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本日、第315回兵庫県議会の開会にあたり、県政推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に敬意と感謝を申します。
本日から、衆議院議員総選挙がスタートしました。
今後の日本の将来を決める大事な国民の選択です。今現在の課題であるデフレ脱却、景気対策、円高対策をはじめ、今後の日本を決める社会保障のあり方、子育て対策、エネルギー・環境対策、世界との関係などが問われます。地方分権の推進が主要な論点になるべきですが、いささか本格的方向となっていないのが残念です。16日の投票日までの選挙過程に注目したいものです。
社会保障制度改革国民会議が、ようやくスタートしました。
これからの持続可能な社会をつくる基盤である年金、医療、介護、少子化対策について、本格的な検討が始まりました。しかし、地方の代表の参加が実現しませんでした。
私たちは、現場の立場から提案していきます。
提出議案の説明に先立ち、諸般の報告をします。
本県の経済情勢は、東日本大震災から持ち直してきたものの、このところやや弱い動きが見られます。長期化する円高や、世界景気の減速など、輸出や生産が弱まり、新規求人の減少など雇用にも変調の兆しがあります。
こうした状況に対応するため、国の経済対策を活用して、今年度中に事業着手でき、防災・減災対策、通学路など交通安全対策、農業の基盤整備対策、障害福祉施設の整備対策など緊急に措置する必要のあるものに取り組んでいきます。加えて、中小企業の年末年始の資金対策を行います。この緊急経済対策については、できるだけ早く補正予算を編成し、提案しますので、よろしくお願いします。
現在の経済状況からみると、需給ギャップは15兆円にも達すると言われています。このため、国に対し、補正予算編成による本格的な経済対策の早期実施を求めています。
ものづくり体験の機会と場を提供する「ものづくり体験館」が、来月15日、県立ものづくり大学校に開設します。
中学生を対象に、技能士の協力を得て行う本格的なものづくり「体験学習」や、ものづくり企業の製品を紹介する「展示学習」、親子工作教室等の「体験講座」の実施により、ものづくり県兵庫の次代を担う子ども達の職業観が醸成されることを期待します。
また、昨年4月に開校した教育研修施設との連携により、ものづくり人材育成の総合拠点施設としての機能を十分に発揮させていきます。
エネルギー需要が増加する冬を迎えます。
関西電力管内における今冬の電力需給は、一定の電力供給予備率が確保されると見込まれます。
しかし、今年の冬の実態にかんがみ、関西広域連合では、年末年始を除く12月3日から3月29日まで、平日の午前9時から午後9時までの間、家庭や事業者に対して、一昨年度比6%を目安とする定着した節電の着実な実行を求めることとしました。
事業者である県庁自らも、県民への節電呼びかけに率先して、一昨年度比10%以上の節電を目標に取り組みます。
県民や事業者の皆様には、今冬も取組を持続していただき、無理のない範囲での節電へのご協力をお願いします。
それにしても、中長期的なエネルギー政策の基本的な方向性を示す「エネルギー基本計画」が確立されねばなりません。
国においては、国民生活や産業活動への影響を十分に考慮し、広く国民の理解を得て、新たなエネルギーミックスと実現方策を定める「エネルギー基本計画」を早期に策定されることを期待しています。
11月26日、関西電力は経済産業大臣に電気料金の値上げを申請しました。
電気料金の値上げは、東日本大震災後、節電に協力してきた国民にさらなる負担を強いるとともに、産業界にとってコスト増につながることになります。火力発電燃料費の大幅増を経営努力でカバーしきれないことは理解するとしても、徹底した努力を前提としなければなりません。私自身、申請内容を審議する経済産業省の専門委員会に出席し、こうした考え方について意見を申し述べ、申請内容の十分な検証を求めてきました。
再生可能エネルギーの導入については、積極的に取り組んでいます。
企業庁は、三田カルチャータウン地区及び網干地区に合計約8メガワットの太陽光発電施設の整備を進めています。また、ダムの堤体法面への太陽光発電施設の設置についても、技術的な調査を実施しています。
あわじ環境未来島構想の一環として、財団法人淡路島くにうみ協会が事業主体となり、1メガワットの太陽光発電施設を設置するため、事業者の募集を開始しました。地域主体の創エネ事業として、成果を期待しています。
財団法人ひょうご環境創造協会は、県有施設2施設を活用した太陽光発電事業を実施します。さらに尼崎沖フェニックス事業用地管理型区域で約10メガワットの太陽光発電施設を整備します。
いずれにしても、早期に売電開始できるよう、関係機関との調整を進めます。
10月末に神戸空港島を中心に実施した近畿府県合同防災訓練を行いました。引き続き、来年2月には、関西防災・減災プラン策定後、初となる大規模な図上訓練として「関西広域応援訓練」を実施します。南海トラフ巨大地震により関西広域に甚大な被害が発生したとの想定で、防災関係機関が一堂に会し、各機関の連携強化や大規模災害発生時の対応方針を確認するとともに、関西広域応援・受援実施要綱の検証を行います。
