ここから本文です。
本日、第336回兵庫県議会の開会にあたり、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告をします。
昨年、本格的に地域創生をスタートしました。
本県人口は、平成28年10月現在で551万9,963人となり減少傾向が続いていますが、平成28年中には、20歳代を中心とした転出超過者が6,760人と前年に比べ649人改善しています。また、出生率は、前年を0.01ポイント上回る1.49となり、出生数は4万4千人台を維持しています。
こうした傾向を定着させねばなりません。平成29年度のアクション・プランに基づき、1.兵庫の未来を担う人づくり、2.働く場の充実、3.暮らしの安心確保、4.交流の拡大に取り組んでいます。
平成30年は、兵庫県が設置され150周年にあたります。平成29年は先行期間と位置付け、本年3月に開催したスタートアップ・シンポジウムを皮切りに、美術館における特別展等のプレイベントや兵庫の魅力を発信するプレフェスタなどを展開します。
現在、神戸港開港150年記念事業が展開されています。この盛り上がりを、兵庫県の次なる150年に向けて引き継がなければなりません。1年前にあたる本年7月12日には推進協議会を設立し、平成30年1月からの本格展開に向け機運を醸成していきます。
県政150年を契機に、「兵庫2030年の展望」を策定します。現在、「ひと・暮らし」など4分野の研究会のもと、生涯健康で安心して暮らせる地域のあり方、人工知能やロボットの進化に対応した産業・働き方、人口減少が進む中での持続する地域構造のあり方等の検討を進めています。
あわせて、今後、若者を対象としたフォーラムや、地域ごとの意見交換会等を通じて、県民の夢や願いを広く集め、兵庫のめざす姿を描いていきます。
まもなく増水期に入ります。頻発する風水害に備えるため、各河川やダムなど事前警戒を徹底します。また、台風等による自然災害リスクを回避するため、危険度が高い河川に堆積した土砂について、5月末までに撤去しました。
土砂災害の警戒区域ごとに3時間先までの危険度を予測する県独自のシステムについては、今年度、新たに養父市、新温泉町で整備します。
丹波市と連携し取り組んできた平成26年豪雨災害からの復旧工事は順調に進捗し、復興に向けた基盤整備が整いました。土砂災害の記憶と教訓を継承・発信する「丹波市復興砂防公園」が整備され、6月3日には記念式典が開催されます。
日本海の津波想定を平成12年に本県独自で行い、津波対策を進めてきました。今回国が新たに示した日本海の津波断層モデルを踏まえ、本県の日本海側に最大クラスの津波をもたらす断層を選定し、50mメッシュ単位での日本海沿岸市町の津波高を予測しました。今後は、10mメッシュ単位で詳細な津波浸水シミュレーションを行い、平成30年3月に浸水想定図を公表し、市町のハザードマップ作成等を支援していきます。
大規模な災害への対応力を強化するため、防災から復興まで一連の災害対策の中核となる「防災庁(仮称)」を、双眼構造の一翼を担う関西に創設すべく、関西広域連合に設置した有識者懇話会において最終報告に向けた意見をいただきました。今後、提出される報告書を踏まえ、防災庁の設置について具体的な提案をしていきます。
緩やかな持ち直し基調が続く本県の経済動向です。雇用面では本年4月の有効求人倍率が1.26と平成以降で最も高い水準となり、運輸業や介護等サービス業を中心に人手不足感が強まっています。
若者の県内就職を促進するため、就職面接会の6月解禁に合わせ、県内企業による合同説明会を大阪で開催し、若者と県内企業とのマッチングを図ります。
首都圏からのUJIターンを促進するため、「カムバックひょうごハローワーク」を併設した「カムバックひょうご東京センター」を移転拡充し、移住・就労相談に訪れる方の利便性を高めます。
また、県内大学に加え、首都圏の大学とも締結した地域創生に関する包括連携協定を活かし、新卒や既卒者の県内での就職を促進します。さらに、既卒者相談センターを「カムバックひょうごハローワーク」と神戸の「しごと情報広場」に設置し、既卒者の県内企業への就職を促進します。
こうした重層的な取り組みにより、ひょうごで働こうプロジェクトを推進し、より多くの若者の県内就職を支援していきます。
4月に、かねてより本県と交流のあるベトナム・ホーチミン市の行政、経済界関係者の出席のもと、第1回兵庫県・ホーチミン市経済促進会議を開催し、両地域への企業進出環境と、そのメリット等について活発な意見交換を行いました。また、この30日には、ベトナムチュオン・タン・サン前国家主席立会いのもと、ロンアン省とカントー市とも今後の経済交流を柱とする共同声明に調印しました。
今後も定期的に開催し、本県とホーチミン市及びその周辺地域の産業の強みを活かした双方向の経済交流を促進します。
関西圏国家戦略特区としては、5月に認定を受けた家事支援を行う外国人の受入れ事業の7
月からの受入事業者の募集開始をめざしています。既に認定を受けた神戸アイセンターの整備や古民家ホテルの営業など規制緩和の積極的な活用が進められています。
