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本日、第338回兵庫県議会の開会にあたり、県政推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に敬意と感謝を申します。提出議案の説明に先立ち、諸般の報告をします。
今年は、9月から10月にかけて台風が相次いで発生しました。
特に台風18号と21号は、県内に暴風を伴う大雨をもたらしました。家屋などは幸い深刻な被害には至らなかったものの、強風の影響により、農作物や農業施設、公共施設などに100億円を超える被害が生じました。
これら災害復旧に早急に対応するため、総額69億円余の補正予算を編成しました。
今後とも、台風などによる自然災害リスクを回避するため、防災・減災対策に意を用います。
去る11月1日、世界津波の日の関連事業として、南海トラフ地震を想定した津波一斉避難訓練を行いました。津波浸水想定区域の14市1町で、昨年を大幅に上回る261施設、約6万人が訓練に参加しました。初めて平日に緊急速報メールを使用した訓練であり、学校、企業などを中心に、避難経路や身を守る行動を確認する機会となりました。今後とも、訓練の機会を継続し、防災意識の向上に繋げていきます。
女子高校生を雇用し、性犯罪被害の温床となる、いわゆる「JKビジネス」と言われる営業形態が出現しています。また、インターネット利用状況の急速な変化に伴い、「自画撮り」被害が増加し、スマートフォンなどのフィルタリング利用率も低下しています。
こうした社会環境の変化を踏まえ、保護者、事業者、県民それぞれが実効ある取組みを行うため、1.JKビジネスなど有害な役務を提供する営業に対する規制を行うこと、2.青少年に対し児童ポルノの提供を求める行為を禁止すること、3.携帯端末などによる有害情報への対応を強化するため、フィルタリング措置を徹底することとし、青少年愛護条例の改正を提案しています。
平成30年度の県政150周年に向けて機運を醸成しています。
既に10月から、地域団体等が行うイベント活動への支援として「県民連携事業」を募集しています。また、歴史、文化、グルメなど兵庫・五国の魅力を発信する「プレフェスタ」を開催し、多くの来場者で賑わいました。「小学生作文・図画コンクール」の表彰、優秀作品の展示や、現在作成中の「まんが・ひょうごの歴史」に絡めたワークショップを開催するなど、150周年を盛り上げています。
来年1月からの記念事業の本格的な展開に向けて、着実に準備を進めていきます。
県内への移住に向けた施策を本格的に進めています。
11月に「ひょうご博覧会in大阪2017」を開催しました。3月に開催した博覧会を大幅に上回る約5万4千人の来場者で賑わい、兵庫の魅力を広く発信しました。
今後も、「ひょうご五国」の魅力を発信するイベントとして博覧会を定着させるとともに、各地域でも取り組んでいきます。
地域創生戦略に基づく県と市町の多彩な取組みと連携が不可欠です。このため、来年度の当初予算編成にあたって総額40億円の要求枠を設け、「ひょうご地域創生交付金(仮称)」の創設を検討しています。
国の地方創生推進交付金の活用とあわせ、この交付金を有効に活用し、県と市町が一丸となって地域創生の実現に取り組んでいきます。
本県の経済・雇用状況は、緩やかに回復しています。
個人消費は持ち直し、輸出の増加基調に支えられ、企業の生産活動にも活性化の動きがみられます。雇用は、10月の有効求人倍率が1.31倍となり、建設業やサービス業のみならず、製造業でも人手不足感が強まっています。
10月に開設した「起業プラザひょうご」では、既に会員数が30名を超え、スモールオフィスは8割以上が利用されています。また今月18日から航空産業非破壊検査トレーニングセンターの講習を開始します。新しいサプライチェーンの形成など本県経済を支える地域産業の育成に積極的に取り組んでいます。
なお、国際情勢の不安定化や金融資本市場の変動による様々な影響が懸念されるため、引き続き先行きに注視します。
