更新日:2019年2月15日

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第343回兵庫県議会 知事提案説明(平成31年2月15日)

第343回兵庫県議会の開会に当たり、議員各位の日頃のご尽力に敬意と感謝の意を表します。

提出議案の説明に先立ち、今後の県政について所信を申し述べます。

新たな時代のはじまり

平成の終わりを迎えて

冷戦終結とともに幕を開けた平成。バブル崩壊によるデフレ経済と相次ぐ災害に見舞われたこの30年間は、兵庫県にとっても、阪神・淡路大震災からの創造的復興と行財政構造改革に取り組んだ時代でした。
平成の終わりを迎え、人口減少、少子高齢化、東京一極集中の流れは止まりません。阪神・淡路大震災の風化の懸念や自然災害への備えも急務です。
米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱など孤立化、分断化の動き、株や為替の不安定な動きなど、世界や日本経済の先行きへの不透明感も高まっています。

未来の息吹

一方で、未来の息吹が芽生えています。

  • 一つは、働き方の多様化です。ライフスタイルに応じた働き方を望む女性や意欲ある高齢者が増えています。起業に挑む若者も出てきました。
  • 二つは、革新的技術の活用です。ドローンが災害現場やインフラの点検などで活躍しています。遠隔授業により、小規模校の生徒同士が互いに学び合っています。手術支援ロボットの開発や再生医療の臨床応用が病に苦しむ人たちに希望を与えています。AIやIoTなどの技術が社会を変えつつあります。こうした動きを兵庫の輝きに変えていかなければなりません。
  • 三つは、交流・環流の拡大です。若者を中心に地方をめざす動きが生まれています。カムバックひょうご東京センターを通じて移住した人の8割が20代から40代の人たちでした。定住人口の増加に向け、交流人口や関係人口を増やしていく必要があります。

関西の時代の到来

もう一つは、関西の時代の到来です。
関西は、古より都が置かれ、歴史・文化遺産、教育研究機関などに恵まれており、個性豊かな地域が独自性を持ちながらも、互いに認め合い、発展を遂げてきました。
自国第一主義の風潮が拡がり、世界が協調から対立へと進んでいる今こそ、経済力や文化の異なる多様な地域が連携してきた関西が、世界にその存在を示すときです。
G20サミットの開催。9月のラグビーワールドカップを皮切りに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年のワールドマスターズゲームズ2021関西へと続く、ゴールデン・スポーツイヤーズ。そして、2025年の大阪・関西万博の開催へと、世界の注目が関西に集まる機会が続きます。
関西一丸となって、地域の魅力を発信し、世界の成長を取り込み、関西全体の発展、ひいては、国土の双眼構造の実現につなげていかねばなりません。多様性と連携により成長してきた兵庫こそ、その先導役となるべきです。

分権型社会への変革

昨年の兵庫県政150周年の節目は、子どもたちを含め多くの県民が、過去を振り返り、未来を考える機会となりました。
明治維新では、欧米列強に対抗できないとの危機意識から、幕藩体制に変わる中央集権国家が生まれました。あれから150年、価値観が多様化し、物の豊かさよりも、心の豊かさが求められる時代となっています。東京一極集中も加速しています。相変わらずの画一的、標準的発想の中央集権体制のままでは乗り切れません。必要なのは、分権型社会への変革です。県政150年を迎えた今だからこそ、兵庫がその先頭に立たねばなりません。

めざすは、すこやか兵庫の実現

未来は向こうからやってくるものではありません。今に生きる私たちが自らの手でつくりあげるものです。
5月には、新天皇が御即位され、新元号となります。阪神・淡路大震災から25年の節目の年でもあります。
平成から次の時代へ、転換期を迎えた私たちに必要なことは、未来を実現するという強い志を持ち、そのための第一歩を踏み出すことです。
兵庫のめざすべき姿を描いた「兵庫2030年の展望」は、その道標です。未来の活力の創出、暮らしの質の追求、ダイナミックな交流・環流の拡大の3つを基本方針に、新時代にふさわしい「すこやか兵庫」をつくる、2019年はそのスタートの年です。今年こそ、元気な兵庫をめざす取組を進めていきます。
生活、産業、人、地域など、多様性と可能性にあふれ、健全で元気な「すこやか兵庫」を実現する。まさに個性豊かな五国が一つになった多様な兵庫の真価が問われていると言えるでしょう。
兵庫のこれまでとこれからをつなぐのは今を生きる私たち。県民の皆さん、兵庫の新たな時代をともにひらいていきましょう。

