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本日、第352回兵庫県議会の開会にあたり、県政推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に敬意と感謝を申します。
新型コロナウイルスにより亡くなられた方へのお悔やみと、罹患された方へのお見舞い、対応が長期化するなか最前線で奮闘されている医療関係者等への感謝を申します。また、これまでの県民、事業者の皆様のご協力、ご尽力にお礼を申します。
諸般の報告とあわせ、補正予算案の説明をします。
10月下旬以降、全国各地で「第2波」を上回る急速な感染拡大が続き、新規感染者の過去最多を更新する都道府県が相次いでいます。本県では、クラスターの発生などにより、家庭や職場、医療機関、社会福祉施設で多くの患者が確認され、新規感染者が11月21日以来、週平均1日あたり100人を超え、特別な警戒を要する「感染拡大特別期」に突入しました。このままの状態が続くと、病床の逼迫を招くことにもなりかねず、今ここで、感染拡大を食い止めなければなりません。
こうした状況を踏まえ、現在650床程度で運用している入院病床について、さらに100床程度を追加で確保できるよう医療機関に協力を要請しています。宿泊療養施設についても、現在の700室に加え、さらに200室程度を12月中旬を目途に確保していきます。原則として自宅療養者ゼロを堅持し、容体急変への適切な対応と家庭内感染の防止を徹底します。
PCR検査体制については、8箇所目となる「地域外来・検査センター」を阪神圏域で開設し、1日あたり2,900件の処理能力を確保しています。陽性者が確認されクラスターの発生が懸念される場合には、濃厚接触者や関係者など広く検査対象としています。さらに、社会福祉施設等の職員や入所者が発熱や呼吸器症状を呈している場合には、陽性者の有無にかかわらず、関係者に対して幅広く迅速かつ積極的な検査を実施します。
新型コロナウイルス対策の全県拠点である県立加古川医療センターにおいて、感染リスクを低減しつつ重症患者への対応力を強化するため、重症患者専用の臨時病棟を整備します。各県立病院をはじめ県内の医療機関や関係大学等からの協力を得ながら、人材育成にも活用し、今年度中の完成をめざします。
保健所の衛生環境向上と職員の負担軽減のため、老朽設備の改修や検査機器の更新を行います。関西経済連合会からいただいた寄附金を活用して、県市の各保健所に患者移送車や個人防護具等を整備します。感染症や災害等への備えを強化するため、保健師バンクに災害時等派遣保健師名簿を設け、潜在保健師に登録を呼びかけます。
県民の皆様には、感染リスクが高まるとされる5つの場面である、(1)飲酒を伴う懇親会等、(2)大人数や長時間におよぶ飲食、(3)マスクなしでの会話、(4)狭い空間での共同生活、(5)休憩室・喫煙所・更衣室等に、特に注意してください。
また、東京、大阪など感染拡大地域への不要不急の往来の自粛、高齢者や基礎疾患のある者の不要不急の外出の自粛、年末を控え、できるだけ不要不急の外出も控えるようお願いしています。
家庭や職場、医療機関、社会福祉施設、学校等にウイルスを持ち込まないよう、検温、マスク、手洗いなどの実施、職員等の行動や健康管理の徹底など、それぞれの場面や施設にふさわしい具体的な取組の徹底をお願いしています。
Go To Eatキャンペーンの運用については、11月24日から当面の間、プレミアム付き食事券の新規の申込受付や抽選、販売を停止しました。すでに販売した食事券の利用は可能ですが、飲食店を利用する場合は、家族や介助者等を除き4人以下の単位ごとになるようお願いしています。
県民の皆様や大切な方の生命と健康を守るため、改めてご協力をお願いします。
季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備え、「発熱等診療・検査医療機関」を928箇所指定し、医師会等と連携して確保しています。県民の皆様には、発熱等の症状があれば、まずは、かかりつけ医など地域の身近な医療機関に電話するか、「発熱等受診・相談センター(保健所)」や「新型コロナ健康相談コールセンター」に電話して相談し、指示に従って受診するようお願いします。
これからのデジタル社会の進展や分散型社会への転換を進めるには、情報通信ネットワークの強化が不可欠です。兵庫情報ハイウェイを東京まで延伸し、県下全域と東京を結ぶ高速大容量の通信環境「兵庫情報スーパーハイウェイ」を整備します。これを本県へ進出する事業者等に無償提供し、企業誘致やサテライトオフィスの利用促進を図ります。