本年上期の県内への工場立地件数は、過去5年平均を上回り、全国2位となりました。立地面積では6年ぶりに全国1位となり、上向く民需を追い風に更なる立地が期待できます。
本社機能の移転については、東洋ゴム工業(株)が伊丹市に本社を移すなど、着実に実績があがっています。立地支援策の積極的なPRをはじめ幅広い誘致活動を展開し、企業誘致を促進していきます。
関東で初となる「兵庫県フェア」をイオン新浦安店で開催しました。五つ星ひょうご選定商品や認証食品の販売にあわせて観光PRを行うなど、食の宝庫「兵庫」の魅力を発信しました。
他方、香港では「フード・エキスポ」に出展、シンガポールでは初めてレストランで県産食材フェアを開催するなど、積極的にプロモーションを実施しています。ドバイでの食品展示商談会「GULFOOD(ガルフード)」にも参加します。アジア、欧州、中東へと輸出促進に取組み、県産農林水産物の消費拡大に繋げていきます。
39回目となる「兵庫県民農林漁業祭」は、台風接近の悪天候のなか1日のみの開催となりましたが、「ひょうご五国のめぐみ」をテーマに、県産農林水産物の展示・販売を行いました。神戸・播磨地域を中心に約6千人の県民が来場し、「平成の御食国ひょうご」の秋の味覚を満喫しました。
また、明石では、「西日本B-1グランプリ」が開催され、多くの人々が食を通じてふれあいや交流を深めました。
「ひょうご森のまつり2017」が11月に多可町中央公園周辺で開催されました。
「活かそう資源育てよう未来の森」をテーマに、林業関係者や森林ボランティアをはじめ、多くの県民に参加いただきました。先人たちが育んだ、美しく豊かな森林資源を活かし、この森を次代につなげるため、果たすべき役割を考え実践する機会を共有することができました。
平成30年度から都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となり、市町と共同してその運営を担います。近く統一的な運営方針を定めることとしています。医療費水準の平準化に向けた取組みを進めるとともに、保険料の激変緩和措置をとるなど、新制度の円滑な施行に努めていきます。
市町に対する保険給付の交付金、市町からの事業費納付金の算定の必要事項を定めるため、国民健康保険事業の運営に関する条例を提案しています。
地域福祉の礎となり住民の生活を支えてきた民生委員制度は、平成29年にその源である「済世顧問制度」の創設から100周年の節目を迎えました。子どもたちの健やかな成長を見守る児童委員制度も創設70周年になります。来年1月に神戸市で記念大会を開催します。
今月1日、全国初の小児がんに重点をおいた粒子線治療施設として「神戸陽子線センター」を開設しました。隣接する県立こども病院と連携し、発育や発達の障害などのリスクが少ない高度な陽子線治療を提供します。県立粒子線医療センターで培った豊富な経験やノウハウを活かし、成人の陽子線治療も行います。
地域発展の基盤となる基幹道路として、11月26日に浜坂道路が開通し、12月10日には新名神高速道路の高槻から川西間が開通するなど、関西のネットワークが整備されつつあります。
また、早期整備に向けた国会議員連盟総会が開催されました。特に、山陰近畿自動車道浜坂道路2.期の来年度事業着手、大阪湾岸道路西伸部の着実な事業推進、名神湾岸連絡線の詳細なルートの検討促進、神戸西バイパスの有料道路事業の導入、播磨臨海地域道路の調査の促進、北近畿豊岡自動車道の着実な推進などを強く働きかけました。
相互協力に関する覚書を締結したインド・グジャラート州を訪問しました。
州政府の代表と、今後も学術・教育など6分野について交流を積み重ね、特に中小企業を含めた相互交流の促進を確認しました。現地ではビジネスセミナーの開催、淡路人形浄瑠璃ワークショップによる伝統文化への理解を深めるなど、現地企業や州民も交えた交流を行いました。
今月下旬には、中国広東省との友好提携35周年を記念し、県議会や県民交流団とともに、広東省を訪問します。
余部の展望台「空の駅」に「余部クリスタルタワー」が完成しました。広大な日本海を一望できるほか、エレベーター全体をライトアップするなど、夜間も安全に楽しめる観光スポットとしていきます。
