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更新日:2023年6月19日

意見書 第4号

有機農業振興に向けた取組の促進を求める意見書

 

 2050年カーボンニュートラルを見据えた上で、今や有機農業振興の流れは世界の趨勢である。また2050年の有機農業の取組面積を耕地面積の25%(100万ヘクタール)に拡大するという高い目標値を目指すには、研究や人材育成に加えて安定した販路の確保が必要である。

 国内における有機農業はまだまだ生産性が低いため、品種改良や微生物の研究などの技術の基礎研究については経験者の勘を体系化する必要がある。新規の有機農業就農者や慣行農業から有機農業へ切り替える農業者にもリスクを軽減する方策が必要である。

 そして、地域特性に適した有機栽培技術の確立は、各地域において、生産者・都道府県の普及指導センターや農林水産試験研究機関・農業者団体等の連携を核に展開され、その推進には生産者のみならず、有機栽培技術の研究者・普及指導員・営農指導員等の確保・育成が欠かせない。あわせて、品種改良や微生物の研究などの国試験研究機関における技術の基礎研究の充実は、大きな推進力となる。

 一方、有機農産物の販路や市場の拡大について、有機農業先進国で見られるような学校給食のオーガニック化等も、消費者理解や国民意識の醸成につながる形であれば、出口戦略として期待される。

 有機農業先進国ではこうした取組を十分な財政的な支援策とともに実施し、国が有機農業の拡大にしっかりと伴走を行っている。

 よって、国におかれては、有機農業振興に向けて、下記の事項に取り組まれるよう強く要望する。

1 地方自治体の農林水産試験研究機関への研究人材や予算確保などの財政支援を行うとともに、各地域の有機農業推進の後押しとなるような基礎研究を国試験研究機関にて拡大し、その研究成果・知見を各地方にフィードバックすること。

2 有機JAS認証取得経費への支援など、新規就農者・有機転換農家・有機農業者等が有機農業へ挑戦・拡大しやすくなる支援策について、より充実した財政上の措置を講じること。また、有機農業への新規参入を促すため、農地取得にかかる下限面積要件や認定農業者の認定基準などの規制について緩和に努めること。

3 地域特性に適した有機栽培技術の指導・普及・研修の体制づくりを強化するため、普及指導員の増員、都道府県の普及指導センターの普及指導や農業者団体の営農指導の機能強化、有機栽培の研修ほ場・実証ほ場の拡大等に必要な支援を、財政上の措置も含め充実させること。

4 環境・経営・地域の持続を踏まえ、有機農産物の需要拡大に向けた流通経路及び消費者の理解醸成、食料安全保障や農業・農村の持続化に対する国民意識の醸成を図るための支援を行った上で、有機農業市場の販路の確保のため、学校給食などにおける有機農産物の使用を推進すること。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

令和5年6月19日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官  様
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣

兵庫県議会議長  内藤 兵衛

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 調査課

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