新年度の重点施策

平成31年度の県政の柱は、次の五つ。

  • 一つに、安全安心な基盤の確保
  • 二つに、未来へ続く地域活力の創出
  • 三つに、兵庫人材の活躍推進
  • 四つに、交流・環流を生む兵庫五国の魅力向上
  • 五つに、地域の自立

安全安心な基盤の確保

まず、第一に、安全安心な基盤の確保です。
安全安心な基盤があるからこそ、県民の豊かで元気な暮らしや社会活動が展開できます。

地域の安全基盤の強化

その一は、地域の安全基盤の強化です。

阪神・淡路大震災25年事業の実施

大災害の時代を迎えた今、阪神・淡路大震災の経験と教訓を風化させてはなりません。「忘れない、伝える、活かす、備える」の4つをテーマに、災害文化の定着をめざした震災25年事業を展開します。このため、自主防災組織など、県民による主体的な防災減災活動を支援します。

地震・津波対策

南海トラフ地震に備え、津波防災インフラを計画的に整備します。日本海側の津波被害に備えるための計画を策定し、ハード、ソフト両面から対策を進めます。

風水害対策

昨年の台風第21号により、浸水被害に見舞われた臨海部を中心に、高潮対策に取り組みます。県管理の全ての海岸や河川を対象に10か年計画を策定し、優先度の高い箇所から対策を進めます。被害があった地区については、3か年で緊急対策を実施します。
河川改修や間伐材を利用した土留工が効果を発揮しています。引き続き、河川の中上流部の拡幅や流れを阻害している樹木の伐採、災害に強い森づくりを計画的に進めます。ダムの事前放流や、ため池の治水活用も拡大します。
2020年度までに土砂災害特別警戒区域の指定を完了させ、治山ダムや砂防堰堤の整備も前倒しで進めます。
ため池の新たな5か年計画を策定します。小規模なため池を対象に加え、改修や廃止に順次取り組みます。

住民の避難行動の向上

7月豪雨災害では、住民の避難行動上の課題が浮き彫りとなりました。全市町を対象に、災害時要援護者を、いつ、どこへ、誰が避難させるかを内容とする個別支援計画の策定を支援します。
避難路などを記載するマイ避難カードを作成し、スマートフォン向け情報伝達アプリと連携させ、住民の主体的な避難行動を促します。

企業の防災力の向上

県民生活の復旧には、企業活動の早期再開が欠かせません。県内企業の事業継続計画の策定を支援します。

大規模災害ボランティア活動の支援

大規模災害時にボランティアの参加を促すため、被災地の復旧・復興を支援する団体の交通費などを助成します。県外から県内の被災地を支援する場合も対象とします。

子育て環境の充実

その二は、子育て環境の充実です。
昨年の出生数は過去最低の40,303人となりました。人口の自然増対策は一朝一夕には進みません。出会いから結婚、子育てまで、人口増対策を着実に進めます。

出会い・結婚支援

県内10か所のひょうご出会いサポートセンターを日曜日も開所し、会員数の増加やお見合いの機会の拡大など、出会いの場を提供します。

幼児教育無償化への対応

10月から幼児教育の無償化が始まります。女性の社会進出が促進される一方で、待機児童の増加や保育士の不足、家庭の教育力低下が懸念されます。
幼稚園、認定こども園、保育所などが連携して、幼児教育の質の充実を図るための協議会を設置します。あわせて、保護者向け教育冊子を作成し、子どもの発達や関わり方への理解を深めます。
無償化の対象とならない0歳から2歳児については、第2子以降の助成額を引上げ、第1子を対象に加えます。
認定こども園への移行支援に加え、地域枠定員を設ける企業主導型保育所の設置を支援します。保育士の処遇改善や人材確保にも取り組みます。