また、県独自の津波被害想定の実施、津波防災インフラ整備5箇年計画(仮称)の策定、阪神地域広域避難計画研究会(仮称)による市域を越えた広域避難の検討など、本県としての取組も着実に進めてまいります。
伊丹市で確認された「ウメ輪紋病」に対応するため、「ウメ輪紋病対策本部」を設置し、神戸植物防疫所や市町との連携のもと、発生範囲の特定調査やまん延防止対策などに取り組んできました。
伊丹市ほか阪神間4市の地域を発生範囲と特定し、確認された感染樹から半径1km圏内にあるウメ、ハナモモなど、1,961本の感染樹を確認しました。さらに、感染が確認された地域のうち、潜在的にまん延するリスクが高いと国が判断した区域が、大字単位で緊急防除予定区域とされました。
この緊急防除区域では、感染樹は抜根・焼却処分となり、区域外への移動・譲渡が制限されます。また、区域指定後、速やかに感染樹の処分に着手できるよう、損失補償基準の策定、生産者等を対象とした説明会を開催するなどの準備を進めるとともに、補償対策嘱託員の設置など、体制整備にも取り組んでいます。ウメや南京桃などの接ぎ木用の穂木を採るための母樹等を隔離保存する必要のある場合の要件については、国と調整を行っています。
経営継続のため、美しい村づくり資金による資金需要への対応や、生産再開に向けた技術支援などを通じて、産地復興に向けた取組を支援します。
「ふれあいの祭典中播磨ふれあいフェスティバル」を開催しました。
姫路市の大手前公園・家老屋敷跡公園などを舞台に、中播磨地域の歴史や伝統と身近にふれあえる出展・パフォーマンスのほか、「兵庫のご当地グルメの祭典!姫路食博2012」とも一体となり、地域の元気を発信しました。
のじぎくの花で飾られた特設ステージでは、地域の伝統芸能や、平成26年のNHK大河ドラマに決定した黒田官兵衛ゆかりの演舞が披露されました。また県内各地域のご当地グルメ約80ブースに行列ができるなど、約11万3千人の来場者が地域と世代を超えて交流を深めました。
「ひょうご森のまつり2012」が、神河町の峰山高原及びリラクシアの森周辺において開催されました。「高原と森が育むみんなの生命(いのち)」をテーマに、高性能林業機械のデモンストレーションや災害に強い森づくり活動展に加え、茅葺き、丸太切りやチェンソーアート、里山林整備などの体験プログラムを実施し、多くの県民が自然の中で実際に身体を動かし、森の再生や循環について学びました。
今後とも、県民共通の財産である森への関心と理解を高め、県民総参加の森づくりを目指します。
中国広東省との友好提携30周年を記念し、同省を訪問しました。
非公式ながらも、広東省政府幹部及び人民代表大会幹部と交流協議を行い、国家間では難しい問題があるものの、こうした時期だからこそ、自治体や民間の交流の積み重ねが問題解決につながる、両県省が、経済、文化、青少年、環境など多方面で交流を深めることが重要との認識で一致しました。
また、これに併せ、香港とベトナムを訪問しました。
香港では、兵庫県香港経済交流事務所開所式に出席するとともに、現地企業等とのビジネス交流会やひょうご農林水産フェア等に参加しました。
ベトナムでは、ホーチミン市、ドンナイ省、バリア・ブンタウ省を訪問し、各市省代表者と経済交流をはじめとする幅広い分野での交流促進について協議しました。また、日系企業の生産拠点の視察や日系企業関係者との意見交換を行いました。
これからも、香港経済交流事務所をアジアとの経済交流の現地拠点として、県内中小企業の海外進出支援、本県への誘客促進、農畜水産品の輸出促進、広東・海南両省との交流促進等に取り組み、アジア新興国等の経済発展を本県の新たな経済成長へ取り込むことにつなげていきます。
北近畿豊岡自動車道は、先月24日に和田山八鹿道路が供用開始しました。京阪神地域と但馬地域の移動時間の短縮による交流の促進、救急医療機関へのアクセス向上など、その整備効果を期待しています。今後、八鹿日高道路、日高豊岡南道路の事業促進を図り、早期に鳥取豊岡宮津自動車道と連結することにより、高速道路空白地域の解消を目指します。
西紀ダムについては、先月25日、ダム本体コンクリートの本格打設に先立ち、定礎式を挙行しました。引き続き、流域の治水安全度の向上及び安定水源の確保を図るため、平成25年度末の完成に向けて事業を推進します。
「感謝と友情」をテーマに、第2回神戸マラソンが開催されました。
大会では、約2万人のランナーが神戸の街を駆け抜け、7,500人のボランティアの協力や、沿道からは55万人を超える声援をいただきました。
昨年に引き続き、阪神・淡路大震災からの復興を支援していただいた国内外の多くの方々への「感謝」の気持ちを伝えるとともに、地域あげての交流イベントやおもてなしなどにより、大会を通じて、新たな出会いが生まれ、「友情」の輪が育まれました。
あわせて、今も懸命に復旧・復興に歩む東日本大震災の被災地に対して、希望のメッセージを発信することができました。
今後、このマラソンが地域に定着し、明日の兵庫・神戸への夢や期待に対し、力強い意欲を持って、県民こぞって歩んでいく決意の象徴になることを期待しています。
関西広域連合が平成22年12月に発足して以来、2年が経過しました。私は、先の広域連合委員会において、広域連合長に再選されました。今後とも、関西全体の広域行政を担う責任主体としての役割を果たすべく、より一層、取組の実績を重ねていきます。
