえ、勤労者の仕事と生活の調和を推進する観点から、健康増進施設の整備支援など「勤労者の労働環境の向上」、事業所内保育所や認定こども園の整備促進など「子育てと仕事の両立」、こども医療費の助成など「子育て世帯への支援」を重点的に推進するため、適用期間を延長します。
平成21年度は、今年度にも増して法人関係税の落ち込みが見込まれ、県税全体では約1,300億円の減収が予想されます。新行革プランに基づく取組を実行してもなお、財政フレームに比べて収支不足額は拡大することから、当初予算の編成にあたっては、経済雇用情勢等を踏まえた歳出の選択と集中を徹底する一方、歳入面でも県債管理基金の活用や行革推進債の発行など145億円の特別な財源対策を行いました。今後の財政フレームにおける調整を要する不足額については、各年度の財政収支状況を踏まえ検討したうえで、財政収支対策を的確に行う必要があります。そして、平成30年度における財政フレームの目標、財政運営の基本方針の維持をめざしていきます。
また、行財政構造改革推進方策の変更については、財政フレームの変更、妊婦健康診査費補助事業等の事務事業の見直し、経済雇用対策による事業前倒しや道路特定財源の一般財源化に伴う投資事業の見直しなどを行います。
以上の方針のもとに編成した平成21年度の歳入歳出予算は、
次に、条例につきましては、青少年愛護条例の一部改正など24件です。
事件決議につきましては、行財政構造改革推進方策の変更、公の施設の指定管理者の指定、出訴など63件です。
以上で平成21年度の主な県政施策と諸事業の説明を終わります。
江戸時代に藩政改革を成し遂げた名君、名家老たちは歳出の無駄を切り詰めるとともに、いかに新しい産業を興すかに心を砕きました。
破産寸前の姫路藩の財政を立て直した名家老河合寸翁も、質素倹約令により支出を抑えるとともに、木綿の専売化などさまざまな収入拡大策を講じました。藩政改革を通じて数々の特産品を生み出し、今日の発展に多大な功績を残しています。
行財政構造改革を成し遂げるためには歳入歳出の両面から見直しをせざるを得ませんが、創意工夫を凝らしながら、力強い兵庫の再生に取り組む決意です。
議員の皆様には、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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