働きながら子育てできる環境整備

放課後児童クラブの開設時間の延長や、病児・病後児保育など、安心して働きながら子育てできる環境整備も進めます。

安全な暮らしの実現

その三は、安全な暮らしの実現です。

地域安全まちづくり

刑法犯認知件数は減少していますが、特殊詐欺や子どもへの声かけ事案は高止まっています。
「ひょうご防犯ネット」に、過去の事案を自動で地図上に示す機能などを加え、効果的な防犯活動を支援します。育児放棄の疑いなど身近な異変を匿名で通報できる、ひょうご地域安全SOSキャッチ電話相談も引き続き取り組みます。

児童虐待防止

児童虐待による悲惨な事件を防ぐためには、関係機関との連携が不可欠です。虐待の疑いのある子どもに対し、医療機関や警察、市町などとの連携を強化して必要な支援を行います。
既に、こども家庭センターでは、第三者機関により家庭復帰の適否を判断していますが、さらにきめ細やかな支援を行い、子どもの安全安心を確保します。

DV防止対策の推進

家庭での配偶者への暴力は、子どもの人格形成に大きな影響を与えます。関係機関と連携し、DV相談やシェルターでの一時保護などの対策を充実します。

いじめや問題行動への対応

いじめは早期発見、早期対応が何より肝心です。SNSによる相談窓口を、年間を通じて開設します。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置も進めます。教員が一人でいじめ問題を抱え込まないよう対策チームを全校に設置し、組織的に対応します。

医療・介護体制の充実

その四は、医療・介護体制の充実です。
住み慣れた地域で安心して生活できる環境を整備します。

地域医療の充実強化

保健医療計画の圏域版を策定し、地域の実情に応じた医療提供体制を確保します。不足が予想される回復期と高度急性期への病床転換を推進します。

受動喫煙対策の推進

健康増進法による喫煙防止措置に合わせ、受動喫煙防止条例を改正します。基本は既存の特定施設以外の施設の原則禁煙です。受動喫煙対策の先進県として、特に20歳未満の者と妊婦を守る観点から対策を強化します。

がん対策の強化

がんは、医療技術の進歩により、不治の病から長く付き合う病気に変わりつつあります。全国平均よりも低い検診受診率の向上や、働きながら通院している患者の増加などの課題に対応するため、がん対策推進条例を制定します。
がん検診を居住市町以外の医療機関でも受診できる体制に強化します。治療のため休職する従業員の代替職員を雇用する中小企業を支援します。

県立病院の充実

県立病院では、丹波医療センター(仮称)を7月に開院します。はりま姫路総合医療センター(仮称)は、2022年度の開院をめざし、整備を進めます。西宮病院は西宮市立中央病院との統合再編、がんセンターは建替え整備に向け、基本計画を策定します。

高齢者支援の充実

介護サービスの充実に向け、施設と在宅両面から対策を進めます。
特別養護老人ホームの整備に加え、サービス付き高齢者向け住宅が特養並のケアを提供できるよう、施設の機能強化を支援します。
定期巡回・随時対応サービスについては、2025年までに300事業所の開設をめざし、利用者拡大と事業者の参入促進に取り組みます。

介護人材の確保

本県の介護サービスの有効求人倍率は、昨年12月で4倍を超えています。人材確保が急務です。
4月から総合衛生学院に介護福祉学科を開設します。高齢者が職場研修を受けながら、配膳や洗濯などの補助的業務に従事するケア・アシスタント制度を創設します。

認知症の早期発見の促進

認知症は、早期発見が重要です。認知症対応医療機関の連携体制を充実強化し、診断、治療へと切れ目のない対策につなげます。
従業員とその家族からの相談に応じるため、専門サポートチームを企業に派遣します。

ユニバーサル社会づくりの推進

その五は、ユニバーサル社会づくりの推進です。

バリアフリー化の推進

誰もが安心して移動できるよう、鉄道駅舎のバリアフリー化の対象を、乗降客数3千人未満で、高齢者などの利用が多い駅舎にも拡げます。著しく長い距離の迂回が必要な駅については、2経路目のバリアフリー化の整備を支援します。
人材が不足している介護分野では、AIなどを活用した在宅介護支援の実証実験に取り組みます。特養などで実施していた介護ロボットの導入支援を、介護施設全般に拡げます。