養父市国家戦略特区では、既に11事業者がにんにくやリンドウなどの産地づくり、廃校等を活用した加工品開発に取り組んでいます。また、農地を取得した4法人が地域に根ざした農業経営を行うなど、中山間地域での新たな農業モデルの構築が進んでいます。
県立工業技術センターが100周年を迎え、6月6日に記念式典を開催します。
1917年5月に設立して以来、中小企業の研究開発を支援し、技術革新を先導してきました。この秋には、航空機部品の非破壊検査装置を設置し、検査員のトレーニングセンターを国と連携し開設します。
今後とも、ものづくり産業の研究研修実証拠点として、中小企業を支援していきます。
働き方の見直しが本格化してきました。ワーク・ライフ・バランスの推進を宣言した県内企業は既に1,400社を超え、民間企業で働き方の見直しが広がっています。兵庫県としても、職員の多様な働き方を推進するため、超過勤務の縮減、子育て・介護と仕事の両立支援、働きやすい職場の実現の三つを柱に、「兵庫県庁ワーク・ライフ・バランス取組宣言」を行いました。
今後とも、全国に先駆けて設置した「ひょうご仕事と生活センター」を核とし、長時間労働の是正や仕事と生活の両立など、働きやすい職場づくりを支援します。
平成28年度には4,807人の保育所等の定員を拡大し、女性の社会進出を支援しました。
しかしながら、本年4月1日の待機児童数は1,572人と前年より522人の増加となっています。
このことは、定員増を上回る女性の就労希望が増加したため、待機児童数が増加した結果です。今後とも、就労を希望する女性が増加することから、保育定員の拡大が求められています。市町と連携し、保育施設の整備を促進するとともに、適正に運営できるよう保育人材の確保も推進します。
5月に姫路市で、父母が1歳児への暴行により頭部に重傷を負わせる痛ましい事件が発生しました。
現在、姫路こども家庭センターが児童の病状把握を中心に調査を進めていますが、事実関係を早急に把握し、県児童虐待防止委員会において検証を行うこととします。
引き続き、こども家庭センターを中心に、市町、医療機関、警察など関係機関や地域団体と連携し、子どもの安全安心を守る体制の強化に努めます。
認定こども園による不正事案を踏まえ、県内すべての認定こども園に、職員配置の状況など緊急調査を行い、認定基準等の自主点検を促しました。現在、運営実態の確認・分析を行っています。7月には調査結果とあわせ、認定手続の見直しや指導監査の強化等今後の再発防止策を定め、認定こども園の信頼回復に向け、早急に取り組みます。
また、社会福祉法人による不正事案を受け、再発防止の取り組みとして「社会福祉法人に関する指導指針」を策定しました。法人に対する職員や利用者へのヒアリングの実施など、県が実施する監査の着眼点を示すことにより、不正行為の抑止を図ります。
平成30年4月に改定する保健医療計画は、老人福祉計画と同時改定となります。医療と介護双方の計画の整合を図り、地域医療構想に基づき病床機能の転換や連携を進めるとともに、医療従事者の確保や医療施設の充実、地域別の受診動向等を踏まえた二次医療圏域のあり方などを検討します。
医療と介護が連携した計画とすることにより、すべての人が住み慣れた地域で適切な医療・介護を受けられる体制づくりをめざします。
県立柏原病院と柏原赤十字病院を統合した新病院は、5月に起工式を行い、平成31年度上期の開院をめざし鋭意工事を進めています。
県立姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院の統合再編は、5月に姫路市と新病院整備に関する協定を締結しました。今後、4月に設立した地域医療連携推進法人の下で、診療連携や人材交流などの取組みを推進し、平成34年度上期の開院をめざします。
県立西宮病院と西宮市立中央病院は、あり方検討委員会から「両病院を統合し、新用地に新病院を整備することが最も望ましい」との報告を受けたことから、その趣旨を踏まえ西宮市と協議を進めます。
県立森林大学校を、宍粟市一宮町に開校しました。
バイオマス発電やCLT、但馬テイポスの開発等により、新たな木材利用の増加が期待されます。このため、森林林業の即戦力となる人材や、森林セラピーや鳥獣対策など地域貢献にも対応できる、次代の森林林業を担う人材の養成をめざします。
本年4月、姫路市において、欧米向けに神戸ビーフなどの輸出が可能となる「和牛マスター食肉センター」が供用開始しました。輸出が可能なほぼ全ての国への輸出体制が整う大きな一歩となります。繁殖雌牛の計画的な増頭対策とあわせ、神戸ビーフの供給力を強化していきます。
阪神高速道路の新料金が、6月3日から導入されます。
利用者にとって分かりやすく、公平でシームレスな料金体系とするため、NEXCOの大都市近郊区間や首都高速道路と同様の対距離料金を導入し、車種区分も5区分に統一されます。また、明石方面と神戸都心部の間は、経路に関わらず同一料金となる割引が新たに設けられ、交通が集中する神戸線の渋滞緩和が期待されます。
姉妹提携35周年にあたる西オーストラリア州を訪問しました。
