閉じる

ここから本文です。

更新日:2024年12月13日

意見書 第53号

カスタマーハラスメント対策を求める意見書

 

 カスタマーハラスメントは、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為として定義され、深刻な社会問題となっている。

 日本労働組合総連合会が公表した「カスタマー・ハラスメントに関する調査2022」によると、「仕事をやめた・変えた」と回答した人のうち、勤務先において「対策が取られていない」とした人の割合は、社内規則の制定について47.9%、マニュアルの作成について56.3%、研修について67.6%もあり、各事業所の対応についての課題が浮き彫りになっている。

 また、生活上で生じた変化として、「出勤が憂鬱になった」、「心身に不調をきたした」、「仕事をやめた・変えた」等が挙げられ、職場の人材不足にも大きな影響を及ぼしていることが明らかになっている。

 厚生労働省は「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」の策定をはじめ、「対策企業マニュアル」、リーフレット、ポスターを作成し、あらゆるハラスメントの撲滅に向けた啓発を行っている。

 企業だけでなく、各自治体においてもハラスメント対策に関する方針やマニュアルを作成しているが、現在でも至るところで過剰なクレームや脅迫、強要事案が発生しており、職場環境をおびやかす社会問題となっているが、この問題を直接的に規制する法律はまだ整っていない。一方で、重大な社会的課題となっており、顧客・就業者・事業者等、どの立場になっても、安全に安心して生活できる環境を社会全体でつくっていくことが急務である。

 よって、国におかれては「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」(ILO第190号条約)の批准も視野に入れ、法制化を含めて検討するとともに労働者を守るため、下記事項を実現するよう強く要望する。

1 国全体でカスタマーハラスメント対策を推進するため、消費者団体、経営者団体、労働者団体等の参画のもとで法案の策定を進めること。

2 事業者が、カスタマーハラスメントによる健康被害等について労働者の保護のための措置を講じるよう義務付けること。

3 正当な苦情の申出は事業者、消費者双方にとって利益があることも踏まえつつ、カスタマーハラスメントから適切に労働者を守る通報等の制度を整備すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 

令和6年12月13日

兵庫県議会議長 浜田 知昭

衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 石破 茂 様
内閣官房長官 林 芳正 様
総務大臣 村上 誠一郎 様
法務大臣 鈴木 馨祐 様
財務大臣 加藤 勝信 様
厚生労働大臣 福岡 資麿 様

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 調査課

電話:078-362-9404

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaitosho@pref.hyogo.lg.jp