障害者支援の充実

重症心身障害児者が地域で安心して暮らせる環境を整備します。通所や居宅での発達支援や、医療支援型グループホームの開設を支援します。
訪問看護ステーションと連携して、肢体不自由児者の診療、リハビリ、相談を行う拠点を阪神地域に設置します。
専門書を中心に、書籍を音声化したオーディオブックの充実や、手話通訳者の派遣を支援します。

障害者就労の促進

障害者が働ける場所を増やすため、特に雇用が進んでいない重度障害者、精神障害者を雇用する特例子会社・事業協同組合への支援を強化します。
障害者の就農を支援するため、農福連携推進員を新たに設置します。

障害者スポーツの推進

障害者スポーツを活性化する拠点として、新しい障害者総合トレーニングセンターの設計に着手します。
10月に神戸で開催される国際義肢装具協会(ISPO)の世界大会に合わせ、障害者スポーツに関する理解を深める体験型イベントを開催します。

未来へ続く地域活力の創出

第二に、未来へ続く地域活力の創出です。
先端産業から農林水産業まで、多彩な産業が元気な兵庫、多様な学びや働き方が可能な兵庫をつくります。

産業競争力の強化

その一は、産業競争力の強化です。

新事業展開の促進

中小企業の人手不足や競争力強化に対応するため、AIやIoTなど生産性を高める設備の導入や、産学官連携による研究開発を新たに支援します。
ドローンについては、県が率先して災害時の状況把握や河川堤防の点検などで利活用を行い、民間への導入を促進します。

革新的技術の開発支援

4月に金属新素材研究センターを開設します。医療機器や航空機に使われる金属ガラスなどの新素材の製造や加工技術の開発などを支援します。ノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑先生が主導する研究の早期実用化を支援するため、神戸市と共同で、次世代医療研究センターの整備を検討します。神戸医療産業都市の発展につながることを期待します。

起業・創業支援

起業支援では、若手、女性、シニアに加え、35歳から55歳未満のミドル層も対象とします。
起業プラザひょうごは三宮再整備のため、移転整備を行い、金融機関の協力を得て、事業段階に応じた支援体制を構築します。
コワーキングスペースの開設支援の対象を全業種に拡げるほか、IT事業所の立ち上げに必要な建物改修への支援を拡充します。

企業誘致の促進

人口増加のためには、若者や女性が地域に定着できるよう働く場所の確保が必要です。産業立地条例を延長し、工場などに加え、若者や女性の就業割合が高い事務所の立地を促進します。外資系企業のオフィスビル入居についても、床面積の要件を緩和します。

事業継続支援

70歳代の経営者の半数以上が事業承継の準備をしていません。親族への事業承継に加え、従業員など第三者への事業継続を促進するため、店舗賃貸料や建物改修費などの経費を新たに支援します。

商店街の活性化

その二は、商店街の活性化です。

商店街の賑わいの創出

地場産品を活用した商品開発や商店街の魅力を発信する取組を支援します。外国人観光客の増加に対応するため、キャッシュレス決済対応機器の導入や、アーケード、トイレなど共同施設の整備を促進します。

コミュニティ機能の強化

商店街がもつコミュニティ機能を強化します。商店街が行うご用聞きや移動販売の取組を支援し、高齢者の買物の利便性を高めます。
空きスペースの店舗としての活用に加え、子育て中の親子や障害者が交流できる場として活用を進めます。

商店街の再編

商店街の再編とまちの再整備を一体的に推進します。再編に伴う移転開業のほか、店舗の貸出や新規出店に必要な住居の移転費を支援します。

農林水産業の基幹産業化、高付加価値化の推進

その三は、農林水産業の基幹産業化、高付加価値化の推進です。

農業の基幹産業化

TPPや日本とEUによる経済連携協定が発効しました。兵庫が持つブランド力を生かし、国内外の産地間競争を勝ち抜くためには、農業経営の基盤強化が必要です。
共同利用する農業機械の導入支援により、複数の集落による広域的な集落営農法人の設立を促進します。協力員を配置し、営農継続が困難となっている集落に農地集約を働きかけます。

