土地区画整理事業のしくみ
土地区画整理事業は、地権者の宅地を整形化し、道路や公園等の公共施設を整備・改善し、良好な環境のまちを創る事業ですが、その基本的な考えは、「換地手法」と呼ばれるものです。従前の不整形な宅地(従前地)を、事業により新たな整形化されて使いやすい宅地に変えていくことが「換地」です。この換地に伴い、土地の一部を出し合うことを「減歩」と言います。減歩には公共施設を作るための公共減歩と事業費に充当するための「保留地」を設けるための保留地減歩とに分かれます。減歩により土地が減少した分は、土地の利用のしやすさや環境の向上などの利益となって、権利者の方々に戻ってきます(図-1 土地区画整理事業のしくみ)。
また、従前地に対する減歩面積の割合のことを減歩率と言い、区画整理の事業計画を定める際の減歩率とは、平均減歩率のことであり、個々の土地の減歩率は土地の位置、形状、利用状況等を勘案して換地設計の段階で定めていくこととなります。
なお、公共施設の整備量が多い時などでは、従前地と換地との価格差が逆転することもあり、土地が減価することもあります。こういった場合においては、減価相当額について減価補償金と呼ばれる補償金が生じますが、通常では、施行者が減価補償金相当額をもって土地の先行買収を実施し、減歩緩和を図っています。
従前地が換地により移動しても、従前地にある借地権や借家権等の権利関係は原則として、換地にそのまま移り、もとの生活や業務を続けることができます。土地区画整理事業で建築物等を換地に移転する場合、建築物の所有者、居住者の方に対しては、通常生ずべき損失及び移転に要する費用が補償金として支払われます。この補償金については、建物移転料、動産移転料、仮住居補償、営業補償等がありますが、建築物の床面積、構造、建築年数、移転方法等により算出されるため、個々の建物により異なります。
事業が完了した後において、権利者の方々の従前地と換地を比較して、それぞれの土地について不均衡が生じた場合は、金銭の徴収または交付を行い調整することによって公平性を確保します。この金銭のことを清算金と呼んでいます。
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