県庁をはじめ県内中小企業や市町・学校における在宅勤務を推進するため、高度なセキュリティを備えたテレワークシステム「テレワーク兵庫」を整備しました。中小企業等にも3年間無償で利用できる枠組みとし、今月中に提供を開始します。
大都市から兵庫への流れを呼び込むためには、兵庫五国の多様な働き方や暮らし方を実際に体験してもらうことが必要です。10月には、首都圏のIT企業等の参加を得て新温泉町でワーケーションのファムトリップを実施し、但馬がテレワークの適地であることを確認しました。県立施設を活用したお試し移住体験事業も始まっています。今後は、地場産業に挑戦する若者の支援や都市農村交流など、地域の特性を活かしたプロジェクトを推進し、地域創生の実現に向けた大きなうねりを生み出します。
行政手続のオンライン・ペーパーレス化に向け、原則として全ての行政手続において、押印・書面・対面を不要とします。まず、県独自の手続で廃止可能な押印については、今年度中に見直しを実施します。また、行政手続の原則オンライン化を進め、各種申請・届出などの様式の標準化、添付書類の削減・簡素化も図ります。
大きな打撃を受けた地域経済には回復の兆しが見られます。本県の個人消費や生産、輸出は持ち直しています。しかし、令和2年7月から9月期の実質GDPは年率換算21.4%増となったものの、戦後最大となった4月から6月期の落ち込みを補うには至っておらず、今後の情勢を注視していく必要があります。需給ギャップも顕在化しており、公共事業の大幅な積み増しなど総需要を増やす対策の実施を国に要望していきます。
一方、雇用情勢は、有効求人倍率が低下を続けるなど引き続き厳しい状況にあります。1,000人規模のつなぎ雇用や定員を800人拡充した職業訓練など、2,000人を超える雇用の場を確保しています。
経済の本格回復に向けた足取りを確かなものとするため、中小企業の事業継続の支援が必要です。すでに活用されている制度資金の運用を図るとともに、国の家賃支援給付金の支給手続きに時間を要するケースに対応して、新型コロナウイルス感染症対応無利子資金の中に「家賃等つなぎ融資枠」を設定します。また、セーフティネット保証4号の申込期限が令和3年3月まで延長されたことを踏まえ、この保証を活用する新型コロナウイルス対策資金については、適用期間を延長するとともに、国が行う全国一律の無利子・無保証料資金についても、国の第3次補正予算の動向を見つつ適切に対応します。
先月、国連機関UNOPSのグローバル・イノベーション・センター・ジャパンが、アジア初の拠点として三井住友銀行神戸本部ビル2階に開設されました。併設する起業・創業の拠点施設「起業プラザひょうご」とも連携を図り、国内外から優れたスタートアップ企業が県内に集積、定着することを期待します。
これまで、次世代産業の創出や科学技術基盤の強化、県内全域での幅広い産業・企業の立地促進、地域産業の競争力強化、UJIターンの促進など、本県産業の将来を見据えた革新的な施策について法人事業税超過課税を活用してきました。さらに、ポストコロナ社会を視野に入れた産業・雇用の課題解決や地域活性化に取り組んでいかなければなりません。
このため、課税期間を5年間延長し、県内企業のデジタル化の加速、グローバルなスタートアップ拠点の形成、サプライチェーンの強化や事業拠点の県内回帰の促進、地方回帰の機運を捉えた県内就職の促進などの施策に重点的に取り組み、ひょうご経済・雇用活性化プランが掲げる「すこやかな兵庫経済」の実現を目指します。皆さまのご協力をお願いします。
去る11月5日に、南海トラフ地震や日本海沿岸地域地震を想定した津波一斉避難訓練を実施し、沿岸15市3町の392施設から過去最多となる約10万人が参加しました。実際に避難行動をすることだけでなく、自分の避難経路を知ることや、自宅や職場が安全か確認することも訓練の一つです。今後も訓練を継続し、県民の防災意識の高揚と地域防災力の向上を図ります。
近年、自然災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震の発生確率も高まっています。事前防災の取組を加速させなければなりません。国の「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」が今年度で最終年度を迎えることから、5年間以上のさらなる緊急対策期間の延長、緊急輸送道路の防災力向上やインフラ老朽化対策にも対象事業を拡大することなど、国へ強く働きかけていきます。
災害に強い森づくりと都市緑化の推進のため、県民の協力を得て、県民緑税を活用した取組を進めてきました。
平成30年7月豪雨後に実施した緊急点検でも整備済箇所に被害が見られないなど、高い整備効果が判明しています。記録的豪雨や台風による被害が甚大化・頻発化していることから、引き続き、災害緩衝林の整備や伐倒木による土留工等の設置、人家裏山の防災林の整備、六甲山系での森林整備に取り組みます。野生動物による農作物被害のある集落でのバッファーゾーン整備なども着実に進めます。