多様な担い手の確保・育成

県内外からの就農希望者を確保するため、インターネットで本県農業の魅力を発信します。農家出身でない就農者などを地域ぐるみで支援する体制を構築します。

供給の安定化

野菜を、通年で安定して供給できるよう、新たに中小規模ハウスへの環境制御機器の導入を支援します。
市場拡大をめざし、引き続き海外の展示商談会に出展します。兵庫県認証食品の生産を増やし、2020年度に県内流通割合を40%まで増やします。

畜産業の生産力強化

国内外での神戸ビーフの需要の高まりに対し、担い手を確保し、生産を増やす必要があります。畜産参入支援センターを設置し、法人の参入を促進します。但馬牛2万頭増頭に向けて、牛舎の整備や繁殖雌牛の導入を支援します。

森林の保全再生と県産木材の利用拡大

森林がもつ防災や地球温暖化防止などの多面的な機能は、全ての人に恩恵をもたらします。
森林を適正に管理するため、森林環境譲与税が導入されます。市町への技術的支援や専門職員の養成、県産木材の利用促進などに活用します。
成熟した人工林の主伐と再造林により、災害防止と収益性の高い林業をめざします。燃料用材の需要増加に対応するため、間伐材の効率的な搬出に必要な林内路網を、2023年度までに1,000km整備します。県産木材を利用した木造住宅の建築を支援します。

豊かな海の再生

水産資源の増殖を進めます。
日本海では、ズワイガニやアカガレイの増殖場を整備します。瀬戸内海では、第2鹿ノ瀬構想のもと、加島南地区の漁場整備に着手します。
下水処理場の栄養塩管理運転の拡大、工場などからの栄養塩供給も検討します。海域に加え、河川域の藻場・干潟の再生にも取り組みます。
2021年の全国豊かな海づくり大会に向け、開催準備を進めます。

人と自然の共生

その四は、人と自然の共生です。

野生鳥獣害対策の強化

野生鳥獣による農林業被害は減少傾向ですが、生息域が拡がり、被害が拡大している地域もあります。
獣害対策を指導する鳥獣対策サポーターを集落に派遣します。バッファーゾーンの整備も支援します。シカを丸ごと有効活用するため、処理加工施設への搬入や保管庫の整備を支援します。狩猟期間中のイノシシの捕獲を拡大するため、大型オリやわなの設置を進めます。カワウ対策にも取り組みます。
狩猟者の育成が課題です。射撃訓練や捕獲技術の研修を行う狩猟者育成センターを整備します。

コウノトリの郷公園開園20周年

コウノトリの郷公園は開園20周年を迎えます。これまでの野生復帰の取組によって、47都道府県への飛来が確認されるまでになりました。
コウノトリと共生できる環境づくりの取組や成果を国内外に発信するため、11月に記念式典とシンポジウムを開催します。

海ごみ対策の推進

漁業への影響や海岸環境の悪化など海ごみが課題となっています。
漂流ごみ、海底ごみの効率的な回収や処理方法を構築し、市町や漁業者と連携して推進します。

兵庫人材の活躍推進

第三は、兵庫人材の活躍推進です。

地域と世界で活躍できる人材の育成

その一は、地域と世界で活躍できる人材の育成です。

新たな教科化への対応

小学校でのプログラミング教育の開始や外国語の教科化に備え、指導事例の作成や、英語に堪能な地域人材の活用を支援します。

県立高校の特色化

選ばれる県立高校へ、特色化をさらに進めます。SSHやSGHなどに加え、モデル校を指定し、大学が求める学力を身につける新たな高大接続プログラムを実施します。県立国際高校では、県立大学国際商経学部と連携し、世界で活躍できる人材を育成します。

学校における働き方改革の推進

教職員の働き方改革が求められています。スクール・サポート・スタッフに加え、県立学校には事務作業を担う業務支援員を配置します。

私立高校の授業料軽減

国の授業料実質無償化に先行して実施している私立高校の授業料軽減を拡充します。隣接府県に加え、奈良県や滋賀県など関西圏の高校への通学者も対象にします。

兵庫県立大学の改革推進

県立大学では、4月から国際商経学部と社会情報科学部の新学部がスタートします。防災減災復興政策研究科博士後期課程も開設します。
グローバルビジネスコースの学生が入居する国際学生寮や、交流の場となる国際交流センターを開設します。母国語でのカウンセリングなど留学生の支援体制も整えます。