また、中播磨では、道の駅「銀の馬車道・神河」がオープンしました。日本遺産に認定された「銀の馬車道・鉱石の道」の情報発信や地元特産品のアンテナショップを設置するなど、田舎暮らしの体感をコンセプトとした観光拠点として、地域に親しまれています。
地域の魅力を発信する拠点として、更に交流人口が拡大することを期待しています。
「ふれあいの祭典西播磨ふれあいフェスティバル」をまちびらき20周年を迎えた播磨科学公園都市を舞台に開催しました。台風の襲来など悪天候にも関わらず、約3万2千人の来場者で賑わい、地域と世代を越えた交流の輪が広がり、西播磨をはじめ兵庫の魅力を多くの方に伝えることができました。
御食国ブランドの確立を目指し、京都、福井、三重の3府県とともに「御食国・和食の祭典」を淡路島で開催しました。約1万3千人の来場者で賑わい、多様な気候や風土を活かした豊かな「食」の魅力を国内外に発信することができました。
関西広域連合では、平成31年度から毒物・劇物の取扱者試験等を実施します。これに伴い、関西広域連合規約の変更議案を提案しています。
来年度の国の予算編成に対する本県の提案について、県関係国会議員への説明を行いました。引き続き、地域創生の本格展開に向け、国として実効性のある措置がとられるよう、粘り強く働きかけていきます。
平成30年度は、行財政構造改革の総仕上げとして、収支均衡など財政運営の目標を達成する必要があります。加えて、地域創生を軌道に乗せるとともに、県政150周年の節目を迎え、人口減少下における新しいふるさと兵庫を目指す取組みを、県民とともに進めていくことが求められています。
このため、新年度の予算編成にあたっては、国の制度改正や予算編成の動向を十分見極めながら、最終2カ年行革プランに基づく行財政全般にわたる構造改革を着実に実行するとともに、平成31年度以降も見据え、活力あるふるさと兵庫の実現に向けた施策に積極的に取り組んでいきます。
これより、提出議案の概要について、説明します。
予算案件は、平成29年度一般会計補正予算等10件です。
予算規模は、一般会計で114億87百万円の増額、特別会計で1億21百万円の増額、公営企業会計で5億44百万円の増額です。
まず、災害復旧のための補正予算として、一般会計で68億25百万円、特別会計で1億21百万円を計上しています。
農林水産業対策として、美しい村づくり資金の貸付限度額を引上げ、償還期間を延長し、当初3年間無利子化します。また、農業近代化資金も当初3年間は無利子化します。農業者の生産継続を支援するため、パイプハウスなど生産施設の再建を行う場合に、市町と連携し復旧費用の負担を軽減します。新たに低コストで耐候性のパイプハウスを導入する被災者にも支援を行います。野菜生産の再開を促すため、JAが生産者に支払う補償金を支援します。被害を受けた農林水産施設の復旧対策を行います。
道路や河川など土木関係の社会基盤や県有施設、文化財なども、当面の応急措置に続き、本格的な復旧工事を実施します。台風接近により堆積した河川土砂の緊急的な撤去も行います。
職員の給与改定について、県人事委員会からの報告及び勧告を踏まえ、給料表及び地域手当の引上げ等を行います。
あわせて、公民較差を解消するため、扶養手当について1年前倒しして引上げを行います。また、期末・勤勉手当について勧告どおり引上げを行います。
なお、これまでの現給保障措置を平成32年度までに見直します。
給与改定に伴い、一般会計で46億62百万円の増額、公営企業会計で5億44百万円の増額の予算補正を行います。
条例案件は、「兵庫県流域下水道事業の設置等に関する条例」等6件です。
経営や資産状況の明確化を推進するため、平成30年4月から地方公営企業法の財務規定を適用することに伴い、条例を制定するものです。
その他案件は、県民会館など「公の施設の指定管理者の指定」等19件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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