県民まちなみ緑化事業では、令和元年度末までの14年間で約88万6千本の植樹、約80haの芝生化を実施し、緑の量的拡大を図ってきました。しかし、人口集中地区など緑地が不足している地域が依然存在し、多くの県民の目に留まる公的空間に魅力的な緑地を増やしていく必要があります。引き続き、県民参画による緑化活動を支援し、まちの中心部での緑化や校園庭の芝生化等の取組を一層推進します。
このため、県民緑税の課税期間を5年間延長します。ご協力をお願いします。
国内外で地球温暖化の影響とみられる災害が相次いでいます。
すでに「温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」ことをめざし、地球温暖化対策推進計画の改定に3年前倒しで着手し、県環境審議会で検討していますが、国も同様の方針を打ち出しました。再生可能エネルギーの導入目標の強化をはじめ、蓄電池や太陽光発電の導入など住宅の省エネ化、燃料電池車や電気自動車など次世代自動車の導入、非効率な石炭火力発電からの転換、豊かな森づくりの推進など、あらゆる分野での具体的な取組を検討します。県民・事業者から広く意見をいただきながら、持続可能な脱炭素社会を目指す計画としていきます。
豚熱に感染した野生イノシシが京都府、大阪府等の近隣府県で確認されており、警戒が必要です。今年6月には県内の飼育豚全頭にワクチン接種を、10月からは野生イノシシへの経口ワクチン散布を実施しました。
11月には、香川県の養鶏農場で高病原性鳥インフルエンザの発生が相次いで確認されました。このため、すでに、県内すべての飼育施設に対して消石灰を配布し、県下一斉消毒を行ってきました。しかし、残念なことに、11月25日に淡路市において本県の農場で初めての発生が確認されました。すでに当該農場においては、自衛隊の協力も得て殺処分や消毒を完了しました。市内に7カ所の消毒ポイントを設置するなど周辺の対策にも万全を期しています。引き続き、国や関係機関と連携し蔓延防止措置を実施していきます。
児童虐待相談や一時保護を必要とする児童が急増しており、体制整備を急がねばなりません。
令和3年4月から尼崎市と加東市にこども家庭センターを新設する準備を進めており、加東こども家庭センター分室ではすでに一部の業務を開始しました。また、社会福祉審議会に「一時保護所のあり方検討部会」を設置し、一時保護所の複数配置、児童の権利擁護や学習の保障等について検討を行っています。児童福祉司の増強として、人口3万人に1人の配置が必要となる令和4年度に向けて計画的に採用し、研修の充実により資質向上を図ります。
9つのオンラインショップが取り扱う県産農畜水産物を閲覧できるまとめサイト「御食国ひょうご」を開設しました。9月以降、神戸ビーフや県産地鶏肉、県産水産物を学校給食へ提供しています。11月からは、直売所での購入者に2割相当の金券を発行するキャンペーンを開始しました。ラジオ番組での野菜産地の紹介、酒米と日本酒に親しむセミナーなど、様々な機会を捉えて需要喚起に取り組みます。
兵庫県立農業大学校が創立100周年を迎えました。大正9年に県立農事試験場種芸部の農業技術員養成制度として設置されて以来、本県農業の発展を支える技術者や実践者を養成し、卒業生は4,700名を数えます。農業・農村づくりのリーダーとして活躍してこられた卒業生と、農業大学校の発展にご支援いただきました皆様に、深く敬意と感謝の意を表します。これからも、農業政策の動向や先端技術の進歩をしっかりと捉え、農業の未来を切り拓く人材の育成に力を注いでいきます。
北近畿豊岡自動車道では、日高豊岡南道路が11月1日に開通しました。観光振興や救急医療機関へのアクセス向上、災害時の交通手段の確保が期待されます。
山陰近畿自動車道では、国に対し、竹野ICから豊岡北ICまでを結ぶ「竹野道路」の令和3年度新規事業化と、豊岡北ICから城崎温泉ICまでの国の権限代行による早期事業化を要望しています。
また、事業中の大阪湾岸道路西伸部、東播丹波連絡道路等の整備を進め、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路などの早期事業化を推進し、ミッシングリンクの早期解消を図っていきます。
県内への誘客促進、消費喚起を図るため、10月から「Welcome to Hyogo 秋冬キャンペーン」を展開しています。「兵庫五国の名湯に泊まろうキャンペーン」の第2弾として、県内温泉地の宿泊者におみやげ購入券を発行するほか、スキー場周辺での宿泊割引などを実施します。県内の旅館・ホテルでは、「ひょうご安心旅プロモーション」として、適切な感染防止策がなされた施設であることをロゴマークを活用して旅行者向けにわかりやすく発信しています。この取組を貸切バスや旅客船にも拡大し、旅行者へのさらなる安全・安心のPRを進めていきます。