専門職業人材の育成支援

但馬地域における国際観光芸術専門職大学(仮称)は、10月の設置認可申請に向け、教育課程の編成など具体的な検討を進めます。
多くの人に関心を持ってもらえるよう、プレカレッジやシンポジウムも開催します。

多様な人材の活躍推進

その二は、多様な人材の活躍推進です。
女性、高齢者、外国人などが、それぞれの意欲と能力を発揮し、いきいきと活躍できる社会をつくります。

働き方改革の推進

多様な人材の活躍には、仕事と生活の調和が欠かせません。
神戸市に加え、尼崎市と姫路市に、ワークライフバランスの推進拠点となる、ひょうご仕事と生活センターのブランチを開設します。
育児や介護などによる離職者の雇用や、託児スペース、在宅勤務システムの整備など、労働環境の充実を支援します。

女性活躍の推進

女性の活躍の場をさらに拡げていきます。複数企業の女性グループの自主的な活動や女子学生のキャリアプランニングを支援します。
女性向け起業セミナーなどの開催や就業体験の実施など、起業・就業をめざす意欲の高い女性を応援します。

外国人材の活用

4月から、新たな在留資格による外国人労働者の受入れが始まります。
日本での生活になじみ、就労先でその能力を発揮できるよう、生活相談体制の強化や、日本語教育、母語教育の充実など、受入体制を整えます。技能実習生の受入れが本格化する介護分野では、専門相談員の配置や介護技術の研修などにより、現場への定着を促進します。

交流・環流を生む兵庫五国の魅力向上

第四は、交流・環流を生む兵庫五国の魅力向上です。
阪神・淡路大震災の復興から新たなステージへ、他の地域と比べ遅れているまちの魅力を高め、交流・環流につなげる必要があります。こうした取組こそ、元気兵庫の源です。

魅力ある都市空間の整備

その一は、魅力ある都市空間の整備です。

県本庁舎の再整備

県本庁舎は、耐震診断の結果、老朽化と災害拠点としての耐震性の確保が課題となっています。周辺施設の整備のあり方や元町山手地区の賑わいづくりと合わせ、県議会をはじめ、有識者や事業者との間で検討を進めており、来年度には、再整備の方向性をまとめた基本計画を策定します。

三宮駅周辺再整備

三宮駅周辺再整備については、新たなバスターミナルを含む地区の再開発に向け、事業計画の策定を支援します。

新長田の賑わいづくり

新長田合同庁舎が、8月から順次業務を開始します。総合衛生学院の移転検討と合わせ、新長田の活性化につなげます。

県庁発祥の地の整備促進

初代県庁復元施設の設計を進め、建設工事に着手します。県の成り立ちや兵庫五国の歴史などを分かりやすく伝える兵庫津ミュージアム(仮称)の整備を進めます。

地域の魅力向上

明石城が築城400周年を迎えます。春から秋にかけて記念事業を開催するほか、明石公園に新たな桜の名所を整備します。
六甲山の魅力を高めます。六甲山グランドデザインに基づき、さらなる民間活用を促進します。遊休施設の改修に加え、新築に対する補助を創設します。

定着・環流対策の推進

その二は、定着・環流対策の推進です。
本県の転出超過数は、6,088人と平成28年から減少傾向ですが、20代から30代の若者や女性の転出に歯止めがかかりません。若い人達が「住みたい、住み続けたい」と思ってもらえる兵庫をつくる必要があります。

兵庫県への就業・移住促進

まずは県内就業の促進です。求人情報サイト内に特設ページを開設し、就業・移住希望者と県内企業のマッチングを図ります。効果的な求人広告を作成できるよう企業を支援します。
大学のキャリアセンターと連携し、県内企業で働く魅力を学生や教員に発信します。インターンシップを受け入れる中小企業の支援を拡大します。

交流・関係人口のネットワーク強化

ふるさととの縁や想いが定住への第一歩です。ひょうごe-県民制度(県外県民制度)の登録がスタートしました。特典や提供する地域情報を充実させ、交流や定住につなげていきます。県内向けの制度も創設します。