防災、観光・文化、産業など関西全体の広域事務については、それぞれの計画に基づき、本格化を図ります。広域計画は、その対象期間が3年ですので、新たな計画の策定作業に取り組むこととしています。
国の出先機関対策は、関連法案が閣議決定されましたが、衆議院が解散されたことにより、国会へ提出されませんでした。今後とも、国に対し、具体的な取組を進めていくよう働きかけを継続するとともに、市町や県民の理解促進にも取り組んでいきます。
来年度の地方税制改正や地方財政対策の検討が本格化します。このうち、自動車関連産業の活性化対策として、自動車取得税及び自動車重量税の見直しの動きがあります。しかし、この両税はいずれも偏在性が少なく、また地方にとって総額5,000億円の規模の巨額な税収です。現下の厳しい財政状況の下では、代替財源を確保せずに廃止すべきではありません。
また、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会では、平成24年度の地方公務員給与のラスパイレス指数を106.9程度と試算し、国家公務員の給与削減を地方財政計画にも反映させようとする一方的な主張が展開されています。しかし、給料月額だけでなく、地域手当や本府省業務調整手当などを加味すれば、国を100とした場合の指数は99.4と逆転し、地方が国を下回っています。しかも、そもそも、人事院勧告に基づかない国家公務員の給与削減をもって、国に準拠して地方財政計画を圧縮することがあってはなりません。
これらの動きに対しては、兵庫県の地方6団体において、地方行財政にとって緊急に取り組むべき課題として、声明を発出するとともに、「地方分権の推進に関する提言」を取りまとめ、各政党等に対して働きかけました。
国の中期財政フレームにおいては、平成25年度の地方一般財源総額を24年度と同水準とする枠組みが設定されています。しかし、社会保障関係費の自然増や公債費の増を踏まえると、結果として県独自の政策的経費にしわ寄せが及ぶことになり、平成25年度の財政環境は、さらに厳しさを増すものと見込まれます。
このため、新年度の予算編成に当たっては、国の地方財政対策や予算編成の動向を十分見極めながら、選択と集中の一層の徹底を図り、第2次行革プランに基づく改革の取組を着実に進めます。そして、「創造と共生の舞台・兵庫」の実現に資する施策への重点化を図っていきます。
職員の給与改定については、県人事委員会からの「職員の給与等に関する報告及び勧告」に基づき、給料表の改定は行わず、自宅の住居手当の廃止等を行うこととしました。
また、平成20年度から実施している、第2次行革プランに基づいた給与の減額措置については、来年度も職員の協力を得て、原則として引き続き継続します。
なお、人事委員会勧告により年間給与が4年連続の引下げとなっていること等を考慮し、今年度に限り、昨年度と同様に期末・勤勉手当の減額措置の一部、また、来年度まで、管理職を除く職員について給料月額の減額措置の一部を緩和します。
条例案件は、「職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例」等4件です。
その他案件は、青野運動公苑県有地信託事業に関する「調停の受入れ」 等12件です。
青野運動公苑県有地信託事業については、1.信託事業の今後の処理と、2.最高裁判決に基づき信託銀行に支払った商事法定利率年6%による利息のうち、通常の銀行の貸付金利との差額相当分の返還について信託銀行等と協議を行うため、議会のご議決をいただき、今年3月に神戸簡易裁判所に調停を申し立てました。
以来、5回の調停協議を経て、11月19日に、裁判所から、信託銀行が県に対して約8億8千万円の解決金を信託契約終了時に支払うことを内容とする決定が出されました。
県は、調停において、前訴の判決があるにしても、信託銀行が商事法定利率年6%と通常の銀行の貸付金利との差額相当分を保持し続けることは社会的に見て著しく契約当事者間の公平を欠き、社会常識にもとるものであると主張してきましたが、今回の決定は、この県の主張に対して一定の理解をしていただけたものと考えています。
今回の決定が確定するためには、県と信託銀行の双方が異議を申し立てないことが条件となります。本県としては、今回の決定内容が本県の主張を踏まえていることから、異議申立を行わないこととし、決定受入れの意思表示をできる限り早期に行うため、本日、議決を求めるものです。
あわせて、信託銀行に対しては、信託契約に基づき、信託事業終了に向けた協議の中で、事業の経営改善や残債務の負担などについて、受託者として責任ある対応を強く求めていきます。
専決処分承認案件は、衆議院の解散に伴い緊急に予算措置を行った、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査の執行のための「平成24年度兵庫県一般会計補正予算」について承認を求めるものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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