芸術文化観光専門職大学は、10月23日に文部科学大臣から設置が認可され、令和3年4月に豊岡市で開学します。国公立では初となる、演劇を本格的に学べる大学であり、芸術分野と観光分野の2つの視点を生かし、アートをベースとした世界につながる新たな価値を創造できる人材を育成します。引き続き入試の実施や施設整備に取り組み、円滑な大学運営を支える体制を整えます。
ワールドマスターズゲームズ2021関西は、新型コロナの影響により、開催が2022年(令和4年)に1年延期されることとなりました。世界中のスポーツ愛好家の期待に応え、大会のレガシーを生涯スポーツの普及へとつなげていく、世界最大級の「する」スポーツの祭典であり、また、選手間や地元との「交流」やスポーツ後の観光ツーリズムへの期待など、大会の理念を実現できる本大会の成功をめざし、引き続き、一層の機運醸成や開催準備に取り組みます。
関西広域連合が発足して10年が経ちました。東日本大震災で広域連合が初めて採用したカウンターパート方式は今や全国で定着し、ドクターヘリも7機体制まで充実してきました。政府機関の地方移転を全国で唯一実現したのも関西でした。広域行政の責任主体として大きな成果をあげています。次なる10年に向けては、ポストコロナ時代にふさわしい国土の双眼構造の構築、これまで十分に成果を上げられなかった国からの権限移譲等の地方分権改革を進め、関西の復権をめざす広域主体としての活動を期待しています。
職員の給与改定については、県人事委員会からの報告及び勧告を踏まえ、期末・勤勉手当の引下げ改定など、所要の改定を行うこととします。
消費の低迷や景気の悪化に伴い、令和3年度は県税収入の大幅な減少が見込まれており、社会保障関係費の自然増や震災関連県債の償還等も続くため、本県を取り巻く財政環境はこれまで以上に厳しさを増しています。今後本格化する予算編成では、行財政運営方針に基づき、選択と集中に取り組むことに加え、緊急、臨時的な対応として、シーリングの強化や事業の抜本的な見直しを行い、スクラップ・アンド・ビルドを徹底します。
これらの見直しに加えて、地方財政措置の強化を国に要請し、必要な財源を確保し、ポストコロナ社会を見据えた先駆的・先導的な施策にも取り組みます。特に、(1)情報化・デジタル化を支える情報基盤の整備・強化、(2)分散型社会の要請や地方回帰の機運を捉えた地域創生の加速化、(3)起業・創業の活性化による本県産業の新たな強みの創造、に重点を置きます。
阪神・淡路大震災から創造的復興を成し遂げてきた本県だからこそ、新型コロナを契機として浮き彫りとなった課題や新たな価値観に柔軟に対応し、県民が将来への希望を持てる社会の創造に挑戦していかなければなりません。県議会各会派の提案等も踏まえ、県民に信頼される持続可能な行財政構造を保持しつつ、「すこやか兵庫」を実現し、日本、世界をリードする施策を展開する予算を編成していきます。
まず、予算案件は、「令和2年度兵庫県一般会計補正予算案(第6号)」等2件です。
本県として、医療提供体制等のさらなる充実と、兵庫の元気回復に向けてポストコロナ社会における兵庫モデルの構築を着実に進めるための緊急対策補正予算案として編成しました。
その規模は、一般会計で3億3,800万円、公営企業会計で9億円の増額です。
これらの財源としては、国庫支出金は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金です。特定財源は、関西経済連合会からの寄附金です。
補正予算の執行にあたっては、事業効果を早期に発現させるため、事前準備や支給体制を整備し、適切な執行に努めます。
条例案件は、「国民健康保険事業の運営に関する条例の一部を改正する条例」等6件です。
市町から県へ納付される国民健康保険事業費納付金の算定に当たり、市町との協議を踏まえ、各市町間の保険料水準の平準化が図られるよう、所要の整備を行うものです。
その他案件は、公立大学法人兵庫県立大学の「定款の一部変更」等9件です。
芸術文化観光専門職大学の開学後は、一法人複数大学制により県立大学及び専門職大学の2大学を運営する法人となることから、法人名称を「兵庫県公立大学法人」へ変更するなど、所要の整備を行うものです。
以上で、提出議案の説明を終わります。
議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。
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