地域再生大作戦の新展開

小規模集落は、この10年間で倍増し、500集落を超えました。高齢化が進む集落に、新たな担い手を呼び込む必要があります。
ふるさと応援交流センターを開設し、県版の地域おこし協力隊の派遣を通じて、地域活動や都市部との交流、移住、二地域居住を促進します。集落が行う空き家の改修を支援し、住まいを確保します。

楽農生活の全県展開

誰もが食と農をより身近に体験できるよう、地域での楽農生活の拠点の開設を支援します。農林漁業体験ができる民宿としての空き家の活用を促進します。

国内外からのツーリズム人口の拡大

その三は、国内外からのツーリズム人口の拡大です。

ゴールデン・スポーツイヤーズを活かした誘客促進

ゴールデン・スポーツイヤーズや大阪・関西万博の開催決定を機に、さらなる誘客促進に取り組みます。
ラグビーワールドカップでは、神戸で4試合が開催されます。ラグビー強豪国向けのプロモーションや外国人観光客への効果的な情報配信、物産展の開催などに取り組みます。スコットランドなど4カ国の公認チームと地域との交流事業も実施します。
同時期に開催される瀬戸内国際芸術祭に合わせて、瀬戸内海クルーズ展開します。

五国の資源を活かしたツーリズムの促進

5つの日本遺産など地域資源を活かしたツーリズムを促進します。
観光客が投稿できるウェブサイトの構築に加え、ひょうごゴールデンルートの東側に体験型観光を中心とした新たなモデルコースを設定し、情報発信します。
サイクルツーリズムについては、県内を8地域に分けたモデルルートを設定し、案内標識の設置などを進めます。

スポーツ、芸術文化の振興

その四は、スポーツ、芸術文化の振興です。

スポーツ立県ひょうごの確立

昨年は、多くの兵庫県出身選手が世界で活躍し、私たちを元気づけてくれました。スポーツへの関心の高まりを、ワールドマスターズゲームズ2021関西の機運醸成と参加促進につなげるため、リハーサル大会やイベントを開催します。スポーツクラブ21の活性化や、女性スポーツの会の取組を支援します。
スポーツ立県ひょうごの確立に向け、競技スポーツの強化や未来のスーパーアスリートの育成に取り組みます。

芸術文化の振興

今年の佐渡裕芸術監督プロデュースオペラは「オン・ザ・タウン」です。東京公演を含め12公演のロングラン公演となります。
県立美術館では、安藤忠雄氏が手がけた作品模型を展示する第2展示棟をオープンします。考古博物館では、寄贈を受けた貴重な陶磁器などを展示するため、加西分館を増築します。

交通インフラの充実

その五は、交通インフラの充実です。

基幹道路ネットワークの整備

交流・環流の基盤となる基幹道路ネットワークの整備を加速します。
昨年着工された大阪湾岸道路西伸部をはじめ北近畿豊岡自動車道豊岡道路、中国横断自動車道姫路鳥取線、山陰近畿自動車道、神戸西バイパス、東播磨道などの早期整備や、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路の早期事業化を推進します。

関西3空港の最大活用

大規模な国際イベントを控え、航空需要のさらなる拡大が見込まれます。昨年の浸水被害を踏まえた関西国際空港の補完体制も必要です。
関西3空港の最大活用に向けて、3空港懇談会で、神戸空港、伊丹空港の規制緩和について合意をめざします。

但馬空港のさらなる活用

但馬空港が開港25周年を迎えます。昨年、新型機が就航し、1月末までの利用者は34,764人と昨年度1年間の実績を既に上回りました。
首都圏直行便の実現に向け、チャーター便の試験運航を実施します。ターミナル改修や京丹後地域と空港を結ぶバスの試験運行など、さらなる利便性の向上を図ります。

港湾の有効活用

姫路港は開港60周年を迎えます。賑わいを生み出す旅客船ターミナルの改修を進めます。陸上輸送から海上輸送への転換を促進するため、内航フィーダ航路の開設を後押しします。

