ここから本文です。
プロジェクトを活用して、実際に海外留学した高校生の体験談をご覧いただけます。
相手に寄り添う産婦人科医に ―フィリピンの医療の現状を分析―

弟の出産に立ち会ったことがきっかけで、産婦人科医を目指すようになりました。大変な出産だったので、安全に無事に生まれてきてくることの喜びと大変さを実感したんです。また産婦人科医をテーマにしている漫画にハマったこともきっかけであって。主人公が超凄い手術をするとかではなくて、患者さんの本音を伝えてもらえるように、本当に寄り添っていたことが凄く印象的で。私も相手に寄り添える医師になりたいと思いました。また小学校くらいの頃に国境なき医師団のチラシを見て、自分で調べたりしていくうちに、「国境なき医師団の産婦人科医として活躍したい!」とも思うようになりました。調べていてまず一番に思ったのが、「私って何も知らない」ということ。私の中で開発途上国のイメージは、安全ではなくて、病気も流行している、という感じだったんです。だけど、国境なき医師団の活動動画を観たり、実際に留学に行った人の話とかを聞いてみると、そういうわけでもなくて。フィリピンは、日本に比べると出産のリスクが高いとされているんですが、実際に現地に行ってみて医療の現状を知りたい、と思いました。
フィリピンでの医療ボランティアに参加して、インタビューや施設見学等を行っていると、日本との違いに結構びっくりすることもありました。例えば、病院内にハエが飛んでいたり、湿度が高い国だけど、妊婦さんが入院する病室にエアコンが設置されていないことがあったり、フィリピンは水道水が飲めないんですけど、ウォーターサーバーがない所もあって。また、食生活の面でも、塩分が高くて野菜が少なめのご飯が一般的なので、生活習慣病を防ぐという点で、改善できたらいいなと思いました。だけど、病院の設備面では、自分がイメージしていたよりも医療機器が導入されていたり、医療従事者同士のコミュニケーションの様子を見ていると、凄く連携をとって仕事をされていたりもして。出産の雰囲気も、出産の経験が以前ある人とかだと、助産師さんと一緒に歌を歌ってることもあるらしくて、色々な面で日本との違いを感じました。

セブ市内の赤十字センター。救急救命士の方に心臓マッサージや様々な包帯の巻き方による応急処置を教えていただいた。包帯は1枚でいろんな箇所の固定や止血ができること等、すごく勉強になった。
留学から帰ってきてから、「フィリピンの人って自分達の国のことをどう思っているんだろう」と考えるようになりました。いわゆる開発途上国と呼ばれているフィリピンは、高層ビルとかも少なくて、不便と思われることも多い。だけどフィリピンの人達は、別にそれが不満というわけではなくて、なんなら楽しそうに生活をしていて。はたして高層マンションがあるほうが幸せなのかな、とかも考えたりもしました。だけど医療については、命に関わることなので、少しでも改善していくために将来何か出来るようになりたい。留学前から、国境なき医師団として働くうえで大切なことは、「現地の医療従事者達と協力するコミュニケーション力」だと思っていて。留学中にもやはりそれは大切だなと思いました。でもそれに加えて、手当たり次第に最新機械を送るとか、凄い技術のある人を3年間だけ派遣するとかではなくて、医療技術をしっかりと伝えていくこと。「現地の人達だけでも医療が回せる状態にしていくこと」もとても大切だと思うようになりました。相手の国の現状をきちんと知って、何が一番必要なのかを考えられる、相手に寄り添うことができる医師を目指していきたいです。

病院の手術室。見学した時には、医師になりたいという気持ちがより強くなった。

ホームステイ先のご飯。

南国っぽいフルーツを食べてみたいと思い、初めて食べたドラゴンフルーツ。
七瀧さん(令和7年にフィリピンへ留学)
フィリピンでの医療ボランティアに参加し、発途上国のリアルを知る。また、現地の語学学校に通い、世界で活躍するために必要な語学力を身に着ける。
関連リンク
お問い合わせ