観光プロモーションなど幅広い分野で交流したほか、マガウワン新首相と、経済、観光、文化、教育、スポーツなど各分野での交流の一層の充実をめざす共同声明に調印しました。
本年度は、引き続きシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州と友好提携20周年、広東省と友好提携35周年を迎えます。友好交流と相互理解を一層促進します。
ニュージーランドで開催されたワールドマスターズゲームズ2017オークランド大会の開会式に出席するとともに、4年後に控えた関西大会への積極的な参加に向けてPRを行いました。オークランド大会の成果をしっかり引継ぎ、関西大会を成功に導きます。
2025年の万国博覧会に日本も応募しました。大阪夢洲を会場として開催するものですが、ワールドマスターズゲームズ2021関西大会のレガシー(遺産)としても、誘致に協力していきます。
9月には、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会が開催されます。間近に迫った本大会に向け、6月3日に県立三木総合防災公園において100日前イベントを開催するとともに、開催市や競技団体と連携し、大会の周知と開催準備を着実に進めます。
平成29年度日本遺産に、「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」が認定されました。南北を貫く道が織りなす景観や、近代化を先導した産業と関連づけたストーリーが評価された結果です。あわせて、丹波焼を含む「きっと恋する六古窯」も認定されました。縄文から続いた日本古来の技術の継承と焼き物の里の景観が評価されました。これで本県に関連する認定は4件となりました。
今後も、歴史的な魅力や風習を受け継ぐ地域など、積極的に認定を働きかけ、地域の活性化に取組みます。
5月に寄港地フォーラムを開催した北前船は、福井県以北の市町が日本遺産に認定されましたが、県内や瀬戸内海沿岸にもゆかりの地が多くあります。今後、関係府県と連携し、認定に繋げていきます。
世界的な古代中国鏡のコレクション316面を展示する「古代鏡展示館」が、本年4月、県立フラワーセンター内にオープンしました。開館にあわせて企画展「百花繚乱 いま、古いにしえの美が咲き誇る!」を開催し、5月6日には早くも入館者が1万人を突破しました。今後も工夫を凝らした展覧会を企画します。
県立大学では、減災復興政策研究科を4月に開設しました。阪神・淡路大震災の経験と教訓、20年以上に及ぶ復興の知見等を生かし、世界の防災減災対策に貢献する専門人材の育成をめざします。
また、理事長と学長を分離した新しい運営体制のもと、高度な科学技術基盤をはじめとする兵庫ならではの資源を生かした教育・研究の充実や社会貢献など、魅力ある大学づくりに取り組みます。特に、グローバル社会での活躍など社会の要請に応える人材を育成するため、経済学部と経営学部の再編や文理融合の新学部の設置に向けた検討を進めます。
県立西神戸高等特別支援学校が4月に開校しました。
学校教育の目標を「自立して生きる力を育むために主体的に考え動ける人づくり」と定め、知的障害のある生徒の就労をめざした専門的な職業教育を実施します。農業体験や企業と連携した職業体験の実習により、職業自立・社会自立に必要な能力や態度を育てていきます。
このたび、阪神・淡路大震災に伴う選挙期日と議員任期の空白期間の解消に向け、議員等の任期の特例法が成立しました。
県議会及び3市議会と連携し、特例法の早期制定を要望してきた成果です。県議会や関係市議会議員の皆様のご尽力に敬意を表するとともに、法制定にご尽力いただいた国会議員の皆様をはじめ、関係者に対し感謝を申しあげます。
平成28年度決算については、過日、出納を閉鎖し、現在、集計整理を進めています。第3次行革プランに基づく着実な改革の取組の成果もあり、実質収支、実質単年度収支とも、昨年度を上回る水準の黒字を確保できるものと見込まれます。
条例案件は、「暴力団排除条例の一部を改正する条例」等3件です。
既存施設の敷地に加え、開設が決定された土地の周囲への立地規制を追加するとともに、禁止地域を商業地域、近隣商業地域にも拡大し、青少年の健全育成を図るため、所要の整備を行うものです。
その他案件は、明石市の中核市指定に関する申出についての同意等7件です。
専決処分承認案件は、県立こども病院の医療事故に関する損害賠償額の決定について、承認を求めるものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
なお、この7月31日をもちまして、知事の任期が満了します。私にとりまして、今議会が任期最後となります。これまでいただいた議員の皆様、県民の皆様のご指導とご支援に心からお礼申しあげます。
初めての人口減少社会の到来に対して、元気や活力を持続させることができる兵庫づくりをめざして、地域創生の枠組みをつくり、そのスタートを切ることができました。
私も任期いっぱい、県民とともに地域創生をはじめとする「ふるさと兵庫」に全力を尽くします。
議員の皆様には、今後とも一層のご健勝でのご活躍をお祈り申しあげます。
ありがとうございました。
お問い合わせ