地域の自立

第五は、地域の自立です。

地域創生の推進

その一は、地域創生の推進です。

地域創生戦略の改定

地域創生戦略の最終年度を迎えるため、次期戦略を策定します。
「兵庫2030年の展望」の具体化に向け、フォーラムを開催し、県民からの提案やアイデアを次期戦略に反映させます。
国の地方創生推進交付金と拠点整備交付金を最大限活用することに加え、本県独自の地域創生交付金により、市町の多様な取組を支援します。

地方分権改革の推進

その二は、地方分権改革の推進です。
分権型社会の実現に向け、国の権限と財源を大括りで地方に移譲する仕組みをつくるよう、引き続き国に提案します。県と市町の独自規制の見直しや、特区制度の活用による地域活性化に取り組みます。

関西広域連合の活動の展開

関西広域連合では、大阪・関西万博やワールドマスターズゲームズ2021関西に向けてオール関西で取り組みます。
広域行政のあり方の検討結果などを踏まえ、広域連合制度の見直しについて国への働きかけを検討します。

新年度予算の概要

これより新年度予算の概要を説明します。

平成20年度からの構造改革に一区切りがついたとはいえ、本県を取り巻く財政環境は依然として厳しい状況が続きます。これまでの改革の成果を生かし、県民から信頼される適切な行財政運営を推進していかなければなりません。
このため、新たな行財政運営方針のもと、国の制度改正や地方財政措置を踏まえつつ、選択と集中を徹底し、取組の重点化を推進した予算編成を行いました。
歳出では、行政経費について、社会保障関係費の自然増、幼児教育の無償化などの制度充実による増を見込むとともに、地方創生推進交付金や超過課税など財源の有効活用を図りました。投資的経費については、地方財政計画を踏まえた投資水準を基本に、国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に基づく臨時、特別の措置なども積極的に活用し、財源を確保しつつ、高潮対策をはじめ、地震・津波対策や土砂災害対策、公共施設の長寿命化対策など必要な事業費を別枠で確保します。
歳入では、企業業績を反映した法人関係税の増や、地方消費税率の引き上げにより、県税等全体で前年度を246億円上回る見込です。地方特例交付金は、子ども・子育て支援臨時交付金の創設などにより前年度を54億円上回ります。一方、普通交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は、税収増に伴う基準財政収入額の増加や、基準財政需要額の抑制などから、前年度を274億円下回ります。
財政フレームは、新たに設定した県債依存度などのフロー指標とストック指標ともに、概ねその目標の範囲内とし、収支均衡の維持と将来負担の軽減を図りました。

以上の方針のもとに編成した新年度の歳入歳出予算は、

一般会計 1兆9,354億5,000万円
特別会計 1兆5,708億500万円余
公営企業会計 歳入 2,572億1,100万円余
同 歳出 2,757億2,800万円余 となります。

条例その他案件

条例については、がん対策推進条例の制定や、受動喫煙の防止等に関する条例の一部を改正する条例、兵庫県税条例等の一部を改正する条例など18件です。平成31年度税制改正に伴い、所要の整備を行います。法人県民税超過課税については、勤労者の仕事と生活の調和を図る観点から、その適用期間を延長します。その他案件については、兵庫県行財政運営方針の変更など8件です。

結び

「兵庫の未来は希望に満ちあふれています」。県政150周年記念式典で、一人の小学生が力強く語ってくれました。
地域に根付く文化や伝統を未来へつないでいきたいと発表した小学生。さわやなか歌声を披露してくれた中学生。「高校生でも地域の力になれるのだと知った」「大切なのは人と人とのつながり」と話した高校生。地域への愛着や、人と人とのつながりから生まれる「ふるさと意識」こそが、これからの兵庫を形づくる源だと、改めて認識しました。
新しい兵庫づくりのタスキは、私たちの手にあります。150年後も、子どもたちから、「兵庫は希望に満ちあふれている」と言ってもらえるよう、「すこやか兵庫」を実現し、次の世代につないでいかなければなりません。

元気と魅力にあふれた「ふるさと兵庫」をともにつくっていきましょう。

 

以上で、新年度の県政推進方針と提出議案の説明を終わります。議員の皆様には、よろしくご審議の上、適切な議決をいただきますようお願い申し上げます。

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